みんなに優しいアイドルが陰ではぐちゃぐちゃにされてるなんて… 作:人の心を捨てないと書けない
吾輩は転生者である。名前は蒼紗。
前世はそう良いものでは無かったため、そう未練はない。一つ文句を言うなら…
長年の相棒が無くなってしまった事だ。
それが故に、その例のブツがあった股の部分は以前と比べてすっきりしている。ただ、上の方は逆に凹凸が…まぁ、そこまで大きくは無いができている。
つまり、今世の性別は女だと言う事だ。
女の子というのは大変だ。髪や肌の手入れに、ファッションにも気を使わなければならない。友達に合わせたり、妹から教えてもらったり…とにかくボロを出さないように気をつける毎日だった。
まぁ、17年間も女の子をしていればいろいろと慣れるものだ。肌やら髪やらのケアは毎日欠かさない。
しかし、ネイルやメイクなどはしない。自分を綺麗に保ちたいって願望はあるけども…男にモテたいとは思わない。
かといって女の子と付き合いたいかって言われると…なんか違うかな。
男と女の境でうろうろしている様な感じだ。
「じゃ、行ってきます」
行ってらっしゃーい、と妹の声が聞こえる。今から向かう場所は近所の公園。そこで毎日ランニングをしている。前世では太りやすい体質だったため、運動の習慣を付けていたのが今世にも影響しているだけだ。
「はっ…はっ…はっ…」
数十分走り続けて、休憩としてジョギングへと移行する。それからしばらく歩いたら、近くの自販機でスポーツドリンクを購入してベンチに座る。
…さて、そろそろ帰ろうかな
「あの、すいません」
「…あ、ボクですか?」
目つきの鋭いスーツの男性に話しかけられた。以前に会ったことは無いだろうし…何かやってしまっただろうか。ちょっとこわい…
「はい。その…アイドルに興味はありませんか」
は?
「まだゲームしてるのかー?そろそろ寝ないとダメだぞ」
「んー、そろそろ寝るー」
「明日学校だから、起きれなくなるぞ?」
私のお姉ちゃんはかっこいい。容姿もさることながら、なんか性格が所々男らしい。
インドアな私とは違い毎日外でランニングしたり、良く友達と遊びに行ったりする。
かといってゲームをしない訳じゃ無くて、翌日が休みの日であれば深夜まで友達と通話しながらテレビゲームをしている。私は携帯ゲーム機の方が好きだが、一緒にプレイするのはとても楽しい。
「さて、と」
セーブして、電源を切る。そして寝る準備を…と、その前にお風呂っと。
着替えを持って二階の自室から下の風呂場まで行く。
シャワーを浴びて、タオルを体に巻いてリビングに向かう。そこにはお姉ちゃんがぼんやりとしながらソファに腰掛けている。
心ここにあらず、私が部屋に入ってきた事にも気づいていない。
「……ん、ああ。またそんな格好で…風邪ひくぞ?」
気づいた途端、私の手を引いて洗面所へと連れて行かれ、髪にドライヤーをかけて梳いてくれた。
「お姉ちゃんどうかしたの?なんかぼーっとしてたけど。恋煩いとかだったりして」
「んーそんなんじゃないよ。ちょっとだけ、ね」
無理に聞くつもりは無いが、少し心配だ。
「はい、終わり。そろそろ寝なよ?」
「うーん、一緒に寝よ?」
上目遣いでおねだりすれば、だいたい要望が通るのがお姉ちゃんの特徴だ。
「ん…もう14歳なんだから…あぁ、わかったわかった」
お手上げ、と言った感じで承諾してくれた。
やっぱお姉ちゃんはちょろい。悪い男に引っかからないか心配…いや、お姉ちゃんに限ってそれは無いかな。
「じゃ…部屋で待ってるから」
「あ、私の部屋で寝ようよ。たまにはさ?」
そう言ったら不思議そうな顔をしたが、その後には普通に了解してくれた。枕持ってくるから、と言い残して2階に上がっていった。
「えへへ…いっぱい可愛がってあげるからね…!」
今の私の笑みだけはお姉ちゃんには見せられないだろう。
「ただいまーっと」
おかえり、とは帰ってこない。部屋の明かりは落ちている。娘達はもう寝ているのだろう。
もう夜も遅いため、少しだけ夜食として何かを食べよう…と思ったが、机の上におにぎりが置いてあった。
娘が用意してくれたものだ。見慣れた光景だが、心を温まるものだ。
これが、この三好家の普通である。
それを食べ、シャワーを浴びてから寝室へ向かう。
「さな"……あ"っ…♡やめ…」
「……?」
下の娘、紗南の部屋から声が聞こえる。明かりは落ちていたと思ったが…またゲームでもしているのだろうか。こんな夜遅くに暗い部屋でゲームをするのは母として流石に注意しなければならないだろう。
「…紗南?」
聞き間違えかもしれないので、音を極力抑えてノックをして声をかける。
「…あ、お母さんおかえりー。今日、お姉ちゃんと一緒に寝てて…さ!」
「ひぎゅっ"♡…そ、そうなの。も、もう寝るから♡心配じッ……♡ないでいいか…ら♡」
姉妹仲は良好なようで安心だが、紗南の姉離れが心配になる。
「二人とも、明日も学校あるんだから早く寝なさいね」
「はーい♡じゃ、お姉ちゃん寝よっか?」
「ひっ…た…たすけッ♡あ”……あ”あ”♡」
しっかりものの蒼紗が居てくれるお陰でいつも助かっている。母親らしいことができていなくて申し訳なくはあるが、紗南も楽しそうでよかった。