※この作品はR-18です。

オオヤマネコとオオカミ   作:(ノ)・∀・(ヾ)

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驚くべきことにこの短期間で、続きました。



だいなんわ?

夏真っ盛りというころ、蒸し暑い擬西洋の家の電話が鳴った。

最近自身の息子がよく電話を取る要因になんとなく想像がつく老いた狼は、受話器を持って汗を流しながら小声がちに話す少年の姿を微笑ましく思うと同時に痛々しさをも感じるのだった。

 

(私があの電話を取ったのは偶然だったのだろうが、いや流石の私とて言い出せはしないな。)

 

『経験』を持たないよりずっと良いと言い聞かせながらもしかし誰とどんな関係になっているのか不明瞭なためにこの一父親は自身の息子のことが少し心配ですらあるのだ。

 

(とはいえあいつの性格を考えると気まずいし…。)

 

彼が初夏のころに取った電話の相手は斡旋所の通信担当者で男性だった。斡旋所の名称に聞き覚えはなく、しかし息子の名義で依頼があったこととその依頼遂行のために本人から指名のあったという半猫の女性が当たるという話で詐欺を疑ったがその際代金についての案内はなかったのだ。日時が示され家へ訪問するので依頼者本人に伝えてほしいという旨であった。

 

(幸いに私は仕事だったし、息子は祝日で学業もないから伝えなかったが。)

 

その日仕事終わりに普段は滅多なことのない限りしないが同僚を誘って飲みに行き、夜遅くになってから帰宅した彼は帰ってきてから何があったのかはなんとなく察したのであった。

 

(しかしまさかな…いや私も通った道だし悪いとは言わないがまさかな…。)

 

一人の父親として「女か!?女を連れ込んだのか!?」と帰宅早々に酒気も吹き飛ばして、夜遅かったので静かに狼狽したことは記憶に新しい。

 

(まあ…何も言うまい。)

 

それから通帳も確認した彼であったがそこに引き出された形跡はなく、どうやら自腹で呼んだらしいという理解をした。金に余裕はあるのか、大丈夫なのか、そして何より相手はどんな人なのか親心というには踏み込み過ぎた疑念を麦茶で流し込みながら、突然舞い込んできた次の出張の段取りを見直し始めるのであった。

 

 

〜〜〜

 

 

「しゅ 出張…?」

 

「話さなかったっけか?」

 

時は過ぎてその日の夕飯中、俺は玄関にあった大きめのキャリーバッグについて尋ねた。

 

「あーそうか、同僚から回ってきた仕事だからな言わなかったかも。」

 

卓上にあった携帯端末を開いた父はそれをみながら、まだ行っていないにも関わらずすでに疲れたような様子で説明してくれる。

 

「隣国に行くんだ、取引先のトラブルでな。短くても三日は家を空けるよ。」

 

「そんなに?」

 

「そう、まあお前はとっくに夏休みへ入ったんだろう?なら問題ない。」

 

そう言いながら食事を手早く済ませた父は席を立った。自身の食器とともに使った調理器具を洗うのが俺の視界のど真ん中に映る。

 

「最悪はもっと長くなるかもしれないから三日というのはアテにしないでくれ。一つ問題を潰したらもぐらたたきみたいにまた問題が出るなんてザラだからなあ…。」

 

はは、と乾いた笑いをダイニングに響かせてそのあとはただ皿洗いの音だけとなった。野菜をトマト缶とスパイスで煮た食べ物(何というのかは忘れてしまった)を珍しく作ったのは出張で長く空けることを見越してのことだったのか、と一人で納得しつつテレビを横目にパンを千切る。

 

「じゃ私はもう寝るよ、おやすみ。明日早いからな…はは。」

 

脈絡なくやたらと父が笑う時は心底嫌がっている時か疲れている時と相場が決まっている。今日はその両方なのだろう。あまり付き合わせては行けないので返事をしつつ「いってらっしゃい」と手を振って見送った。

 

「…はーよかったぁ…。」

 

今朝の電話は案の定リンクスさんだった。これでここへ来るのはまだ二度目だが、父が居るのでと断ったにも関わらず「明日から」という一点張りで結局説得できなかったのだ。これで出張でもなければ「追加料金」を覚悟するところだった。

 

「まったくもう危ないなぁ。『前もって連絡する』って何も前日にしなくたって良いじゃん、無駄に疲れた…。」

 

父にバレたらどんな目で見られるのか、なんと言われるのか気が気でなかったのだ。何より行為中を見られた日には家を出ないと恥ずかしくて居れたものではないだろう。友人たちにも「急用」と断って家にはいないことにすれば良い。

 

(もし来たら?居留守をしよう。)

 

リンクスさんも「あまり人目には晒したくない」と最初来た際に言っていたのを思い出し安堵する、と同時にほんのりとした甘い香りが思い起こされる。つづけて白い肌の肩に露出した紅色の肩紐がシャツを脱いで顔を寄せてきた時の

 

「いやいやいや、何思い出してるんだ。ああもう忘れよう、はい忘れた!忘れました!ごちそうさま。」

 

自分の分の皿を洗うだけで済むので内心は先に席を立った父へ感謝しながら、皿を洗う間は意識して何も考えないようにした。

しかしもはや一度スイッチは入ってしまったらしい。次から次へと降って湧くリンクスさんの体のイメージが、初めて自分から進んで触れた滑らかな肌の感触が、ジトッとした目で悪戯っぽく笑う顔が浮かんできて脳を支配し始めたのだ。

 

「忘れたんだ。」

 

「忘れたい」だけだろうと嘲笑するように、脳の中の引き出しが次から次へと開いて写真を意識の中に撒き散らしていく。その全てが鮮明に、指の触りから音と匂いまで引き出されるのだ。

廊下を歩きシャワー室へ向かう。

 

「もう今日は早く寝よう。」

 

携帯ゲームもなくて良いから早く寝ようと、服はさっと脱いで洗濯機に放り込みバスタオルがあることだけを確認したらシャワーを浴びに入った。ユニットバスなので浴槽を溜めて入ることもできるがそれもしたくなかった。

 

「はぁ…。」

 

疲れ切ってヤマネコにされるがまま、男女一緒に浴びたのと同じシャワーだった。自分の家なのだから当たり前だがそう言った感覚がついこの前まで続いていたのだ。しかし今の方がより正確といえる。

 

「…っ。」

 

不意に壁に両手をつくと水滴が背筋を伝って内股から流れていき肌が粟立ってゾクゾクする感覚が背中から広がっていく。あの時は最初、車椅子がないので浴槽に座り込む形になっていたリンクスさんの胸が膝裏に当たっていた。俺が体を洗う途中で足元からゴトゴトと物音がしていたので見れば、器用に膝立ちをしたリンクスさんが居たのだ。

 

『手伝ってあげようか?』

 

「いらない」

 

と反射的に答えたがもう遅かった。

 

『本当に?こんななのにか?』

 

そう言われて初めて自覚した。胸の当たる感触と人肌の温度感に俺自身疲れ果てていてもなお興奮していたことを。

 

『ごめんなさい…。」

 

『なんのことだ?』

 

しかしそこには触れてくれず、後ろの穴に彼女の細指が焦らしながら這い寄って

 

「うぅ…やめろ…。」

 

捻りを絞ってシャワーを止める。全身の泡はもう落ちていたが、湯に当たり過ぎたので上せたのか頭がくらくらして足元がおぼつかない。

 

「うぁ、うぅん。」

 

髪と尻尾を拭いて、体はその間に乾いてきている。と、籠を見るが確かシャワーに入る前に自室へ入らなかったので着替えが無いことに気がついた。

 

「…しまった。」

 

シャワー室の換気扇にスイッチを入れ、電気を消して自室を目指す。腰にタオルを巻くのでもなく全てを露出してタオルを引きずりながら、フラフラしながら部屋に入り扉を閉めた。真夏なので部屋の中も暑く、服を着る気になれないので一応タオルをシーツの上に敷いてからそのままベッドに倒れ込んだ。

 

「ぁぐ…うぅ〜。」

 

髪や尻尾は毛が長いので本来はしっかりと水気を拭き取ってからドライヤーで乾かし解かさないといけないのだが、そうする気力は上せたことで失せていて仰向けに天井をぼんやり眺めることになった。

部屋の天井を見ながら金縛りのように動けなくなるなか、脳内にはまたイメージが浮き上がる。恥ずかしがる俺の顔を眺めながらソコを摩るリンクスさんの体。白い肌に赤いレース下着が映えていて、ブラジャー越しながら生地の薄い箇所からは薄紅色の断片がチラと顔をのぞかせていた。

 

「 あ。」

 

微笑んで猫背気味に顔を少し寄せるヤマネコ。いつのまにか下着も脱ぎ捨てて何も遮るもののない綺麗な胸が胸骨を離れて球の入った袋のように垂れ型に変わりその向こうに俺のソレが隠れた。どうされているのかは快感が精確に教えてくれているのだ。気持ちが良過ぎてこの辺りから既に思考が蕩け出し、掌で先っぽを擦られるたびにあるいは先の口を指で抑えられるたびに透明な粘液だけが溢れ出て俺の蕩けてしまった思考と理性とは反対に「もっともっと」と欲しがるようだったのだ。

 

「はぅっ。」

 

俺が目を覚ました。どうやらうたた寝をしていたらしい。

満月に近い月の光がブラインド越しに俺に当たっていて、汗ばんだ俺の胸から下腹部までのあたりを青白く照らしていた。ニュースでは明日満月にさらに近づいて明後日満月となると紹介されていた気がする。

 

「ぅっく」

 

枕に寄りかかるように上体を少し上げるとそれはたっぷりと粘液を纏って月光に煌めくのだ。もうしょうがない。それにいまは俺しかいない。だったら

 

「…くそぉ…っ!ぁ」

 

リンクスさんの手つきを真似てシてみる。確かに気持ちがいい。自分でするなかではトップクラスにイイのが悔しくて悪態を吐く。

しかし足りない。あの時ほどではないのだ。

 

「何が…違うんだ…。」

 

夢中で自分を扱き磨く子オオカミの姿は自分でも辛そうだった。果てのない地獄を、満足できない荒野にジョウロで水を注ぐように渇望を逆撫でするだけの行為は一晩続いた。

 

 

〜〜〜

 

 

「なんて顔してるんだ君…。」

 

「…。」

 

以前、つまり最初に横瀬宅を訪れた時よりも窶(やつ)れたように見えるリンクスがそう言ったほどだ。エザメの顔は相当だったのだろう。

 

「昨日ちゃんと寝たのか?まあいいや。で、お父さんは?」

 

「…出張だって、三日は空けるとかそれ以上とかあやふやなことを言ってました。」

 

「ああ、まあそんなものだろう。それに私達には都合がいいじゃあないか。だろう?」

 

リンクスが玄関を通りエザメが扉を閉める。ついでに彼は鍵をかけて居留守を装った。

相変わらず優しく誘うような香りと風が吹けば飛ぶほど薄い化粧のリンクスだが、真夏にもかかわらず以前とは打って変わってカーキ色で長袖のシャツを羽織りその下に黒いトップス、紺のスカートで足も隠れている。胸元のみ鎖骨まで見えるのを覗いては素肌を見せたくないかのようにも見えて真夏にしては異常なほどであるはずだが、あまり眠れていないエザメの目には然程問題と映らなかったらしい。

 

「…監視役というのは今回も、ですか?」

 

「そうだねぇ、一応プライベートだから護衛はいないのだけど。」

 

「…?」

 

護衛役と監視役は別々なのかとエザメが気づきを得ると同時に、今回はエザメが無意識ながらリンクスを直接私室に連れ込む形となった。リンクスの方が少し驚いているようだ。

 

「あれ?今回はお茶も無しなのか、釣れないな。それともそんなに…。」

 

「…っ。」

 

部屋に入り扉を閉めて立ち尽くすエザメの股座はヤマネコが覗き込んだ時すでにテントを張っていた。

 

「クク、全く。君は費用の代用なのだぞ?あまり楽しみにするようじゃあなんとも呑気なものなんだな。」

 

「ぁっ…くぅ。」

 

そう話しながら黒いチノパンのジッパーを下ろしパンツをズボン越しにずらして露出させたソレは熱を帯びていた。それも真っ赤に充血させて血管が浮き、ドクドクと心拍に合わせて震えているのだ。

 

「アハ、ハハクククク相当我慢してくれたみたいじゃないか。健気な子は嫌いじゃない…」

 

「っ!健気なんじゃない!!」

 

「クク怒るなよおおかみ君。元はと言えば君が悪いんじゃないか雄犬が。」

 

「っうぅ!、」

 

「それは君が自分でしまいなさい」と言いながら車椅子で後ろへ引いたリンクスは部屋の扉を開けてリビングの方へと向かい、その後ろから顔を赤らめたエザメがついていく。

 

「外は暑かったよ、長期任務の間は気づかなかったことだ。無論ここも十分に暑いがね。とりあえず茶だけでも飲ませてもらうよ。」

 

「あっちょ…勝手すぎませんか…っ!」

 

リビングに入る手前でピタリとリンクスの車椅子が止まった。エザメはその様子に扉を開けるためだと予測変換して歩く速度を変えなかったのだが、それが読み違いだった。至近距離まで来てやっと、実は元からリビングの扉は開いていたのだという事に気がつく。

 

「勝手だと?」

 

「あっ」

 

ギシッという廊下のフローリングの軋む音と同時にぐるりとその場で回り振り返ったリンクスは——というよりも車椅子の車輪は強くオオカミの足を踏みつけて過ぎ去り、その痛みにエザメは思わずしゃがみ込んだ。

 

「いっだ」

 

「もとは、お前のせいだろうと、何度言ったらわかる?」

 

オオカミは咄嗟に「あなただってそうと分かって俺を都合よく利用しているじゃあないか」と言い返そうと顔を上げ、続く声を詰まらせた。

 

「っあ、!!!?」

 

紺のスカートに隠されていた真白いはだとスカートの薄い裏地、そして車椅子の座面に囲われた暗い空間の向こうが見えそうで見えないのか、或いは実際には全てが見えているのかと狼の頭脳が逡巡する。

 

「ん? あぁ…まったく呆れたな。」

 

エザメが視線を上へあげると、例のジトッとした目が悪戯っぽく微笑んでしかし口は笑わず息を小さく吐くように上の歯がチラリと艶のいい唇の間から覗いていた。

 

「足があれば蹴り飛ばしていたところだが…まぁいい。ほら、そんなに見たければ見せてやろうか?」

 

そう言うとリンクスはそっと両手でスカートの橋を掴み少し持ち上げる。薄暗い廊下であるが狼の目には白い肌が徐々にベールを脱ぎ捨てるようでひどく妖艶に映っていた。

 

「あっ やっ すいません!ごめんなさい!みみ、見ませんから!」

 

狼が慌てて顔を逸らすとクツクツと笑いながらヤマネコがスカートの裾を下ろしながら言った。

 

「一度体を重ねたというのに、純粋なやつだな君は。だから楽しいんだが。」

 

「冗談じゃない!」と心の中で叫ぶ真っ赤になった少年を他所に、リンクスはリビングへ「グラスはどこかな」と呟きながら入って行った。

 

「うん、美味しい。さっ部屋に戻るぞエザメくん。いつまで廊下で赤くなってたっているんだ?」

 

「…っ。」

 

「可愛いね。ああそうだ電話で言いそびれていたが…」

 

言い返すのも何か疲れている狼はリンクスの後を追いながらその続きを待つ。対してリンクスの尻尾は上を真っ直ぐに向いていてえらく上機嫌だった。

 

「今日明日は泊まるよエザメくん。」

 

「…え?」

 

「寝るのは君と同じベッドでいいだろう?それにまぁ食べ物は適当に買いに行こう、せっかくだから一緒にな。」

 

「は?」

 

狼の頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされ、また汗が一気に溢れて心拍数が急上昇しているのを感じた。

 

「それと、昨日散々我慢したようでちょっと酷だが今日はイかさないぞ。絶対にな。」

 

「あ…え?え?」

 

「まぁその後は飽きるまでするさ、そのための準備だと思ってくれ。」

 

「満月になったらたくさんしよう?」と笑う顔を前にエザメの思考は止まった。

 




 
6000ちょっと、初回と比べると少ないけどただの繋ぎ回なので許してほしいなと思うところです。次回も続くかは私次第なんだけれど。
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