「スゴい性癖あってほしいな」と言ったのは貴女です。
余計なこと言うもんじゃありません。
世の中意外と想像以上。
起きなくて良いことばかり、よく起こる。
ノクターンではこっちが多かったです。
「なんかスゴい性癖あってほしいな」
そう言ったのは、他ならぬ蝶野雛自身だった。鹿野千夏は、あまりにも完璧すぎるから。付け入る隙のない完全な自分の上位互換であり、そして雛の親友である猪股大喜にも憧れ慕われる完全無欠の超人。名実ともに、英明中学高等学校の歴史に名を刻むスーパースター。でも、そこが何か雛をモヤモヤさせていた。
そしてそれは、理由を得て結実する事になる。千夏が猪股家へと「帰宅」したこと、大喜に「おかえりなさい」と迎えられたこと。それはつまり、二人の関係が特別なものであることを示していた。示しすぎていた。
返し損ねた千夏のスマホを整体院に預けた時点で、雛の記憶は一時途切れる。そして我に帰った時には、ベッドの上で泣き崩れていた。何故千夏の完璧性を否定したかったのか。それは、嫉妬だったのだ。雛は今まで、敢えて心に蓋をし続けてきた。大喜は友達であり、それ以上になりたいとは思わないようにしてきた。だから、大喜が誰に憧れようと対した事ではない、と思えていた。だが。今雛はハッキリと自覚してしまった。猪股大喜が、好きなのだと。だから、彼のそばにいる千夏が気に入らないのだと。
震える手で、自身を掻き抱く。この腕が、彼のものであるなら。この熱が、彼の体温であるなら。そう思いながら、身を捩る。薄い胸の先端は、それでも自己主張するかのように硬く熱い。布が擦れる度に、治りかけた傷口を引っ掻くような奇妙な快感がやって来る。不愉快で、しかし心地良い。その感覚は肌を伝うように広がり、雛を発情させていく。無意識のうちに服が脱げ堕ち、ショーツは粘液の糸を引いて床へと落ちた。その糸の産み出された先、物心ついて以来誰にも見せたことのない秘裂を指で擦りあげていく。もしこの指が、彼のものであるなら。そう思うだけで、失禁したかのように愛液が止めどなく溢れてくる。僅かに指先を埋没させ、入り口を激しく掻きむしるように動かすとグチュグチュと卑猥な旋律が奏でられていく。
「大喜……大喜ぃ……っ」
旋律は譫言を巻き込んで加速し、一気に臨界へと。雛は頤を跳ね上げ、悲鳴のような矯声と共に前進を痙攣させて倒れ込んだ。緩みきった肉の裂け目はダラダラと蜜を垂れ流し、シーツを汚していく。雛自身の心も心地よい脱力感と僅かばかりの虚しさがないまぜになった、シーツのようなマーブル模様となって急速に眠りへと堕ちていった。
オナニー中に寝落ちしてしまった罪悪感に苛まれながら、翌日。気分は冴えず、ただ身体だけが疼いて仕方がないままに授業を流して、気が付けば放課後になっていた。部活に出る気にはならない。どのみちあの顧問は誉めるだけ、珍しく指摘がきたとしてもフワフワとした形のないものでしかない、と雛は正直うんざりしている。指導者としての資質はない、言わば生徒ガチャで成功しておこぼれを手にしているだけだ。あれなら家の方が良い。それでも普段から部活に出ていたのは、本人は長く無自覚だったが大喜へのアピールでしかない。だから練習でも律儀にレオタードに着替えていたのだ。しかし今あんな格好をすれば、発情を晒すだけでしかないのはわかっている。
だから帰宅しようとしたその背中にポンと手が当たり、雛は振り替える。その先にいたのは――
「蝶野さん、これから帰り?」
雛が最も会いたくない、鹿野千夏その人であった。いつものようににこやかで、いつものように美しく。それは、雛を嫉妬させてやまない。それでも雛は平生をなんとか装い、笑顔を取り繕って声を返す。
否、返そうとした。しかしその声は、千夏の声に遮られる。
「昨日はごめんね、雨のなか迷わせちゃって」
千夏の声は、澄んでいる。しかしどこか、どこかが雛の心に違和感を落としていく。
「あの後スマホ取りに戻ったら、蝶野さんが届けようとしてくれたって聞いて」
「あ、あー……はい、見失って……」
あの後、と千夏は言う。あの、後。一度帰ってから、もう一度。ドクン、と雛の心臓が大きく脈打つ。もしそれが、あの直後と言うならば。気付かれたのではないか。気付いたことに、気付かれたのではないか。厚い外面に阻まれて見えない筈の内心を、鷲掴みにされている気さえする。
しかし、千夏の口から出たのは、それでは無かった。
「見たのかな、って思ったんだけど」
予想外の一言に、思わず心のなかで雛は息を吐く。「スマホの中を見たんじゃないか」と邪推しただけだった、という事に安心する。雛だって、スマホを忘れて誰かが届けてくれたならそれを心配する。人のスマホを覗かないのはマナーではあるけれど、身元確認を口実に色々見られていてもおかしくはない。そしておかしくはなくても、気分は決して良くない。その上目の前にいるのは、雑誌や地元ローカル番組でも頻繁に取り上げられる英明のスーパースターだ。その辺を警戒しなければいけない立場というのは、新体操元日本代表を父に持つ雛にも理解できる。
「あーいや、そんなことしませんってー」
努めて明るく、笑い飛ばす。ここで話を終えるために、雛は敢えてそうしたつもりだった。笑い話にしてそれでバイバイ、とするつもりだった。だが。
「そっか。見てくれた方が早かったんだけど、な」
そう言って千夏が表示させた画像に、雛は凍り付いた。それは、一糸纏わぬ千夏の自録り写真。それ自体が危険なものだが、それ以上に雛を戦慄させたのは、その一部。本来あるべきではないモノが、明確に写し取られていた。
「……、何…で、先輩、に……っ」
それは、美しい顔に似合わない凶器。生物として装備していない筈のモノ。歪極まりない、肉の塊。
そこに聳えていた凶悪な男性器は、雛を恐怖に陥れて余りあるモノ。合成であってほしい、きっとからかわれているんだ、と雛が思考を飛ばしてしまったのは、千夏にとって計算通りの事。画面に釘付けとなった雛の手を取り、そのまま千夏は自らのショーツの中へと迎え入れた。
雛の手に触る陰毛の感触。指の先は肉の谷間へ食い込み、そして――手の中には熱くたぎる塊が押し当てられる。これが、なんなのか。視線の先にある画像が既に、その答えを告げている。
「お、ち……なん、で……」
「そんなに珍しくもないんだよ、みんな隠してるだけで」
千夏は笑顔を崩さないまま、雛の手を更に押し付けていく。硬度を増す灼熱の肉に、手を汚されながらも雛は動けない。身動ぎも出来ないまま、困惑だけが深まっていくばかり。
「最近ねー、渚たちにも飽きてきちゃってさ。蝶野さん可愛いし、せっかくだから頂いちゃおうかなーって」
そんな最低の発言も、腕を捕まれたままでいる雛の耳には届かない。届いたのは、その先の言葉。
「まあ蝶野さんがイヤなら、大喜くんでも犯そうかな。可愛いお尻してるし、毎日ムラムラしちゃってさ」
まるで金縛りが解けるように、雛の瞳に色が戻る。大喜を、守らなければならない。大喜をひどい目に合わせてはならない。既に雛の中での優先順位は、自身よりも大喜になっている。彼を守れるなら、命さえ惜しくはない。
身体の奥で鳴る警鐘を力尽くで押し潰し、雛は千夏を見据える。
「わかり、ました……」
戦う乙女は、それを受け入れた。大切な人を、守るために。
体育倉庫の更に奥、もうロクに使われていない古い用具室。千夏と雛は、そこで向き合っている。お互い何一つ纏わない、生まれたままの姿で。高校生になったばかりで未成熟な「少女」の裸体を晒している雛と、同じく全体は「少女」だが巨大で武骨な男性器を併せ持つ千夏。この世のものとは思いにくい、現実感のない光景がそこにある。
「じゃぁ蝶野さん、こっちおいで」
千夏に招かれるように、その胸に抱かれる雛。作り物でもなんでもない、柔らかな暖かい感触に包まれ、一瞬だが気分が和んでしまう。しかしそれを現実に引き戻したのが、やはり千夏の身体だった。するりと身体がズリ落とされ、まるでしゃがみこむように身体が下がっていき、雛の顔は千夏の男性器と対面させられてしまう。顔を近付けてまず感じる、牡の臭い。よくこんなものを隠していられる、と思ってしまうほど圧倒的な存在感。そして、しかしその下には、雛とほとんど変わらない肉の裂け目が位置している。これはあくまで「女」なのだ、と強く思う雛。だからこそ、異形なのだ。
「蝶野さん、お口開けてくれるかな?」
嫌な予感はする。雛もそういう「行為」が存在するのは知っているし、世の中では普通に行われているのも知っている。だが生理的に嫌悪感が先立ち、命令を聞くことが出来ない。だが千夏もそれは分かっていたのだろう、そっと雛の鼻をつまみ上げた。鼻呼吸が封じられ、程無く僅かに口が開いたのを、千夏は見逃さない。雛の小さな口目掛け、勢いよく腰を叩き付けたのだ。子供の腕ほどもある剛直が、雛の呼吸器を捩じ伏せる。口腔粘膜を蹂躙し、喉の奥まで制圧していく。噛み付くどころか、呼吸が殆ど封じられた状態では抵抗することさえ出来ない。ただ、犯されるだけだ。
頭を捕まれガクガクと揺さぶられ、もう雛は何が起きているかも理解できない。いや、理解してしまえば心が持たないかもしれない。
そして、永遠のような凌辱の先が、やって来る。
千夏の身体がビクンと震え、雛の身体の中で濁流が迸った。飲む呑まないどころか、食道の中での射精。遮るものもないまま胃袋へ直接精液が注ぎ込まれ、渦を巻いていく。あり得ない程大量の精液は、雛の消化器官さえも塗りつぶしてしまう。
「うぁ、あ――っ!!」
千夏が長い射精を終えて栓が取り払われた雛は、自分を汚す汚液を吐き出そうと激しく嘔吐くも、胃袋へ注がれその奥に溜まった大量の精液は出ていかず、胃液ばかりが逆流する。それでも吐き出したくて、雛は嘔吐き続ける。しかしそれは、凌辱者の機嫌を損ねる愚行でしかない。
「失礼だなぁ、そんなにゲーゲー言って。あーあ、やっぱり大喜くんで遊ぼうかなー。蝶野さん嫌そうだしなー」
空嘔吐きで真っ青になっていた雛の顔が、更に青ざめる。これ以上逆らってはいけない、と心底戦慄した雛は、唾液と胃液にまみれた床へ額を擦り付けて懇願するしかない。
「止めて……ください……。大喜に、大喜にひどいこと……しないで……」
雛の瞳からは涙が溢れて、汚れきった床に新たな染みを刻んでいく。この先になにをされてしまうのかは、見当がつく。それが女子として耐え難い屈辱である事も、取り返しがつかない事なのも、分かっている。それでも。それで愛する人を守れるならば。
四つん這いにされた雛と、その後ろに立つ千夏。千夏の男性器は臍まで届くほど反り返り硬く偉容を讃えている。雛の顔は青ざめたままだが、それでも千夏を不機嫌にしないようにとひきつった笑みを浮かべていた。もしここで抵抗したならば、今度こそ大喜が危ない。それが分かっているからこそ、雛は逃げようともせず尻を掲げて全てを晒しているのだ。千夏に尻を捕まれて尚、声もあげない。静かに従うのが最善であると雛は知っているから。
「じゃ、使わせてもらうね」
身体をモノ扱いされる屈辱は、しかし圧倒的な質量に押し潰され霧散してしまった。指さえ殆ど入ったことがない隘路を、凶悪な武器が割り広げていく。膜が破れる、などという一言では表せない強烈な破壊行為に息が止まる。内臓をゴリゴリと抉られていく感触と、そこを焼いていく灼熱。相手の都合など考えない、孔と棒の単なる摩擦運動。産まれて初めてのセックスでオナホールのように扱われる雛は、泣く気さえ起きないまま呆然と犯される。
「んー、渚たちと違って新品なのは良いけど、やっぱり浅いかな」
勝手なことを言われながらも雛は、腹の中が好き放題に掻き回される違和感になんとか耐えていた。何より苦しいのは、これがただ辛いだけではないということ。まるで勘所が透けて見えているかのように、何度か往復する間に快感の源泉を的確に掻き潰してきて、思わず嬌声を漏らしそうになってしまう。手荒い凌辱者かと思えば、恋人同士のように甘やかしに来る千夏の気紛れさに、どこか優しさを見いだそうとしている自分自身が信じられなかった。
そんな千夏の腰が、まるで何かに気づいたかのように動きを変えていく。雛がそれを感じたのは、腹の奥へと伝わる震動の変化だった。――もっと、奥へ行こうとしている。何かが、抉じ開けられていく。
「よっ……と。これで入るか……な?」
ズン、と重い衝撃と更なる奥が抉られた感覚。頭ではなく、本能が異変を悟った。入ってはいけない場所を、制圧されている。それが、ありありと分かる。
「あ、あぁ……」
一番奥の奥、子宮を犯されている。決して誰も立ち入ってはならない牝の聖域が、牡の生殖器に蹂躙された。この究極のセックスに、被害者意識も何もかもが消し飛んで雛の意識を染め上げていく。
身体の全てが塗り潰され、犯されているという事実さえも雛の頭から消えてしまう。残るのはただ、牝の本能以外に何もない。自分がただ精液を搾り取る為だけに創られた肉の孔だという事実だけが、蝶野雛という存在を繋ぎ止めていた。
しかし、それさえ千夏にとっては知ったことではない。自身の秘裂を手でかき回しながら雛を犯し続けるのは、単なる快楽目的だ。本能に従順になった雛は、都合の良いオモチャでしかない。遠慮会釈無く抽送し、ただただ射精へと自身を駆り立てる。
その瞬間はもちろん、自分勝手に訪れる。
「ん、出るよっ、蝶野さ……んっ」
ドクンと脈動が身体を揺らし、輸精管を凄まじい勢いで白い毒液が駆け抜けていく。たちまち女子高生の子宮はパンパンになるも、子宮口が竿に食い込むようにして精液を逃さない。牝の本能は自らの子宮を精液タンクにしようと躍起になり、一滴も逃さないように食らい付いている。恐るべきはその執念、二人の結合部から溢れる精液は一筋も無い。
常識はずれの射精が終わり、名残惜しそうに千夏の男性器が引き抜かれても尚、子宮口は閉じたまま。処女を散らされた膣口はぽっかりと口を開けたまま閉じようともしていないが、雛の腹は規格外に大量の精液を全て呑みきった子宮のお陰で妊婦のように膨れ上がっている。
精液と愛液のカクテルにまみれた千夏の男性器に、大きなお腹の雛は嬉しそうにむしゃぶりつく。まるで、仲睦まじい恋人同士のように。汚れた体育用具室の奥、二匹の狂い獅子は絡み合う。何度も、何度も。
それから雛は、千夏の性癖に振り回され続ける日々を送ることになる。雛は大喜が寝ている隣で犯されてみたり、逆にディルドで千夏を犯したり。それでも相性が良かったのか、千夏が雛に飽きることは無く大喜の操も守られた。それが幸福か否かは、当人でさえ知ることはない。しかし、少なくとも千夏は幸福だったようであるが。
どこか膿んだ二人の日々は、果てることを知らない。
datの「」ちゃんが「消すなよもったいない」とか言うから悪いんですよ。
まさか先輩に生やす日が来るなんて……。