昨日に続き応接間に通された律子と譲二。
細部の相談を里佳子から持ち掛けられたのは譲二からだった。
「寄り添った教育をしてくれるのですね・・・。助かりましたわ。実は、つい最近、礼香に男性の性器に関することを私なりに・・・・・・」
里佳子によれば、ペニスの構造と射精の仕組みについて教えるのだが、よく分からないと言うより、信じてくれないらしい。
譲二は詳しい説明を里佳子に求めた。
「ペニスが勃起することが信じられないようです。あと・・・・・・」
礼香にはどうしても射精のメカニズムに納得がいかないらしい。
譲二が里佳子の様子を見ていると、2人の子を育てているわりには性に対しての恥じらいがあるみたいだった。
頬がこころなしか赤らんでいるように見受けられた。
譲二は少し間をおいてから話し出した。
「そうですね……。勃起と射精・・・女性にはなかなか理解できないものです。ですが、一度見てしまえば、納得できるものですよ」
「私もそう思いますわ」
譲二の言葉に里佳子は大きく頷いて話を続けた。
「それで、いろんな教材を探してみたのですが・・・・・・。アダルトビデオを見せるわけにもいかないので、先生なら、きっとご協力願えると思いまして」
「それで何の協力を・・・」
「先生のペニスで、実際に勃起するところを見せてあげて欲しいんです。そして、できれば射精も・・・・・・」
譲二はしばらくの間、里佳子の顔をじっと見つめ答えた。
「ハイッ。分かりました」
譲二の心強い返事をもらった里佳子は娘の礼香を呼びよせた。
「礼香ちゃん、譲二先生が快く引き受けてくれたわよ」
「ありがとう。先生」
飛びつかんばかりに喜ぶ礼香。
「律子先生。詳しい話はやがて息子の俊介がやって来ますので・・・」
そう言い残すと里佳子は譲二と礼香を伴い応接間を後にした。
俊介が現れるまで暇を持て余していた律子は、応接間に敷かれているカーペットに視線を落とし呟いた。
(このジュウタン高いんだろうなぁ・・・)
その時だった足音を忍ばせ俊介がやって来た。
音を消した歩き方は彼の性格をよく表していた。繊細かつ引っ込み思案なところは活発な行動を好む中学生にしては珍しい存在だった。
「先生、どんなことを聞いても教えてくれますか?」
「もちろんよ。なあに?」
母である里佳子が相談していることを知りながらの発言は、やはり気弱さを荒らしているのだろう。
「秘密も守ってくれますか?」
俊介が念を押す。
「当然よ。口が軽いと担任の先生は務まらないのよ」
律子もキッパリと言い切った。
優しい言葉は逆に俊介の不安をあおるだけだった。
「あのう、友達に聞いても・・・・・・」
数人のクラスメイトに尋ねてみるも、馬鹿にされたような口調で相手にされない様子だった。
「そのう・・・オ、オナニーの仕方を教えて下さい」
俊介はそう言った途端、真っ赤になってうつむいてしまった。
律子は俊介の思い詰めたような真剣なその態度をしばらく見つめていた。
そして、独り笑みを浮かべると、極めて優しい口調で言った。
「分かったわ。一緒に学びましょうね」
律子と俊介もそろって応接間を後にした。
つづく