魔法少女あすみ☆マギカ ~Lusty Mercury~ 作:Κirish
――自業自得。
このセカイに普遍する
――だから、わたしも知らしめないと。
「ひ……っ! ママ……っ!」
白く照り返すナイフを、喉元に押し当てられ涙に怯える少女と――。
「っぁぁああっ……! 玲っ……! 玲……!」
対面するは、己が娘を案じ、青白く染まりあがった表情をした少女の母。
どちらともわたしからすれば、愉しませてくれる以上はモブ同然のどうでも良い子達。
「なんなのっ……! なんなの貴方はっ! どうすればうちの子を放してくれるのっ!」
さて、どうしたものでしょうこと。
特に放してあげられる条件なんて考えてなかった。
わたしが本当に欲しかったコトなんて、もうこのセカイに在りはしないから。
「うーん……、どうしよっか……♡」
わたし――神名あすみは、人よりも嘘はまぁまぁ上手い方だとは自負してる。
でもこの時言っちゃった事は割と本当の事。
実際のところどうしようかなんて本当に考えてない。
それにしても、頬に人差し指をぷにっと当てて、首を傾げる動作は、我ながらちょっとぶりっ子過ぎたかな……とも感ぜざるを得ないけど。
「お金……? お金渡せば、玲を放してくれるの……っ!?」
お金、ね……。
「うーん、だったらぁ……♡ せっかくだし貰っちゃおっかなぁ……」
――ま、お金で済めば安い物なのかもしれないわよね。
わたしに向けて放り投げられる、赤い色をしたポーチっぽい物。もとい財布。
依然と少女の喉元に刃物を押し当てつつ、足先だけで財布を――サッカーのリフトアップの要領で跳ねさせ、わたしの手元へと弾き寄せる。
片手のみで中身を確認したところ――5万61円と言ったところ。
シケてるわね――いや、その辺に持ち歩くのならちょっと多い金額でもあるかもしれない。
「はぁい♡ オマエの娘の命5万円~♡」
カランッ――とナイフを地べたに叩きつけ、少女の背中を足蹴にして、母親に差出し解放してやった。
「あぁっ……! 玲っ……!」
「っひぐ……! ママぁ……っ!」
ぞんざいな扱いをされようとも――そして母が娘の命をたった5万円っきりで買った事も、解放される安堵の前にはどうでも良いのか。
お互いに、駆け寄らんとする娘と母。
生きて帰ってこれた――と、お互いの肌の温もりを感じるべく、当たり前に触れ合うべく――抱き寄せ合わんとする娘と母。
そんな娘と母の手は――。
「――ママ……?」
口を開け、目を点にし、呆然とする娘の前に母の姿は無い。
両手を広げ懸命に駆け寄った母が『風』に存在ごと掻き消されてしまったかのよう。
その場にあるのは、地を染める赤い飛沫のみ。
「――……」
風が切った先へ、コマを送るかのようにゆっくりと振り向く少女。
その先の壁には――。
――鉄球に潰された、赤い果肉が零れて――。
「――ぁ……ぁあ……っ……」
隙間を通る風のような、微かに漏れ出す声。
母の衣服の混じるその果実が、かつて何であったものか。
「――ぁぁああぁぁああぁぁ――っ!!」
ソレを理解した娘の声が甲高くなるまで掛かる時間など、そう長くはなかった。
「ふふっ……! っあははっ……!」
――あぁコレよ……! この感じ……っ!
人一人の
いつだってその味は、何物にだって代え難い……!
肌が熱い。
息が熱い。
舌が熱い。
わたしはいま、間違いなく高揚感に酔い痴れてる――!
「ぁぐ……っ!」
――大好きなママを失った余韻に、浸らせるとでも思っちゃってるの?
娘の首根っこを掴み、片手のみで壁へと叩きつける。
これが神名あすみ式の壁ドン、ってね。
きゃっ♡
「ねぇ……♡」
甘く蕩けるような声――ちょっとナルシストかも――で、湿気を含む吐息と共に少女の頬を撫でる。
「これぇ……♡ アナタのママのくれた5万円……♡」
引き剝いた瞳で、ママの温もりが残ってそうなお札に目をやる娘。
そんな諭吉をハラリ――と、手放して――。
「こんなモノ、こうよ」
ヒラリヒラリと宙を踊る紙幣に、灯されたマッチを触れさせる。
たちまち金にも明かりが点き――さながら小さなキャンプファイアのよう。
――だから金で済めば安かったのよ。
わたしからすれば、いくら金があったところでどうでも良い。
こんな事せずとも、固有魔法で好きに人の精神弄り回して金ぐらいいくらでも手に出来る。
金はあくまでもさっきのクソババァが押し付けたに過ぎないし、金がいくらあったところで、わたしの本当に大切だったものは二度と返って来ない。
だから、金なんて安いのよ。
――で、それよりも――。
「っうふふっ……! お金なんてあって無事だなんて思っちゃったのかしらねぇ……♡」
「っ……! ひぐ……っ! ま、ママぁ……っ!」
わたしはきっと、お金が欲しいから娘を人質に取ってるに違いない。
そう『納得』して――自分だけで答えを決めつけたのかもしれない。
でも残念。わたしはそんなの興味なくて、ただ単にお前らが苦しむのが見たかっただけ。
苦しみに苦しませて――『理不尽』な不幸なんてそこいらにいくらでも転がってる。
そう知らしめたかっただけ。
その為には別にお前らじゃなく、他の誰かでも良かったのよ。
今日と言う日に目についたのはお前らだった。
ただそれだけ。
――さて、娘は助かると思いきやまさかのママが殺されちゃう。
そんなサプライズは如何だったかしら。
別に娘ちゃんの方もココで殺しても構わないけど――。
「――オマエは独りで生きろ」
さっきまでの――蜜で蕩ついた舌で絡め舐め取るような声色とは打って変わって、表情のなく、低温な声。
「――……!」
――せっかくだもの。どうせならこう言うお母さんっ子には、もっともっと苦しんでもらわないと――。
「あなたの味方は、もう誰もいない。あなたを愛した人は、もうどこにもいない。あなたが愛した人は、もうこの世にはいない」
昨日までずっと聞いていた、母親の声の色。
昨日までずっと一緒だった、母親の微笑み。
昨日までずっと感じていた、母親の温もり。
世界中探せば、きっとまた会える筈。
――そんなモノはない。
お前の母親はもういないんだ。
お前の母親はもう消えたんだ。
お前の母親は――。
「――どこ探したって、居ないのよ」
――再び灯る、熱。
「っ……ぁあ……ぁぁああああああっ……!!」
心が砕け散る声。
砕けた心の悲鳴。
散らばった破片は、もう二度と戻らない。
少女の慟哭に、唾液の纏わりつく舌を舐め擦らさぬ訳にはいかない。
――よし、敢えてこの魔女結界から解放してあげようかしら。
そしてその後は、両親の居ない中の苦しい苦しい生活の中で、風俗とかパパ活とかでカラダ売るなりなんなりすれば良いのよ。
「はぁ……♡ 堪らない……っ……♡」
このコも不幸のどん底の中、いずれ堕ちゆくかもしれない――なんて思えば思う程、やっぱりこのセカイは不幸で染まりあがってこそよね――だなんて。
えぇ、そうれはそうと――。
「――サヨナラ勝ちね」
――おかあさん。
――これでいいんだよね……?
――あすみ、こうしてもっともっと幸せになるんだよ……?
『あすみ、あなたは幸せになる為に産まれてきたのよ――』
――世界中の人に不幸になってもらって、あすみだけが幸せになれるその日まで――。
――おかあさんの言いつけだけは、絶対守らなきゃ――。
あとがき
先ずは愛しの神名あすみへ──。
──お誕生日おめでとう。
この世に産まれてきてくれてありがとう。
君のお陰で、私のこの気持ちは9年来ずっとずっとはち切れそうです。
さて神名あすみですが、あすみには虐待経験があります。あすみがスレにて産まれた当時においては、虐待経験を持つ魔法少女は千歳ゆましか居ませんでした。杏子もまぁ定義によっては虐待と言えば虐待の範疇には入るのかもしれませんが、それはまた別の話として。横道に逸れましたが気を取り直して──、今日では凄惨な虐待を経た魔法少女と言う存在は、そう珍しいものではなくなってきました。ですが──性虐待経験を持つ魔法少女は、現在のところ聞いた事はありません。おそらくはまどマギの世界で探せばちらほら見つけられるのかもしれませんが、媒体の都合上そう易々と描けた話でも無い事は想像に難しくはありません。一方で神名あすみはその出自の都合上、いかなる媒体に顔を出す事は在り得ない訳です。ほぼ絶対と言って良い程に。肉声を聞くことも出来ず、動いている姿を見る事も出来ない。それは不幸と言えばそうなのでしょうが、けれど『強み』とも言えよう事だと存じております。と言うのも、如何なる媒体にさえ姿を現す事のない娘だからこそ、唯一の性虐待経験アリの魔法少女として描く事も出来る──と言う事です。それもただの性虐待のみならず──新しい親代わりの男により『夜のお仕事』を強要されているあすみも居るかもしれない。思えばあすみの夢とは、花嫁でした。立て掛けられた写真の中に見た、在りし日の母の花嫁姿を見た時から、ずっとずっと胸の中に深く深く抱き続けた儚い夢。されど薄暗く窓のない、誰の助けも届かぬ部屋の中、脂臭い汗と体臭に噎せ返り、見知らぬ男性客に毎晩のように抱かれる日々により、淡く温かな夢は、春の終わる枯れた花弁と共に散り逝く──。『心が処女であるならば、君は穢れてなんてない』──そんな慰め文句の一つや二つ、将来の婿であらば掛ける事の出来た話かもしれない。けれどあすみはそのココロまで──春を枯らす事を強要される日々の中、もう後戻りが出来ない程にまで、幾多もの男性に抱かれる度に穢された。逃げ場のない──終わりなき陵辱の日々が
神名あすみ、お誕生日おめでとう!
因みに余計な事言いますと……副題にあるLustyはRustyの間違いでは? Mercury──水銀ってありますし──などと言われそうなんで予め書いておきますと
それはそうと私の相互が仰ってた事かつ掲載許可を取得済の話なのですが、神名あすみって所謂「チ■ポに勝てなかったよ……」ならぬ、言うなれば「チ■ポに勝ってしまった結果誕生してしまった不幸な少女」であり、「チ■ポに負けてたら幸せだったのにな」と言う事らしいです。あんまりにもあんまりに酷過ぎて、素で男性客ら辺りが思ってそうな尊厳蹂躙表現で寧ろ好きだな、と思いました。さっさと堕ちてしまったのなら、ラクだったと言うのに──。そんな『楽』を忌み嫌い、涙を流し歯を食いしばって堪えた神名あすみが愛おしい──。