ルキアは家路を急いでいた。
乗り気だった織姫の助力を得ながらも竜貴を口説き落とすことはできず、顔を真っ赤にして怒る彼女は逃げるように帰ってしまったものの、話し合いで何も得られなかったわけではない。
言葉にしたことで自らの気持ちに気付いてしまい、任務に忠実だった以前とは違って、言わずにはいられないと判断したのだ。
現世で変わってしまった自分を、
構わない。今はそう思えた。
初めは確かに、我を忘れて自らの欲求を満たすことを優先していたかもしれない。
今にして思えばなぜあれほど必死だったのだろう。少し前の自分に違和感を覚えたりする。そう考える彼女はやはり義骸のせいだと結論付けて、しかしまあ、考えてみれば幼い頃から多少は興味があったかもしれない、と考え直した。
どちらにせよ、彼と同じ屋根の下で過ごした日々が彼女の心情を変えていた。何度となく繰り返したセックスを省いても、彼と過ごす時間に安堵を覚えていたのである。
有沢竜貴の告白を聞いて、今まで続いていたなんとなくの関係では申し訳ない。彼女のためにもきちんと向き合うべきだと考えている。
昨夜の喧嘩もそのままにはできない。今一度、彼と向き合わなければならない時なのだ。
急ぎ足で帰ったルキアは声をかけるより先に扉を開けた。
鍵がかかっていなかったのは少し違和感を覚えるも、今はそれどころではない。
昨夜にはなかったはずの小さな靴が置かれていることには気付かず、投げるように靴を脱ぎ捨てて廊下へ上がり、大股に歩いてリビングを目指した。
「双葉、居るか? 話したいことが――」
部屋に一歩足を踏み込んだルキアは最後まで告げることができなかった。
双葉は居た。床に仰向けで寝転がっている。なぜか全裸で、手首と足首を繋げて縛られ、手術台に乗せられた蛙のようにひっくり返されていた。開かれた股の間には同じく裸のウルルが陣取り、両手で金玉を触りながら勃起したペニスをしゃぶっている。
昨日のようにボールギャグを装着されて、唾液は口の端から垂れており、今日はなぜか犬に着けられるような赤い首輪が巻かれている。
うーうーとうるさく、双葉は涙目になってルキアを見上げていた。
驚きはしたが、ルキアは冷静だった。
寝転がる双葉の頭の傍まで歩み、静かに正座をして、背筋を伸ばして彼の顔を見つめる。
「そのままでいい。少し話を聞いてくれるか」
「ひあう!? はうえへ!」
咎めもせず、怒りもせずに、ルキアは深刻な表情で話し始める。
双葉が一層うるさくなるが明確な言葉としては伝わらない。そのせいか、ルキアはうんうんと頷いて反応しながらも動かず、ウルルはそんな二人を見ながらちゅぽちゅぽと、口に含んだ亀頭を緩慢に入れたり出したりしていた。
「私はこれまで、自分自身を理解することができていなかった。死神としての職務を全うすべき立場にありながら私情を優先し、自分勝手に行動していることにも気付けていなかったのだ。本当は親しくなどなるつもりもなかったのに……いつの間にか、共に暮らしていることを当然のものと考えていた」
「うー、ふ~……」
苦しそうに呼吸する双葉に余裕はなく、話に集中できていない様子だが、ルキアはまるで気にせずに続けていた。
いつしかウルルが玉に吸いついて舌で転がし、右手で亀頭をこねくり回していた。
「今まで言ったことはなかった。私自身、気付かないようにしていた。そんな感情は任務に不要なのだと……いずれ
「はうひへ……」
「だが気付かされてしまった。彼女たちの前で言ったことで無視できなくなってしまった。私はお前を好いているのだと思う」
ぐったりする双葉の顔を覗き込み、辛うじて視線は合った。
尻たぶをぐっと開くウルルがアナルを狙っている状況だったが、ルキアは真剣に伝える。
「昨日はすまなかった。もっと気持ちを汲めばよかったのだ。私はあくまでも死神で、いつまでも現世に居られるわけではない。それでも、双葉と共に居たいと思う」
「あひはほう……」
「このままの関係ではいけないと思ってな。これからどうなるかはわからない。だがたとえどうなろうとも、お前の中に残ることを許してくれ」
ふっと笑って、顔を近付けてきた。
おそらくキスをしようとしたのだろうが、ボールギャグが着けられたままではいまいち状況が決まらない。ルキアは手早く外してやり、双葉はようやく疲れた口を閉じられた。
即刻ルキアがキスをして、唇を押しつけて互いに黙る。
ウルルが立てるわずかな水音を除けば、しばしリビングは静寂に包まれていた。
やがて静かに顔を離してルキアが微笑む。
ぐったりする双葉は大人しく、昨夜とは違って怒りを感じない。
ウルルに襲われ、気にせずルキアに告白され、なんだこの状況はと呆れているのだが、そうとも伝わらずに思わず嘆息してしまった。
「なんか間違ってる気がする……色々と」
「許してくれるか?」
「あー……俺もごめん。嫌いになったわけじゃないし、さっきの、嬉しかった」
そう言って見つめ合う最中も、アナルから口を離したウルルが再びペニスを掴み、裏筋に舌を這わせて限界だと言わんばかりにぴくぴく震える様子を楽しんでいた。
一体何分間こうされているのだろう。いい加減限界は近い。
すぐに双葉の表情が歪んで、彼は目を合わせたままのルキアに助けを求めようとした。
「と、とりあえず、俺動けないから助けてくれない? それはそれとして、こういうのはよくないことだと思うし……あ、相手も相手だから、な?」
ルキアは改めてウルルの顔と行動を見やり、再び双葉を見下ろして、何度か視線を動かした。
真剣に考える。そして逡巡する。
双葉を見下ろしたタイミングで声をかけられて、ようやく心が決まった。
「まず、これ外して……」
「それは断る」
「んなっ」
再び顔が近付いてきて無理やり口を塞がれた。
ちゅうっと吸いつく音の後に、強引に割って入ってくる舌。彼の舌が素早く絡め取られて、べろべろと力強く舐め回される。
些か混乱した様子の双葉がくぐもった声を発しても、しばらくキスはやめられなかった。
「んんむっ、うぐっ……!?」
「んんっ、ふぅ、むちゅっ……んふぅ」
貪るように必死にルキアが舌を絡めてくる。相変わらず双葉は抵抗もできないまま、予想する余裕もなかったようで目を白黒させていた。
満足するまで数分間、執拗なまでに舌を絡めて離さない。
ようやく顔を離した時、ルキアはギアが入った様子でムラムラしている表情に変わり、荒く呼吸をしながらその顔を見た双葉は戦慄する。
不穏な空気を忘れるほど身の危険を感じたのだ。
「んっ、んんんっ……ぷはっ」
「ハァ、ハァ……あの、朽木さん? 怒ってらっしゃいますか?」
「当たり前だ。昨日はあれから一度もしていないんだぞ。その間、私が、どれほど我慢して自分を慰めていたと……!」
目の色が違って明らかに顔つきが変わっていた。張り付けられた笑みが恐ろしい。
突発的に沸いた感情に従った結果だが、自らの判断が間違っていたのだと今更気付いた。
敵うはずがない。双葉は覚悟を決め、静かに息を呑んだ。
「ふふふふ、何から始めようか」
「ご、ごめんなさい……」
双葉は震えて謝った。しかしルキアは聞き入れられる余裕がなく、感情が暴走して、飛び付くように再びキスをしてくる。
同時にウルルは舌で十分にほぐしたアナルに指を突き入れて抜き差しを繰り返し、己の口で亀頭を銜えて激しく舌を絡めていた。
抵抗の余地はなく、双葉は諦める。
されるがままの状況で、さっきにも増してわけがわからなくなる。
深く、強くキスをしてくるルキアが、自然と動き出した手で乳首を弄り、怒りを全て叩きつけるかのように摘んで捻ってくるため、体が勝手にびくびく動いてしまう。
ルキアの乱入を許したウルルは、憤るどころか一対一だった数分前よりも喜び、混乱する双葉が追い詰められているのを見て頬を綻ばせていた。
ペニスとアナルに加えて口と乳首まで同時に刺激を受けて、嬌声というより悲鳴に聞こえる反応がリビングに響く。
がくがくと派手に腰が動いて、ペニスが痙攣するように震えて射精し、精子が手にかかった後になってルキアが大胆に体を起こした。
煩わしいと言いたげに服を脱ぎ捨て、一息に裸になった。
転がる双葉の顔を跨ぎ、遠慮もせずに自らの股間を押しつける。
「舐めろ。ほら、早くっ」
口元に押しつけられて苦しくなり、すっかり心を折られた双葉は素直に従う。
舌を使い、強く押しつけて舐め回す。
ルキアの声は甘く、弾み、感極まった様子で震えていた。
ルキアが悦に入っている様子を眺めてから、密やかに動き出したウルルは彼を勃起させるべく、アナルに突き刺した指をぐるりと回転させた。大胆な動きで前立腺を刺激し、驚く本人の反応を無視して執拗に内部を撫で回す。
すぐに硬くそそり立ち、ペニスは見るからに臨戦態勢となった。
呆けていたルキアもそれに気付き、自ら体を倒して顔を近付ける。
「あっ……んんっ、んふっ、はぁっ」
「あむっ。んぷっ。ちゅぷっ。れろっ」
「うううぅぅ……こ、殺される」
反り返るペニスを躊躇いもなく口に銜えて、ルキアは舌先に力を入れて、入念に亀頭の割れ目へ突き刺して激しく動かす。
それをサポートするかのようにウルルが玉を一つ口の中に含んでしまい、じゅぽじゅぽと音を立てながら吸いついた。口の端から唾液がこぼれても意に介さない。
辛そうな双葉とは裏腹に、二人はとても楽しそうだった。
舌を伝ってペニスの中に唾液を注ぎ込まれようとしており、嬉々とした様子は止めようがない。
体が強張って固まる双葉だが、刺激が来ないと気付いたルキアがぐっと股を押しつけ、さらに舐めろと強要してくる。苦しげにしながら双葉は従った。
その間もウルルは玉とアナルを重点的に責めていて、双葉の体がびくっと跳ねるのを愛おしそうに見つめており、表情こそ普段と大差なかったが、口元には少しだけ笑みがあった。
ずんずんと勢いよく指を突っ込み、強めにぎゅっと握った玉をぐりっと捻って、双葉が悲鳴を上げる度に心底幸せそうである。
しばらくはそうして楽しんでいたルキアだが、ついに我慢できなくなる。
やはり求めているのは自分の中を満たす存在だ。
まるで欠けていたピースが揃うように、ようやく自分が完成されるかのように、あの瞬間だけは気持ちいいだけでなく特別な何かがある。
慌てながら素早く動いたルキアは、双葉のペニスを自らのヴァギナに押し当てて止まった。
「い、いくぞっ」
「もう、好きにして……」
ずるりと一瞬にして奥まで入り込んだ。
背を反らせて目を見開いたルキアは絶頂していた。
ついに来た。昨日はなかった、待ち望んでいたのに終ぞ来なかった、この感覚こそ抑圧された精神と肉体が求めていたもの。ようやく心が満たされていく。
「あぁっ、あぁ、あああぁぁ……!?」
浸食されていくように、苛立ちにさえ感じる焦燥が溶かされていき、生まれてくるのは言い表せない幸福感だ。
ルキアは目に涙を溜めて、こぼれそうになるのを抑えもせず、必死に腰を弾ませる。
限界まで引き抜かれ、思い切り奥まで叩きつけられて、悲鳴にも似た大声を出していた。
「くふぅっ、うううぅ……! あっ! あっ! あああぁっ!?」
「おおっ、ちょっ、待って……!」
「お、お前が悪いんだぞ! 私にっ、放置プレイなどっ、強要するから……! あはぁっ!」
「そんなつもりじゃ、ぐっ――!」
ウルルは、激しい腰使いを間近で見つめて、ルキアのおまんこからぷしゅっと吹き出す愛液を顔に浴びてもまるで動じず、二人の接合部をにやけた顔で眺めていた。
思わずペニスの根元へ吸いつき、舌で舐めたり、甘噛みしながら離れなくなる。
大胆に腰を上下させてピストンを繰り返すルキアはすでにイッていた。
挿入した瞬間、動き出した途端、動きながらも何度となく絶頂を経験しており、我慢を強いられたせいなのか、今までの比じゃないと思うほど気持ちいいと感じている。あまりに気持ち良過ぎておかしくなってしまうと怖くなったほどだ。
それでも勝手に動く腰は止められない。もはやイッているのかいないのかさえ自分では認識できなくなりながら、気持ち良過ぎる快楽をいつまでも貪っていたかった。
あまりに速いそのピストンに、双葉は苦しげな顔をしていた。
それだけでなくウルルが射精を促すように玉とアナルと根元を弄ってくる。
何乗にもなって襲ってくる快感は、すっかり疲弊していたはずの彼に射精感を思い出させ、瞬く間に追い詰めて我慢さえ許さない。
「うあぁっ、もう、もう無理だって……!?」
「あーっ、あーっ……!」
「ぐぅ、イっ、くぅ……!」
あらゆる刺激で混乱していたせいなのか、いつになく強い勢いで射精して、全ての精液が彼女の膣内に吐き出された。ぶつかるように子宮まで注がれ、体は無意識的に逃さないとするかのようにきゅうっと締めつける。
異様に長く続いた射精に強い熱を感じ、目を見開いて絶句していたルキアは、しかしそれ以上に最も大きな絶頂を感じて驚愕していたようだ。
全身から力が抜けてしまい、ぐったりと倒れるルキアは動かなくなる。
双葉の胸の上で荒く呼吸を続けていて、彼自身も構うほどの体力が残らずに動けない。
ウルルだけが上機嫌そうに二人の接合部をまとめて舐め回し、漏れ出てくる精液と愛液を嬉々として飲み込んでいる。
「はぁーっ……はぁーっ……」
「あぁ、ふぅ……ご、ごめんって。俺が悪かった、から」
息も絶え絶えに双葉が疲れた様子で呟くと、放心していたルキアだが、わずかに残っていた力を使ってのろのろと動き出す。
双葉の唇にキスをして、緩慢な動作で舌を動かし始めた。
これには双葉も応じ、舌を絡め合う。
ウルルの愛撫を受けながらも、彼女の存在さえ忘れて互いの存在を確かめ合った。
「はぁ、ん……私も、悪かった。お前の気持ちを、汲み取れなかった」
「いや、俺も、大人げなかったし……もう慣れるよ、こういうの」
そうしないと身も心も危うい。
達観した様子を見せる双葉は舌を絡めながら言ってくるルキアに応えて、こうした状況も何もおかしくない、と自分に言い聞かせた。
今も下半身はウルルによって触られ、左手で玉を転がされて、彼女の右手がむんずとルキアの尻を掴み、挿入されたペニスとおまんこをどちらともなく舐められているのだが、決しておかしい状況ではないのだ。
数分に渡ってそんな状況が変わらなかったが、再びルキアが動き出す。
いやらしい音を立てて、二人の体液とウルルの唾液がまとわりついた接合部が再び動き、先程よりは余裕を持って腰がくねらされた。
ルキアの抑え切れない欲求を感じて、双葉は唇を塞がれながら嘆息した。
「ん……もう一回、するぞ」
「わ、わかりました。今日はもう、やめようなんて言いません……」
「ん。そうしてくれ」
まだまだできると言いたげにピストンはすぐにペースが速くなり、ウルルのサポートを受けて激しさを取り戻していった。
双葉は昼夜を問わず全身をしゃぶり尽くされ、何度か気絶しながらも二人の相手を続ける。
これが贖罪だと、彼は一度も文句を言わなかった。