先生が生徒の家庭を訪ねることは少なくはない。しかし2人の先生がそろって同じ家庭を訪問することは非常にまれなことであった。
「性教育のことで相談したいことがある」
生徒の母親から連絡をもらった律子と譲二は、金曜日の午後に2人そろって家庭を訪ねることになった。
律子と譲二は同じ中学校で保健体育の教科を教えている教師。
最初に里佳子から相談を持ち掛けられたのは律子だった。
「俊介にオナニーの指導をオネガイしたいのですが・・・」
律子は青山家の長男である俊介の担任だった。
話を進めていくと、青山家には長女の礼香という中学三年の娘がいるという。
「あのう・・・・・・礼香にも性教育をお願いします」
礼香には男性の勃起過程を教えて欲しい・・・と依頼された律子は、何かと気心が知れている同じ教師仲間である譲二に相談し、今日の訪問となったのだ。
応接間に通された二人は用意されている紅茶を飲みながら相談を受けていた。
ソファに腰を下ろしている正面には、生徒の母親である里佳子がしなやかな脚を組み、ソファに腰を埋もらせていた。
胸元が、V字に深くカットされている上着のニットから知ることが出来る胸の谷間。
きめ細やかな顔の皮膚。
どう見ても30前後。中学生の子を持つ親には見えない。
それが里佳子を初めて見た譲二の印象だった。
「実は先生たちに教えてもらいたいことがあるのですが・・・」
組んでいた脚を静かに解き、身を乗り出しわずかに頭を下げ相談を続けるのは里佳子。
二人の教育方針は?と尋ねられた律子と譲二は呼吸を揃えて言った。
「子供たちに寄り添った教育指導です」
それは2人が教鞭をとっている中学校の教育方針でもあった。
父兄から相談を受けたら直ちにことを起こし、解決に当たることが教師の義務でもあった。
特に譲二と律子は親身になって相談に乗ることから生徒たちからの絶大なる信用を受けていた。
【我が意を得たり】
と満足そうに微笑む里佳子。
「つきましては・・・・・・子供たちの・・・」
すまなそうに頭を下げて詫びる里佳子。
今日は平日の放課後。
青山家で細部の打ち合わせをするには時間が足りないし、子供たちも何かと心の準備も必要だろうということになり、再びの訪問となったのだった。
明日は幸いにも2人に予定もなく、律子が口を開いた。
「明日は土曜日で私たちも急ぐ用事が有りませんので・・・・・」
「では明日の午前中からということで・・・」
青山家をあとにした2人は道すがら話をしていた。
「私たちも予習の必要がありそうですね・・・」
「えっ!・・・そうですね・・・デリケートな問題ですからね」
譲二が腕で輪を作れば、その中に細い腕を通す律子だった。
つづく
叱咤・感想をお待ちしています。