EP9「雄英の祭りの物語」の3話「お祭りの始まり」中で言及されている、メイドコスプレえっちのお話です。
それは死穢八斎會の事件が解決する、少し前のこと。
「ただいまですー」
「おかえり。……随分と大量の荷物だな。どうしたんだ?」
部屋で試験勉強をしていた私のところに段ボール箱を二つ、重ねて抱えたヒミコが戻ってきた。荷物が届いたということで、彼女は教員棟に行っていたわけだが……それなりの大きさの箱が二つ。これでは前を物理的に見るのも難しいだろう。
これほどのものを持ち帰ってくるとは思っていなかった。一体何を持ってきたというのか。
「アマゾンで服を買ったんです」
「……この量をか?」
「はい! あ、大丈夫ですよ。お金は例の案件でお給料が出るそうなので!」
「……いや。まだ手元にないものを当て込んで大量購入するなんて、いかがなものかと思うのだが」
なんということをするんだ。確かにインターンでも給料は発生するが、ヒーローの給料は歩合制なんだぞ。手元にないだけでなく、具体的にどれくらい振り込まれるかもまだわからないというのに、よくそれでこんなにたくさんの買い物ができたものだ。
「そんな衝動買いのようなことをして、あとで足りないと泣きつかれても私は貸さないぞ?」
「ルームシェアしてたときはコトちゃんの稼いだお金だけで十分賄えてたので、トガ家の生活資金とかお小遣い、ほとんど残ってるんです。だから大丈夫ですよぉ」
「……本当に大丈夫なんだろうな……」
不安だ……不安すぎる。
服飾についてはまったく詳しくないが、高いものだと一着で一万以上かかるものがあることくらいは知っている。そんな高額なものばかりを買い漁ったとは思わないが、それでも数があるとなれば馬鹿にはできまい。
だが私が不安だとどれだけ言ったところで、既にやってしまったことは戻らない。大丈夫だと本人が断言するのであれば、私からはもう何も言うまい。
どのみち、本当にどうにもならないとなれば助けることだし。
「……で? どうしてまた急に、しかもこんなたくさんの服を買おうと思ったんだ?」
「コトちゃん、本当にファッションに興味ないんですね……。もう秋ものはとっくの昔に始まってるんですよ?」
「毎年ごとに、シーズンごとに衣服を買い替えるなんてもったいないことができるわけないだろう。布だぞ?」
「もー、そういうとこはしっかり頭ジェダイなんですからー。コトちゃんはもうアヴタスくんじゃないんですよ? とぉってもカァイイ女の子なんですから、目いっぱいオシャレしましょうよ……ってことで、こっちコトちゃんの分です」
「は?」
思わず目を点にした私の前に、段ボール箱が一つぼんと置かれる。二つあるうちの、やや小さいほうである。
だが困惑する私をよそに、ヒミコはとまらない。箱の中から手近な服を手にして、こちらに見せつけるようにして掲げた。
「じゃーん! 今年イチオシと評判の秋ものコーデです! もうちょっと涼しくなったら、これでデートしましょう!」
――コトちゃん自分からは進んで着ないけど、私が一緒にしたいって言ったら着てくれますもんねぇ?
最後にそう付け加えて、にまりと笑ったヒミコの顔は、ヴィランさながらであった。
だが、同時にしてやられたとも思う。基本的に、私は彼女の要請を拒否できない。
なぜって、私は彼女が喜ぶ姿を見るのが大好きなのだから。惚れた弱みと言ってしまえばそれまでだが。
そんな彼女が、ペアルックをしたいと言えば私に否があるはずもなく。
仕方なく私は手をとめると、ため息混じりに段ボール箱の開封に付き合うことにした。
とはいえ、ヒミコがそれだけで済ませるはずもない。私は早速、試着という名のファッションショーをさせられる羽目になったのだった。
ただ、私が着飾ることに忌避感を持っているのは、単に贅沢を嫌うからである。派手な見た目は好みではない。アクセサリにも必要性を感じない。何より、定期的に買い替えるという行為が、どうにも受け入れられない。
なので逆に言えば、それ以上のものはないため、いざ着るとなれば女物だろうとなんだろうと気にはならない。
そもそもの話、女になってもう十一年が過ぎているのだ。今さらそんなことでためらったりはしない。
むしろ、前世の趣味に合わせた格好など今の身体には似合わないものばかりだ。身の丈に合った服装、という意味では確かにヒミコの言い分も間違ってはいないのである。
もちろん選ばれた服の方向性は、彼女の好みも多く反映されているのだろうが……私にはそれぞれの良し悪しはわからないし、絶対にこれだというようなこだわりもない。
だからなんとなくで選ぶしかないが、それをするとフォースダイアドであるからか、高確率で二人の趣味は合致する。かくして私は、誰がどう見ても立派な少女としてのいでたちとなったのである。
「んふー、カァイイ……! やっぱりコトちゃんはこういう女の子らしいカッコがとってもとっても似合うのです!」
「ありがとう。君もよく似合っているよ」
バシャバシャと音を立てるカメラ……スマートフォンのレンズから顔を背けつつ、ヒミコには目を向けるという無駄に器用な真似をする私であった。恥ずかしいとは思わないのだが、目立つことに繋がる言動を無意識に避けようとするのは、もはや前世から続く本能のようなものだろう。
ただ、本当に羞恥心はないのだ。だからポーズを取ったり表情を作ってみたりと、昔母上から言われたことを思い出しながらやってみたりするのであるが……それそのものが楽しさに繋がることはなかった。仕事のような感覚である。
しかしそんな私を見たヒミコの反応に、なんとも面はゆい想いを抱いたことは事実である。まさかここまで喜んでくれるとは思わなかったのだ。世の女性陣は、幼い頃からこういう感覚を持ちながら育つのだろうか? 興味深い話だ。
ただいずれにしても、一年前の私にこの写真を見せたら、”個性”で作られた偽者か操られているとでも思われそうだな……。
……あ、そうだ。この短時間で溜まりに溜まった私の写真は、せっかくだから実家の両親に送信しておこう。私を着飾ろうとあれこれ苦戦していた母上は喜ぶだろうし、父上などはさぞメロメロ(ヒミコ談)になることだろう。
この程度のことで親孝行になり得るのなら、もっと早いうちからしておけばよかったかな。己の感性に合わないからと、母上からの要請を拒否し続けていたことを今になって申し訳なく思う。
だが、どうやらまだ服はあるらしい。さすがにそろそろ疲れてきたのだが。
本当に一体どれだけ買ったのだ……と思いながら、私は段ボール箱の底のほうにあった服を取り出した。
「……ん?」
だが、それは今までのものとは明らかに毛色が違っていた。
紺一色で、飾りなどもないため極めて地味。これは知識の乏しい私でも、着飾るためのものではないと想像がつくのだが……いや、しかしこれは。
「これは……メイド服、だったか……?」
なぜこんなものがあるのだ?
そう思いつつ、段ボール箱の中を覗き込む。そこにあったのは、セーラー服とナース服、それに巫女服だった。ますます意味がわからない。
一応、特定の職業、あるいは立場を示す制服という意味では共通点のあるもののように見えるが。だとしても、それを私たちが使うとなると違うと思うのだが。セーラー服がかろうじて、と言ったところだろうか。
……いや待て。これ、よく見たらヒミコが退学した地元の高校の制服だな。なぜ今さらになってまたここに……。
「……ヒミコ?」
なので、思わずヒミコに問いかけて。
返ってきた艶めかしい笑みに、私は思わず後ずさった。
ちらりとのぞく鋭い犬歯が、まるで獲物を求めているかのように白く冴え渡っている。知らず、首筋がひくりとうずいた。
「……実はですね、こないだ夜の談話室で峰田くんと上鳴くんが意気投合してたんですよ」
「待ってくれ。その先を聞いてはいけない気がするんだが」
「それで何の話してるのかなって思って聞いてみたら、コスプレえっちするときに全部脱がせるのはあり得ないって話で」
「ヒミコ、待ってくれ。頼む」
「私も心の底から同意するのです。……でもそのとき、思ったんですよ。そういえば、そういうプレイはまだしたことなかったなーって」
「ヒミコ」
「そういうわけで、せっかくなので一緒に買いました!」
「せっかくなので、じゃあないんだよ!」
大声を張り上げた私であったが。現実は非情である。
結局、最終的にはそういうことになってしまった。
で。着替えながら、こすぷれなるものについて説明を受ける。
なるほど、特定の職業のものであったりフィクションのキャラクターに扮することをそう呼ぶらしい。それそのものは各地で見られるものだったようだが、言葉自体は日本が由来のようだ。和製英語がそのまま世界に浸透したのだとか。
「要するに仮装か」
「そうなんですけど、そう言われるとなんかちょっと違和感あります……」
そしてその状態で、性交をするというのも一つの文化として存在しているということらしい。どうにも理解しがたい文化だ。
着衣のままでの性交は何度か経験しているが、私個人としては裸でしたいと思うのだ。洗濯するものが増えて面倒だし、何より肌と肌を直接重ねて、相手の体温を少しでも近くで感じていたいと思うから。
とはいえ、仮装してとなるとただの着衣で致すよりは何か違うものがあるのかもしれない。何事も経験である。
そう思いなおしたところで、モブキャップ? とやらを被って着替えが完了した。
「んんん~~!! 思ってた通り、とってもカァイイです!!」
「……そうかな? 似合っているなら嬉しいのだけど、この服は元々地味じゃないか」
再びスマートフォンを取り出し、撮影を始めたヒミコをよそに姿見へ目を向けてみる。
当たり前だが、鏡の中の私はいつもの私なら絶対にしない格好をしている。おかげで我がことながら違和感がすごい。
だがまあ、前世に比べると格段に整った少女であるのが今の私である。似合う似合わないで言うなら、きっと似合っているのだろう。
……ただ、なぜ私の背丈にこうもぴったり収まる服が都合よく手に入ったのだろう。いや、胸の周辺はだいぶ余っているのだが。
「デトネラット社のやつですよぉ。あそこ、一人一人が違いすぎる現代人に合わせたモノづくりを前面に出してるじゃないですか」
「ああ……そういえばこの星、超常が日常になって百年近く経つのだったな……」
「オーダーメイドじゃないのは、単純にお金が足りないからです。さすがにそこまでやると、足が出そうだったので……」
「賢明な判断だと思うよ……」
その賢明な判断を、もう少し前の段階で働かせてほしかったところだがね。
しかし……こうして着替え終わってから改めて全体を眺めると、非常に露出の少ない服だな。袖もそうだが、スカートがとても長く足はほぼ隠れてしまっている。頭もモブキャップで髪の大半が隠れているし……。
これを着たまま性交をする……? 視覚的に、まったく性的な興奮を喚起できないように思うのだが。ロングスカートなど、邪魔でしかないのでは……。
「んふふ……さあ、それはどうでしょ?」
そう思っていた私に、ヒミコの妖艶な笑みが向けられた。彼女はその顔のまま、己の服に手をかける。
「コスプレで一番大事なことは、なりきることなのです。着た衣装に見合ったことを、見合った言葉遣いで言うんですよ」
「なりきる……演技をするということか?」
「はい。それで、普段の自分たちじゃ体験できないようなことを、疑似的に体験するのがコスプレの醍醐味なんですよぉ」
会話の中でもぱさり、ぱさりと服が次々に床に落とされていく。
しかし、彼女は全裸にはならなかった。キャミソールとショーツを残したのである。
その姿には、私もさすがに感じるものがある。キャミソールとショーツの間からのぞく、彼女の柔らかげな腹部に一瞬視線を奪われた。
一方で、ヒミコはその状態で椅子に腰を下ろした。そして、私のほうにつま先を向けてくる。
「つまり、コトちゃんは今、私のメイドさんです。なのでー……私に、しっかりご奉仕してくださいね?」
ヒミコの目が、いじわるそうに笑っていた。普段なら、基本的に視線を合わせてくれる彼女としては珍しい態度。
ただ、上位者が下位者に向けるものと思えば、何もおかしくはないわけで……ここに来て、私もその意図を理解した。
だから意識して思考を切り替える。ヒミコのために、尽くすつもりで。
目の前の少女は、私のご主人様。己にそう言い聞かせながら、答える。
「……かしこまりました、ご主人様。誠心誠意、努めさせていただきます」
私はこの場にそっと膝をついた。そこから少し前に出て、ヒミコの足をそっと手に取る。
そして、その足に……つま先に。私は、大切なものにするように、優しく口づけた。かすかに音が鳴る。
それを繰り返す。何度も、何度も、愛しい人の足に唇を落とす。
だけでなく、時折舌を伸ばして舐めまわす。
嫌悪感は欠片もない。少し塩気のするそこは、同時にヒミコの匂いがより強く感じられて。むしろ……これはこれで良いように感じられた。
合間合間に、ヒミコが小さく笑う。くすぐったいのだろう。
その声を聞きながら、少しずつ、少しずつ奥へ進んでいく。
つま先からくるぶしへ。くるぶしから足首へ。足首から太ももへ。太ももから膝へ……。
進むにつれて、空いていた手にも出番がやってくる。白く、なめらかなヒミコの足をそっとなでる。羽が触れるような、かすかな……それでいて、甘やかな手つきで、柔らかい下半身を愛撫する。
そして――
「ん……っ」
――一番奥に辿り着いた。
薄い布一枚で隠された、一番奥。その入り口へ、ショーツ越しに口づける。ぴくりと、ヒミコの身体が少しだけ跳ねた。
その勢いのまま、ショーツに口を当ててふう、と息を吹き込む。
「んぅ……っ」
もう一度、彼女の身体が小さく跳ねた。先ほどより、少し大きい。
もっと。もっと。足りない。まだ足りない。
だから、顔を動かす。口を動かす。歯を、舌を総動員して、ショーツの奥にある秘所を断続的に刺激する。
そうすると、少しずつヒミコの匂いが強くなっていくのだ。ショーツも、私の唾液以外のものによるにじみがはっきりと浮かんでいる。外から与えられた刺激によって、彼女の身体が徐々に徐々に昂り始めているのだ。
「――……っ♡」
熱っぽい息が、彼女の口から漏れた。声を我慢するように、彼女が唇をきゅっと引き締める。それでも、寄った眉根を見れば彼女が快感を覚えていることは明らかで。
ちらりと上目遣いにそれを認識した私の胸の中で、何とも言えない達成感が生じた。胸が高鳴る。気分が高揚する。身体が熱を帯びていく。
嬉しい。私の愛撫で、彼女が感じてくれている。それが、何よりも嬉しくて……ああ、これが誰かに奉仕する喜びなのだろうかと感じられた。
けれど同時に、物足りないとも思う。
もっと気持ちよくなってほしい。もっと昂ってほしい。我慢なんてできないくらい、強く、強く感じて、乱れてほしい。
だから、もっと。
もっと尽くすから。この人のためなら、なんだってできるから。
でも今のままでは、奥の奥まで届かないから……だから。
私は、
すると、察した彼女が少しだけ腰を浮かせたので、その隙にするりとショーツを下ろす。
瞬間、秘所が目の前に現れると同時に強い女の匂いが解放された。今まで布が押し込めていたそれが立ち上り、私の鼻腔を犯し始める。
ああ、なんてかぐわしい香りなんだろう。好きだ。この匂いが、愛しくてたまらない。
知らず、呼吸が早くなる。そうすれば、もっとこの匂いを浴びることができると無意識のうちに理解しているのだ。
けれど、ここで我を忘れてはいけない。私はご主人様に奉仕しているのだ。私の欲求を優先するわけにはいかない。
「……失礼、いたします」
「いいですよ……来てください……」
ご主人様の許可をいただいて、私はご主人様の股間に顔を近づける。手入れが行き届いたつるつるのそこは、うっすらと赤みがかっていて、かわいらしい。
そんな場所で、一番自己主張しているもの。今までは、あえて触れずに避けてきたもの。期待するかのように顔を覗かせているもの。
つまりはクリトリスに、私は口づけた。
「んんーー……っ!♡」
するとたちまち、ご主人様の身体が跳ねた。ほぼ同時に、すぐ近くにある大切な場所からとろりとした透明の液体が漏れ出てきた。
その液体……愛液を、私は恭しく舌で受け止める。が、思っていたより量が多い。このままでは受け止めきれない。
私はそう判断して、すぐさま膣に口をつける。さながらコップに口をつけるように、入り口全体を覆う形で口を当てがい、愛液を吸い込むのだ。
「ぁ、ちょ、」
ついでなので、舌を伸ばす。ざらついた表面で、膣の周辺を口の中で舐めまわすのだ。
「んッ、あ♡ は、はぁ……っ、ふ……っ♡」
艶めかしい声が、上から断続的に降ってくる。それに応じるように、私は口を、舌を動かし続ける。
やめろとは言われていない。むしろ、もっとと望まれている。
だから私は舌を思い切り突き出すと、膣の中にゆるゆると挿入し始める。
「ひゃあ♡ あッ」
限界まで入ったことを確認したあとは、頭を動かして舌を出し入れする。ただ前後に動かすだけではなく左右にも、またひねりも加えることで、動きにバリエーションを持たせることも忘れない。
経験上、指のほうがより奥まで届くし細やかな動きが可能なのだが、今の私はメイドである。ご主人様の大切なところに指を入れるのは、少々畏れ多い。
それにこれはこれでやりようはあるし、これはこれのよさがある。だから私は動きをとめず、ご主人様の膣を堪能するのだ。
もちろん、これに並行してクリトリスを刺激することも忘れない。指を伸ばして、舌に呼応させる形で緩やかに、ときにきびきびと。そうすることで、彼女を勢いよく絶頂まで連れていくのだ。
「んく……っ♡ ふ、あ、あ♡ あー……っ、あっ、んんッ♡」
ご主人様の呼吸が、どんどんと荒くなっていく。あるいは私も。
それ以外に言葉はないけれど、それでいい。私たちの間には、言葉よりも確実で、言葉よりも深く伝わる手段がある。
お互いの感情を、お互いの想いを、それぞれの頭の中へ送り合いながら。
もう少し。あと少し。
逸る気持ちを抑えながら、丁寧に奉仕を続ける。
そして、
「――……ッ!♡ あっ、も……ダメ……っ♡ あっ、あ、い、ん……っ、く……っ、イく……っ♡ イっちゃう……っっ♡♡」
そのときはやって来た。
「あ♡ ふああぁぁっっ♡♡」
ご主人様の身体がのけぞり、両脚がぴんと伸びる。つま先が彼女の意思に反して丸まり、全身が小刻みに痙攣した。
同時に口を離した私の顔に、噴き出した愛液が勢いよくかかる。思わず反射的に目を閉じた。
けれど、拒絶などしない。それどころか顔の位置を、より多く愛液を被れるようなところに調整しなおした。
あー、と口を開いて、愛液を摂取する。味はほとんどしない。しいて言えば、かすかにしょっぱいかなという感じである。
まあ、味のことは別にどうだっていいのだ。ただ、大切な人が絶頂に達した証を自分のものにしたいというだけなのだから。
「ん……っ♡」
絶大な達成感が私の身体を極限まで高揚させる。嬉しくて、誇らしくて。
全身が、小さく。けれど間違いなく、一度跳ねた。身体の中心部から外に向けて、快感が一瞬にして駆け回ったのがわかる。
「あ……♡ は、ふ……♡ ふ、ぅ……♡」
一方で、荒い呼吸をしながら力を抜いた身体を椅子に預けるご主人様。
彼女が落ち着くのに比例して、吹いていた潮も終わる。それが、少しだけ寂しく感じる。
「……ん、ふぅー……♡」
「……カァイイ姿でしたよ、ご主人様……」
「ん……んへへ……♡ 気持ちよかったですよぉ……♡」
互いに蕩けた視線を向け合って、笑い合う。
それから、口元をぺろりと舐めてぬぐった。
「……どうでした? なり切ってみて。悪くなかったでしょ?」
そしてその言葉に、私は我に返った。
「それは。その……まあ……」
視線を泳がせつつ、しどろもどろに答える。だがその態度が、答えそのものだと言っていいだろう。
顔が熱い。普段あまり羞恥心を感じない性質だと思っているが、今ばかりは避けられそうにない。
思い返すと、私は何をやっていたのだろう。完全に
そんな私に、くすくすと笑いが向けられる。
「カァイイ……カァイイねぇ……。コトちゃんが恥ずかしがってるところ、滅多に見れないので私は嬉しいですぅ……♡」
「うう……」
「でも……もっともっと、見たいので」
そんな笑いが、いつの間にか変わっていた。先ほどしていたような、意地の悪い笑み。
ヒミコはその顔で、私を立たせた。そして、私の股間に手を伸ばしてそこを布越しになでる。
「ひゃ……っ!?」
「続き……しましょ?」
「あ……♡」
ふ、と耳に息を吹きかけられて。身体がふるりと震える。ぞわりとした感覚が、全身を走った。
「わかってるんですよぉ……? コトちゃんってば、ご主人様のおまたをぺろぺろして興奮してましたよねぇ……?」
耳元でささやかれる。それに伴う微かな呼気が、不規則に私をなでる。
私の身体はそのたびに、ひくりひくりと震えてばかりで。
「ぅ……ち、が……そんなことは……」
「ふぅーん?」
「ふあっ♡」
耳を甘くかみつかれた。瞬間、またしても全身に快感が走る。
だがそれ以上触られることはなかった。ヒミコはするりと下がってしまい、私は思わず彼女の顔を見る。
「違うって言うなら、証拠を見せてもらいましょっか。ほら……見せてください」
具体的にどう、とは言われていない。けれど、それが何を意味しているかはわかる。
ごくりと生唾を嚥下する。その音が、やけにはっきりと聞こえた気がした。
わかっているのだ。自分の身体が今、どうなっているかなど。
わかっているのに、言葉にして認めるのがどうにも恥ずかしくて。結果として、もっと恥ずかしいことを強いられている。
それが、そのことが。
「……♡ は、い……」
気づけば私は頷いて、スカートに手をかけていた。自分でも呆れるくらい緩慢な動作で、ロングスカートをたくし上げる。
長ったらしい所要時間は、躊躇ではなく期待。本能的に行っている、お互いへの焦らしだ。
だから、
「なんですか、これ?」
こうなる。
「ひゃっ、あ、だ、だめ……」
露わになったスカートの中は。
ショーツの上に、さらにタイツも合わさって鉄壁になっているはずの、私の股間は。
既に、明らかに湿っていて。
私の意識は、既に先ほどのメイドとしてのそれに戻っていた。
「何がダメなんです? ねーえ? 何にも違わないじゃないですか。ほら、ほらぁ」
ご主人様は言葉でなじりながら、私の股間をつんつんとつつく。二重の防備が刺激を抑えてくれているはずなのに、それだけで私の身体は何度も跳ねた。
「ご主人様に奉仕するだけで、こんなに感じちゃうなんて……」
「ん……っ、んんッ、あ、ん……っ♡」
「聞いてます? 何気持ちよさそうにしてるんです?」
「あ……っ♡ は、はい……聞いて……ますぅ……っ」
「……もう。なんてダメダメなメイドさんなんですかね。ほんと……」
す、っとご主人様がもう一度耳元に口を近づける。
「……コトちゃんの、えっち」
「――~~~~っっ!!♡♡♡」
そして放たれた罵声が、私の耳を犯した。
直後、激しい快楽の波に押しつぶされて、私はその場にへたり込んでしまう。びくびくと跳ね回る身体を抑えきれない。身体の奥底から、愛液が湧き出してくる感覚がする。
「ほとんど触ってないのに、言葉だけでイっちゃうなんて……イケない子なのです……」
声に反応して思わず顔を上げれば、そこにあったのは冷たい色欲で満ちた目。
けれど、私を捨てようという色合いは一切なくて。
「これは、おしおきが必要ですね?」
「……っ♡」
それが余計に、私の
ひょいと身体を持ち上げられる。そのまま私はご主人様のなすがままに、椅子に横たえられた。位置関係が逆になった。
同時に、キャップがぱさりと落ちて、髪が前に落ちてくる。
「いいですか? これから私がいいって言うまで、イっちゃダメですよ」
などと言われながら、タイツをはぎ取られた。誰の目からも明らかなくらい、ぐしょぐしょに濡れたショーツがあらわになる。それがまた、私の羞恥心を煽った。
そしてスカートを固定しているよう、指示されて。
「ああああぁぁぁぁっっ!?♡♡」
次の瞬間、勢いよく膣に指が入って来た。全身が跳ねる。
「ちょ、早……イったらダメって、言ったじゃないですか。入れただけですよ?」
「あ♡ あッ♡ は、ああッ!♡」
指が、出し入れされる。
無理だ。こんなの、我慢できるはずない。
「ねえ、聞いてます? もうちょっと我慢しようって思わないです?」
「んんんっ、ああああっ♡♡」
指が、身体の奥の奥をこすり上げる。視界の中のどこかで、電気が走ったような気がした。
ちゃんと我慢しようと思っていたのに。今でも思っているのに、まったく言うことを聞いてくれない。どうやら私の身体は、すっかり快楽の底に堕ちてしまっているらしい。
「……ダメそうですねぇ」
「……あ……っ」
指が、抜かれた。途端に強烈な喪失感に襲われる。
ご主人様を見る。呆れた顔があった。
そこに、指先が掲げられる。とろりとした液体にまみれた指。部屋の明かりに照らされて、てらてらとぬめり輝くそれは、私が出したもので。
さらに羞恥心が煽られて、顔が一気に熱くなる。
「ねえ? 私言いましたよね? イったらダメだって。そんなことも覚えてられないんですか?」
「ち、ちが……わ、私……私は」
「何が違うんですか。ねえ?
「ぁ……ぅ、わ、私……」
「黙っちゃわかんないですよ。はっきり声に出してください?」
言わなくてもわかるくせに。
なのに、ご主人様はいじわるだ。
でも、
「ぅ……」
でも、そういうところも。
「……ご、主人、様の、指が……気持ち、よすぎて……。我慢……できません……」
「もっと大きな声で」
「ご主人様の! 指が気持ちよすぎてっ、ご主人様が、大好きで……っ、だから、だから私……っ、我慢できませんっ!」
そういうところも、大好き。
にまりとした笑顔が、向けられた。
「……仕方ない子ですねぇ」
「ぁ……♡」
その笑顔のまま、キスされた。柔らかい感触が、私の唇から広がる。
胸がきゅんとした。
「素直なところに免じて、今日はこのままかわいがってあげます」
「ぁ、い……」
「なので、命令を変えましょう。……今日はたくさん、たぁっくさん、喘いでくださいね?」
「はい……」
「それと……イくときは、ちゃんとイくって言ってください。いいですね? 言わなかったら、やめちゃいますから」
「はぁい……♡」
その命令なら、ちゃんと遂行できる。
嬉しくなって、私は顔を蕩けさせて返事をした。
そして、
「イ♡ イきますっ♡♡ ひッ♡ まッ、またイッ♡ イくっ♡♡ イきますぅぅ!!♡♡♡」
私はこの日、初夜さながらに蹂躙され尽くして果てたのであった……。
完全調教済み理波ちゃん。
書いた本人が言うのもなんですが、これで初体験から一か月ちょっとしか経ってないって、もうどうしようもないですね。
生粋のネコというか・・・端的に言ってドMなんだと思いますこの子。
日常的にかみつかれて吸血されてるのに、それを嫌だとも思わず当たり前のものとして受け入れていて、本人もされたいと思うようになってるんだから、そりゃもうドM以外のなんだって話ですよ。
あとはまあ、本編EP7の7話で本人が自覚している通り、わりと性欲が強いのもあります。
自覚していてもどうにもできないから、昔から色んな宗教で色欲は罪だとされてたわけですがね!
ちなみに、普段は首筋をチウチウされることでスイッチが入る模様。
EP9において、かみつかれて即座に嬌声を上げているのはそういうことです。
今回はそれがなく、フォースとかそういうのを一切使ってないただの自己暗示だけでここまで設定にハマりこんじゃったわけですが、要するに結論はドMってことですね(3度目
もちろん普段はしっかり抑制できてるんですけどね。でも一度タガが外れると、一気に快楽に溺れちゃうんですね。
そういう心底真面目な女の子が快楽堕ちしてるシチュが、ボクは大好きでしてね(その目は澄み切っていた
ついでに言うと、元男のTSっ子が女の子にメス堕ちさせられるのが性癖です(その目は澄み切っていた