嫁ガチャ! 作:即席brain
部屋の隅でガクブルと震えているスーラに近寄ると、ガバっと水色の粘液が眼前に広がる。
「ご主人様ぁ!」
「うわああああ!」
避ける暇もなく、押し倒されるとかこれ絶対エッチなパターンになるやつですね。さっき俺が精液を絞り出されてなければの話だけど。
「あ、あれ?おっきくならない?」
「旦那様に何をしているのでしょうか?
蒸発させますよ?」
「ピィ!?な、何で世界は私に冷たいの?せっかくのご主人様の傍に、ショゴスロードがいるじゃん……」
そして俺を押し倒したスーラを挟むようにリームとマルエルが詰め寄る。2人とも、道端に落ちている糞を見るかのような目なんだけど、スライム娘ってそんなにこいつらの世界じゃ地位が低いの?
というかショゴスロードって何?ショゴスならクトゥルフ神話のモンスターって何となくわかるけど、ロードってことはその上位種?そんなのいるの?
リームという名前から、魔王の娘とかサキュバス的な存在だと思っていたからびっくりだよ。……まあ舌が可変式だった時点でそういう不定形な存在である可能性はあると思っていたけど。
……うん、ただのスライム娘から見たらショゴスロードも力天使もヤベー存在なのか。にしてもこの粘液、ひんやりしているから寝具には丁度良いな。めっちゃ弾力あるし。
「あの旦那様……私がショゴスロードだと聞いて何も思わないんですか?」
「いやまあ俺の頭の中では運命の女神>魔王の娘やサキュバス>ショゴスロードだから」
「運命の女神?」
「……リーム・ヴェルザンディだろ?ヴェルザンディって運命の女神じゃなかったか?」
「ああ、私が食べた女神ですか」
「あれ待ってショゴスロードってそんなに強いの!?」
マルエルとは違ってリームはどういう存在なのかイマイチ掴みきれてなかったから、スーラがもたらしてくれた情報はとても大きい。その情報を活かす機会はないけど。ちょっとネットで調べたら、ただの化け物じゃんショゴスロード。
……さて。ここまで3人ガチャで引いてしまったけど、全員が俺に対して謎の好意を持っているのは確認出来た。全員が人外であり、戦闘力が高そうなことも共通点だろう。
昼ご飯のためにマグロを取り出したら、一番弱そうなスーラがバッと広がって丸呑みにし、一瞬で溶かし切ったからな。あれは人間相手でも同じことが出来るだろうし、マグロが一瞬で消化されたのは完全に恐怖映像だったわ。
「ナオヤ。あー」
「……はい」
「あー!マルエルだけずるいです!私にもやって下さい!」
マルエルが口を大きく開けてあーんを強請ったので、マグロの刺し身を突っ込むと美味しそうに食べる。醤油も何も付けてないのに美味しく食べるのか。こうしている様子だけ見ていると、マルエルは完全にただの幼女だな。
なおずっと、俺の隣でふわふわと浮いている模様。世の物理学者に真っ向から喧嘩売ってる存在だな。この浮力を解析出来たら地球の技術は3段階ぐらい先に進みそう。
「んー!旦那様にあーんされるとそれだけで50倍美味しく食べられます」
「……なあ、俺とお前らってどこかで会ったか?それを俺が忘れているだけか?」
「流石は旦那様。この状況でも気にしなくて良い事を気にして損する性格は変わりませんね」
「じゃあやっぱり」
「違います。もしそうであれば、最初から説明をしていますよ。例えば旦那様が異世界を救った勇者だったとして、それなら話さない理由がありません。まあ、近しい答えなのでもう私からは何も言えませんけど」
「ナオヤ、鋭いからそれ以上はダメ」
クトゥルフ神話が出てきたことで、一気に俺の置かれている状況が胡散臭くなってきた。これ俺のSAN値0になってないよな?ここに来て現状考察ランキングに廃人の見てる夢がランクインしてくるの本当に止めてくれ。
リームとマルエルの2人に詳しい事を聞いた時ははぐらかされ、今もちゃんとしたことは聞けていない。次にスーラの方に視線を向けると、スーラは髪の毛から生えている水色の触手をぶんぶん振り回しながら喋る。
「私はご主人様のためならお答えするのも出来ますが……出来ますがぁ!」
俺が聞こうとした瞬間に、スーラに対してリームとマルエルがスーラの両端から詰め寄り、ジト目で睨む。当然スーラは涙目になった。涙腺とかないだろうから、そういう演技なんだろうけど器用なことするなあ。しかし上位種族2人に睨まれるって、どんな気持ちなんだろう。
結局、答えは見つからなかったけど一歩前には進んだ気がする。これ、数が増えればいずれ全容が見えて来そうだな。俺への呼び名が全員違うのも気になるし。……スーラとはこれ、完全な主従関係だったのかな。もう間違いなく、彼女らは全員異世界の住人だよね。そして幻覚とか夢とかそういうのではない限り、彼女らとは何らかの関わりが俺にはある。
記憶を失っているとか、時間が巻き戻って彼女達だけが知っている状態とか、はたまた別次元の俺が為した功績が俺の功績になっているとか……まあまだ可能性は色々とあるけど、かなり絞り込めた。あとはいずれわかるだろう。
翌日になって、バイト先から給与明細が届く。毎月20日、バイト終わりに貰うものだけど、もう退職したからか既にポストに入っており、今月分は14万4千円だ。時給1000円が1日8時間で、出勤日数が18日。ここから税金だの年金だの諸々を引かれて、手元には10万ちょっとしか残らない。……これが最後の稼ぎにならなくて良かったな。
火曜日となり、火曜限定ガチャが回せるようになったので当然回す。庭に置かれている透明のオブジェが怖すぎて今の俺の頭には戦力増強についてのことしかないわ。あれ絶対この前当てたムーンゲートだろ。満月の時だけ異世界とこの世界をつなぐとか、嫌な予感しかしない。
来週の今頃には、この世界にはいないかもしれないなと自嘲しながら曜日ガチャを引くと、火曜日は外れ枠が力の種になっており、火曜日なだけあって火力的な意味合いが強いガチャだった。
SR:ワルサーPPK
R:力の種10個
R:力の種10個
R:よく切れるナイフ
R:ガスバーナー
R:力の種10個
R:IHクッキングヒーター
R;力の種10個
R:攻撃の呪印
SR:手榴弾10個
地味にIHクッキングヒーターとガスバーナーは嬉しい。たまに自炊はしていたけど、頻度は低かったからガスバーナーとか欲しいと思っていても手を出せなかったんだよな。IHクッキングヒーターとガスバーナーだけで3000円分の価値あるわ。
……ワルサーPPKはもう当たってたから何も言うまい。手榴弾とか良く切れるナイフとか、もうこれ完全に戦闘用だよね。とりあえず全部倉庫に送って、力の種は少しずつ食べていこう。
今日はどうしようかなと思っていたら、スーラが椅子に座っている俺の足元に抱き着いてくる。美少女の体内に足が埋まっているって、冷静に考えたら凄い光景だな。
「あの……抱いてください。2人が外に出たのも、そういう理由だと思います」
ズボンの隙間から、足を伝って入り込んだスーラは、竿全体をギュッと掴む。ヒンヤリとして弾力に富んだスライムが纏わりつくと、これだけで非常に心地が良い。
1日経って回復したし、断る理由も俺にはないのでスーラの提案に肯定するとスーラーは顔を綻ばせ、身体が若干溶けた。……スライム娘って、現実で見るとちょっと怖いな。既に食事で大きな肉とかを一瞬でジュワーっと溶かしているし、その気になれば一瞬で俺を溶かせる粘体異生物と交わるってだけで興奮よりも恐怖が先に来る。
でも俺の好みに合わせて胸を大きくするため、一時的に水道から水を出し胸を大きくしていくスーラを見て、その不安は抱かないようにしようと思った。リームやマルエルは初日すぐに交わっていたけど、スーラは2日目になったし……。まだ一緒に過ごしたのは1日だけだけど、健気な頑張り屋っぽい性格はしているので、リームやマルエルとするより安心も出来る。