※この作品はR-18です。

虚ろの遊園   作:ヘビとマングース

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呑まれたら、後先は考えず

 朽木ルキアは、悶々としていた。

 彼女自身は現世へ赴く任務のために利用する“義骸(ぎがい)”のせいだと結論付けていたが、真相にはついぞ気付かぬままなのである。

 自覚のない彼女は天性のスケベであった。

 

 幼い頃から歳の近い男の子たちと共に駆け回り、悪戯をして、悪童と言われた。振り返れば本人も少女らしい遊びなどしていなかったことを思い出すだろう。そのために女の子らしさよりも男の子らしさを身に着けてしまったと、自身も周囲も思っている。しかし同じ歳の男の子たちと遊んでいた頃からずっと、異性への興味は強かった。

 自分が持つ欲求や好奇心が、大っぴらに言ってはいけないことなのだろうという認識はあって、決して他人には明かそうとしなかったから、誰にも気取られていない。だが実際は昔からずっと知りたくて仕方なかったのだ。

 

 彼女は朽木家の名を汚さぬため、努めて真面目に生きてきた。

 愛だの恋だのに現をぬかしたことはなく、生真面目だという評価をされても覆さず、自らの技能を高めるためだけに時間を使ってきたのである。憧れの存在や仲のいい友人など、居なかったわけではないのだが、ともすれば沸き上がる興味や好奇心を殺すべく、意図して目を逸らし続けてきた自負がある。

 彼女はまだ恋も愛も知らず、成人した男性の裸体を見たこともなかった。

 

 こんなことになったのはひとえに彼のせいだと、ルキアは考えていた。

 事情があって同じ家に住むことになった。それは本心から彼のためであったのだ。そこまでは何も問題なく、今まで通り堅物で生真面目で、任務を遂行しようと最善の選択肢を選んで努力する、皆が知るいつも通りの朽木ルキアだったのだ。

 

 それなのにこの道野双葉という男は、今まで一人暮らしだったからだろうが、まるで彼女を誘惑するかのように振る舞うのである。

 おそらく最初に意識する羽目になったのは、風呂に入った後、てっきり自分一人だろうと思って上半身は裸で、下半身には下着のみの姿でリビングに現れた出来事だ。彼はルキアと目が合うなりあっと声を漏らして謝って、慌てて浴室に戻ると着替えを済ませて出てきたのだが、その際に見た男性の裸体は、忘れようと努めていたルキアに興味を抱かせるには十分だった。

 特別に鍛えられているというわけではないが、細いと思う程度には引き締まって、何よりその外見は女性とは見るからに違う。

 ルキアに火が点いた瞬間だった。

 

 その出来事をきっかけに、双葉は家の中での立ち振る舞いに気をつけるようになって、上半身のみとはいえ裸で歩き回ることはなくなったのだが、その振る舞いはむしろルキアの好奇心を刺激する結果になり、なぜ上半身裸で歩き回らないのかと思うようになる。

 ポーカーフェイスは得意だ。ルキアは冷静な態度で素知らぬ顔をし、意識的に双葉の着替えを覗くようになる。大抵は気配を殺して気取られないようにしていたものの、時には偶然を装って扉を開けることもあって、全てわざとだ。

 両方合わせて数え切れないほど覗き見ており、すでに習慣になっている。

 

 何度となく彼の裸体を見たことによって、忘れていた衝動が止められなくなる。

 ルキアは自覚こそないがむっつりスケベであった。

 もう我慢できないと思った彼女は、全てを義骸のせいにして行動に出たのである。

 

 大きく口を開けて、一息で亀頭をずるりと銜え込んだ。

 柔らかく温かな感触に包まれて、反射的に双葉は腰を浮かして驚愕する。突然の行動は彼に許可を取らずに実行されていた。確かにそれは彼が喜ぶ行動だったとはいえ、自発的に始めたルキアを信じられないと言いたげに見下ろす。

 

 「なっ、ちょっ……!? なんで……!」

 「んんんぅ、んふっ――!」

 

 唇をすぼめて、無意識的に妙な力が入り、まるで締め上げようとするかのようにペニスを食む。

 口の中で感じたそれは驚くほど硬く、初めて体感する精子の味がして、匂いもきついが、それ以上にひどく興奮した。

 

 実際に口で感じたものと、自身がしている行為を振り返って、ルキアはこれ以上ないほどに舞い上がっている。なんてことをしているのだろうと思えば思うほど体が熱くなる。これまで自身を律して禁じてきたからこそ、堰を切ったかのように情欲が溢れ出す。

 尻を上げて、股間に顔を埋めるように、ペニスを口の中へ呑み込んでいく。苦しさを感じて表情を歪めるほど深く挿した後、今度はゆっくり引き抜き始めた。

 

 ルキアの行動は技術を感じるものではないものの、口内の感触を初めて体験する者にとっては十分過ぎるほどに刺激的だった。

 試すかのようにペニスへ触れる彼女の行動全てで堪え切れずに声を漏らす。女の子みたいで恥ずかしいと思いながらも止めることはできない。

 

 頭をゆっくり上下に動かして、先端から根元まで口の中を出入りする。

 舌が動いて中で舐められ、あちこちを刺激された。

 両手は最初こそ竿を支えていて、慣れてくると半ば考えずとも動き出し、すぐ下にあった玉に触れてやわやわと揉み始める。

 これでもかと唾液を塗りたくり、水音がするほど激しく、ペニス全体を愛撫していた。

 ルキアは熱中し、双葉のためなど微塵も考慮せずに動いていたようだ。

 

 当初からルキアの動きは大胆で、ペニスへの恐怖や嫌悪感など微塵も抱いていない様子であり、待ちに待ったといった態度でフェラチオを行っている。

 初めての経験がこんなにも混乱したもので、双葉の心中は複雑だった。

 

 「はあっ、なんで、こんな急に……」

 

 ぐったりした彼は抵抗する力を失い、天を仰いで射精を堪えるか、ルキアが自身のペニスを呑み込んでいるのをただ眺めているしかできない。

 その時不意に、四つん這いになっている彼女の尻が上げられているのが目についた。

 彼女は正面ではなく双葉の側面から股間へ顔を埋めているため、手を伸ばせば届きそうだ。思考を失っていた彼は何も考えずに手を伸ばし、ルキアの尻を触る。

 

 するりと撫でられた瞬間、わずかに震えた。しかしルキアはペニスから口を離さない。

 どうやら、今は自分の体を触られることよりそちらを優先したようだ。

 文句を言われなかったことが勇気に代わって、負けじと双葉も彼女の尻を触る。掌で円を描くように撫でて、小さいが丸い形の肉をぎゅっと掴んだ。

 

 ルキアは制服を着ている。学校から帰って着替えなかったのだろうか。スカートがまくれると白いショーツが露わになり、双葉の視線は釘付けになる。

 こんな状況で、女の子の尻を撫で回す経験は初めてだった。

 

 「あのさぁ、俺、なんで急にちんぽ銜えられてんだろ……嬉しいんだけどさ」

 「んんっ、んむふぅ」

 「めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど……別に、いいよな? お互い様なんだし」

 

 双葉が話しかけてもルキアからの返答は得られなかった。彼女は熱心に舐めている。

 すでに余裕のない双葉であったが、自らの欲求に抗うつもりはなく、言い訳のように独り言を呟いた後、意を決してルキアのショーツに手をかけた。

 わずかに体勢を変えながら、彼女の白い下着を力尽くで下ろして、驚いた様子のルキアに気付きながらも指を伸ばす。

 人差し指で恐る恐る触れたその場所は、鮮明にわかるほど湿っぽく濡れていた。

 

 「濡れてる……いや、ガチガチに勃(た)ってる俺が言うのもなんだけどさ」

 

 指先だけ触れさせて掘るように動かしてみるとくちゅくちゅ音がする。彼もまた何度も想像し、いつか自分もと期待していたその行為に感動して、すぐさま夢中になった。

 いきなり指を突き入れるほどの勇気はなかったが、身を乗り出してその場所を見つめて、形を確認すると、DVDで見た様を思い返しながら全体と入り口を撫でてみる。

 ルキアの腰が勝手に動いていた。反応は悪くないのだ。

 

 今度は自分もと、チャンスを得てその気になった双葉だったが、あっと情けない声が漏れた。

 興奮したのがまずかった。一度射精した直後とはいえ、童貞である彼が初めてのフェラチオに感動していたのだ。そう長く我慢できるはずもない。

 本人が意識するよりも先に、気付いた時には射精していた。

 

 「んぐっ!? んっ、ぶっ、くはぁっ……!」

 

 銜えている最中に出されてしまい、勢いも強かったため喉にぶち当たる。

 驚いたルキアはしかしペニスから口を離そうとはせずに、射精が終わるまで目を閉じて耐える。そしてようやくペニスの脈動が止まった時、ゆっくり顔を遠ざけた。

 ちゅぽんと音がして口から透明な糸が伸び、先は膨らんだ亀頭に繋がっている。

 ルキアは我が子を愛でるかのように、愛おしそうにペニスの頭を撫で、うっとり微笑んだ。

 

 ベッドに背を預けて座っていた双葉はずるずると倒れ込んで横になった。

 腕で目元を隠し、体の芯から大事な支えを抜き取られてしまったかのような脱力感を覚えつつ、なぜこうなったのかを必死に考えようとして、まだ動悸が治まらない。

 

 点けっぱなしだったテレビに、いつの間にか一時停止を解除してしまったアダルトDVDが映し出されている。どうやら知らぬ間に佳境に入っていたようで、甲高い女性の声が大音量で部屋の中に響いていた。

 一息ついて、落ち着かないままふと画面を見た双葉の思考は投げやりになる。

 

 もう、細かいことはどうでもいい。

 ここまでされて、何もなかったかのように話すことなどできない。

 今後のことなど考えず、体を起こす間際に双葉は自らの意思で足からズボンと下着を抜き取って投げると遠ざけてしまい、下半身は完全に裸になって、その後で上半身を覆っていたシャツを勢いよく脱ぎ捨てた。

 ルキアは興奮した面持ちでそれを見ており、もぞもぞと自身の下腹部を気にしていた。

 これで間違いだったは嘘だ。双葉は顔を近付けて彼女の目を覗き込んだ。

 

 「ごめん。正直に言うけど、セックスさせてほしい。このままここで、今すぐ」

 「し、仕方ないな。そこまで言うなら、その、させてやらなくもないが……」

 

 どの口がそんなセリフを言うんだと呆れてしまうものの、現状の最優先は初めてのセックスをすることであり、あれこれ考えていられる余裕などない。双葉は多くを言えない状態であって、相変わらず萎えることなく硬いままのペニスを自分の手で撫でた。

 彼のその仕草を見て、ルキアも慌てて自ら服を脱いで裸になり、そのまま床で寝そべろうとする彼女を導き、二人はベッドの上で横になった。

 

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