滅びの森のその先にあるミデア領
人口も多いその都ミデアのとある場所では……
「おお!これは!」
祭壇に備えられた真円の水晶が輝いている
「もしや聖人様が!」
輝く水晶に手を触れ目を凝らすと1人の少年の姿が映し出されていた
まだ成人ではないもののその瞳が青色だという事が分かるほど鮮明に
「誰かあるか!急ぎアルデラ様に報告を!聖人様が存在していると!」
「本当に存在するとはな……」
水晶に映し出されたその存在を確認したアルデラ
「この者が何処に居るのか分かるのか?」
「まだはっきりとは分かりませぬが……此処より南、魔の森と思われます」
祭壇を守護するロームは左手の上にある小さな水晶を見ながら答えた
「魔の森の先か……」
アルデラは落胆したもののすぐさま決意する
「ロームよ、魔の森へ行く支度をせよ」
「畏まりました」
二日後、200を越える兵と従者は南門を出発した
聖人と呼ばれる少年を迎えに
「ローム様、聖人様の居る場所は分かりましたか?」
アルデラの娘で今回の遠征を率いるメーリアは尋ねた
「まだ然とは分かりませぬが、魔の森に入り近づけば判明するかと思われます」
「魔の森……魔物が多いそうですが……」
メーリアは魔物を見た事もなく、魔物の森に入るのも初めてなので懸念する
「近年は強い魔物が現れておらぬと聞いています。おそらくそれは聖人様が森に居られるからと推測致します」
メーリアの不安感をやわらげる為に見解を述べるローム
「それにレーガン様が率いる部隊も居られるので御安心を」
領主アルデラが最も信頼する騎士レーガン
魔物との戦いにも慣れている強者は兵達からも信頼されている
「無事に聖人様をお迎えできたら……その後はどうなるのですか?聖人様がどのようなお力をお持ちなのか知らないのですけど」
「私にも然とは分かりませぬが……聖人様の祝福は内なる力を解放されるとか……新たなお力を授けて下さる……とも言い伝えられております」
「魔の森で暮らしているなんて……怖い方でなければ宜しいのですが……」
「魔の森に暮らしている者はそう多くはありませぬ。魔物が多いので交流は難しいのですが……今はどうなっているのか……」
徐に水晶を取り出しゆっくりと撫でる
薄く輝き出した水晶に現れる少年の顔
「メーリア様、このお方が聖人様です」
メーリアは水晶に映る少年をはっきりと見た
「まあ……なんて可愛らしい……」
ロームは水晶を見つめるメーリアを見て考えた
『メーリア様と聖人様が結ばれれば良いのだが……』と