「お願い……ヒミコ……。私のこと……めちゃくちゃにして……♡」
私の言葉を受けて理性が焼き切れたのか、私の首筋に彼女の歯が勢いよく突き立てられた。
途端に首筋から全身に鋭い痛みが走る。が、同時にその痛みを追うように、強烈な快感が全身を駆け巡った。おかげで痛みは余韻を残す程度で、私を苛むことにはならない。
「あ……っ♡ あっ、あっ、ああ……っ♡」
久しく感じていなかった感覚に、自然と嬌声が漏れる。身体はびくりびくりと跳ね、下腹部の疼きは留まることを知らない。
ああ、これだ。これがずっと欲しかったんだ。一人では絶対に感じられない快感を、情欲を、ヒミコに思い切りぶつけられたかった。
気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。
頭の中がそればかりになって、だんだん何も考えられなくなっていく。
だからといってヒミコが手を――口を?――休めることはない。文字通り貪るように、私の血を吸い上げている。
いつもなら、これと並行して乳首であったり膣であったりを弄ばれて、私はさらにグズグズに溶けていくのだが。
どうやら今は、とにかくチウチウがしたくて仕方ないらしい。彼女にとっては千年以上ぶりの吸血だろうから、無理からぬことだろうが。
反対側の首筋にも、がぶりと一口やってきた。再び強い快感が走り抜け、私は一際高い嬌声と共に早くも一度目の絶頂を迎える。
血を吸われているだけでこうなってしまうなんて、と思わなくはないけれど、そんなことどうだっていい。
だって気持ちいいんだから。今はそれ以外、何もいらない。
「んむ……っ、ふはぁ……♡ おいし……♡」
そこからさらにたっぷり数分もかけて、私の血を堪能したヒミコが顔を上げた。蕩けるような女の顔が、口元が、べたべたに血でまみれている。
普通なら、泣く大人も裸足で逃げ出すような壮絶な顔。だけど私は、私には、その顔がとても美しく、愛しく思える。
血を吸われて、快感と痛みの二つで身を震わせて、でもまだまだ物足りなくて、ヒミコにもっととねだる。
キスを何度も何度も重ねて、両手を伸ばして、もっと気持ち良くしてと続きを懇願する。そんなことをしている間に、いつしか私たちはすっかり裸になっていた。
「ん……ちゅ……あむ、ん……っ、ちゅ……っ、んむ……っ♡」
音を立てて口と口を重ねれば、私の口の中にも血の味が広がった。それがまた、余計に私を興奮させる。
「ぷはぁ……。ふふ……今日のコトちゃんは、ほしがりさんですね?」
「だって……だってぇ……♡ 寂しかったんだもん……♡ 一人でシても、全然気持ちよくなれなくって……だから……だからぁ……」
「あらま。あのコトちゃんが、ひとりえっちしてたんです? そんなに寂しかったんです? ……あは。嬉しい……♡」
「ひゃあん!?♡」
突然乳首をつねられて、私の身体が大きく跳ねる。
痛い。でもそれが気持ちいい。
「ふふ……♡ コトちゃん的には一か月なんにもなかったから、鈍くなっちゃったかもって思ってましたけど、そんなことないですね? むしろ前より感じやすくなってません?」
「あっ、あっあっ♡ だめっ、そん、そんな、強いの、だめ♡ イく、イっちゃうっ♡」
「勘違いじゃなさそうですね……コトちゃんのぉ……えっち♡」
「んああああっ、あっ♡♡」
ぐりぐりと両方の乳首をいじくりまわされて、耳を言葉で犯されて、腰が思い切り浮き上がる。ぷし、と音を立てて股間から液体が勢いよくあふれる。
「わあ、すごい。ここ、大洪水です……」
「ひっ♡ だ♡ め♡ そんな、そんなことされたらああぁぁぁっっ♡♡」
ヒミコの手が私の股座に伸びて、ぴたりと当てられた。暖かくてしなやかな彼女の手が、入り口だけでなく一番敏感なところも覆っている。
そんな状態で左右に動かされたら、たまったものじゃない。チウチウとは比べ物にならない圧倒的な悦楽が一気に迸り、私の膣は文字通り蜜壺のように大量の愛液をあふれさせた。
「あああああっっ♡ だめっ、まって♡♡ も、やめっ、らめええぇぇっっ♡♡」
しかしなおもヒミコは手を休めず、私の割れ目周辺を執拗にいじくりまわす。
「ダメです? じゃあ……こっちは?」
「んぎぃっ!?♡♡ ちょ、あ、らめっ♡ くり、クリトリスっ♡ ごしごししないれっ♡」
次のターゲットは、クリトリスだった。今までは全体だったところ、完全に一つに狙いが絞られている。
ろくに力の入らない身体をなんとか起こしてヒミコの所業に目を向ければ、与えられ続ける法悦によっていつもより存在感を増したクリトリスを、つまむようにしてしごかれていた。
それは、ちょっと、いくらなんでも反則だと思うんだ。
「気持ちいいです? ね、コトちゃん……教えてほしいなぁ」
「ひうぅうぅぅっ、きも、ちいッ♡ きもちいいっっ♡♡ クリトリス、しゅごいっ、あっ♡ またイくっ、イっちゃう♡♡♡ きもちいいっっ♡♡♡」
けれども、それでヒミコが手を休めることなんてあるはずがない。
彼女は責めを続けながらも、どこがいいのか、何がいいのか、どうなっているのかを執拗に問いかけ続ける。
そのたびに私は、全身で暴れている快感とはまた別の、羞恥心による精神的な……大好きな人に心底屈服していることの快感で、ますます昂っていく。
問われるままに恥ずかしいことを、考えもなしに放言することが、とても、とっても、気持ちいい。いつの間にか植え付けられていた、絶頂するとき報告する癖がそれに拍車をかける。
「見て……? コトちゃんってば、こんなにぐしょぐしょですよ……私の手、ふやけちゃいそうです……♡」
「や、だぁ……♡ そんなの、言わないで……♡」
攻め手が一時とまり、目の前にヒミコの手がかざされる。彼女の手は、彼女が言う通り大量の愛液でまみれていた。
それが全部私から出たものだと思うと、恥ずかしくて顔が熱い。視線を逸らそうとして、顔を横に向ける。
「コトちゃん、すっかりえっちな女の子ですね……好きです……大好き……♡」
「きみが……きみが、そう、したんだ……♡ だから……ちゃんと、責任はとってよ……♡」
「もっちろん! ……続き、するね?」
「うん……お願い……♡」
軽い、だけど確かに甘い口づけを何度も交わしながら、ヒミコの手が再び私の股間に伸ばされる。応じて、脱力した身体をなんとか動かして、股を開いた。
直後に、ぐちょり、と淫靡な音が響いた。ヒミコの指が少しずつ、けれど確実に、私の身体の奥まで挿入されていく。
「わあ……コトちゃんのおまんこ、すっごいあっつい……♡」
「あ、あ、あ♡ ゆびぃ……入ってくるぅ……♡」
女として一番大切な場所に、ヒミコの指が達している。それが、その事実を認識するや否や、視界が弾けた。頭の中で快楽が爆発する。
そこは、私では到達できない場所だ。一人では、どうあがいても届かなかった場所。刺激することができなかった場所。
そんなところを、好きな人に蹂躙されたら。どうなってしまうかを私は知っている。もう知ってしまった。
だから、私の小さな胸は、期待で破裂してしまいそうだった。
「えい♡」
「ひああああぁぁぁっっ♡♡♡」
挿入されたままの指が、くにゃりと曲げられた。するとどうだろう、指先は一際敏感な地点をこそぎ取るように刺激する。
期待通りの性感だった。鯨のように、股間から潮が吹く。
「わ、わ、すっごい……出し入れしてるだけで、どんどんえっちなおつゆがあふれてとまんない……♡」
「あッ♡ やっ♡ んあッ♡ あああっっ♡♡」
「締め付けもすっごいです……痛いくらい……♡」
「あ♡ あ♡ あっ♡ あっ♡ あッ♡」
何度も何度も指を出し入れされて、じゅぷじゅぷといやらしい水音が響く。
それが余計に私の情欲を煽ってやまない。ただでさえ気持ちいいのに、まるで青天井に快感が高まり続けていく。
今日はどうやら、その閾値を超えたまま下りてこられないらしい。身体は絶頂から戻れないままで、もうさっきからずっと、イき続けていてとまらない。
気持ちいい。それが続きすぎると苦しさも伴うけれど、でも、やっぱり気持ちいいのほうが上で。
このまま戻ってこれなくっても、別にいいかなって、そんな風に頭の隅で思った。だって気持ちいいんだもん。
「あッ♡ あッ♡ だ♡ めッ♡ も……♡ も、むりっ♡ おかしっ♡ おかしくなるっ♡♡ あたまへんになるっっ♡♡」
「いいんですよ、おかしくなっても。むしろおかしくなっちゃえ♡」
「ひっ♡ ン♡ お゛ッ ♡ イ゛、あっ♡ イ♡ イっ♡ くうううぅぅぅっっ♡♡♡」
視界が白くなって弾け飛ぶ。頭の中で、電撃が走る音が響いたような気がした。
当たり前のように、股座は大洪水で。何度も何度も潮を吹く感覚が子宮にまで響いて、それでまたイく。とんでもないループができてしまっているようだった。
「ふふ……カァイ……♡」
「んあ……♡ んちゅ……♡ んむ……♡」
いつの間にか、目の前にヒミコの顔があった。
なので、口をとがらせてキスをねだる。その懇願は当然のように受け入れられて、唇を貪られた。それだけで、また軽く絶頂に至って腰が浮く。
それ自体は、ほぼ反射のようなものだった。快感が一定を超えたから、勝手に下半身が動いただけ。
だから、偶然なんだ。
「んヒッ!?♡」
その先に、触れるものがあったなんて――ヒミコのお腹にぶつかってしまうなんて。
「ひゃあん♡ ……んもう、コトちゃんってば……本当にほしがりさんなんですから……♡」
「んおっっ♡♡」
ヒミコが意地悪く笑う。その顔のまま少し位置を変えて……そして、勢いよく、彼女は腰を下ろした。自分のクリトリスで、私のクリトリスを押し潰すように。
そんなことされたら、気持ちいいに決まってる。ただでさえ触れられるだけで快感なのに、触れているものが恋人の大事なところだなんて。
おまけに、小さい自分の身体を力づくで押さえられているようなこの体勢。それだけで、その事実を認識するだけで、私の身体は嬉しさのあまりひくひくと震えるしかない。
「あはぁ……っ♡ コトちゃんってば、ん♡ 気づいてます? すっごく必死に腰振って……♡ ふ♡ ん……っ、勃起クリちゃんこすり合わせるの、そんなに気持ちいんです?♡」
「あ♡ ん♡ うんっ♡ きもちいっ♡ きもちいいのっ♡ これ、これぇ♡ ずっと、これ、これしたかったのっ♡」
「ふあっ♡ あ♡ んう……っ♡ んもぉ……♡ 私も……っ、したかった、です……っ♡♡」
足が片方持ち上げられて、一寸たりともズレがないよう互いの股間をがっちりと組み合わされる。
ぐりぐりと、互いの腰が動き回る。コリコリと、互いのクリトリスがこすれて震える。
あったかい。熱いくらい。
ヒミコの体温がそこにある。感じられる。
その熱が、何よりも嬉しくて、幸せで。
きもちいい。
すき。
だいすき。
「ンっ♡ あ♡ あっ♡ おっ♡ おんッ♡ ほぉッ♡」
「はぁ……ッ♡ んあッ♡ あ♡ んんッ♡ ああぁッ♡」
きもちいい♡ きもちいい♡
イく♡ イってる♡
いっしょ、に♡
イ、くぅッ♡♡
「ああぁぁあ゛ぁ゛ぁぁッッ♡♡♡♡」
「んんんうう゛ぅぅぅ゛ッッ♡♡♡♡」
そして、わたしたちはきもちいいだけでみたされて、おぼれる。
くたり、とわたしにヒミコが倒れ込んできた。そんな彼女の重みが、何より愛しくて。
イき続けてほとんど身体なんて動かないはずなのに、自然と受け止めて抱きしめていた。
二人して絶頂の余韻で荒い呼吸をする中で、無言で触れるようなキスを繰り返す。
「……あは……♡ 私……今、すっごく、幸せで……嬉しい、です……♡」
「ん……♡ うん……私も……♡」
「コトちゃんが……あんなに大好きって、えっちしたいって、思ってくれて……私と一緒で……とっても嬉しいのです……♡」
「あ……ッ♡」
また、首をかみつかれた。
今度は噛み千切るほどじゃなくて、歯形が軽くつく程度。でも、それも十分私には快感だった。
「ずっと……ずっと、一緒にいてくれますよね……?」
「うん……ずっと、一緒にいるよ……♡ だから……ヒミコも、ずっと、ずっと私のそばにいて……♡ もう……どこにも行っちゃヤだからね……」
「もっちろんです……♡ ずっと、一緒です……当然です……♡」
そして、もう一度、改めて、キスを一つ。
「……コトちゃん。私のこと……好きになってくれて……本当に、ありがとです……♡」
「ん……♡ こちらこそ、ありがとう……♡」
まあ、もちろん一つで済むはずなんてなくって、すぐに何度も何度も唾液を交換し合うことになるのだけど。
「……もっかい、しよ?♡」
「うん……して……♡」
それも些細なことだ。
だって、夜は長いんだから。
今夜は、絶対、寝かせない。寝たくもない。
時間なんて、忘れて。ずっと、ずぅっと、こうやって。
二人で、愛し合い続けていたい。
やっと貝合わせを書けました。
いいよね。貝合わせ。
ふたなりとかペニパンとはまた別の良さがある。