涙を舌で拭って拭われてから、少女は男に姫抱きにされ場所を変えられる。
天蓋が付いた赤い寝台。ジャンヌにはすっかり見覚えたものだ。
ここに横たわられるのも3度目になる。
バスローブはとっくにダンテに剥がされて、彼自身も纏ってたタオルも床に放られた。
ジャンヌはここで自分の格好に今気が付いた。全裸じゃなかったけれど、ある意味全裸より恥ずかしい下着姿になっている。
けれどこれから行われることは分かりきっているし、ジャンヌは黙って、ダンテを受け入れることにした。
「んっ……」
彼から最初は啄むみたいキスをされて、段々深く口付けられる。
貪るように、誘うように。肌と肌も密接して。
彼女は抵抗しなかった。
マンイーターの毒で体が動かせないからと思えたが、その毒もすでに中和されている頃合いの筈だ。
それでは、ずっと男の手に身を委ねているのは。
彼も性急にことを進めなかった。少女の口を貪欲に求めてから放した唇はすぐ下の首を吸い付き、鎖骨にも舌を這わせ、けれど特に柔らかな部分を敢えて避けている。乳房を通り過ぎて、しかし股間より上の臍を、薄い布越しから強く吸い付かれた瞬間は常に身構えている少女も驚いた。
彼の手の動きにしたって脇の下とか、腰周りとか、尻よりふくらはぎをよく揉まれ、胸よりも二の腕をよく撫でられて舐められていることに戸惑いがする。けれど不思議と不快感がない。好きにされて当然なのに、この触れ方はまるで…。
彼は何も言わない。口数は多い人の筈。戦ってた時も初めて操を奪われた時も2回目も、色々とこちらに話してきた。体だけでなく言葉でも好き放題にしてこちらを嬲ってきた筈。なのに。
(今までと、全然、違う……)
彼の行いのこと、だけではなかった。
ジャンヌはこんな触れられ方を知らない。今まで受けてきたのは全て、彼女の妖艶な肉体への欲望ばかりだった。こんな、焦らすような、確かめているような、……労わっているような触れ方は知らない。
それでも着実に雌としての体は感じって、恥部から蜜が溢れてくる。
男は少女の太腿を支えて浮かせる。ほぼあってないようなものとはいえ夜着の裾を捲られて露わになった尻と腰を高く持ち上げられた体勢から、少女の恥部に舌を差し込んだ。
「~~っああぁっ!!」
急に与えられた強い刺激は全身に電流が走ったようで、少女はここ一番の甲高い声を上げた。
けれど、まだ物足りない気がする。
陰唇を深く口付けられて、達してしまうのだけど。そうじゃないような。
「ああっ、はあ、あっ!(イクッ、イッちゃう……!)……ひゃああ!!」
少女が一頻り啼いて蜜壺の雫が大量に零れてきた頃に尻が敷布に着いた。下ろされたようだ。ああやっと、本番に進むんだと少しぼんやりした頭で思えば、自分の中にゆっくり侵入してきたのは男の指だった。
(え……?)
もう十分に解れているのに。
既に色んな雄や異物を受け入れてきた膣だ。さっさと挿入されても構わないのに。
二本の指が入ってきて蜜壺の入り口とちょっと先だけを掻き回されている。どうしてと思うと同時に、男が自分の乳首を吸い付いてきた。
「あうぅ、は、あっ、あぁ……」
ベビードールの狙って切り開けていた部分から主張している頂が次の口淫箇所で、陰唇と同時に責められて、陰核を時々摘ままれることも含めて、ここにきて急所を弄られて、少女はあられもない声を上げ続けていた。
(挿れたい……早く挿入したい……)
男は始めの内からそう思っていた。指は二本も入っては抉るようにかき混ぜていく。奥まで進んで行けば子宮口に指先が触れた。達した余りにあちらから下って来たのだ。すっかり濡れそぼった脾肉は指を締め付けてヒダ全てで絡み付いていく。
触覚の筆頭で神経が集中する箇所とはいえ指でこの気持ち良さだ。どんなに抑えても、息遣いも興奮から荒れていく。雄の部分だって熱が限界まで溜まって膨張しているのを、少女は気が付いているどころか、凝視していたりもする。
暫く、男からの甘い責め苦が繰り返される。
少女は何度軽くとはいえ達したことか分からない。
「あんっ、あん……あっ、あ…………っ…………は……」
喘ぐ声が掠れている。啼かせ過ぎたからだ。さっきの号泣もあるし、触手に口を犯されてた時に喉を傷付けられていたかもしれない。
指をずぶ濡れの蜜壺から抜いては寝台の傍の小机に置いてあった水筒を手に取る。体力回復の薬が希釈された飲み水を一口飲み、多量を含めたままにして喘ぎ続けて開いてた少女の唇に自分の唇を重ねて、送る。さっきのハーブと同じ要領だ。
「ふう…………うっ、ああ……あんっ、あんっ!」
勢い込んだのでほんの少し唇から零れたが、ほぼ全て喉に送ることが出来たようだ。男が指をまた蜜壺に突っ込んでかき混ぜれば、少女は色艶く鳴いた。
「まっ、あう、はっ……なん、で……ああっ、し、ないの……?」
喘ぐ内から尋ねられて、耳聡く男は指の動きを止める。その疑念をぶつけられるを、待っていた気がする。
指を蜜壺から出して少女の顔のすぐ横へ押しておく。覗き込んだ少女の目はすっかり融けている。
「死にたいんだってな」
こくり。と頷いてた。
「なら、その命も体も全部オレのものにしてもいいよな」
「……はい」
「本気だぞ」
「はい」
「今までの身分とか、使命とか、何もかも捨てることになるんだぞ」
「……はい」
彼女の瞳は、最初の頃に比べると随分光が少なくなっていた。
それでも清んでいる青の双眸は、こちらを怯えずに見上げている。
彼の翡翠色の目の方こそ、つい逸らしてしまいそうだった。
「…………貞操を奪った時からかも。この国から、お前そのものを奪いたかった」
その時彼は、初めて彼女に本音を告げていた。
ジャンヌは両腕を広げて、ダンテに向けて伸ばした。
「奪って、ください」
瞬間、男の肉棒が少女の脾肉を入り口から奥まで一気に貫いた。
「ふあああああぁぁあああっ――――!!!♥」
少女は歓喜染みた絶叫を上げていた。男は構わず腰を引いては子宮口に肉棒を激しく叩き付けている。ギリギリまで瓦解を堪えていた理性も完全に吹き飛んでいた。
散々焦らされて漸く挿入してきた雄をヒダ全て使うように締め上げながら蠢く蜜壺。突く毎に絶頂しているようで熱気ある汁がとめどなく溢れている。
「あーー♥あ~~♥♥」
理性が消え失せて快感に溺れているのは少女も同じようだ。男に貪られ、雄を貪る毎に腰から全身を跳ねさせて開けっ放した口から涎が零れている。瞳も見開いて淫靡な光に満ちていた。
「……くっ」
互いに我慢してさせてた分、熱の爆発まで長くは持てなかった。だが少女は十二分に悶絶していたし、最初から全力の抽送に脾肉は歓んでいた。
「イクッ♥またイクのぅ♥♥♥イッちゃああ~~~♥♥♥♥♥熱いの流し込まれてるぅ……♥♥♥」
待ち望んでた精液が奥で吐き出され、ピッタリとくっ付けていた子宮口が全部吸い込むように震える肉棒をしっかり締め付ける。今までとは違う抱かれ方だったからか、これまで一番素直に少女は雌と化していた。
荒れた息を整わす男が見下ろすのは全身をピクピクと痙攣させて気持ちいい…♥とのうわ言を繰り返す淫らな少女だった。蜜壺の入り口は伸縮し続けていて少し萎えた雄を離そうとしないみたいだ。
「……あっ♥」
繋がったまま少女の体は持ち上げられ、胡坐をかく男の膝に乗るような姿勢のまま抽送が再開した。今度は自重で奥まで差し込まれる雄にまた脾肉と子宮が歓んでいる。
「あう♥あっ…いい♥…あん♥」
さっきよりは緩やかな動きだったが全然物足りなくはなかった。絶頂したばかりの脾肉は掻き混ぜる程度でもキュウキュウと締まり、また固く大きくなっている肉棒を嬉しそうに頬張っている。
突き上げられるだけでなく自ら腰を動かして艶やかに啼く少女に、男は何度も吐息を漏らす。
涎を垂らしていた唇に噛み付くように吸えばあちらも舌を伸ばしてきた。上と下の接合部分で卑猥な水音が奏でられていく。
紅潮した頬が林檎のようで、同じ熱に染まられている瞳がこちらを見上げている。男だけを見ている。
なんて美しい。淫蕩に溺れた少女を眺めて男は思った。
ああ。最高だ。
この娘の肢体をオレだけしか知らないように作り変えたい。
もう絶対に誰にもやるものか。
そうだ、知る知らないと言えば。
「ジャンヌ、なあ、聞いてるか?」
「はひっ♥」
ほぼ瓦解した理性でも意思の疎通は可能だ。少女は、さっきから燃えるような翠の目で見つめらていることも意識している。それが快感に繋がっているかもしれない。ぶつけられるのが単なる欲望じゃない気がするのも、その激しさに素直に応じられる訳かもしれない。
「この国の外に出たことはあるか?」
いいえ、と首を横に振りながら答えた。
「じゃあ、そこには、誰も居ないんだな……お前のこと、知っている奴…」
「そう、です……ああっ♥……ね、あんっ♥……はうっ♥♥」
「誰も、お前の事を……知らない所、なんて、怖いかも、しれないよ、なぁ……オレには、関係、ないけど……!」
息を荒げさせながら男の突き上げが激しくなっていく。風魔法を使っているらしく、抱き締めながらの体勢なのに寝台から浮かされる程の衝撃も全身を貫く快楽に加えられている。
けれど彼女は質問の意味を察していた。
海を越えれば、ジャンヌのことを誰も知らない。ジャンヌ自身も知らない世界がある。騎士や貴族の位もそのしがらみも何もかも剥ぎ取って、ただのジャンヌを連れて行くと、彼は言っているのだ。
だったら答えは一つだ。さっきも言ったことだ。
「うぅん、あ♥…ああっ、あん♥あぅ、ああ…♥………つれ、てって…ダン、テ、さん…!!」
少女は男に縋り付くように抱き返した。
両腕だけでなく、足も腰に巻き付くように抱き締めた。
期待は、していたけれど。
ここで断られるかもしれない、不安もあったけれど。
彼女は、その手を取ってくれた。
彼にとっての、何かが満たされた……ような気がした。
何処でも仲間外れのダークエルフと、主を助ける騎士に成れなかった少女。
半端者同士、ここで一緒に舞台を放り出してしまおう。
「ジャンヌ……ジャンヌ……!」
男は少女の名を呼び続けながら掻き抱きながら、深く強く速く、突き上げる。
少女は激しく揺さぶられて猥雑で淫らな愛らしい音色を喉から膣から鳴らしていた。
「あ♥、うっ、うぁん、あっあっあっ♥♥…あっ♥♥」
絶頂が近い。
まだ焦らしていたい。もっとずっとこの悦楽に浸りたい。
けれど体は限界には逆らえない。
少女は全身を強張らせて今一度膣を狭めて肉棒を締め付けた。ほぼ同時に男は射精していた。先よりも多く長く。
「ああああぁああぁああああぁ♥♥♥♥♥」
終わりには互いの鼓動しか聞こえなかった。
また流れ込んでくる熱を感じながら、少女は緩やかに眠りの床へと誘われた。
その刹那、意識を落とす間際に、微笑みを浮かべながら、目の前の人へと唇で音なき言葉を形作る。
ダンテが初めて見た少女の笑顔だった。
自惚れてなければ…………ありがとう、と言っていた気がする。
「行くんだな、ダンテ」
「ああ、メドラウドの兄貴には、悪いオレ降りるわ、とだけ」
「分かった」
斥候兼連絡係のワーウルフにせめてもの義理として自分の旨を伝えた。今回の大事の筆頭に無断で消える訳にはいかない。……風の精霊に関しては、どうもしない。一応解放してやったが、もう碌に動けないし何か事立てることもないだろう。
ちょっと引っ掛かるのは見送りする心算なのかワーウルフの目がこう……なんとなく生温かった。文句一つも言わないどころかまるでダンテがベルデを去ることを予想してたみたいな様子が、逆に気持ち悪い。
「お幸せに」
「は?」
「なんでもないゾ」
チラリと赤い布で包まれたものを一瞥して、何も見なかったようにすました顔でワーウルフは別れを告げた。
ダンテの腕の中に居るのは、眠り姫だ。騎士だった一人の少女。
空は蒼く、乱気流も少ない。ダンテ自身の調子もとても良い。
風の精霊やジャンヌから得た魔力を糧に、これから長時間、一人を運びながら大陸へ向かう風の魔法を編み上げる。
もう二度と、この島には足を着けない覚悟を籠めて。
――――飛ぶ。
「………………あ」
「起きたか」
目覚めたジャンヌは今、空に居ることを知った。見下ろすと、さっきまで居たダンテがアジト代わりにした別荘が小さく遠くなっていた。
ここから王都テウ・レプスも、黒城も、ベルデ国そのものが小さなものになるだろう。
ダンテに姫抱きされていたジャンヌは、ずっと握り締めていた方の手を開いた。
あの日から、肌身離さず持っていた王家の指輪。
姫様を助ける為に最も大切なもの、どんなことがあっても失くしてはいけなかったものを。
ジャンヌは、するりと空へと放っていった。
「……ごめんなさい…………さよなら…………」
告げた相手は姫様か、故郷か、その両方か、それとも……。
虹の色を輝かせながら一粒の涙が空から落ちた。
自ら離して零れたものは、もう拾えない。
自分が生まれ育った国も、もう見れない。
空になった手々は赤髪を触れて、自分を抱き支えている男の首にまで回った。
胸板に顔を埋めるように縋りついて、しっかり離さない。
これ以上、何も言うことはない。
風纏う男は、少女を強く抱え直して、海を越えて行った。
一介の騎士として、国と姫を救う為にあがき続けた少女の物語は、こうして幕を閉じました。…………ってさ。
で、少女を強奪したダークエルフの男とその後どうなったかって?………………さあな。
誰にも分からないことに、これ以上とやかく言われたくない。
幸せも、不幸も、未来も、勝手に決めつければいいんだ。
ただ一つだけ決まっているのは、オレは、あいつが死ぬまで手放すことはしない。
あいつはオレだけのものだ。
――――本当に、それだけだ。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
詳しいことは活動報告の方に書いております。