※この作品はR-18です。

NIGHTMARE TACTICS RAPE R.P.G   作:良田両作

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第20話 上杉らいは(高校生)とエッチ

 

 

「全くおじいちゃんも、あんなことをするのはやめてよ」

 

「ハハハ、スマンスマン、なかなか良かっただろ?」

 

ジュウの自宅、祖父タツは広いリビングでお茶を飲みながらくつろいでいた。

 

あの世界はタツの父親が最初に作り出したもので、タツがその世界を広げ、ジュウがそれを受け継いだにすぎない。

 

(ああ、なんて自分は薄っぺらい人間なんだろう……)

 

ジュウはそう思いながらコーヒーを飲んでいた。

 

小説家として母親や祖父に及ばない……

 

「本題に入ろうか……R国のあるρ(ロー)世界、まぁR世界でも構わないが、そこに行ける、チケットなどの手続きをすれば何とかなるじゃろう……」

 

「そのR世界に僕も行ける?」

 

テンが意外なことに口を出した。

 

「おおう、テン……この前のパーティーでも写真を撮っておったな……」

 

「この前、メールで送ったけどどう?」

 

「返信したが、最高だったぞ!将来はカメラマンじゃな……」

 

「よしてください、そこまで考えてはいません……」

 

「ただ、R国は日本と違って、撮影禁止エリアが多いからのう……」

 

ポリポリと頭を掻きながら、タツは少し考えるが、こういった。

 

「まぁなんとかなるじゃろう、わしは色んなところに行ったからな、その経験がある、まぁジジイの自慢話になってしまうから、そこは本で読んでくれ」

 

「あら父さん、宣伝?現金なものね……」

 

「おぬしだって、テレビに出て、本の宣伝ぐらいするじゃろ……」

 

ジュウの母親である、アヤカもやってきた。

 

「お祖父様、私はいいです……行きたくありません、この前のパーティーだって怖かったし……」

 

テンの妹である、ヒトミがそういう。

 

「ヒトミはあのパーティー会場にあった彫刻のスケッチをしていたな、別に構わんよ」

 

「アイはアイドルのレッスンで忙しいようだな……」

 

「お前に似てワガママに育ったようだな……」

 

「お父さんには言われたくありません、不器用なんだから……」

 

「グムム、それを言われるとつらい……」

 

「ジュウ、テン、今のうちにいっぱい冒険しなさい、旅があなた達を大きくするわ……」

 

「お前は冒険をしてお腹を大きくしたからな……」

 

「余計なひと言です……」

 

 

 

 

ジュウ、テン、タツは古びたマンションの階段を登っていた。

 

「エレベーター故障とはついてないよなぁ」

 

「なに、わしにとっては良い運動じゃ……」

 

「なんだか懐かしいマンションですね……」

 

「ダイチのやつ、検事だから、収入はあるのになんで、こんなところに住んでいるんじゃ……」

 

「師匠は庶民の暮らしを理解したいそうですよ……」

 

「性格は真逆じゃが、師匠に似てどこかおかしいのう……」

 

ここでいうジュウのいう師匠とはダイチのことであり、ダイチの父がタツの師匠である。

 

「毎日これだけ歩いていたらそれだけでダイエットになりそうだ……」

 

ジュウはそうつぶやき、一歩一歩歩いていた。

 

 

 

 

 

「師匠、これがチケットです」 

 

「嗚呼済まないの……ツムギ……お前もいたのか……」

 

「今日は『生活の日』なんですよ、ほら」

 

年齢は30代前後で髪を金髪に染めて『生活の日』なるTシャツを着ている彼女がジュウにとってのおばにあたるツムギである、むろん祖母に似たのか美人で巨乳ある。

 

『首の骨ボキボキ』なるTシャツを着ていて、目つきが鋭く、無口そうな男がダイチである。

 

「勉強とかはしてるのか?」

 

「まぁ、してます……」

 

頬をボリボリかきながら、ジュウはそういった。

 

「わしの若い頃はそんな事言われなかったのう……」

 

「僕もちゃんとしてます……」

 

「何で行くんですか?」

 

ジュウはかいつまんで説明をした。

 

「検事の直感ですが……その人と付き合わないほうが良いですよ……そういうケースを何度も見てきましたから……」

 

服装からはとても検事とは思えなかったが、本棚にはビッシリと法律関係の本や犯罪者の本があった。

 

「親がどうとかじゃなく、本人の資質がマズイんじゃないかなぁ」

 

ダイチさんは首をひねった、更にこういう。

 

「ρ世界の事は僕達もかなり重要視している、あの世界には長年『管理者』がいないからね……」

 

「すいません、管理者というのがピンときてないですが……」

 

「ああ、済まない、テンくんはまだ教わってなかったんだね……」

 

「わしもアヤカも忙しいし、ジュウもまだまだ未熟だからのう……」

 

「長くなりそうだから、お茶とお菓子を出すわ……」

 

まるで夫婦だな……とツムギおばさんとダイチ師匠を見ながらそう思った。

 

「ロールケーキとあったかい紅茶しかないけど良いですか?師匠」 

 

「2人で食べるつもりだったのか?全く……」  

それらが運ばれてきた。

 

「わかりやすく、説明すると、うちのコンロの五徳は三本足だが、あれが一本欠けるとする、そうするとやかんはささえられるか?」

 

「なぞなぞですか?まぁ普通はささえられないと思いますが……」

テンは首をひねりながらロールケーキを食べた、これから旅に出るのに健啖家だな……とジュウは思った。

 

「クイズじゃない、その三本足の一つが管理者です」

 

「じゃあ?管理者がいないとその世界は崩壊するということですか?」

 

「管理者はものすごい力を持っている、が、いないからといって、直ぐに崩壊するわけではない……」

 

「徐々に五徳の足が錆びつくような感じですか?」

 

「うむ、それに近いかな……」

 

「それにしても百年ぐらい前から不在で未だに残っているのは奇跡じゃのう……」

 

おじいちゃんもロールケーキを食べたりと紅茶をがぶ飲みしていた、本当に行くつもりあるのか?

 

ジュウはロールケーキを食べた後、1階に戻ることになった。

 

「すいません、エレベーターが故障してしまって、今日中にはもとに戻るそうですが……」

 

「いいよかまわんよ、どうせ引っ越ししろと言っても言うことを聞かないだろう」

 

「ここです、ボイラー室ですが……3人ともチケットは持ちましたね……」

 

「本当にここであっているのですか?」

 

流石にテンは恐る恐る聞いた。

 

「大丈夫よ、土産話期待しているからね……!」

 

ガッシとテンの両手を握るツムギであった。

 

「……は、恥ずかしいですやめてください……」

 

 

 

 

 

 

「ここが『空港』ですか……」

 

そこは普通の国際空港とわからない、光景ではある、様々な人種や民族衣装、なんならサラリーマンやジュウ一行のように家族連れもいる。

 

「ああ、普通の空港と違って、並行世界に行くやつじゃがな……」

 

「おじいちゃんは色んなところに行ったけど、どこが印象深い?」

 

「1980年代じゃな……あとΣ(シグマ)の世界も印象深い……」

 

「タイムスリップもしてたんだ……」

 

テンは驚きながら一行は飛行機に向かった。

 

「その時の経験を書いた本はちっとも売れなかったがな……」

 

「スケジュールを見ると、アール世界の便は少ないですね……」

 

「当たり前じゃな……あそこはいつか終わる終わると聞いている……」

 

飛行機にはやはり乗客の数は少ない、飛行機は飛び立った。

 

「凄いGでしたね、やっぱり普通の空と違いますね……」

 

窓際の席で興奮しているテンだった、その彼の前の席でジュウはこう言う。

 

「色んな風景がドンドン切り替わって少し酔いそうだな……」

 

その隣にいるタツが薬を差し出す。

 

「ほい、酔い止め薬じゃ……」

 

「ありがとうございます」

 

その時、スチュワーデスがやってきて、機内食と飲み物を持ってきた。

 

「わしは、ノンアルコールビールとビーフカレーを一つ」

 

「僕は烏龍茶とビーフカレーを一つ」

 

ジュウはそういった、続いてテンが言う。

 

「僕はオレンジジュースとシーフードカレーを一つ」

 

「トギコにも酒は飲むなと言われているし、悪友のこともあったからのう……」

 

しみじみとタツは言った。

 

「おじいちゃんは何時までたっても、おばあちゃんの白馬の騎士なんだね……」

 

「黒いバイクに乗っていたのじゃが……」

 

「このシーフードカレー美味しいなぁ……!」

 

「今のうちに海産物は食べたほうがいいぞう、R国は地方によっては高いところもあるからな」

 

 

 

 

 

 

一方その頃、大魔王シュウは普通の服を着て、名古屋駅に降り立った。

 

「生まれて初めて新幹線に乗ったが、中々のものだな……」

 

今回は秘書兼マネージャーとして摩耶もついてきた。

 

「おうよ、グリーン車は最高だからな!」

 

(摩耶、そんな言葉遣いは許しません!)

 

「高雄、今はいい、TPOに合わせてくれ」

 

「魔王様、食事でも行くか?名古屋には美味いものがいっぱいあるぞ!」

 

駅の中にある、きしめん屋を指さした、中部地方の中心地だけあって、駅の中や周囲にはレストランや喫茶店など様々な飲食店がある。

 

「いや、良い、ヤル事をやってから食事にするつもりだ」

 

「承知しました、車にお乗りください」

 

黒塗りのリムジンに乗った、勿論愛知県に相応しいトヨタの高級車である。

 

「摩耶、お前免許持っていたのか……」

 

「勿論、R国にいた頃から持っていたよ、まぁアルファ世界に来て改めて免許を取ったけどな」

 

「ふんそうか……この街はやたらとごちゃごちゃしているな……」

 

「普通の街だ思ったらファッションヘルスとかあるからな……めちゃくちゃだよ」

 

「上杉家に着いたらお前はクルマでゆっくりしておけ、ゲームでもしときな」

 

「おうよ!パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語っていうゲームを今やっているんだ!」

 

「脳筋のお前がアドベンチャーゲームを?宣伝か?」

 

「そんなことはない!アタシは意外と頭を使うゲームが好きなんだ!」

 

「そうなんだ、じゃあ大人しくしとけよ、何かあったら連絡をよこせ」

 

「了解した!」

 

「上手く行ったら近鉄電車で三重県で聖地巡礼してもいいぞ〜」

 

(全く魔王様は摩耶には甘いのだから……)

 

高雄のツッコミがテレパシーで聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

そうこうしているうちに、上杉家についた。

 

「親父はいないからゆっくり遊べるな……」

 

彼はチャイムを鳴らした、すると長いポニーテールの高校生の上杉らいはが現れた。

 

「はい……なにか……魔王様!」

 

「おおう、大きくなったなぁ……」

 

幸いな事に漆黒の鎧を着てなくても体型や顔で大魔王シュウだと理解してくれた、思わず彼女を抱きしめる、そして彼女も彼を抱きしめる。

 

「魔王様……お待ちしておりました……」

 

らいはの高校生特有のいい匂いがする、それを堪能しながら、魔王はこういう。

 

「だいぶ遅くなったがな……」

 

2人は家に入り、シュウは畳に座った。

 

「今、カレーを作っているところでお口にあうかどうか……」

 

「らいはのカレーなら俺の口に合うと思うがな……」

 

そう言いながらカレーを食べる、完食した。

 

「食欲が満たされたのだから、次はナニをするかわかるよな……♡」 

 

「はい……♡性欲ですね……♡」

 

らいははスカートをたくし上げた、パンティーは既に濡れている。

 

「全くスケベな高校生だ……♡」  

 

パンティーを脱がし、ヴァギナの濡れぐわいや陰毛の長さを確認する。

 

「ほう、あまり剃ってはないようだな……♡」

 

「剃って良いのは魔王様だけです……♡」

 

2人は口づけをする、カレーの味がする。

 

「ほう、強い締め付けだな……♡この世界では処女か……♡」

 

「魔王様にバージンを2度も破って貰うのは光栄です……♡ひっ……♡」

 

大魔王シュウのペニスは既に勃起していた、まるでそれ自体が彼の持つ魔剣のようだった。

 

「そうだろうそうだろう、光栄におもえよ!」

 

ブチブチ♡ブチブチ♡

 

彼女の処女膜が破れる音がした、そして鮮血がツツーと流れる。

 

「ああ、魔王様、私にエキスをください……♡」

 

 

リズムカルな注挿にらいはは痛みを忘れてうっとりしていた。

 

「魔王様……♡もう離したくない……♡」

 

「フフ、お前の束縛など勝手に解き放ってやる」

 

「子供は何人がいいですか……♡?いくらでも産んであげますよ……♡」

 

こいつ、案外男を拘束するタイプなのか……少しシュウは冷めてしまっていた。

 

「お前とは、一人で十分だな……♡」

 

「ああん♡ヘビの生殺しみたいな事を……♡」

 

しかし悲しいかな雄の本能で、勃起は収まらないのであった。

 

「子供の名前はなんとつけます?」

 

そういえば、世継ぎの名前をすっかり考えてなかった、大切なことなのに。

 

「まるで火のように温かく激しい女だな……」

 

大樹のように寄り添いたくなるギャル子とは真逆のようだ。

 

「それは素晴らしい例えですね……♡」

 

温かい火も極端に熱くなれば火傷をしてしまう。

 

(こいつを第一王女と形ばかりにして、後はテキトーに言い訳して他の女と遊ぶか……)

 

「らいは!俺の世継ぎを産め!」

 

ドビュッ!ドビュッ!ドビュッ!

 

大魔王は性を吐き出した、かりそめの第一王女はそれを受け止めた。

 

「どういう教育をさせます、厳しく?優しく?ああ私達が帝王学を学んでそれを教えないといけませんね……」

 

魔王は馬耳東風になった、要するに聞きたくないのである。

 

この世を破滅させる覇者になるのは構わないがつまらない父親になるのは勘弁してほしいのである。

 

 

 

『空港』のまるで迷路ような建物のドアから掘っ立て小屋にワープした、何もない荒野、あるのは古ぼけた道……

 

「おおう、時間どうりじゃな……」

 

スマートフォンの時計を確認しながらジュウの祖父は向こうからやってくるクルマを確認した。

 

「今回の旅の案内人兼運転手をしてくれる、ダーニャさんだ」

 

その男は銀髪で、年齢で言えば、40から50代であろうか?その初老の男性と握手をしたが、手の皺が細かく苦労をしたという顔をしている。

 

「とりあえずこれを持ってください」

 

ジュウ達は不思議なモノを持たされた、それは大昔に流行ったガラパゴス携帯に似ていたが、ディスプレイにあたる部分をひっくり返して、まるで短い杖のようになった。

 

「盗聴防止の機械です」

 

「え、そんなものがいるの……?」

 

テンは慄いた、寒々とした空がさらに寒く感じるようだった。

 

「ええ、ホテルやレストラン、バスなどで仕掛けられています、これがあったとしても出来るだけ会話を控えたほうが良いのですが……」

 

「それは大丈夫じゃろう、わしがいるからな……」

 

首をコキコキ鳴らしながら、おじいちゃんはそう言った。

 

「それでは車にお乗りください、ボロい車ですが……」

 

それは確かにそうだった、黒い古い車は傷だらけでジュウはこんなものに乗ったことはなかった、思わずたじろいでしまったが、テンはスタスタと乗った。

 

「もう二十年ぐらいこの車に乗っているんですが、この仕事で漸く纏った金が入るので……」

 

ジュウは流石に不安になった、盗聴の恐れがあると言いながら、こんな口の軽い男で大丈夫なのだろうか?

 

(安心しろ、わしがついておる……)

 

テレパシーで祖父が話しかけてきた、それでも軽い憂鬱は収まらなかった、自分はこういう時に顔に出てしまう……

 

「ダーニャさんはこういった仕事をずっとしているのですか?」

 

テンが聞いてきた、彼はこう答える。

 

「いやぁ、こんな大きな仕事は久しぶりというか、もしかしたら初めてかもしれません……」

 

「そうなんですか……」

 

ダーニャ・ミギゴシさんの過去は波乱万丈だった、いや人の人生、というものは一見平凡そうな人間でも深い過去を持っているものである。

 

彼はこの荒野の近くにあるキンゾーという鉱山の町で産まれた。

 

彼が産まれた時点で、鉱山の景気は右肩下がりだった、戦争が終わった後と再び始まる時に幼少期を過ごしていたが、軍人は威張っていて、町の住人に恐れられていた。

無論鉱山で産出された鉄は兵器を作る材料になっていて、鉱山の近くに兵器工場があり、彼の母親もそこで銃を作っていたらしい。

 

「あの頃はまだマシでしたね、戦争が始まる前は平和でしたし、始まったら始まったでイケイケドンドンで、町の景気も良かったです」

 

しかしそんなある日の夜中に、鉱山で地震とも落盤ともつかない不思議な出来事が起こった。

 

「どーんと凄い音がして地響きがなったんです、私はその頃十二歳頃でしたか、急いで家を飛び出したんです」

 

彼はクルマのアクセルを全開にした、ドンドン周りの景色が速くなる。

 

「アレは本当に間違いなく、巨大な金属の塊が、浮いていたんですよ、なんかキラキラしていて……」

 

「それはUFOみたいなものですか?」

 

「UFO?なんですか?それは?」

 

(この世界にはUFOという概念が存在しないのか……)

 

「空飛ぶ円盤というか……」

 

「いえ、アレは本当に円盤ではありません、円盤というよりも、巨大な麦の粒というか、巨大な黒いニキビのようでした」

 

その例えにウゲッとなった。

 

「父は私達の為に、夜中まで働いていたのですが、それっきりでしたね、恐らくは巻き込まれたのでしょう」

 

「ふむ、面妖じゃのう……巨大な竜巻がものを吸い上げるというのは聞いたことがあるが、大きな風とかも無かったのじゃろ?」

 

「ええ、町はそれからドンドン酷くなりました、原因も分からないので軍人達や町の人は不安になりました、母は心労も重なった後に、粗相をしてしまい暴行を受けました……」

 

恐らくはレイプされたんだな、とジュウは作家の直感で感じた、途端に空気が重くなったが、彼自身の憂鬱は消えた。

 

「それから私は軍人になったのですが、それからビンタビンタの嵐でしたね」

 

よくあることだな、と思った、幸いなことにジュウのいる日本ではここ百年ぐらい戦争は起こってない、世界でも稀に見る記録だ、それどころか、小規模ないざこざはあるが、大規模な戦争は減少の一途を辿っている、しかしそれとは逆に、ジュウは小説の資料集めのために、太平洋戦争の戦中を過ごした少年の教養小説などを読んでいるが、軍隊というものはそう言った理不尽な暴力装置なのだ。

 

「しかしビンタをしている側もどうしたらいいのか分からないうえに、もっと上の連中に殴られたり、宴会では余興として椅子や机の代わりにされているのをこっそりと見たことがあるんですよ」

 

いじめのピラミッドだな、とジュウは思った、彼の話はまだまだ続いた。

 

そんなある日彼は南方のゲリリューという島に派遣されて、石油のラインを守る戦いに参加した、しかし、戦闘が始まってわずか3日で奪還された、そして戦場は地獄とかした。

 

「私は太ももに弾丸を受けて、大量出血をしながら広い洞窟に逃げました」

 

「なんというか、熱い鉄の塊に当たったようで、神経が麻痺していたというか、脳内麻薬が出ていたのでしょうね、痛みは全く感じませんでした……」

 

話は続いていた、荒野だった道に看板がドンドン立っていた、それはタイヤだったり、牛の缶詰だったり、ジュースの広告だったりした、街が近いのであろう。

 

「私は見様見真似で、応急処置をしました、しかし助からないと覚悟しましたね、外では爆音が響き、洞窟のなかではうめき語が聞こえる、要するに地獄とは現実にあるのだと理解しました、しかも戦車の砲撃で洞窟に閉じ込められてしまいました……」

 

「しかし、貴方はこうして生きておられる……」

 

おじいちゃんは白髪のある長いヒゲを触りながらそう言った、確かに死んでしまったら辻褄は合わない。

 

「そこからです、不思議な出来事は起きたのは……」

 

この人は語り手として上手いな……タクシーの運転手みたいな事をしているから客との会話でそう言ったスキルがついたのだろうか。

 

「洞窟の奥の方から、青白い、見たこともない光が光ったのです、それから嗅いだことのない匂い……今思えばイオンかオゾンの匂いだと思います、それから聞いたことがないような不思議な機械の音がしました……」

 

「私の国では「ストレンジマン」という言い伝えがあります、ストレンジマンは文字通り奇妙な男で、魔法使いだとか錬金術だとか、そう言った不思議な技を使う男で、悪いことをしたらストレンジマンが殺しに来るぞ〜とか、良いことをしたら、ストレンジマンが困った時に助けに来るぞ〜みたいな言い伝えがあるんです……」

 

まるでブギーマンだな……とジュウは思った、意味がわかるとはいえ、大昔の人工生成画像で出るような文字しかないパラレルワールド、異世界で馴染みのあるようなないような、不思議な話をずっと聞いていた。

 

「ちょうど坊っちゃんのような黒い髪をした男で見たこともない服を着ていて、見たこともない銃や剣を持っていました……その男は口数が少ないものの、我々に手当てをして、輸血なども行ったのです……」

 

「そのストレンジマンとやらは何でそんな事をしたんですか?」

 

テンが聞いてきた、案外好奇心旺盛なんだな、と思った。

 

「全くわかりません、私達は戦争をしていて罪人のはずなんですがね……」

 

「「お前たちはここからまっすぐ進め、そうしたら、助かるだろうと……」」

 

「それで、裏口から出られたんですか?」

 

「いえ……更にミステリーなことが起きたんですが……私達は十キロ以上離れた味方の基地のある島の洞窟に着いたのです……」

 

「それは確かに不思議な出来事ですな……」

 

ジュウの祖父は相変わらず髭を弄りながら窓の景色を見ていた、しかし、何か答えを知ってそうな顔をしていた。

 

「私達は助かって病院に行ったのですが、かなり偉い軍人から「この事は絶対に内緒にしろ!」と言われました……」

 

「しかし貴方はこうして話をしている……」

 

「ええ、その日の夜……またストレンジマンが現れたのです……」

 

「はぁ、よっぽど何かあるようですね……」

 

 

 

「その街で私は暮らしていて、それなりに何不自由なく過し、あなたたちのような能力者の存在を知りつつ、ついには結婚と娘もできたのです」

 

「ほう、それは良かったですね」

 

「しかし、娘が産まれてから3年後、その日と前の日のことは、猛烈に覚えているのです」

 

「妻は舞台が見たいと言っていて、娘を私の親戚の家に預けたのです、それからレストランに向かって、私は少し高いワインを奮発したのです」

 

再び嫌な予感がして、何か事故に巻き込まれたのだろうか?と思ったし、しかし彼の語る半生は意外なものだった。

 

「彼女は言うんです、「もっと高いワインの方がいいんじゃない?」と、しかし私はもっと高いワインを飲んだことがあったが、好みじゃなかった、このワインが好きなんだと言いました、次の日、私は何時ものように仕事に出かけましたが、仕事が終わり、仕事場から保育園に電話がかかりました、連絡してもお母さんから連絡が来ない、と……」

 

「急いで娘を連れて帰りましたが、電話から何から何まで、売れそうな家財道具が無くなってたのです……」

 

流石にジュウは驚いた、ちゃらんぽらんな印象を持たれがちな彼の母親ではあるが、仕事に関しては、ベテランの域に達しているが、若手の編集者の言う事を聞くし、何より締め切りというものを一度も破ったことはないのだ。

 

テレビで高い賞金が出るクイズ番組を見ながら、「このお金を稼ぐのにどれだけの命を削っているのか……」という、あまりにもみみっちい事を言っていた、無論彼の通う上流階級の学校でも大半の父母はまともな部類が多いが、クズがごく少数いるのを知っている、それでも衝撃を受けた。

 

「もう、貴方とはいたくありません、もっといいワインといい車に乗りたい、と……」

 

「幸せの後払いができなくなったんじゃな………」

 

幸せの後払い、平たく言えば「我慢」であろうか、別のセンテンスを使えば努力だの根性だの克己だの辛抱だの、今時使うのが恥ずかしい単語である。

 

「それでどうなったんですか?」

 

「一切手を付けてなかった奥の手である、軍の退職金も盗まれていました……私は途方にくれました、娘に手をかけようか……と思った瞬間、また変な音と匂いがしたのです……」

 

「ストレンジマンが来たんだ……」

 

「信じられないような大金と、新しい家を用意してくれて、「宝くじに当たったと周りにはいえ」と言われました」

 

「そこまで行くと、ストレンジマンはあなたのことが好きじゃないかなぁ?」

 

テンは素直な感想を言った。

 

「かもしれません……しかし私にこういったのです『娘を大切にしろ、彼女の夢を口出しをするな、見放したらお前を殺す』と……」

 

「変な推し活だな……」

 

「推し活というものは分かりませんが、この仕事が終わったら、この世界から娘と一緒に逃げようと思います、大金や『組合』にも認められましたし……」

 

「おおう、ついたな……」

 

そうこうしている、うちに目的地の街ジキゾウにだどりついた、街の規模で言えば横浜や京都ぐらいだろうか、歴史のある街である。

 

「ここがさっき言っていた劇場です、どうです、広いでしょう……」

 

そんなトラウマのあるような場所を紹介したり、過去を明かすのもどうかな、と思った。

 

「ここは写真撮影は良いんですね……?」

 

構いませんよ、今は休館日なのでと言った、するとパシャパシャと気兼ねなく撮った。

 

「これが次の公演でやる、作品ですか?」

 

荒野を進む、主人公の女性と体つきの大きい男性、主人公の友人らしき女性がポスターに載っていた。

 

「血脈と荒野、ですね」

 

かいつまんで言うと、第一部は主人公優秀な父親が亡くなり、遺産のゴタゴタが起きる、第二部はただでさえ挫折しているのに、相続で悩み主人公が雷に撃たれて異世界に飛ぶ、(臨死体験という解釈らしい)

この作品が面白いのはクズな兄弟や遺産を狙うおじなどが善人だったり、逆に心優しい父親が物語のラスボスだったりするなど、キャスティングの妙みたいなものが光る作品らしい。

そして主人公は恋人や仲間など多くの犠牲をえて現実の世界に帰還する。

そして、なけなしの遺産を手にしてめでたしめでたし……とはならない。

あらすじを聞く限り、第三部は冗長というか蛇足めいたもの感じる。

絵描きとして自分の体験を描いてある程度成功するが、その折に、異世界で見た、友人と恋人とである、三角関係か?と思ったら、2人の性格はなぜか正反対には変わってないが、絵描きの主人公の夢をあまり理解してないが、今度は彼らの夢を叶えようとする話である。

 

「かなり大昔に書かれた作品というか、神話をもとにした作品だから理不尽じゃのう……」

 

流石に作家として海千山千の祖父である、忖度無しの意見である。

 

「これを見てください、主人公の幼少期の子供ですが、今度娘が演じるのです、ビデオを送りますよ……」

 

蛇足めいた話になるが、ジュウとテンはその時生まれて初めて「ビデオとビデオデッキ」見ることになる。

 

その後、この街の名物である美術館を見たり、レストランで濃い味付けの牛肉(炭鉱の街であるキンゾーが近いせいか、スタミナのつく料理が多い)、温泉にも入り豪華なホテルに入った。

 

部屋に入って祖父が真っ先にしたことは、カーテンを閉め、盗聴防止の機械を作動させたことである。

 

「正直疲れました……」

 

テンは素直にそういった、海外旅行どころか、日本の日帰り旅行すらも学校ぐらいでしか行ったことがない彼にとって、あまりにも刺激の強い体験だったのであろう……

 

「流石に人間牧場のことは聞けませんでしたね……」

 

「親バカじゃな、あいつ……」

 

彼らはホテルに備え付けていた、お茶を立ててグビグビと飲み始めた。

 

「実は人間牧場の事は調べておったのじゃが……彼の言っている戦争より後に出来たのじゃ……」

 

「じゃあ彼が一切言わなかったのは……」

 

「国家機密だからじゃろうな……それにここは東で、最近無くなった人間牧場があるのじゃが西にあったそうじゃ……そこからの近くにある街じゃと、ここからだと車や列車でも二日位かかるの……」

 

彼は焼き菓子を食べた、しかしこういった。

 

「不味い菓子じゃの……砂糖の供給が良くないようじゃの……」

 

「消えた鉱脈やストレンジマンはおじいちゃんはどう考えているの?」

 

「ストレンジマンはだいたいわかる、恐らくは能力者がこの世界を渡って何かしたのじゃろう、しかし消えた炭鉱はさっぱりというか、わしも聞いたことがない……」

 

流石に首を捻りながら、彼も考えている。

 

「まず第一に人為的に能力者がそれをやったのであろう……しかし誰が何の目的で?いたずらにしては力がありすぎる人間じゃし、何よりも死人が出るほどじゃ……」

 

「愉快犯とかじゃないの?」

 

「愉快犯ならやりすぎじゃ……これを見てみろ……」

 

彼はR国の地図を広げた、旅先のルートが赤い線で描かれている。

そして国中の至るところに、青い点があった。

 

「儂らがいる組織の連中に調べてもらったのじゃが、ああいった現象は実はこの世界で時々起きている、まるで大規模な地震ぐらいの確立でな……」

 

「みんな鉱脈があるところなの?」

 

「いや……全然じゃ……明日行くところにサビ湖というこの国でも屈指の湖があるのじゃが……巨大な水の玉をみたという人もいる……」

 

「意味不明だよ……疲れたから寝るね……」

 

テンはスウスウの眠りだした。

 

「おじいちゃん、色んな世界に行ったそうだけど、本当に似たようなものを観たことがないの?」

 

「ああ、ちっともじゃ……」

 

「あの人みたいな、能力者はこの世界で何人いるんだろう?」

 

「五百人……いや実力者はもっと少ない50人以下じゃろう……」

 

祖父に分からない事が自分にも分かるわけがない、ゲームでもしてほうがマシだと判断した。

 

 

 

 

 

 

「やめて♡やめて♡やめて……♡」

 

中野一花のいる自宅で、大魔王シュウは彼女の肉体を堪能していた、部屋には彼女の活躍がテレビで映し出されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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