10月14日:学園祭前夜
好きな相手を携帯電話の待ち受け画面にして、3週間隠し通したら想いが叶う……
それは榊野学園高等学校に伝わるおまじない。
学園祭を間近に控え、生徒達が浮足立つ頃、榊野学園には様々な噂が飛び交った。
待ち受け画面のおまじないもその一つ。
どうやらこの噂自体は、春先から出回っていたらしいのだが、根暗で人付き合いの無い自分が知ったのはつい最近のこと。それも知ることが出来たのは単なる偶然で、学園祭の準備中、クラスの女子たちの会話を聞いたのがきっかけだった。
その女子たちは学園祭という行事を前にして、気分が高揚していたためか、周りも憚らず大声でその手の噂を口にした。
おかげで自分にも、学園祭にのみ現れる秘密の休憩所や、後夜祭でのフォークダンスの意味など、様々な情報を得ることができたのだから、その女子たちには感謝するべきなのだろう。
もし、これでおまじない通り、好きな人と結ばれるようなことがあったら、僕は彼女らのことを一生崇めることになるかもしれない。
普段は、彼女達から、ゴミを見るような視線を向けられる僕。
入学して、友達作りに失敗した僕は、クラスに親しい人は一人もおらず、肥満な体型、さらには根暗な容姿が相まって、女子達からは汚物のような扱いを受けていた。
彼女達の横を通り過ぎれば、一様に彼女らは鼻を抑え、偶然にも視線が合えば、侮蔑するような態度を取られることが僕の日常。
当然、彼女たちに良い感情など何一つとして持ち合わせていない僕だったが、彼女達から漏れ聞こえたおまじないを藁にも縋る気持ちで実行したあたり、僕も学園祭という行事を前に気分が高揚していたのだろう。
果たしてこのおまじないを真に受けて、僕と同じように好きな人を待ち受けにしているのはどれくらいいるのだろうか。
携帯の画面を見れば、そこには黒髪ロングヘアの飛び切りの美少女。
画面越しでも分かる人目を惹く容姿に、学園一と称されるブレザーの膨らみ。
同じクラスの
部屋のカレンダーに目を向ければ、明日の日付に丸印がついており、下には学園祭と赤文字で書かれている。
□□:「(出来ることなら桂さんと一緒に周りたかったけど……)」
心の中で呟いた想い人と一緒に学園祭を周りたいという願望。
その願望は、彼女と僕が学園祭実行委員である以上、叶うことは無い。
□□:「(実行委員はどちらか必ずクラスに居ろだなんて……)」
僕は、学園祭前日になって告げられた担任の言葉に腹を立てる。
僕と桂さんは、四組の学園祭実行委員。そのため、担任が言うには、常にどちらかは教室に残り、クラスを監督しなければならないらしい。
担任の良く分からない言い分。
必然、僕と桂さんが一緒に居られる時間は、後夜祭に限られ、僕は後夜祭で桂さんと一緒にいる姿を想像した。
僕と桂さんは、同じ学園祭実行委員であったため、他の男子生徒より、彼女と交流があったと自負している。
クラス一の美少女である桂さん。
なのに同じクラスの男子生徒で、桂さんに話しかける者は誰一人としていない。
その理由は多分、彼女がいじめを受けているからなのだろう。
彼女をいじめるのは、スクールカーストの頂点に位置する女子の集団。
学生生活を順風に送る上で、スクールカースト頂点の彼女達を敵に回してまで、桂さんとお近づきになりたいと思う男子生徒はいないというのが僕の見立てだった。
桂さんを邪険に扱っている女子達は、奇しくも、おまじないを教えてくれた女子達だ。
特にその女子達のリーダーである
なぜ、加藤さんは桂さんをあんなにも目に敵にするのだろうか……
加藤さんも桂さんと遜色ない美少女。
明るく、クラス内外にも友達の多い加藤さんは、桂さんよりも人気が高い。唯一、目の敵にするとしたら、桂さんの胸囲だろうが、性の好みは人それぞれ。それが理由とは思えない。
□□:「(ふぅ……障害は多いな……)」
僕が想像したのは僕と桂さんの二人の未来。
僕と桂さんがおまじない通り上手くいっても、その後の未来に障害は多い。
告白して、上手くいって、物語のようにそこで終わり……とはいかないのだ。
そもそも告白が上手くいくかも分からない。
それでも、少しの可能性に賭けて僕は行動に移すと決めたのだ。
僕は、もう一度携帯をのぞき込む。
待ち受け画面には、想い人である桂さん。
その頭上に映る時刻はすでに学園祭当日であることを指していた。
おまじないの条件である3週間。
今日、僕は桂さんに告白する。
緊張からか、眠気はない。
それでも寝不足はまずいとベッドに入った。
視界を閉じて思い浮かべるのは想い人の姿。
ズボンと下着を脱いで、僕の右手は股間へと伸びる。
寝る前の日課となった自慰行為……
…………
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
僕の指が桂さんの乳房にのめり込み、その大きな乳房が僕の手によって大きく歪んだ。
荒い息を吐く桂さん。
彼女は僕の下半身に跨り、腰を上下に揺すっている。
繁みで隠されているが、僕のペニスは今、彼女の
下半身からぬちゃぬちゃとした卑猥な音が響き、僕のペニスに程よい刺激が与えられる。
騎乗位の体勢で動く彼女に対し、僕がすることは左手で彼女の胸を鷲掴むことだけ。
少しばかり強めに掴んでいるはずだが、彼女は恍惚な表情を浮かべ、快楽で身を拗っている。
言葉:「あっ、んっ、気持ちっいいですかっ?」
□□:「うん、気持ちい……とっても」
言葉:「よかったっ、あんっ、もっと気持ちよくっ、んっ、なって下さいっ」
そのセリフの後、桂さんの膣に力が籠った。
僕を気持ちよくさせるため、必死に膣を収縮させているのだろう。
そして、徐々に桂さんの動きが早くなる。
□□:「ごめんっ、もう出そうだ!!」
言葉:「いいですっ! んっ このまま
□□:「桂さん!
言葉:「はいっ! 私も、イキますっ、あっ、あっ、あああっっっ――!!」
桂さんの嬌声が響き渡る。
突如として身体に広がる疲労感。ペニスを覆うコンドームには、少量の精液が溜まっている。
言葉:「
□□:「いや、それは……」
桂さんが僕の願望を口にする。
当然、僕としてはコンドームを付けず、ナカに
しかし……
僕は近場にあったティッシュを手に取り、自分の精液でベトベトになったペニスを拭いた。
程なくして心地良い倦怠感と虚無感に襲われ、次第に瞼が重くなる。
□□:「桂さん!!」
言葉:「…………待ってますから」
□□:「!!」
彼女が微笑む。
そして、次第に彼女の輪郭は失われ、闇と同化するように溶けていく。
必死になって伸ばした手。
僕の手は虚空を掴み、そして倦怠感に引きずられるように僕の意識は深い底へと沈んでいった。