みんなに優しいアイドルが陰ではぐちゃぐちゃにされてるなんて… 作:人の心を捨てないと書けない
「で……どう思う?」
「主題を言わないと話が通じないです。文脈を整えてから来てください」
「何かあるの?悩み事」
「あぁ。それがね…」
高校の教室にて、一つの机を囲い、特に仲良くしている同級生にアイドルにスカウトされた旨を伝える。
樋口円香と浅倉透。
円香は口が悪いが本質は良い子なのを知っているし、透は…まぁ、なんか良くわからないけど凄みがある。
「それ、大丈夫なんですか」
「うん、私も心配だな。少しだけ」
二人の言う心配と言うのは、多分そのスカウトが怪しく無いのかと言うことだろう。
「あぁ、名刺貰ってさ、調べたけど別に大丈夫だったからさ」
「ふーん。で、どうしたいの?蒼紗は」
ボクがどうしたいか…か。正直言って目立つのはそこまで好きじゃない。でも、興味が無いと言えば嘘になる。
でも…
「ほら、アイドルって華々しいものじゃん?ボクで大丈夫なのかなぁって」
そう言ったら、二人から不思議なものを見るような目をされた。
「よくされてるじゃん、告白。それって十分魅力的なんじゃない?」
男の子から告白はされる。ただ、恋愛にどちらの性別を持ってくるか、整理がつかないために全て断っている。
「でもなぁ…」
「はぁ…行き過ぎた卑下は嫌味ですよ。少しは自信持って生きてください」
うーん、確かに容姿は前世のボク的に見れば良いとは思うんだけど、結局自分の事だからなぁ…自分の容姿に自信を持つっていうのは難しい。
「今のは樋口なりの褒め言葉だよ。蒼紗」
「なっ…そういうのじゃ…!」
頬を赤らめる円香。
「ふむ…よし。円香〜大好きだよ〜!」
「ちょっ…暑苦し…っ!」
手を円香の後ろに回して、その肩に頭を置く。
「……ッ!……や…離して…!」
振り払われてしまった。もうちょっと抱き着いていようと思ったけど、仕方がない。
「良いなー樋口。蒼紗」
透に呼ばれてそちらを振り向いたら透がさっき私が円香にしたように抱き着いてくる。
良くわからないがそれに応じて私も抱きしめ返す。…と、その時に…
「にゃっ…あぁっ…♡やめ…透…」
突如、私の耳に舌を這わせる透。びっくりして変な声をあげてしまった。その瞬間、教室内が静寂に包まれる。
耳ってこんな敏感なものだっけ…?
「あ……え、えっと…あ、浅倉…そろそろやめておけば」
「ん、良い声出すね。悪戯し甲斐がある」
「…もう、やめてよ透!」
まったく…浅倉はやっぱり掴みどころがわからない。結構な恥をかいてしまった。円香は立ち上がって私達を引き剥がしたが、なぜそんな前屈みになっているのだろうか。
「ふぅ…で、あなたはそのスカウト、結局どうするの」
円香は深く深呼吸をしてからそう言う。
「ん〜まぁ、事務所に一回顔出してみようかな。ありがとね、円香、透」
したい話は終わったので自分の机まで戻る事にした。
「ぎっ…痛…」
立ち上がった瞬間に下腹部に痛みが走る。そこまでの痛みではないが、声がでて多少顔を歪ませる程度だ。
「大丈夫?蒼紗、持ってる…?」
「…トイレ、付き添いましょうか?」
二人が心配しているのはきっとあれだろう。そう…生理。初めて来た時は自分が男じゃ無いんだなぁって感じて、少しショックだった。今は別に、辛いけどそう苦痛には感じなくはなってきた。
だけど、今回は別にそういうのじゃ無い。
「…うーん。まぁ、大丈夫。心配してくれてありがと」
良くわからないが、そう心配する事では多分無い。
…さて、放課後には事務所に向かおう。
「蒼紗、本当になるのかな。アイドル」
「…さぁ。別に興味無い」
「樋口、蒼紗のこと好きだよね」
「…どういう会話の流れでそうなるの」
「もうちょっとなれば?素直に」
「……浅倉も、人の事は言えないでしょ」
「うーん、かもね。…ねぇ、樋口」
「何?………いや、流石にそれは…」
「…興味、あるでしょ?」
「…考えとく」