このクラスには、とんでもないハーレム男がいる。
「リトー♡」
「ちょ、くっつくなって!」
結城リト。
彼の周りにはこのクラス、いや学校中の美少女が常に集まっている。
周りの男子は歯軋りしながらイチャイチャを眺めるしかない。
しかし僕には関係がない。
友達すらいない僕には、正直次元が違いすぎて嫉妬すら湧かないからだ。
平日の朝。
そんな彼らを横目に教室に入ると、ある女子が僕の椅子に座って談笑していた。
籾岡里紗。
ウェーブの茶髪をした明らかにギャルっぽい女の子。
パンツが見えそうで見えないほどのミニスカートをしているので、僕の椅子には彼女のパンツが直に触れていることだろう。
ちょっとドキドキしていると、籾岡さんが僕の存在に気づいた。
「あ、ごめーん……えっと、茂田くん!」
よほど印象に残っていないのか、しばらく悩んだ末に名前を口にした籾岡さん。
それもそのはず、彼女と話すのはこれが初めてだ。むしろよく名前を覚えてくれていたと思う。
彼女が席を立ち、僕とすれ違う瞬間、耳元に顔を寄せてきた。
「くす……女の子の暖かさしっかり感じてね?」
すれ違いざま、籾岡さんが耳元で囁いた。
耳に感じる彼女の吐息。今まで嗅いだことないような良い香り。
驚いて顔を見ると、いたずらな笑みを浮かべて僕を見ていた。
「あ、え……」
「ふふ、じゃね♪」
僕の反応に満足したのか、肩をポンと叩いて去っていった。
席に着くと、ほのかな暖かさを感じた。
あったかい……。
いや、これだと変態みたいじゃないか。
でも、僕の席に座ることに何の抵抗もないんだな。少しほっとした。
籾岡さんは、ごくたまにああやって男子をからかったりすることがある。
しかしガードは固く、すべて計算された色気だ。言葉でからかわれたりすることはあるが、体が触れたり、パンチラしたことはない。
でもあんなことをされたら、僕のことを好きなんじゃいかなと思ってしまう。
でもあり得ない。
「結城ぃ~、ららちぃだけじゃなくて、私にも構ってよー」
「も、籾岡当たってるって!」
「お、照れてんの?かわいい~」
「……」
結城リトの左腕に抱き着いて胸を押し付けている。
籾岡さんがあそこまで積極的にスキンシップするのは結城リトだけだ。
彼女はいろんな男子をからかっているが、その胸の柔らかさはあいつだけが知っている。
まあ、僕には関係ない。
そのあとはいつもと変わらない。
授業中や休み時間問わず、結城リトを中心に美少女たちがエッチなハプニングを起こして、周りの男子は嫉妬と殺意のこもった眼でその出来事を眺める。
僕はいつも通り、誰とも話さず一日をやり過ごした。
そんな孤独とも言える日々を過ごしている僕にも、話す程度の相手はいる。
「こ、古手川さん」
「茂田くん。今日も手伝ってくれる?」
真面目だけが取り柄の僕は古手川さんからの印象は良く、たまに話すようになり、成り行きで風紀委員の仕事を手伝うようになった。
「この貼り紙を手分けして貼っていきましょう」
「うん」
「茂田君がいると、本当に助かるわね」
古手川さんと別れて、貼り紙を貼っていく。
彼女の手伝いを初めて1ヶ月。
彼女からしたら都合の良い存在なだけかもしれないが、結構充実した時間を過ごしていた。
数少ない会話できるクラスメイトで、しかも可愛い。
これまで真っ暗だった人生が、古手川さんとの出会いで少し色づいていくような気がした。
貼り終わり、彼女との合流場所に急ぐ途中少し嫌な予感がしたが無視する。
角を曲がり合流場所が見えたとき、すでに古手川さんは着いていた。
結城リトも一緒だった。
古手川さんは僕に背を向けて、脚を開くようにして座り込んでいた。前からだとスカートの中が丸見えだろう。
そのスカートの中に顔を突っ込んでいるのが結城リトだ。
しかも、おそらく両手は胸を揉んでいる。
「んむ~っ!」
「んぅ……あっ……」
結城リトが苦しそうな声をあげると、古手川さんは艶かしい声をあげて背中を反らした。
僕からは彼女の顔は見えない。おそらくその顔はあいつしか知らない。
古手川さんの手伝いは終わっている。
僕はここから離れるようにあの場所に向かった。
僕が頻繁に行く図書室。
静かに本が読めるこの場所は、僕の唯一安らげる場所だ。
特に最近は、知り合いもできた。
図書室の扉を開けると、目当ての人を見つけた。
「茂田太……」
「こんにちは、ヤミさん」
金色の闇。
彼女と知り合いになったのは偶然だった。
彼女に突然おすすめの本を聞かれ、紹介したことがきっかけで時折ここで話すようになった。
「昨日は来なかったようだけど、何かあったの?」
「はい、少し別件がありまして……太に本を返すのが1日遅れてしまいました。すみません」
「い、いや!謝らなくていいよ……すぐに読む訳じゃないし」
「そうですか……」
会話はこれっきりだった。
ヤミさんとは、ほとんど話さない。
向かい合って本を読み、時折感想を言い合うくらいだ。
しかし、この時間が心地よい。
学校でもトップクラスの美少女と一緒にいられるのは、僕にとって幸運だった。
必然というべきか、かわいくて、趣味も合って、性格もいいヤミさんを僕は好きになっていた。
何よりもヤミさんは結城リトのラッキースケベを受けていない。
幸せな時間は過ぎるのが早い。
「では、私はこれで」
「うん。また明日」
「太……」
「なにかな……?」
「明日も、ここで会いましょう」
「う、うん!また、明日ね!」
ヤミさんと別れて、家に帰った。
ボロアパートの一室。
両親はおらず、遺産と親戚のわずかな仕送りによって細々と暮らしていた。
「あー、今日も楽しかったなー……」
「本当にそうか?」
突如後ろから聞こえた声。
バッと振り向くと、ベッドの上に誰かが座っていた。
黒い着物を身につけた褐色の女の子。
「えっと、君は誰……」
「私が誰かなんてどうでもいいだろう。それより、これを見ろ」
右手に握られていたのは黒い布のようなもの。
彼女が手を広げ、両手で掲げたものは黒色のブラジャーだった。
「これは金色の闇のブラジャーだ」
「や、ヤミさんの!?」
とても信じられないが、なぜかそれがヤミさんの下着だと信じて疑わなかった。というより、信じさせられたという感じだった。
フラフラと彼女に歩み寄り、ブラジャーに手を伸ばそうとしたところで、ヒョイと取り上げられる。
「ふふ、親も友人もおらず、周りの女も、愛した女も全て別の男の毒牙にかかっている。当の本人はそれを知らないフリして程度の低い仮初めの幸福に浸かっている。なんという惨めさだ、やれやれ……」
「……」
「本当は気づいているんだろう?金色の闇の極上の肉体が、結城リトに貪られていることを。彼女の心が結城リトに傾いているということを」
誰かもわからない少女の言葉が、僕の心に重くのしかかってくる。僕とヤミさんは出会って半年ほどだが、彼女の笑顔を見たことがない。でも、無表情ながらもわずかに動く表情や、気持ちの変化とかは分かるようになってきたし、最近は本以外のことも話すようになってきた。間違いなく僕と彼女の距離は近づいてるはずだ。
「信じないか……ならいい。自分で確かめてみろ」
「え……」
ブラジャーを手渡される。
初めての感触と、僅かな温もり。
顔を押し付けて思いっきり息を吸うと、肺が幸せな空気で充満した。
臭いを堪能していると、顎を捕まれクイッと顔を向き合わされた。
少女の綺麗な顔が間近にある。
「くくっ、昨日金色の闇はお前との約束を破って何していたと思う?」
「わ、分からない。そんなの知らない」
「じゃあ、特別に見せてやろう」
すると、脳内にある映像が浮かび上がった。
最初の映像は、繋がれた手だ。
徐々にズームアウトしていくと、そこにいたのは見慣れた二人の男女だった。
制服姿のまま手を繋いだ二人は、知らない家に入っていく。
次の映像では、一人がもう一人に、あーんしてご飯を食べさせている。二人とも照れた感じで初々しいカップルのようだった。
次は、一緒に風呂に入っていた。待ちきれないのか、男の手が、女の乳房を揉んでいた。
次は二人で一緒の布団に入っていた。お互いに向き直った二人は、徐々に身体を近づけていって……。
そこで映像は途絶えた。
この映像は──、
「これが現実だ……」
「う、うう……ぐす……」
「ははっ、さすがに映像で見せられると堪えるか」
何となく分かってはいた。
ヤミさんは結城リトの妹と仲がいい。
必然的にあいつとも会っているだろう。家に行くこともあるだろう。なら、そういう関係にもなるだろう。
つまり僕はとんだピエロってことで、元々可能性はなかった……。
僕にとってのラッキースケベは、このブラジャーだけってことか……。
「ああ、ちなみにこのブラジャーは金色の闇のものではないぞ」
「な、な……」
「あいつはノーブラ派だからなあ。ちなみに結城リトはとっくにそのことを知ってるぞ。何度も揉んだからなっ!」
「なんで、こんなことを、するんだ……こんなひどいことを……!」
「それはな……」
彼女の手が僕の腕を掴んだ。
少女とは思えないほどの力で身体を引っ張られると、ベッドに仰向けに組み敷かれた。
僕のお腹にドスンと腰を掛けた少女は、唇がくっつきそうなほどの距離まで顔を近づけた。
「貴様に、茂田太に、結城リトのハーレムを乗っ取ってほしいんだよ」
「のっとる……?ていうかハーレムって……」
「ああ、太は知らないか。なら教えてやろう」
語られたのはとんでもない計画だった。
結城リトを中心とした宇宙一のハーレム創世。
荒唐無稽な話だが、結城リトなら実現できるかもしれないと思った。
「悔しくないか?自分の愛する女を、あんなやつに奪われて」
「それは……」
もちろん悔しい。
僕の唯一の癒しが、まるで当然かのようにエッチなことをされているなんて。
僕なんて目を見て話すことがやっとなのに。
でも僕とアイツでは人としてのレベルが違う。
それを伝えても、目の前の少女の笑みは崩れなかった。
「確かに、全てにおいて貴様よりリトの方が優れている。だが、こと性欲においては、あのリトや家畜を上回っているぞ」
「性欲……?そんなのが強くて何の意味があるんだ……。そもそも僕はそんなに性欲強くないし」
「いやいや、ハーレムにおいて性欲は超重要だぞ?まとめて夜の相手する場合は特に。夫の性欲が原因でハーレムが崩壊するのを私は何度も見てきたからな」
真面目に考えるのもバカらしい。
僕がハーレム?女の子とまともに話せないのに?
「……いや、無理でしょ」
「いや、出来る。その証拠に貴様の下半身はさっきからずっと勃起してるじゃないか。口でとやかく言っていても、本能で女を求めてるんだ」
言われて股間を見ると、今までの人生で一番といってもいい程勃起していた。
嘘だろ。ハーレムという言葉だけでこんなに勃起するのか……。
「想像してみろ……古手川唯、籾岡里紗、金色の闇が、ありとあらゆる女がお前の身体に絡み付き、乳房を押しつけ、耳元で愛を囁き、甘い声をあげる姿を……」
「!?お、おい、何を……!?」
「ふふ、これは特別だぞ……。貴様は全身を女の柔らかい肉体に包まれたまま、戯れに腰を動かす。たったそれだけで女達は快楽に溺れていくんだ」
「う、ああ……」
少女の手がズボンのチャックを下げ、ズボンを脱がすと、過去最高に硬くなった肉棒がボロンと姿を見せる。
慣れた手つきで肉棒を掴むと、上下に扱きだした。
初めての他人の手による手コキ。想像を絶する気持ちよさに一擦りごとに腰がピクピクと跳ねあがる。
「なんだ。すでに我慢汁でグショグショではないか。れろ……」
真っ赤な舌から濃厚な唾液を垂らしていくと、少女の唾液が潤滑油になって、快楽が何倍にもなった。
しかも、ただ上下に扱いているだけではない。
カリの部分を重点的にグリグリと刺激されると、痺れるような快感が全身を駆け巡った。
あっけなく射精した。
しかし、僕の肉棒は硬くそそり勃ったまま、全く萎えるようすがない。
「秘めた性欲を開放しろ……それがハーレムへの第一歩だ」
再び手を動かし始めた。
「貴様が精魂尽き果てるまで搾り取ってやる」
それから何時間経っただろう。
ひたすら少女、ネメシスの手コキで射精し続けた。
身体を縛られて身動きがとれないまま、時に耳元に息を吹き掛けられながらも優しく、時に痛くなるほど激しく扱かれ続けた。
ネメシスの手やベッドは精液でびしょびしょに濡れて、僕の意識も朦朧としてきた。
だが、どれだけ扱かれても肉棒が萎える様子はなかった。
「はあ、はあ……気持ちいい」
「ふふ、なんだまだカチカチじゃないか……。こんなモノを携えているやつが、ハーレムをつくらない手はないぞ」
「でも……」
「でも、じゃない。頭で考えるな、下半身で感じろ。私の手コキは気持ち良かっただろう?」
「……うん」
正直、今までのオナニーがおままごとに思えるほど気持ちよかった。
ネメシスの手が肉棒を軽く擦ると、それだけで腰が跳ねるほどの快感が走った。
もっとしてほしい。ネメシスの目を無言で見つめ、懇願すると、彼女の笑みが深まった。
「女の膣内の感触はこんなものではないぞ……しかも、知っているか?女のそれは、一人一人感触が違うんだ」
ネメシスが僕の手を取り、下半身に誘導すると、水音とともに、指先が生暖かい何かに包まれた。
指先を動かすと、ネメシスの口から僅かに声が漏れる。
「ん……。さあ、どうする?このまま誰にも愛されないまま静かに朽ちていくか。ハーレムの王として肉欲の日々を過ごすか」
思えば、今までの人生良いことなんてほとんどなかった。
高校になってもそれは変わらず、いやむしろ好きな女の子が他の男に貪られている光景を眺め続けるという地獄になった。
今まで我慢していた。全てを諦めて心に蓋をしていた。
僕だって女の子のおっぱい触りたい。キスしたい。セックスしたい。
これから先孤独な人生を過ごすくらいなら、ネメシスの言う通りハーレムをつくりたい。
結城リトなんかに女の子を奪われたくない。
「い、色んな女の子とセックスして、女の子だらけのお風呂に浸かりたい……!」
「ふ、ははっ。決定だな。特別に私もサポートしてやろう」
全裸で勃起したままという情けない格好だが、ネメシスと僕のハーレム計画が始まった。
「まずは、女の身体に慣れる必要があるな……」
「えっ、それって……」
「バカ。私じゃない。というかそろそろマンコから手をどけろ。最初に貴様が狙うのは古手川唯だ」
「こ、古手川さん!?無理だって!彼女はハレンチなことが嫌いなんだから」
「あの女は相当エロいぞ?まあ最初は私の言う通りにしていろ」
古手川さんは真面目を絵にかいたような人だ。
そんな彼女がハーレムに応じるだろうか。
「もうオナニーする暇なくなるぞ?全ての女をモノにするんだからな」
めちゃくちゃ不安だ。