※この作品はR-18です。

ヒロイン全員百合レズ   作:XW

60 / 77
 今回でとりあえず、第八章は終わりって形になります。
 前回に比べて短かったり久方ぶりに主人公が出て来てる感じになっておりますが、最後まで見て言ってくだされば幸いです。
 それでは、どうぞ。


第五十五話 先へ進む者と立ち止まってしまう者

 

「そう……朧にパンサーセルを。」

 

「面目ありません。私達が任務に就きながら……」

 

 キングダムアイランドの戦いから翌日、KISARAGI総本部の総司令室に来ていた翼、風、ハユル、雲母、せつな、蜜璃、ゆきかぜの話を聞いたハニーは頷き、尽かさず頭を下げた翼。

 今回の件で朧にパンサーセルを奪われた事に、かなり罪悪感を感じたらしい。

 

「あぁそんな深く謝らなくて良いから!! 皆が無事なだけでも私は嬉しいから!?」

 

「し、しかし……朧は私達を苦しめる厄介な奴を復活させるって言ってました。」

 

「奴の話を全て鵜呑みするわけではありませんが……もしそうだとしたら……」

 

 そんな翼を落ち着かせようと声をかけたハニーにハユルが言い、それに付け足す形でせつなも呟いた。

 

「確かにね……パンサーセルはシスタージルの細胞の一部、さっき聞いた話を聞いた限りでも使いようによってはどうとでもなる。それを何かの復活に使うって考えると……」

 

「ま、まさか……そのシスタージルを復活させようと!?」

 

「いや……アイツを復活させるには、朧が持っていたのだけじゃ足りないと思う。持ってたパンサーセルの倍の数、それと膨大なエネルギーも必要だと思うし……けど、」

 

『けど?』

 

 その話を同じように聞いていたさやかが顎に手を添えながら言った事に雲母が目を見開きながら驚く中、それに対してハニーが話した事に対して翼達が耳を傾けると……

 

「それ相応に強いパンサー怪人なら、一個のパンサーセルだけでも十分に復活できる可能性はあるかも。」

 

「じゃあ……朧はパンサー怪人を復活させる為にパンサーセルを?」

 

「もしそうだったとしたらあの朧の事だろうから、相当厄介な怪人を復活させるつもりかもね。」

 

 ハニーの返答を聞いて風が呟き、その呟きに頭を掻きながら答えるゆきかぜ。

 シスタージルの細胞でもあるパンサーセル……そのパンサーセルを用いて強力なパンサー怪人を復活させる。

 恐らくそれが、朧が沙耶NEOも使ってパンサーセルを集めた目的なんだろうっと……ハニー達はそう考えるしかなかった。

 

「とにかく……まだ確かな情報も不足してる以上、ここで話し合っても時間の無駄ね。」

 

「うん……また何かあったら連絡するから、とにかく皆は今日は休んで!! 他の皆にもそう伝えるように。」

 

 さやかの話も聞いて頷いたハニーは翼達にそう言い、翼達もそれに頷いてから総司令室から去った。

 

「………フゥ、」

 

 そうして翼達が去ったのを確認した後、ハニーは椅子にもたれながら一息吐いた。

 

―――――――

 

「…………………」

 

 総司令室近くに置かれている、ハニー専用のシャワー室。

 仕事で忙しく風呂も入る時間も惜しいと考えるハニーの為に用意されたそこで、裸になったハニーは温かいシャワーを浴びていた。

 

(……パンサーセル……パンサー怪人復活か……)

 

 先ほどの会話を思い出しながら思ったハニーは、目の前にある鏡の曇りを手で拭い、自身の姿を目にした。

 整えた肉体に豊満な胸や綺麗な尻……どれもとっても美しい女体であったが、その胸中心には、痛々しい大きな傷跡が残っていた。

 

「っ……やっぱ疼くな、アイツの事を考えると。」

 

 少し痛むその傷跡に手を添えながら苦々しい顔を浮かべるハニーはそう呟いた。

 

――――――

 

「戦闘状況や結末は先程データを見て知ったんですが……」

 

「こうして直に聞くと、その……お疲れ様です。」

 

「あぁ気を遣わないで大丈夫ですよ!? 私もあんまり活躍出来なかったですし。」

 

 その頃KISARAGI総本部内にある食堂では、フェルトと百合子が霞から昨夜の戦いの事を聞いており、話を聞いた百合子に対して手を振りながら答える霞。

 

「でも……あの朧の右腕を斬り落としただけでも凄いですよ!? 正直私の知ってる朧も、かなりの腕が立つ存在でしたし。」

 

「それに、パンサーセルを飲み込んだ巨大魔獣のトドメを刺したのだって三輪さんじゃないですか?!」

 

「いや……腕を斬り落としたのも正直ギリギリでしたし、アイツに関しても、皆さんのご協力があったのもありますし。」

 

 そう正直に霞を褒める百合子とフェルトに対し、頭を掻き頬を少し赤くしながらも申し訳なさそうに答える霞。

 

「でも……強くなったのは事実じゃないですか?」

 

「っ!?」

 

「あなたは……」

 

「と、トモエさん。」

 

 すると霞の近くから声をかけた、トモエの姿を見て霞だけでなくフェルトと百合子も驚く中、トモエ派は空いていた席に座って話し始めた。

 

「話を聞き、貴方を感じて分かりますよ? 今の貴方には一昨日迄とは違う……自分の弱さを自負しながらも、それにすら負けずに強くなろうとする意志、何かを護ろうと強くなる決意が、こうしてるだけでも感じますよ?」

 

「そ、それは……どうも。」

 

 トモエの言葉に、さっき以上頬を赤くしながら呟いた霞に対し、トモエは少し真剣な眼差しで話し続けた。

 

「ですが……その中にわずかではありますが、迷いのようなものが感じます。その……昨日の戦いで何かあったんですか?」

 

「………………」

 

『?』

 

 トモエの言葉に霞は思わず黙り込んでしまい、そんな霞を見て百合子とフェルトが少し首を傾げると……

 

「アレ? 霞ちゃん?」

 

「それに皆さんも……皆さんも食事ですか?」

 

「え?……ぇええええ!?」

 

 昼食を食べに来たらしい響と友奈が声をかけ、そんな二人を見て思わず驚く百合子。

 

「ど、どうしたんですか百合子?」

 

「あぁいやその……私の世界じゃ、二人共その……色々と有名何で……」

 

「あぁ!! もしかして貴方が噂の百合子ちゃん!?」

 

「確か……私たちの事私達以上に知ってるって子!? こんな所で会えるだなんて凄い偶然!?」

 

「そ、そうですね……」

 

 そんな百合子を見て同じように驚いたフェルトの問いに百合子が答えた直後、百合子を見て話しながら笑顔で駆け寄る響と友奈を見て少し戸惑いながら答える百合子。

 

「アハハハ……」

 

「………あ、あの!!」

 

『んぅ?』

 

 そんな光景を見てトモエも思わず愛想笑いする中、何かを決意したのか霞は大きな声を上げながら皆を呼び、それに百合子とフェルトとトモエと響と友奈が振り向いた。

 

「その……皆さんに相談したい事があって。」

 

――――――

 

「あぁ~霞ちゃんも気づてたんだ。」

 

「って言うと……まさか響さんと結城ちゃんも?」

 

「アハハハ……まぁね。」

 

 霞の話を聞いてあたまを掻きながら言った響の話を聞いて霞が聞き、それに答える友奈。

 霞の相談内容……それは昨日の沙耶NEOの事だった。

 

「自分が産んだ分身のような存在が一夜にして全滅させられ、挙句の果てには自身の雇い主にその内一体をいいように利用された……ですか?」

 

「話を聞く限りはイヤな感じですが……その、言い方は悪いんですが、三輪さんが話している子のやった事がやった事ですし……」

 

 同じように沙耶NEOの事を聞いたトモエが呟いた後、フェルトは申し訳なさそうな表情を浮かべながら答えるのだった。

 

「確かに……あの子がやった事や性格は、正直全部許せと言ったら嘘になります。でも……その何と言うか、彼女が最後に見せた表情は、戦いの最中に見せてたとは違う気がして……」

 

「だから……自分が産んだ子達が倒された事で悲しんだじゃないかって思った……って事ですか?」

 

「はい……あくまで私の妄想なんですけどね。」

 

『………………』

 

 その話に対して霞が答え、話を聞いた百合子の問いに霞は俯きながら答え、そんな霞を見て少し黙ってしまう百合子とフェルト。

 

「だったらさ……今度会った時に聞いてみたらどうかな?」

 

「え?」

 

 そんな中、響が提案した言葉を聞いて霞が唖然となる中、響は話し続けた。

 

「多分だけど、あの子とはまた会える機会がまたある気がするんだよね? だからさ、もしまた会ったときにあの時の事を聞いてみるのはどうかな?」

 

「いや……それはそうなでしょうけど、今度会って素直に話し合いに持っていけるかどうか……」

 

「確かに……相手が先んじて攻撃を仕掛けるか、最悪の場合三輪さんの思い過ごしって場合もありますしね。」

 

「…………」

 

 響の話を聞いた百合子がそう言った後、最悪な場合を想像しながら言ったフェルトの言葉に、またも俯いてしまう霞だったが……

 

「だったら!! ぶつかり合いながら、諦めずにあの子の真意を聞くまでです!!」

 

「そうですね!! なせば大抵なんとかなる!!」

 

「え、えぇええええ~」

 

 響と友奈の前向きかつ明るい感じで言った言葉を聞き、思わず戸惑いを口に出してしまう霞。

 

「………三輪さん、私の彼女の真意が何なのか、会った事もないのでわかりません。」

 

「………」

 

「ですが……何もしないで諦めるよりはマシです。貴方の気が済むまでやって見てください!! 私が言えるのは、それだけです。」

 

 っと、霞に対して強く言いながらも、優しさも混じったトモエの言葉を聞いた霞は……

 

「………分かりました。」

 

『……………』

 

「正直私なんかで真意を聞けるかどうかわかりませんが、諦めずにやって見ようと思います!! その為にも……今よりもっと強くならないと!!」

 

 霞は拳を握りしめながら、決意を新たに豪語するのだった。

 

「だったら……明日からは少し厳しくしていきますね。」

 

「あっ!! じゃあ私も霞ちゃんの特訓に協力して良いですか?」

 

「私も!!」

 

「あぁえっと……よ、よろしくお願いします!!」

 

 霞の決意を確認したのか、笑みを浮かべながら言ったトモエの後に響と友奈も名乗り出、それに戸惑いながら頭を下げる霞だった。

 

「………なんか、大丈夫そうですね。」

 

「そ、そうですね。」

 

 そんな霞の様子を見てフェルトの問いに百合子は頷いた後、先ほどの霞の話を聞き、昨日戦ったのが沙耶NEOだと分かった百合子は……

 

(何て言うか……私が知ってる沙耶とは違うな……)

 

 と一人思うのだった。

 

―――――

 

 本来ナザリック陣営の本拠地である地下大墳墓。

 そこにあるとある部屋の前には沙耶NEOが一人立っていた。

 

「……………………」

(何なの……この気持ち……)

 

 何かを待ってるかのようにして立っていた沙耶NEOの脳裏に浮かんだのは、昨日の沙耶量産型が全て倒され、最後の一体も朧に利用された事ばかりだった。

 その際に感じる感情の正体がわからず、沙耶NEOの脳内や心には靄がかかったばっかりだった。

 

「あぁもう!! あんな雑魚そうな女に腕切り落されるだなんて……やっぱり厄介って事かしらね? アサギ以外のKISARAGIの女は。」

 

 そんな中で頭を掻きながら愚痴りながら部屋から出て来た朧。

 見れば霞に斬られた右腕が回復しており、十分に動ける程だった。

 

「………それで、集めたパンサーセルはどうしたの?」

 

「んぅ? あんた、それ気にする奴だったかしら?」

 

「別に……ちょっと気になっただけ。」

 

朧の姿を見てジト目になりながら沙耶NEOが問うと朧は聞き、それに目を逸らしながら答える沙耶NEO。

 

「四つのパンサーセルなら、昨日の内にアイツのラボの所に渡したわよ。大方、肉体の何割かは復元出来てるでしょ?」

 

「肉体? 復元って事は……何か復活させるつもり?」

 

 っと、朧の返答を聞いた沙耶NEOが問い、それに朧は不気味な笑みを浮かべ……

 

「えぇ……かつてこの世界に名のとどろかせたシスタージル。そいつが作り出した、最強のパンサー怪人をね。」

 

 そう答えたのを見るに、朧がパンサーセルを集めていたのは、パンサーセルの元になったシスタージルの傘下だったパンサー怪人を、それも最強のを復活させる為だったらしい。

 

「………そっ、じゃあそいつらが復活するまで、私は休んでる。」

 

「…………」

 

 話を聞いた沙耶NEOは目を瞑りながら呟いて去って行き、そんな沙耶NEOを見てもなお今日見なさそうに朧も去ろうとすると……

 

「あぁそうそう……さっき聞いた話なんだけどさ。」

 

「んぅ?」

 

 何かを思い出した沙耶NEOが口を開き、それを聞こうと朧も立ち止まると……

 

「あんたが大嫌いなイングリッドが動いたみたい。何かある神殿か城の跡地に行ったとか?」

 

「………へぇ~、」

 

 沙耶NEOの話を聞いた朧は、何かを考えながらも不気味な笑みを浮かべた。

 




 いかがだったでしょうか?
 次回以降が何時になるかわかりませんが、そこまで間が開かないように気を付けるつもりです。
 また何か意見などありましたら、専用の活動報告かメッセージにコメントよろしくお願い致します。
 それでは、失礼いたしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。