たっぷりの湯の中に浸かって、はあと思い切り息が吐き出された。
髪を下ろしたひよ里はぐったりした様子で安堵している。
妙に疲れている気がする体がじんわりと温かくなり、溜まっていたものが溶けて消えてしまうかのような気持ちよさがある。その一方、心境は決して晴れやかではなくて、至って平均的であろう風呂場の中に声が木霊しているのなら尚更だ。
ひよ里は浴槽に肘をついて目つきを鋭くする。せっかくの気分も台無しだ。
どこで用意したのか、プロが使うようなスケベ椅子に双葉が座って、その膝の上に正面から抱きつくウルルが居る。激しくキスをして、ぐいぐいと股間を押しつけてペニスを擦りつけていた。
「お前らアホやな。暇さえあったらそればっかり……飽きろや、いい加減」
「何を言う。貴様だって人のことは言えないくせに」
双葉の背後に陣取り、椅子に設けられた窪みへ手を突っ込んで、後ろから入念に金玉を揉んでいるルキアがやれやれと言いたげに呟いた。
視線を向けられ、ひよ里はうぐっと言葉に詰まる。
確かにそうだ。他の女が始めようものなら許せなくて必ず混ざって、珍しく二人きりになると我慢できなくて触れたくなる。彼女たちがしているようなことを、自分も毎日のようにしているのだという自覚が実はあった。
「それはっ、だから、うちの場合はその……あれやろうが」
「あれ?」
「その、なんか……あぁああっ!?」
「急に大声を出すな。好きだからだとでも言いたかったんだろう」
「ちゃうわボケェ! ハゲェ!」
「照れるな」
「照れてへんわ! 照れたことないわこちとらァ!」
暴れ出したひよ里がばちゃばちゃと湯を跳ね飛ばし始める。
体を泡だらけにして、双葉の背中に胸を押しつけて洗っていたルキアはその行動を注意した。
もうすでに手慣れた様子の洗体は途中である。湯を被って洗い流されてしまうために呆れた顔で止めるよう言いつけた。
「湯を無駄にするな。まだ洗っている途中だぞ」
「いつまで洗ってんねん! もう十分やろが! お前らエロいことしたいだけやろ!」
「もちろんその通りだ」
「その通りなんかいっ!?」
「やれやれ、風情がわからない奴だ。これはただ洗っているだけではない。肌と肌を擦り合わせてエロい気分を高めているのだぞ。シャワーで洗い流すまでが様式美だ」
「知るか! ええ加減にせえっ!」
「理解のない奴だな……」
ぶちぶちと文句を言いながら仕方なさそうにルキアが動き出し、シャワーを手に取った。
没頭した様子でキスをする双葉とウルルに一声かけて、泡だらけで抱き合う二人の体にシャワーから出すお湯をかける。手で肌を撫でてやりつつ、泡を洗い流していく。肌が合わさった部分からお湯に混じって泡が落ちていくのを見るとなぜか興奮を覚えた。
上機嫌なルキアが率先して二人の体を洗ってやる。その間も双葉とウルルは唇をくっつけ、舌を出して互いに激しく絡み合っていた。
毎日毎日よく飽きもせずにできるな。そう思う反面、嫉妬と羨ましさが胸の内でぐるぐる混ざり合って冷静ではいられず、自然と体が反応してしまうようになっている。
自分が彼とする時を思い出して、近頃は体が熱くなるのが癖みたいになっていた。
ひよ里は珍しく口を挟まずに、二人の熱烈なキスをじっと見つめる。
一通り流し終えてシャワーを止め、よしとルキアが頷く。
二人もようやくキスをやめて顔を離した。ウルルはまだ物足りない様子だったものの、双葉がルキアに顔を向けたせいで続けられない。
「ありがとう。っていうか、それは正直俺も思うんだけど……」
「そうだろう? ソープではこれが当たり前――」
「そっちじゃなくて、よく飽きもせずにしてるなぁって、そういうこと」
「ヤッてんのお前やろが! 断れや!」
「いや、それは、そうだけど……」
「ふふっ、何を言い出すかと思えば。断れるわけがないだろう。双葉も男だということだ」
なぜかしたり顔でルキアが胸を張った。何を言っているんだとひよ里は呆れるのだが、これまでの状況を思い返せば否定はできず、双葉は思わず逃げるように口を閉ざしてしまう。
その口を開かせようとウルルが舌先でべろべろ舐め始めて、やはりその行動に抵抗はできずに、双葉はもはや反射的に彼女を受け入れてしまうのだ。
その一瞬における双葉の反応を見て、ルキアはにんまり笑ってひよ里に振り返った。
彼女は露骨に眉間の皺を作って睨みつけていた。それを咎めるかのように、仕方ないだろうと言うために口を開くのだ。
「混ざりたいだろう?」
「はあっ!? ちゃうわボケェ!」
「隠さなくてもいい。下で自分のを触ってるだろう」
「さあっ!? 触ってない! 勝手なこと言うなや!」
「おやぁ? 本当かな? もぞもぞしていた気がするんだがなぁ?」
「なっ、がっ、ぐっ……!」
顔を真っ赤にする彼女はしかし、自分の体の火照りを隠せなくなっていて、落ち着かせるためだと割り切って密かにクリトリスを触っていた。バレないようにと気をつけていたつもりだがルキアは目敏く気付いており、指摘されると激しく動揺する。
彼女も気になるが双葉からも離れ難い。そこでルキアは彼女を誘った。
「我慢できないなら来ればいいだろう。こんなに近くに居るのだから」
「チッ、お前らほんま……!」
「まだ割り切れないのか? 散々参加しておいて」
「うっさい!」
「相変わらずツンが強いな。挿されてる時はあんなにしおらしいのに」
ぐわっと形相が変わって思わずひよ里が立ち上がった。
ルキアは冷静に見ているものの、まずいと察してすかさず双葉が声をかける。
「ひよ里。その、こっち来てほしいなって」
効果は覿面だった。
激しい怒りを放出していたひよ里が途端に挙動不審になり、もじもじと恥じらいを見せて、深く悩んだ末に動き出す。
ゆっくりと浴槽から出て双葉の体に抱き付いたのだ。
ルキアが満足そうに頷いており、それが妙に腹立たしかったがやはり彼の言葉には逆らえない。しおらしい態度で双葉の頬へキスをする。
「ほんまにお前は、しょうもない奴やなぁ……!」
「ううむ。まさか絆されただけでここまでになるとは」
「ははは……いやもう、ちゃんと考えると色々全部おかしいんだけど」
乾いた笑いを見せる双葉は抵抗を諦めている。近頃は自らのめり込もうとしている節もあって、彼がその気になったおかげでひよ里を引き込むことに苦労しない。
三人が四方八方から抱き付いて、裸体をぴたりと合わせ、隙あらば自分だと唇を重ねる。
むっとする空気の浴室内で、思考を放り捨てるのはいとも容易かった。
ひよ里が双葉と舌を絡めている姿を見て、ウルルは彼の首筋に舌を這わせる。
洗いはしたが汗を掻いている。立ち上る熱気がそうさせていて、ボディソープの匂いに混ざるほんのわずかな彼の匂いを感じた。
状況が変わったのを見てからウルルが彼のペニスを掴んだ。
勃起して反り返っているそれを自らの膣口に押し当て、少しずつ腰を落としていく。
肉を掻き分け、鉄のように硬い感触が自分の中へ挿し込まれてきた。即座に無数のひだが慌てる素振りでその棒へ絡みつき、ぎゅうっと締めてぴたりと張り付く。
ウルルは限界まで押し込んだ後、ほっとした様子で彼の胸元へ額を押し当てた。
深く息を吐き出して、双葉が改めてウルルの尻を掴む。小ぶりだが柔らかい肉にぎゅっと指を埋めて力強く揉み、その感触に手を楽しませる。
それに合わせてウルルが腰を揺り動かした。決して派手な行動ではなかったが着実に膣内がぐるりと動かされていて、腰の動きに合わせてさらにきゅうきゅう吸いついてくる。
双葉とウルルがそうして本番を始めてしまった。
彼に抱きつくルキアとひよ里は仕方なく待ちになってしまい、ペニスは一本しかないためその間挿入はない。背中や首筋に吸いついて彼への刺激に努めていた。
「んっ、んふっ、ふぅ、ふっ……」
「一つ思ったのだが」
「あ? な、なんやねん」
気持ち良さそうなウルルを羨ましそうに見た後、ふと思いついたルキアがひよ里を見る。彼女は見るからに警戒していたが双葉からは離れようとしない。
敢えて緩慢に近付けば、警戒こそするが逃げはしない。ルキアの手がひよ里の体に触れて、顔を近付けると目を閉じられる。
何をやっているのだと思いながらも、ひよ里もまた目を閉じてしまった。
二人の唇が合わさる。
それを望んでいたらしいルキアがリードして、ちろちろと舌を出して唇を舐め、びくりと反応するが逃げずにひよ里はその行動を受け止める。
ウルルや双葉はともかく、ひよ里とこうしてキスをする機会は多くない。というより今までは彼女がそれとなく避けようとしていたため初めてだったはずだ。
唇を割って入るとひよ里は今日こそは逃げなかった。
ぬるりとした感触。口の中でゆったり動いて気ままに散歩するかのようである。
「んんっ、んちゅ、れるっ……」
「んっ、ふっ、んっ、んっ」
「んんむっ、ぷあっ……キスをしたことはなかったな」
「す、する必要がないからやろ、アホっ」
「しかし気持ちいいだろう?」
「……うっさい。ボケッ」
発言とは裏腹に態度は明らか。
ルキアが再び顔を寄せるとひよ里は背を反らせて驚くが、結局は逃げ切れずに触れられる。彼女のキスを受けて躊躇わずに口内を撫でられた。
唾液が混ざり、時には呑み込んで、二人はしばし双葉を忘れて没頭する。
背後で抱き合う二人がそうしているのはなんとなくわかっていた。
双葉は気にせず、徐々に大胆になろうとしているウルルの動きに必死に耐えている。
大胆に上下される腰により、ペニスは奥まで彼女のおまんこを突いた。
「んっ、はっ、ふっ、ふっ――」
あまり声を出さない彼女だが淡々としながら呼吸が乱れている。調子に乗ってくると速度は速くなる一方で、自らの愛液を掻き出すことを躊躇わなかった。
肉がぶつかり、全身が大きく揺れる。
双葉はウルルの体を強く抱きしめ、彼女にだけは任せず自分も腰を大きく振った。
「んんっ!? ふぅ、ふっ、んっ、んっ……!」
「あー……気持ちいい」
名前を呼んでウルルの顔を正面から覗き込んだ。
彼女の唇を乱暴に塞いで、呼吸は苦しいがだからこそ興奮する。乱暴に舌を絡めて、我を忘れるほどピストンを行った。
「んん、んっ、んむぅ……」
「声、我慢しなくていいよ……」
「はあっ、んっ、あっ、あっ――!」
鼻先で囁くと途端に表情が歪む。
決して大きな声ではないが、ウルルは態度を乱して身をよじり、先程とは違ってはっきりとした嬌声を漏らし始めた。
ますます熱が入って動きが激しくなる。
椅子がギシギシ音を発していて、しばしキスにうっとりしていたルキアとひよ里もその光景には見入らずにはいられず、この後の自分の番を想像して期待してしまった。
「あぁっ、はあっ、んっ、んあぁぁ……!?」
やがてウルルの動きが大きく跳ねた。
ぎゅうううっと膣がペニスを締め上げて、反射的に歯を食いしばって耐える。
波が引くまで、ウルルの体はがくがくと小刻みに揺れて自分の意思では止められず、ほんのわずかとはいえ小便のように潮を吹いていたらしい。
いつしか当たり前になってしまったとはいえ、年端もいかない彼女とこうした行為をするのは、罪悪感を覚えると同時に多大な興奮も伴う。
ぐったりしたウルルを抱きしめて射精こそまだだが双葉は些か冷静になりつつあった。
「はあー……はあ~……」
「まだイッていないな?」
「あ、うん。一応まだ」
「では次は私たちの番だ。打ち合わせ通りに」
何やら始めるつもりらしい。
肩口から覗き込んできたルキアは楽しげな顔をしており、ひよ里に振り向くと狼狽していたが彼女も多くを言わずに動き出す。
イッたばかりのウルルからペニスを引き抜き、双葉は言われるがままに寝かされた。いつの間にか家へ持ち込まれていたゴム製のマットのおかげで抵抗はない。
双葉が仰向けに寝転がるといまだに元気なペニスは腹の方へ反り返っている。まじまじと見つめる行動に意味はなく、確認してから二人が動き出す。
ルキアとひよ里、二人が尻でペニスをぎゅっと挟み込んだのだ。
小柄なせいか、小さな尻だが、可愛らしいそれがペニスを二つの谷間の中に埋める。
すべすべで柔らかい感触。尻に擦りつけた経験ならあるが二人に挟まれた経験はない。
双葉は思わずおおと声を漏らしてしまって、ひよ里は恥じらって動揺する一方、ルキアはついに来たぞと言いたげに生き生きした様子だ。
「こ、これは?」
「ふふふ。お前はじっとしていればいい」
「何やってんねん、ほんま……」
「そら動くぞ。んしょ、それっ」
呼吸を合わせて、二人で同時に尻を動かし、ペニスを挟んで上下にずりずりと擦り始める。
これまでの経験ともまた違った感覚。二人分のおまんこと尻たぶに挟まれて、すっぽり覆われているわけではないが柔らかい。二人の動きに合わせて亀頭が空を突く瞬間があって、ただ擦りつけられているだけなのだという自覚で興奮するとさらに硬くなった。
何よりその二人が協力するつもりでいるというのが視覚的に真新しい刺激だ。
ペニスを擦られながら、双葉は大袈裟に尻を振る二人の姿から目を離せなくなる。
「ちょっと、何やって……!」
「ふふふ、どうだ? こういうのは初めてだろう」
「はあ、んっ、なんか、擦れて……」
「確かにそうだけど……あぁなんか、エロいな」
ウルルの中で散々吸われた後ということもあり、その光景を見ている刺激も相まって、射精感はみるみる高まっていく。
加えて自由になったウルルが彼にキスをし、両手の指で乳首を転がした。
双葉は堪らずに腰を上下させて自らその時を迎えようとする。
ルキアはしばらくこのまま楽しむのも一興だと考えていたとはいえ、尻を合わせている他ならぬひよ里が興奮しており、彼のために射精させようとしているため大胆に尻が上下していた。それを見ると仕方ない。彼女に合わせて射精を優先させる。
お湯だけでなく二人の愛液がぐちゅぐちゅと音を立てた。
「うっ、くぅ、ヤバっ……!」
「んんっ、ほらっ、イケっ。イッてまえやぁ……!」
「んっ、ふふ、いつでもいいぞ。私たちの尻にぶっかけてくれ」
「ううぁ、ああぁ……い、イクっ!」
苦しげな声を発して双葉が射精した。勢いよく飛び出した精液が両側から押し付けられる白い尻に降り注いで、一部はわずかとはいえ背中をも汚していた。
双葉はぐったりして全身から力を抜き、即座に追撃しようとするウルルに対して抵抗できない。脱力するのはひよ里もまた同じであり、瞳を潤ませる彼女は呼吸を乱して動かなくなって、ルキアは対照的に余裕のある顔で微笑んでいる。
思わず自分の尻と彼女の尻に指先で触れ、付着した精液を掬い取った。
「相変わらずすごいな。どうだ? 独占もいいものだが、協力するのも悪くないだろう?」
「はぁ、はぁ……は? う、うちに言うてんのか?」
「もちろんだ。二人きりとは趣が違うだろう?」
「はあ? そんなん、別に……その、だって、二人っきりの方が……」
「イチャイチャできるか?」
「はああぁ!? そそそんなん言うてないやろ!? 勝手なこと言うな!」
「違ったか? イチャイチャするの好きではないか」
「好きなわけあるかァ!? 好きちゃうわハゲェ!」
「そうなのか。私は好きなのだが」
「んなっ」
ぐちゅぐちゅとわざとらしく唾液を掻き混ぜるウルルへ近付き、ルキアもまた彼女と同様に双葉の口に舌を挿し込む。二人から大量に唾液を注ぎ込まれ、三つの舌が絡み合い、もはや当事者ですら何が何やらわからなくなってしまった。
ひよ里は唯一そこに参加していないため、傍観者として呆然と眺める。
明らかにおかしいことをしているはずなのだ。
関係さえ明らかにされていない三人が、べろべろと舌を舐め合っている。どっちか一人に、というより自分だけにしておけよ、と思う一方で、その光景がなぜか幸せそうに見えていた。
どこともなく体がむずむずして、うずうずして、待っていることはできなかった。
思考を投げ捨てたひよ里は思わず動き出す。
自分だけが除け者にされている状況に耐えられなかったのかもしれない。まさかその関係を認めたわけではあるまいが、自らも参加するため跳びつくように移動した。
ぶちゅっと豪快に自身も唇を合わせ、すかさず舌を伸ばして三人と同時に接触した。
「ああもうっ、わけわからん……! 全部お前のせいやっ」
「認めれば楽だぞ」
「っさい!」
「ああぅ……ほんろ、ふいまひぇん」
楽しげに言うルキアを一喝する。しかし唇と舌先は離さない。
叱られた双葉は気まずそうに謝るものの、三人に同時に舌を吸われていて、間抜けな声で言えばすかさずずぞぞっと強く吸われた。