奇襲が成功したことで今川軍は壊滅状態に陥り、大将である義元は良晴の説得により降伏することを選んだ。服部半蔵とのやり取りには命を奪われそうにはなったが、危機に駆けつけた前田犬千代の働きや主家を思う半蔵によって良晴は難を逃れられた。
そして良晴はようやく戦場から、貧相ながらも愛着が湧いてきたうこぎ長屋へと帰ってきたのである。
「あー。こんなみすぼらしい家でも、戻れる場所があるっていうのはいいもんだな。なあ、犬千代もそう思うだろ?」
「……え? う、うん」
良晴は長屋の入り口に腰掛け、戦場でついた土埃を手で払っている。そうしていると、いまのいままで昂りきっていた身体中の血が、だんだんと落ち着いてくるような気がするのだった。
その夜、良晴の家では桶狭間での戦勝を祝うための宴会が開かれていた。あばら屋は狭いながらも大きな活気を見せ、良晴は改めて勝利の実感を噛み締めるのだった。
「相良氏、それでは拙者はこれにておいとまいたすでござる」
大騒ぎしていた面々もひとり、またひとりと帰っていき、川並衆のところへ行ってくるという五右衛門が姿を消すとその場に残ったのは犬千代だけとなった。さすがの犬千代も今日は疲れきったのか、良晴の身体にもたれかかるようにして座り込んでしまう。
「……犬千代の身体、まだ熱い」
ああ、と良晴はうなずく。良晴も犬千代と同じく、半蔵との戦いで受けた傷を五右衛門の秘伝の膏薬で治療してもらってからというものの、全身がほてってたままである。五右衛門は蝮とすっぽんから作った薬だといっていたが、効き目がありすぎるだろうと良晴は思った。
信奈と約束した、「天下一のかわいい女の子といちゃいちゃする」という褒美のことも気になっている。
(それなら、犬千代を家に帰さないとだめだな)
犬千代の家は、良晴の長屋からすかすかのうこぎの壁を隔ててすぐ隣である。疲れた犬千代が眠ってくれれば、すぐにでも送り届けることができる。そう考えた良晴は、彼女の顔を覗き込んだ。
「おい、犬千代?」
良晴は、よく見れば自分にくっついて座っている犬千代の頬が普段よりも赤くなっていることに気がついた。しかも少し視線を移せば、首筋あたりまでうっすらと朱をさしたように色づいている。
不意に犬千代の女らしいところを知ってしまった良晴は、先よりまして体温が急激に上がっていくのを感じていた。
(や、やばいぞ! 五右衛門の薬が効きすぎてて、このままじゃ――)
「あ……」
「……良晴、犬千代のお尻になにか当たってる」
――時すでに遅し。
興奮を覚えてしまった良晴の身体の一点に血液が集中していき、ぐいっと犬千代の臀部を押し上げる。たちの悪いことにそれは、意識すればするほどに大きくなっていく。
(鎮まってくれ、俺の息子よおおおおお!)
そんな良晴の願いもむなしく、硬さを増した棒はさらに犬千代を圧迫し続けていた。
「……もしかして、怪我したところが腫れてる?」
「いや、その……」
良晴から離れた犬千代が、不思議そうに彼の股間を凝視している。犬千代に性的な興奮をしていることを知られるのが恥ずかしくて、良晴はそっぽを向いた。
「恥ずかしがらずに見せる」
犬千代が、良晴の袴に手をかける。良晴は制止の言葉を吐こうとしたが、その前に犬千代は勢いよく袴を取り去ってしまった。
「……やっぱり、ぱんぱんに腫れてる」
「い、犬千代」
少女の目の前に、雄々しくそり立った陰茎が現れる。羞恥心から、良晴の顔は真っ赤になってしまっている。
「これ、痛くない?」
陰茎を指差して、犬千代は心配そうな表情を浮かべる。なんとなく上目遣いにおのれを見上げる犬千代の仕草に、良晴は思わずどきりとした。
もしかすれば、これほどまでに気分が高揚しているのは犬千代のせいではなく、五右衛門の薬の作用なのかもしれない。だが、現に良晴は犬千代を女として意識し、愛しいと感じてしまっている。
半蔵と対峙しているとき、犬千代が助けにきてくれたことがただ嬉しかった。この世界にきてしまってからというもの、この少女に感謝をしなければならないことがたくさんある。
身体も心も、もっと深くつながってみたい。犬千代に懐いた熱い想いが、はけ口を求めている。
「ち、違うんだ犬千代! これはその、お前のことが妙に可愛くてだな……」
良晴は自分の口から出てくる言葉が気恥ずかしくて、犬千代の顔を正面から見られなくなっている。
「……良晴、犬千代に発情してる?」
(ああもう、なんだこの雰囲気! 超気まずいじゃねえか!)
犬千代もまんざらではないらしく、下を向いてもじもじとするばかり。
ええい、ままよ、と良晴は思い切って犬千代の華奢な身体を抱き寄せた。
「……やっぱり、発情してる。サルの、本能……」
「犬千代、俺のこと嫌いだったらいますぐぶん殴ってくれ! そうじゃなきゃ、もう止まれねえ」
茶化したにもかかわらず驚くほど真っ直ぐな視線を向けられ、犬千代はわずかにたじろぐ。姉のように慕う尾張の姫の姿が脳裏に浮かんだが、それも一瞬のこと。
少し間をおいて、犬千代は良晴の腰に手をまわして抱きついた。
「い、いいんだよな、犬千代」
その言葉に対する返事はなかったが、良晴は確かに少女が首を小さく縦に振ったのを目にした。
「ごくっ……。ぬ、脱がすぞ?」
良晴は、自分の声が緊張で震えているんじゃないかと心配になる。
「……い、いい。自分で、脱げる。こっち見たらだめだから」
犬千代が部屋の片隅で良晴の視線を気にしながら衣服を板張りに落としていく中、良晴は思い出したように薄い布団を引っ張り出していた。
(よ、よし。これで準備完了だ!)
これから犬千代を抱く。そのことを考えるだけで良晴は興奮を抑えきれなくなっていた。犬千代の眼前にものをさらけだした時点から勃起がおさまらない。
早く犬千代と気持ちよくなりたい。その一心が、溢れかえりそうになっている。
「もう、見てもいいか?」
「……いいけど、本当にちっちゃいおっぱいでも興奮してるんだ。良晴は変態」
「う、うるせえな! どんな胸だろうが、犬千代のことが好きなんだからそれでいいじゃねえか!」
「……それなら、許す」
いった勢いのまま、良晴は布団に犬千代を押し倒した。目と目が合って、2人の間に緊張が走る。
互いに牽制しあうように見つめあうなか、先に動いたのは犬千代の方だった。
「……ぺろ」
犬千代の小さなしたが、良晴の頬に触れる。
「ははっ。それじゃ本当に犬みたいじゃねえか。こうするんだよ」
今度はこちらの番だといわんばかりに、良晴は犬千代の頭に手をやる。やり場を失った犬千代のしたが、宙をさまよう。
良晴が覆いかぶせるように、犬千代の口唇に自分のそれを重ねた。
「ん……、犬千代っ……」
初めて味わうやわらかな感触が、犬千代との口づけで生まれる。良晴は呼吸を整えることも忘れて、犬千代の口唇を吸った。
「ふうっ……、良晴」
犬千代にとってもこのような体験は未知のものであり、良晴のなすがままとなってしまっている。
「ちゅう……、ちゅう」
口唇をついばみながら、良晴は気になっていたもう1つの箇所に手をのばす。その部分に触れられた犬千代は、反射的に背すじに力をこめた。
「……おっぱい、触るんだ」
犬千代の瞳が、自身なさそうに揺れる。良晴は胸の大きさは関係ないと確かにいった。だが、それが自分を安心させるための方便だったのではないかという不安がよぎる。
それを知ってか知らずでか、良晴は手のひらで犬千代のささやかな胸をつつみこんだ。
「なんだ、ちゃんとやわかいんだな」
良晴にしても、そこはもう少し筋肉質でしっかりとした感触をしているのではないかと想像していた。一応、失礼なことをいわないように心の準備はしておいたのである。
それが思いのほか、ふんわりとした反発を指に返してくれている。良晴はそのさわり心地に感激して、なんども動きをくりかえした。
「や、あ……。良晴の手つき、いやらしい」
「そんなこといったって、いやらしいことしてるんだからしょうがないだろう」
犬千代の発言に対し、良晴は言い返しようのない正論で答える。言い負かされた悔しさから犬千代は良晴の横腹あたりをつねるが、可愛らしい負け惜しみにしかならなかった。
その間にも良晴による愛撫は続き、犬千代の身体は花が色づくように上気していった。
周辺を丁寧にもみほぐされたことにより、乳頭も男を誘うようにつんとかたくとがりはじめている。
「むう。くすぐったいかもしれないけど、ちょっと我慢してくれ」
いきなり指で刺激していいものか悩んだあげく、良晴は桜色のそれを口に含んでやんわりと噛んだ。
「ひゃう♡」
いままでのものとは違う強めの刺激に、犬千代の口から驚きとも悦びともとれる声がもれる。良晴はそれを肯定と判断し、口内で乳首を転がした。
戦場帰りの汗と、犬千代本来のほのかな甘さが入り混じった味が良晴の口に広がっていく。それは現状、さらなる昂りをもたらす媚薬となって脳にまで駆け上がっていく。
「……良晴、熱い」
意識などせずとも、良晴はおのれの最もたぎっている部分を犬千代のふとももにこすりつけていた。夢中で乳房にしゃぶりつく良晴にはその声は届かず、犬千代は攻めに転ずる一手を打つことにした。
「……すごい。犬千代で、こんなに発情してくれてる」
そう考ええれば、下部でうごめく男の醜悪なものにもわずかな愛着がわく。肉欲の塊をつかんだ犬千代は、本能的にそれを上下にしごいた。
「う……、あっ」
良晴の行動が、犬千代の行為によって中断される。形勢の変化に気分をよくした犬千代は、さらに指を絡めて手を律動させた。
犬千代の手の中で、男性器が硬度を増していく。自分の掌を汚しているのを亀頭から流れ出る先走りだと知らずに、犬千代は動きをとめようとはしない。
「ちょ、ストップ、ストップ!」
「すとっぷ?」
良晴は制止の言葉を投げかけたのだが、犬千代は小首をかしげる。
「待ってくれっ、てことだ」
あと少し刺激が続けられれば、射精してしまうというところまで良晴は追い詰められていた。良晴の心中ではなんとなく、犬千代のなかにはいるまえに出してしまいたくなかった。
「……犬千代、下手くそ?」
その質問には良晴はぶんぶんと首を大きく左右に振って否定した。
「なんていうか、俺だけ気持ちよくなるのは嫌だっていうか……」
不思議な気持ちだが、それは大まかながら犬千代にも理解することができた。
「……なら、犬千代と交尾する」
生娘の少女が、知識を総動員して出した答え。良晴のために恥じらいながらも健気に閉じていた足を広げる。それくらい知っている、犬千代の顔はそういいたげだ。
「こういう時って、どんな顔をしたらいいのかわからねえ」
だから、感謝の気持ちは行動であらわす。犬千代のまだ毛も生えそろっていない秘所に手をやる。そうすると、意外なくらいに濡れていることに気づかされる。
犬千代との体格差は歴然としているが、これならいけるかもしれないと良晴は思った。
「なるべくほぐしておいたほうがいいんだろうな」
いきり立った陰茎の先をほとんど閉じたままの割れ目にぐりぐりとなすりつける。そうすると、先端が少しなかに割りこんだ。
「たぶん、痛いぞ」
「がまん、する」
互いに顔を見合わせると、自然と口唇同士が引き寄せられた。それを皮切りに、良晴は本格的に犬千代の膣内に男性器を侵入させはじめた。
良晴のもののふくれた亀頭の大きさに合わせて、膣口が必死に広がりをみせる。犬千代がそれほど苦痛の表情をみせないのは、五右衛門の秘薬による興奮が勝っているためであった。
「すげえ、狭い」
侵入者である亀頭と竿の部分を、犬千代の膣は容赦なく締め上げる。初めてによるこわばりもあいまって、それは強烈な刺激となって良晴になだれかかっていた。
「……おなか、苦しい」
太いものが腹部へと突き進んでいるのだから、それは当たり前の感覚であった。良晴は犬千代の頑張りに応えるために、狭道をこじ開けていった。
「あ……。はいった、ぞ」
良晴の先端が、最奥の壁にぶつかる。犬千代は惚けたような表情で、その瞬間を向えた。
「……意外に平気、かも」
犬千代の顔に浮かんだ汗を、良晴は指でぬぐってやる。愛しい人とつながるという充実感を、良晴は胸いっぱいに味わっていた。
やがて、落ち着きを取り戻した犬千代の幼い性器がほどよく締まりだす。
「動くぞ?」
「犬千代も、そうしてほしい」
ゆっくりと、良晴は腰の出し入れを開始する。膣内が吸いついてくるように感じられた。それはまるで、早く良晴に精液を出して欲しいとせがんでいるようであった。
「やばい、とまらねえぞ、これ」
良晴の腰使いが、段々と速度をあげていく。粘膜同士がこすれて、卑猥な音を立てる。
「はっ、はっ、はっ……」
突き上げられる犬千代は、快感がのぼってきていることを感じていた。離れていることが寂しくなって、良晴の首に手をまわす。
体温を共有することで、さらに相手を近くに思えることを2人は知った。
「また、ふくらんでる」
犬千代が敏感に、良晴の変化を察知する。犬千代も良晴も、限界まであと少しといったところだ。1秒でも長く快楽を得るために、良晴は尿道に力をいれる。
「もう、出ちまいそうだっ」
「……なに? 出る?」
意味をよく知らないまま、犬千代は良晴の情熱を一身に受けとめ続けた。ただ、陰茎の震えだけはその身でよくわかっている。
「ああ! ぐっ!」
良晴が、短く獣のような叫びをあげる。途端に、膨張していた亀頭から熱のこもった液体が堰を切って流れ出す。
犬千代は絶頂に身体を預けながらも、良晴の放つ精液を小さな膣で飲み干していく。たまりにたまった精の放出はとどまるところを知らず、許容量をこえて膣からあふれ出すまで終わらなかった。
「はあっ……犬、千代」
なにもかも出しつくした良晴は、突っ伏せるようにして倒れこむ。このまま2人で眠ってしまいたい気分だった――。
†
良晴がうっすらとだけ目を開けると、外はまだ薄暗かった。しっかしと布団が身体にかけられており、犬千代がしてくれたのだと推測する。手をのばすと、小柄な身体にあたる。
「犬千代……」
交わりをもった少女を抱き寄せようと、良晴は力をいれる。その時、違和感に気づいた。
「あ……?」
抱き寄せた少女は、犬千代よりもさらに軽く思えた。ふと、背後から刺すような視線を感じた。耳を引っ張られる。
「あれ、犬千代」
「良晴、もう浮気したの?」
犬千代は確かにいた。恐る恐る、良晴は正面の人間の顔を確かめる。
「ねね、か?」
良晴のつぶやきに、犬千代が同意する。
理由は不明だが、良晴の長屋にはねねがあがりこんでいた。それも、すやすやと幸せそうに寝息をたてている。追い出すわけにもいかず、良晴は脱力してしまう。
(起きたら、もう一波乱ありそうだな……)
そう考えるとげんなりしてしまうが、背中から抱きついてくる犬千代のことを思うと、それも吹き飛んでしまう。
なにはともあれ、もう一眠りしてからだ。良晴は再び、夢心地につつまれていくのだった。
良晴×勝家に続く。