※この作品はR-18です。

上手に潜入出来るかな?   作:くす玉爆弾

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今回は導入部なので短いです。
更新間隔についてのアンケートもありますのでぜひ。


蛇子とお風呂で洗いっこしたら

 五車町・五車学園の一室にノックの音が鳴り響いた。部屋の中で落ち着かない様子で膝を揺らしていた青年が勢いよく顔を上げる。

 

「失礼します。どうも、お待たせしました」

 

 青年こと、ふうま小太郎の知人の男だった。この男が顔を見せたということは━━。

 

「蛇子っ!!」

「ふうまちゃん!」

 

 男の後ろから小柄な少女が顔を出した。相州蛇子だ。

 ヨミハラでの任務中のミスから彼女が誘拐されて約三十時間が経過していた。幼少期より毎日のように共に過ごした二人だったが、たった一日離ればなれになっただけで、数年ぶりの再会に匹敵する安堵と喜びがふうまの胸に溢れる。

 それも当然と言ったところか、なにせ昨日の任務があわや今生の別れになったかもしれないのだから。

 

「良かった! 無事だったんだな!? 本当に⋯⋯良かった」

「あっ! ち、ちょっとふうまちゃん!?」

 

 蛇子が帰って来た。その実感を直に得たくて、ふうまは感情の赴くままに彼女を抱き締める。恥ずかしがって身を捩る蛇子の体温を感じ、幼なじみが戻って来てくれた喜びにふうまは涙ぐんでさえいた。

 

「心配させやがって! でも、無事で良かったぜ!」

 

 ふうまに遅れて上原鹿之助も駆け寄る。彼は当日の任務に参加していなかったが、親友として居ても立っても居られなくなり駆けつけていた。勿論、ふうまのあまりの憔悴ぶりを見かねたのも理由だ。

 

「ふうまちゃん⋯⋯蛇子が足を引っ張っちゃってごめんね。鹿之助ちゃんにも心配かけちゃったわ」

「いや、俺が戦力の分配をもっと考えるべきだった。救出任務なんだ⋯⋯もう一人サポートをチームに入れていればこんな━━」

「もう! 落ち込むなんてふうまちゃんらしくないわ! 蛇子も、もっと強くなるから、二人でこれからも頑張ろ?」

「━━ッ! ああ!」

「俺は!?」

 

 互いを良く理解した二人の姿に一人ツッコミを入れる鹿之助。いつものトリオがようやく戻って来たようだ。

 

「貴方もお疲れ様。責任者としてお礼を言わせてもらうわ」

 

 絆を再認識する少年達を横目に、何故か簀巻きにされ、床に転がされた魔族らしき少女を観察していた男に色っぽい声が掛けられた。

 井河アサギ、五車学園校長にして対魔忍のトップである。

 

「恐縮です。アサギ先生。しかし、貴女のような方が軽々しく頭を下げるべきではありませんよ」

「私は対魔忍の長であると同時に一人の教師よ。生徒の為なら頭くらい、いくらでも下げます」

「わかりました。今回は貸し一つということで⋯⋯」

 

 魔族からは文字通り鬼神のごとく恐れられる彼女であるが、本来は優しい女性だ。目を掛けていた生徒の危機に人知れず心を痛めていても不思議ではない。それゆえに政治的な駆け引き抜きで頭を下げたのだった。

 

「⋯⋯⋯⋯」

 

 蛇子の帰還に皆が笑顔だ。

 只一人、男がふうまと握手を交わし、鹿之助に女の子向けのアクセサリーをプレゼントするのを睨み付けている少女が居た。

 鬼崎きららだ。彼女も事件を知り駆け付けた一人だが、鹿之助とは少し事情が異なる。

 蛇子が心配なのはもちろんだが、その救出に目の前の男が力を貸したというのが問題だった。

 きららはこの男がどんな人物か身を持って知っている。とんでもない女好き、自分もどれだけ辱しめられたことか、そんな男が蛇子のような美少女と一緒に行動して何もしないはずがない。

 蛇子は同性の目から見てもとても可愛い、魅力的だ。きららも自分の容姿には自信があるが、学園の男共に人気投票をさせたら愛嬌の差で蛇子に軍配が上がるかもしれないくらい、とても良い子だ。おまけに胸も大きい、背丈はきららの方が大きく上回るがカップサイズは同等だったはずだ。

 はっきり言うと男はおっぱい星人だ。デートに出掛けた時もよく胸に視線を向けるし、共に夜を過ごす時も頻繁に弄られ、絶賛された。一時間以上、乳房を愛撫されて連続絶頂したことだってあるのだ。蛇子の豊満な果実に男が劣情を向けるのは確実だろう。

 そもそも、当初の予定では救出し次第、即座にヨミハラから脱出する手筈だったのだ。それが尤もらしい理由を付けて丸一日遅れて来た。

 これは、確実に何かあったときららは確信していた。

 

(アイツ! 距離が近いのよ! 離れなさいよ!!)

 

 本人は気付かないフリをしているが、きららは凄まじく嫉妬していた。ふうまが蛇子に抱き付いた時の比ではなく荒ぶっていた。二人が抱き合ったのは、幼なじみという関係と状況を加味すればまだ我慢が効いた。しかし、あの男は別だ。他の女に色目を使うだけで腹が立つ。

 蛇子の様子も気になる。先程から男にチラチラと目線を送っているのだ。抱き付かれた際もどこか焦ったような風で男の顔色を伺っていたし、目が合うと嬉しそうに微笑むのだ。恩人に対する好意にしては初々し過ぎる。

 きららは知らない事だが、先日の仮装イベントで蛇子がきららの男に対する傾慕を見抜いた時と立場の逆転が起こっていた。理解出来たのは、やはり二人が同じ想いを共有しているからだろう。

 

「グギギッ!」

 

 男をガン見していたきららが、急に唸り声を上げた。どさくさに紛れて蛇子が男の手を握ったのだ。正確には約束繋ぎ、小指と小指を絡めているのだが、これがセックスアピールでなくて何だというのだ。他の連中は手元まで意識が向いていないが、距離をとっていたきららだけが気付いた。

 手繋ぎは言葉で好意を伝えるのが苦手なきららにとって、大切な行為だった。うぶな少女は遠慮がちにそっと指を絡めるだけで心が通じ合い、胸が温かくなるのだ。

 それなのにこんな━━。

 きららはもう我慢出来なかった。

 

「良くやったじゃないの! 褒めてあげるわ!」

 

 二人の間に割って入る形で男に詰め寄った。口では称賛しているが顔はしかめっ面、邪魔された蛇子は膨れっ面だ。

 

「ありがとうございます。ここに来て下さったということは心配してくれたのですね」

「あんたじゃなくて蛇子ちゃんのだけどね!」

 

 そのつっけんどんな物言いにふうま達は、またいつものだよと苦笑したが、男はこれは本気で怒っているなと内心、身構えた。

 ただの痴話喧嘩に思えるが実はかなり不味い。鬼の血を引くきららは気の持ちよう一つで本物の般若になることも可能なのだ。先日、鬼化したきららに物理的に喰われかけたのは記憶に新しい。

 唯一、アサギは漏れる殺気に気が付いているはずだが、若いっていいわねぇとばかりに微笑んでいるだけなので役立たずだ。

 自力で切り抜けなければ。

 

「それに、予定よりだいぶ遅れて到着したみたいだけど、どこで道草を食っていたのかしら?」

 

 疑いの目付きだ。やはり蛇子と過ごした一夜のことに勘づいているなと男は察した。彼女は嫉妬深い、だが、そんなところも可愛い。いつもならキスの一つもすればすぐに機嫌を直すのだが、この場でそれをしたら火に油だろう。

 

「ええ、その件に関しての報告は既にまとめてあります。アサギさん、ふうま君、よろしいですか?」

「そうね⋯⋯彼らの動向も知りたいし、聞かせてもらおうかしら。でもあなた達は⋯⋯」

「きららさんと鹿之助君は今回の作戦従事者ではありませんので、詳細は後日ということで⋯⋯」

 

 色々、面倒臭くなった男はこの場は逃げることにした。報告という建前があればきららも逆らえない。

 

「まー、仕方ないか。ふうま! 蛇子! また後でな!」

 

 婬魔からの救出の仔細となれば蛇子にとって聞かれたくない話の一つや二つ出てくるだろう。上司のアサギと指揮官のふうまは兎も角、自分は違う。

 対魔忍として、何より友人として知るべき事と知らなくてよい事の区別をつけた鹿之助は努めて明るく退室していった。

 当然、きららにも居座るという選択肢は消滅した訳だ。

 

「後で覚えておきなさいよ⋯⋯」

 

 去り際にドスの効いた低い声で耳打ちするきららにこれは後が大変だと乾いた笑いが零れる。まあ、今夜にでも二対一に追い込んでから仲直りするかと男は決めたのだった。

 

 

 ※

 

 

 一通りの報告が終わった後、蛇子は家に帰宅していた。結局、あの後は業務的な報告だけ行い解散となった。蛇子としてはもう一度、男と二人きりになれる時間が欲しかったが、色々と大人の話があるとかで、アサギ校長と一緒に会議室に引きこもってしまったのだから仕方ない。

 ベッドの上をゴロゴロ転がりながら、蛇子は自分の変化にため息をついた。あの人に会いたくて堪らない、少しでも一緒に居たい。媚薬はとうに抜けているのに、一体、自分はどうしてしまったのか。無意識に腹の婬紋を撫でながら自問自答する。

 やはり、恋しているのだろう。二度目の恋だが、初恋より重いと自分でも思う。ふうまを好きになった時のことは、幼き日の思い出過ぎて忘れてしまった。それだけ一緒に居たし、一番先に自分が好きになったのだという自負があった。

 ふうまとは今でも毎日会えるが、あの人は違う。正直、出遅れている。きらら先輩に負けたくない。これは、ある種の強迫観念なのだと蛇子は納得した。

 先程だってそうだ。ふうまや鹿之助と無事再会出来て嬉しかった。だが、ふうまに抱き付かれた時に感じた感情は焦りだった。昨日までの自分なら、ふうまにあんなことをされたら嬉しさと恥ずかしさで茹で蛸になってしまっただろうに。

 彼は機嫌を損ねていないだろうか。今度はいつ会えるのか。そんなことを考えながら、悶々としているとスマホにメッセージが入った。

 

 『会議は無事終わりました。今日は五車の別邸に一泊してから帰ります』

 

 あの男からだった。そう言えば気に入った土地に家を建てるのが趣味だと言っていたような気がする。というか前に一度、いつもの面子と一緒にバーベキューに招待されていた。あの時のお肉、美味しかったな等とどうでもよいことを考えていた蛇子は急にハッとして起き上がり、玄関に向かう。

 外は濃い曇り空だったが、傘を取る余裕もなく、蛇子は駆け出して行った。

 

 

 ※

 

 

 男が新居の居間で雨音を楽しんでいると来客を伝えるブザーが鳴った。

 カメラを確認し、目的の人物が来たことを覚ると玄関で出迎える。

 

「これは、蛇子さん。こんな雨の中、傘も差さずにどうしたんです?」

「えへへ、会長ちゃんに会いたくなっちゃった」

 

 少し恥ずかしそうに笑う蛇子はびしょ濡れだった。学園指定の制服は雨を含み、髪と同じ薄緑色のブラジャーを透かしている。

 家に招き入れタオルを渡すと、彼女はくりくりした瞳を上目遣いにして遠慮がちに聞いた。

 

「いきなり来て迷惑だったよね?」

「まさか! 蛇子さんならいつでも歓迎しますよ」

 

 変わらず紳士的な男に蛇子は安心し、ホッと息を吐いた。

 

「それよりも、そのままでは風邪を引いてしまいます。着替えを用意しておきますから、貴女はお風呂に入って来て下さい」

 

 確かに今の姿では立ち話も出来ない。男の好意に甘えつつも、少し焦り過ぎたかと蛇子は反省した。

 

「う、うん⋯⋯ありがとう。でも、ごめんね⋯⋯床、汚しちゃって」

「蛇子さんに会えた方が嬉しいのでむしろラッキーな気分ですね」

 

 軽口を言いながら、蛇子を浴室に案内した男は、濡れた服を家事ロボットに渡してクリーニングを任せると、誰かにスマホでメッセージを送った後、再び風呂場へと向かった。

 

「わっ! 広~い!」

 

 思わず声が出る程、広い浴槽だった。幼少期に入ったふうま家の風呂も十人近く入れるくらい広かったが、それ以上だ。天然温泉を引いているらしく、透明な湯と白く濁った湯の張られた二種類の檜風呂に加え、野外には岩風呂と打たせ湯もある。これは温泉旅館も顔負けだろう。

 

「これなら足も伸ばして洗えそうね!」

 

 鼻歌を歌いながら蛇子は身体を洗い始める。途中、びしょ濡れになってしまった時はどうしたものかと思ったが、風呂を貸してもらえたのは僥倖だった。

 蛇子は別にお喋りがしたくて来訪した訳ではない。抱かれに来たのだ。だから、出来るだけ綺麗にして印象を良くしておきたいのが女心と言うものだ。

 せっかく広いのだからと、忍法で両足をタコのそれに変化させボディソープを塗りたくる。衛生上は元の足を洗っておけば問題ないのだが、そこは女の子、色々と気になるお年頃なのだ。

 特に吸盤の内側を念入りに洗いながら、風呂上がりにどう彼にアプローチしようかと考えていると、ガラッと扉が開き全裸の家主が入って来た。

 

「どうも、失礼します」

「きゃっ!?」

 

 今まで頭の中に思い浮かべていた人物が急に登場し、蛇子は混乱した。どのくらい混乱したかと言うと裸の乳房と秘所はそのままに、何故かタコ足を男の目から隠そうと躍起になっていた。

 

「せっかくですし一緒に入ろうかと思ったのですが⋯⋯。あー、リラックスしているようで何よりです」

「こ、これは、違うの!」

 

 男から見ると奇怪な光景だった。長さ二メートルを超える泡まみれの軟体動物の足が、目の前でのたうち回っている。しかもここは自分の家の風呂場だ。

 

「なるほど、久しぶりに足を伸ばしたかったと⋯⋯」

「あはは、すごく広いお風呂だったからつい⋯⋯」

 

 モジモジと身を捩って照れ隠しする蛇子の動きに合わせてタコ足も蠢いている。

 本人にとっては重要な戦闘手段であり、幾度も敵味方の前で披露した獣遁の術だが、状況によっては恥ずかしさを感じるらしい。

 

「ひゃんっ!?」

 

 泡と粘膜で艶光る足に妙な色気を感じた男が手を伸ばした。

 触れると人間の足とは違い、ひんやりと冷たかった。軟体独特のぬるぬるした感触が気に入り、無遠慮に撫で回すと蛇子が艶のある声を上げた。

 

「会長ちゃん。その、足は敏感だから⋯⋯」

「ああ、感覚器官も兼ねているのでしたか。知っていますよ」

 

 蛇子のタコ足は任務中の索敵に重用されるほど鋭い。常人では気付かない僅かな臭いや振動も察知することが可能なのだ。それ故、男の艶かしい手つきがダイレクトに伝わった。

 

「あっ⋯⋯ふっう⋯⋯ん⋯⋯だめ⋯⋯だよぉ⋯⋯あぁ」

「大変でしょうから、洗うのを手伝ってあげますね」

 

 男の手の平でソープが引き伸ばされる。足の根元、人体と軟体の境界から先端までを塗り込むように丹念に、それは既に洗体ではなく愛撫だった。生の肌への刺激に蛇子は昂る。

 

「そういえば、蛸の足の一本は生殖器なのだとか、蛇子さんは女性ですので関係ありませんが、不思議な気持ちになりませんか?」

「ああ、あっあぁ! さ、先っぽ、シコシコしな、いでぇ~⋯⋯へ、変だよぉ⋯⋯はぁ! んひっ⋯⋯こんな⋯⋯おかし、いひっ⋯⋯気分になっ⋯⋯ちゃ、アアン!」

 

 足の先端部を指で扱きながら蛇子の耳元で囁く、脳を犯され彼女はトロ顔を晒した。女である蛇子にとっては理解出来ぬことだが、特に過敏な先端から伝わる刺激はぺニスを愛撫される感覚と同じだったからだ。

 手慣れた動作で前後に擦られると未体験の快感が蛇子を襲う。ただ、足を洗われているだけなのにおかしいと彼女は思うが止められない。

 柔らかかった足先が、まるで陰茎のようにどんどん硬くなってきた。赤銅の肉が脈打ち、僅かに痙攣しているのが男に伝わった。

 足の変化に合わせて、蛇子の陰部にも性の兆候が現れる。切なげに股を擦り合わせていたが、よく見ると肉の花弁が満開になっている。薄皮に包まれていたクリトリスが、ピョコリと顔を出して自己主張をし始めた。

 本当に足が性器の一部になってしまったのかと困惑する蛇子に、再び男が耳打ちをした。

 

「次はどこを洗って欲しいですか? 汚れの溜まりやすい所は?」

「やぁ、ん⋯⋯ふぁ、そん、なのぉ⋯⋯恥ずかし⋯⋯んひぃ!」

「とっても気持ち良さそうにしてるじゃないですか。教えて下さいよ」

「ひ、まってぇ~⋯⋯お、教えるからぁん⋯⋯ひあ! きゅ、吸盤のうら、がわぁ! ぁっ! ふやぁん!」

 

 男が手近な吸盤の縁をなぞると蛇子の背があからさまに震えた。どうやら特に敏感な箇所らしく、指先で擽られるだけで嬌声を上げて身悶えしている。

 

「くすぐ、た⋯⋯いひいいぃ~~~! ひゃ、ひゃめ⋯⋯いひゃああ~~!!」

 

 吸盤の内側に指を入れてまさぐると場所によって質感が違うのが分かる。漏斗状の部分はザラザラしていて、奥の方はコリコリしていた。

 蛇子はコリコリの所を弄られるのが好みらしく、軽く爪で掻きながら汚れを落とすと甘えた鳴き声を響かせた。

 

「あっあああぁあ~~! らめぇ! らめ、はぁあン! しょこが痒いよぉ! カリカリしてえぇ~!」

 

 人差し指の第一関節に吸盤がチュパチュパと吸い付いてきた。中々、強力な吸引力で彼女のアナルよりもきつい締め付けだ。

 内側で指をぐるんと回転させて引き抜くとワインのコルクを抜いたような音が鳴り、蛇子は白目を剥いて痙攣した。

 男が指先をよく見ると何やら白い塊が付着している。それは、蛇子の恥垢だった。彼女のタコ足は包茎ぺニスのように汚れの溜まりやすい構造らしい。

 

「蛇子さん! こんなものが吸盤に溜まっていましたよ」

「ダメぇ!! 早く捨ててよ!」

 

 自身の老廃物を見せつけられ、蛇子の乙女心に罅が入った。

 

「芳ばしい香りがしますね。まだ沢山残ってますよ」

「ああああ!! 嗅がないで! 汚いよ! 会長ちゃん酷、ひぎぃ!?」

 

 耳糞のような汚物の臭いをわざとらしく嗅がれ、蛇子の顔が羞恥に染まる。

 珍しく目尻を吊り上げて怒りを露にしたが、別の吸盤に指を突っ込まれ、すぐさま霧散してしまった。

 

「ひ、ひいいぃ~! もう、やめ、やめへ~! きちゃないからぁ⋯⋯きらわれひゃうよぉ~⋯⋯」

「穴の中から蛇子さんの濃い臭いがしますね。病みつきになりそうです。味はどうでしょう?」

「ひぁああ~んっ! 舐めてりゅ! 蛇子のくしゃいあひ⋯⋯なめへりゅううう~~!!」

 

 吸盤の垢を掻き出す動作を繰り返しながら、男はタコ足の臭いを嗅いだ。足からは女の皮脂特有の癖になる芳香と、海産物的な生臭さが混ざった奇怪な体臭がした。

 自分の足、それも獣化した足の臭いを嗅がれるなど蛇子にとって初めての経験である。乙女としての羞恥と好いた異性が自身の体臭を好んでいるという事実が彼女を苛み、身悶えさせる。

 嗅覚で女体を楽しむだけでは我慢が効かなくなった男は脚触手に舌を這わせた。艶光る粘膜に味蕾が触れると、食用タコとたいして変わらない風味が広がった。

 ベースが人間でも味は変わらないのだなと男が感心しながら、先端を口の中に含むと蛇子の肢体が強く震えた。

 

「ひ、しょ、しょれわあああぁ~!」

 

 目敏く気付いた男が触手を口に含んだまま、ストロークしてやると、焦りを含んだ甘声が耳を楽しませる。

 女である自分が疑似フェラによる奉仕を受けるという、本来ならあり得ない経験に蛇子は絶頂した。

 軽いオーガズムだったが、一切、耐えることが出来なかった。足と連動したクリトリスがビンビンに勃起して彼女の快感を表している。

 男からの口婬の追い討ちを受けた蛇子は射精する変わりに潮を吹いた。

 

「ひゃあああ~~!! あ、ダメ、イクッ!? ウソ!? 足しゃぶられてイクうう~! あひ、これじゃ、蛇子、変態だよおおぉ~⋯⋯」

 

 安物の水鉄砲みたいな潮吹きを晒し、アヘる蛇子に休みはない。足先に舌を絡ませて嬲っていた男が、唐突に歯を立ててきたのだ。

 

「あ゛っ゛!! 会長ちゃんダメ! それ、痛いよ!」

 

 怯えを孕んだ瞳で蛇子は哀願したが━━。

 

「よろしければなのですが、少しだけ食べてみては駄目ですかね? 変態的ですが、蛇子さんを心底、味わい尽くしたくなりましてね」

 

 まるでちょっとした知的好奇心であるとでも言いたげな様子で男は返した。

 

(ああぁ⋯⋯痛いのは嫌なはずなのに、蛇子、会長ちゃんに食べて貰いたがってる? きらら先輩じゃ出来ないことを蛇子はしてあげられるんだ⋯⋯)

 

 忌避感が消滅したわけではないが、蛇子の心に被虐的な暗い欲望が膨れあがる。自身を供物に捧げるという最上級の愛情表現の魅力に蛇子は囚われた。

 

「ちょっとだけ⋯⋯ちょっとだけなら、いいよ⋯⋯でも、会長ちゃんだから食べてもいいのよ⋯⋯ほんとは、イヤなの⋯⋯忘れないでね?」

「ありがたい! 貴女はやはり、素敵な恋人だ!」

 

 ミシリ、ミシ、ブチブチブチッ!!

 

「っ~~~~~~!!!!」

 

 男に恋人と呼ばれ、蛇子の胸が跳ねた。身体を重ね、想いが通じていると理解していても、やはり実際に言葉にして貰うのは重みが違う。

 喜びで有頂天になりかけた蛇子を鋭い苦痛が襲う。足先の数センチが食い千切られたのだ。

 任務中に足を欠損したことは何度かある。その際は気の持ちようや対魔忍としての覚悟、脳内麻薬の分泌で痛感は抑制されていたが、今回は違う。性感の高まりに合わせて感覚はより過敏になり、意識を足に集中させていた為に苦痛がダイレクトに蛇子に伝わったのである。

 

(これは中々⋯⋯)

 

 瞳に涙を溜めて痛みに耐える蛇子を尻目に男は醤油が欲しいなと場違いな感想を抱いていた。

 

「どう? 蛇子の足⋯⋯美味しいかな?」

「食感は真蛸に近いですが、味は少し濃厚ですね⋯⋯それに、思っていたよりも生臭さは感じませんし、醤油は薄口が合いそうです⋯⋯私好みですよ」

 

 苦痛に喘ぎつつも蛇子は自分の味の感想を聞いてみた。どこか、色っぽい声音だった。

 促された男はどこぞの美食家気取りの感想を述べた。

 

「えへへ、そうかな? もっと食べる?」

 

 完全に食材扱いされているが、蛇子は嬉しそうだ。元々、バレンタインに自分の吐いたタコ墨入りチョコを配るという奇行に走っていた女だ。そっち系の適性があったということだろう。苦痛さえ許容できれば男の行為は蛇子の性癖にマッチしていた。

 

「ではありがたく頂きます」

 

 続けて蛇子の脚肉に口を付ける男。

 歯応えのある食感を楽しみながら一分近く掛けて咀嚼する。肉厚かつ弾力もあるので、一口分呑み込むのにも顎が疲れたが、蛇子の汗がタコ足に塩味を加え、すぐにもう一口、食べたくなった。

 

「うぐっ! ヒッ! アア、いぎぃ!? ふひいいぃ~~⋯⋯」

 

 三口目で蛇子は小便を漏らした。浴室にお湯とは別の湯気が立ち上る。それは、苦痛に耐えかねたのではなく、快楽による絶頂だった。自分の肉体が好いた異性の一部になるという背徳に彼女はひどく興奮した。

 背筋がぶるりと震え、黄色い尿と一緒に歓喜の涙を流し、恍惚とする蛇子を眺め、男は残りの肉片をミリミリ、コリコリと食い千切り嚥下する。

 

「ふ、嗚呼あぁ~~ん⋯⋯」

 

 排尿の解放感に艶のある吐息を漏らした蛇子は、ふと男も勃起していることに気付いた。

 彼もカニバリズム行為に性的興奮を得ていたのだ。蛇子は生唾を一つ呑み込み、舌舐めずりした。

 咀嚼を続ける男を尻目に、蛇子は無事な方のタコ足を彼の股間に向けて伸ばした。

 そろりそろりと這い寄った触手がイチモツに巻き付いた。冷たい粘膜の感触に男のモノが跳ねる。男は一瞬、下を見たが特に何も言わずに蛇子の好きにさせることにした。

 蛸娘は足先で器用にぺニスを扱き始めた。ゲル状の足は高級オナホールのようにぺニスを包み、手とも女性器とも違う快感を男に与える。触感が少し冷たいのも中々にそそられた。

 おまけに足に付いた小型の吸盤が、プチプチと竿や亀頭に吸い付き、痛いような痒いようなもどかしい刺激を提供してきたのだ。

 小人のキスか甘噛みとでも名付けそうな吸盤の責めは、陰茎にいくつもの小さな腫れを作り、性器の触覚を更に過敏にさせた。虫刺されサイズの腫れだが、そこに冷たい粘膜が触れると男が思わず唸るほど心地好いのだった。

 

(あぁん、会長ちゃんも気持ち良さそうにしてる。可愛いわ⋯⋯)

 

 男が快楽を貪る様子を見て、蛇子は興奮していた。次第に見ているだけでは物足りなくなり、胸に沸き上がる甘酸っぱい衝動を抑える為に豊満な乳房に手を当て、強く揉みしだいた。

 親指と中指で柔肉をまさぐり、乳腺を発見した。少し硬い芯をほぐすと女性ホルモンが分泌されるのが分かる。熱い波のようなものが乳房の奥から先っぽまで広がり、乳頭が輪っかごと盛り上がって疼いた。

 

「蛇子さん⋯⋯」

「ふゃ、会長ちゃん⋯⋯」

 

 何時の間にか男がすぐ側に身を寄せていた。互いに名前を呼び、顔を近づけて見つめ合う。

 蛇子が陶酔した表情で小さな舌を伸ばしてきた。手と手、指と指を絡ませ、引かれ合う。二人の唇が触れるその瞬間━━。

 無粋なブザー音が鳴り響き、二人は反発する磁石のように離れた。

 

「今日は客人が多いですね」

「むぅー!」

 

 突然の来客にムードを台無しにされ、蛇子は膨れっ面だ。

 

「私が応対して来ますから、先に上がっていて下さい」

 

 蛇子にそう言い残し、男はガウンを纏い玄関へ向かった。

 監視カメラで来客が予想した人物であると確認すると、扉を開け満面の笑みを浮かべる。

 

「ようこそ、きららさ━━」

 

 返答の代わりに無言でビンタが飛んできた。

 

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