生徒会長──それは学園自治を担う生徒会のトップに君臨する、憧れの存在である。
「香坂くん、書類整理の方は順調?」
肩にかかるくらいの短めの黒髪を丁寧にかき上げ、愛嬌に満ち溢れた笑みを浮かべるのは、
品行方正、成績優秀、才色兼備、と三拍子揃った大和撫子。
そして彼女は僕、
その思いを抱くようになったきっかけは、春に行われた生徒会選挙。
そこで彼女は、勉強だけしか取り柄のなかった僕に価値を見出してくれ、副会長という名誉な役割を与えてくれたのだ。
その日を境に、僕の学園生活は一変する。
ガリ勉メガネとバカにされていた地獄のような日々は終わりを告げ、会長を支える副会長として徐々に生徒からの信頼を獲得していったのだ。
小守会長は本当に素敵な人だった。
涼しげな表情で業務をこなしながら学園模試やスポーツテストでトップを納める。そしてそのことを鼻にかける様子もなく、淡々と次を見据えて努力をしている。
人一倍学業で努力をしてきた僕だからこそ、彼女の血のにじむような努力の証は太陽のように眩しく輝いて見えていた。
だからというべきか……数ヶ月にも及ぶ生徒会活動を通じて、僕の中にあった小守会長への憧憬はますます強くなっていったのだ。
僕はそんな彼女の期待になんとしても応えたくて。
待ってましたと言わんばかりにメガネをクイっと上げて、勢いよく返事をした。
「はい会長! 頼まれた書類の整理は既に終わらせ、次の業務を進めているところです」
「そっか! さすがは香坂くん、やるねぇ」
「あ、ありがとうございます」
「いつも一生懸命で頑張り屋さんな香坂くんに、たまにはご褒美でもあげようかなー?」
「ご、ご褒美ですかっ!?」
魅惑の響きに心が大きく揺さぶられ、つい大きな声が出てしまう
「んー、どうしよっか。何かしてほしいこととかある?」
そう聞かれて、真っ先に頭に浮かんだのは、イケないお願い。
僕だって思春期の男子だ。性欲だって人並みにはある。
だけど……清廉が服を着て歩いているような小守会長にそんな卑猥極まりないお願い、口が裂けても言えない。いや、言ってはいけないのだ。
「あれ、香坂くん顔赤いよ? 大丈夫?」
「だだだだっ、大丈夫です!」
いっそわざとらしいくらいの動揺を露わにしてしまう僕。
落ち着け……落ち着け……ここは冷静になるんだ……。
「あの、会長……お願いについてはちょっと考えてもいいですか?」
「え、うん、いいよ。私に出来ることならなんでも言ってね。香坂くんにはいつもお世話になってるし、たまには喜ばせてあげたいなぁって思ってるから」
「か、かいちょおぉ……」
ジーン……!
会長の優しさに感動して、胸の中から熱いものが込み上げてきた。
くそっ! 僕はバカかっ! こんなにも僕のことを思ってくれている会長にエッチなお願いなんて、考えるだけでもアウトに決まってるだろうが!
二度と会長の前で淫らな妄想はしないこと──そう自戒の旗を心中に打ち立てると、僕は再び業務に
***
ある日の放課後。
「お疲れ様です、会長!」
「お疲れ様! 香坂くんは先に帰ってていいよ? 私はまだやることがあるから」
「わ、わかりました。お先に失礼します!」
「うん! 廊下とか暗いから気をつけてね」
書類の束と睨めっこしながらそう口にする小守会長。
手伝ってあげたい気持ちはあったものの、何かと理由をつけて断られるのはいつものことなので、僕は深々とお辞儀をしてから生徒会室を後にした。
副会長に業務を押し付けることはせず、自分の手で終わらせる。妥協も何もないその姿勢は本当に感服だ。
「ああ、やっぱり小守会長は素敵な人だな」
と、靴箱の前まで来たところで大事なことを思い出す。
「し、しまった! 重要な書類を運び忘れていた!」
今すぐ運ばないと。
小守会長に失望されたくない──その一心で、僕は急いで書類が置いてある場所へと向かう。
大きな段ボール一箱が、資料室に音もなく鎮座していた。
「よいしょっと……うわ、重いなこれ」
足取りも従ってゆっくりになるほどの重さだ。
音もなく生徒会室に現れたら、小守会長はびっくりするだろうか。
でも驚く声も聞いてみたい気がする。きっと可愛いんだろうなぁ……。
そんなことを考えながら生徒会室まで戻ってきた僕だったが、そこであることに気づく。
「ん?」
部屋の中から話し声がするのだ。
声の種類は二つ。そのうちの一人は……男?
僕は気になって、ダメだと分かっていながらも生徒会室の扉に忍び足で近づく。
すりガラスになっていて中は覗けないので、仕方なく耳だけ扉にあてがってみることに。
傍から見たら完全に変態の格好である。けれども、今はそんなことどうだってよかった。
唾を飲み込み、耳をそばだてる。
そして──脳天を貫いたのは、衝撃的な声だった。
「はあぁんっ! む、村瀬くっ……! ぁう……き、気持ちいいっっ!!」
「ぐぅっ! 小守のまんこすげー締まるっ!」
「なッ!!??」
パンパンパンパンっ!!
激しく肉のぶつかり合う、生々しい音が神聖なる生徒会室から響いてくる。
村瀬はクラスでもカーストトップに君臨するイケメン金髪男子。誰とでも親しい小守会長は、当然ながら奴とも仲が良いのだ。
いや、そんなことよりもだ……あの会長がこんな……!!
信じられない。嘘だ。何かの間違いだ。そうだ、そうに決まってる。
会長に憧れを抱く僕の脳内では、さかんに否定が行われる。
しかしそれとは裏腹に。肉欲をそそるような
「そんなにっ! 激しくしたらぁっ! おっきな声でちゃうってばぁ!」
「くっ、我慢しろよ小守! ばれたらやばいだろ!」
「そ、そんなこといったって……村瀬くんのおちんちん気持ち良すぎて……」
「はっ……はっ……はっ……ううっ、小守! 俺もうっ……!」
「んはぁっ! あっあっあっあっあっ!」
「イクぞ小守! 中に、中に出すからな!」
「まってだめ! だめだめだめだめだめっ!」
「ぐっ……! イクっ!!!」
「ああああああ! ら、らめぇぇ!! おちんちん気持ちよすぎてイっちゃうぅぅぅ♡♡」
「うぁぁ……まんこの締め付けすげぇ……めっちゃでるぅ……」
「村瀬くんの、びゅるびゅるって中に出てるよぉ……!」
「はぁ……はぁ……小守」
「んはぁ……村瀬、くん……気持ちよかったよ♡」
「俺もだ、小守」
「んちゅっ……」
それからしばらくの間、唾液の混じり合うような濃厚なキス音が続いた。
僕はあまりの衝撃にずっと言葉を失い、情けなく股間を膨張させながら、ただただその場で硬直することしか出来なかった。
お読みいただきありがとうございます!
憧れの生徒会長、小守葵の淫らな姿を見てしまった香坂樹の運命やいかに?
次回もよろしくお願いします!