みんなに優しいアイドルが陰ではぐちゃぐちゃにされてるなんて… 作:人の心を捨てないと書けない
最近は他の趣味で時間が取れてないです。謝罪
「その、ありがとうございました」
「いいや、当然の事をしたまでだとも」
ボクは駅前で頭を下げる。その相手は今日初めて会った人だ。ボクよりも長身で、艶やかな長い黒髪を後ろで結った女性。
同年代ぐらいであろうか、どこか大人びた雰囲気を出している。それに特有の、透のような言い表せないオーラを感じる。
「えっと、何かお礼は…」
何を隠そう、先程電車に乗っていたのだが…そこで、なんと痴漢をされたのだ。
はぁ……まさかボクが体験する事になるとは思わなかったな。
人混みに紛れてお尻を触られて…、誰とも知らない人に勝手に身体を触られるって言うのは堪らなく不快で怖かった。
声を荒げる事が出来ず震えていただけのボクをこの人…【咲耶】さんが助けてくれた。ボクの手を引いて、人混みを掻き分けて他の車両まで連れて行ってくれた。
「ううん…必要ないよ。あの時、犯人を吊し上げていたら…現に何も解決はしていないから、お礼を受け取る資格はないよ」
確かに解決はできていないけど、助けてもらったのは事実だし…何かしないと気が済まない。
「そうだね…じゃあ、連絡先を交換…なんてどうかな」
ボクの押せ押せな態度に折れたようで、咲耶さんは妥協案を示す。しかし、そんなことで良いのだろうか。ボクの連絡先なんてそんなに価値は無いと思うんだけど…
まぁ、咲耶さんがそれで良いって言うんなら…
携帯を取り出して、メッセージアプリで友達登録をする。
そして直ぐに別れたのだが、一件の通知が即座に入った。
『また明日』
…? 随分と再会にしては早いなぁ。でも明日は仕事だし…
『ごめんなさい、明日は都合が悪いです』
『いいや、なんでもないよ』
うーん?何か会話が成り立って無いような…
まぁでも、大丈夫…だよね?
うん。これから、ちゃんと女性専用車両とかも活用しないとなぁ
「え…な、なんでここに?」
「何でって、また明日と言ったじゃないか」
知り合いですか? と颯ちゃんがボクの顔を覗き込む。うん、知り合いだけどさ。
「ふふ、《L'Antica》の白瀬咲耶だ。改めてよろしく」
…全然知らなかった。同業者の顔と名前を知らなかったというのは失礼じゃないか。
でも、まさか仕事の場で会う事になるとは思わなかったよ。
「あっ…颯ちゃん?」
颯ちゃんがボクの袖を掴んでその場所から引き離す。
「そ、その! …今の人とはどう言う関係で…」
「ええっと…昨日知り合ったんだよ。……まぁ、色々あってね」
流石に、痴漢されたと颯ちゃんに言うのは憚られた。颯ちゃん、凄く心配しそうだから。
「んっ…颯ちゃん?」
颯ちゃんはぎゅーっとボクの腕に抱きつく。最近は良く抱きつかれたり手を繋いだりと接触が多いような気がする。ふにふにとした柔らかい感覚が腕に伝わる。
うーん…年上なのに颯ちゃんより小さいんだよなぁ…。何がとは言わないけど。
でも、おっきい方が良いのかなぁ。円香とか透とかも…
って…何を考えているんだボクは…!
「ど、どうしたんですか!?」
気持ちを切り替えるために頭を振ってから、自分で頬を叩く。パシっと乾いた音が響いてから程よい痛みが走る。
「ん…なんでもない! さ、頑張ろっか」
颯ちゃんは色々と誤魔化したボクに少し訝しげな視線を向ける。
まぁ、一旦はそれに気づかないふりをして、凪ちゃんを探しに行った。
「咲耶、また女の子引っ掛けて、Pにバレても知らないよー」
「ん…人聞きが悪いね。摩美々」
「へー。 で、この後の予定は?」
「…食事にでも誘おうかな」
「常套手段ですねー。お邪魔はしないのでお好きにどうぞー」
「…ふふっ。 今日の夜が楽しみだなぁ…」
次回、キャラ崩壊注意!!!