1月某日、週末の昼も半ばを過ぎた頃。パシフィコホールで行われるU17全国選手権地区予選は過去最高潮の盛り上がりを見せていた。
「デーモンの召喚でバトル!魔降雷!これで俺の勝ちだ」
ブロックA1位で通過した角シードの遊偽は準々決勝で順当に勝利する。
「私は、バイオレットヘカテーを秘術の書で強化!あなたのモンスターを撃破するわ」
「裁きを下す女帝で攻撃!これでミホの勝ちね♪」
一方、童実野高校所属の杏子、ミホも多少手こずりながらもエースカードと魔法カードのコンボを駆使し勝ち進む。
更には遊偽と対をなすもう片方のシード、黒薔薇女学園所属の影山リサも危なげなく勝利し準決勝へと進出した。これにより、関東エリア予選進出が確定した2次トーナメントのベスト4が出揃った。
「すっ、凄え!童実野高校のデュエルモンスターズ部ってついちょっと前に出来たばかりって話だったのにベスト4に3人もいやがる!」
「それに、童実野高校のあの二人の女の子、可愛いなあ……。でっ、でへへ、黒薔薇女学園の美少女デュエリスト影山リサと並んでも遜色ないくらいの可愛さだよな。特にあのリボンが特徴的な色白の子とかすっごい好み……」
「そういえばあの二人って童実野高校の文化祭のミスコンに出てたはず。可愛いから覚えてた。うん?男の方もどっかで見たことあるな……」
参加者の間ではベスト4のうちの3人が童実野高校出身であること、そして新たに出て来た美少女デュエリストということで口々に話題にし合う。杏子とミホの美貌は童実野高校のミスコンの最終選抜にも選ばれたほどで、文化祭で目にしたことのある参加者も中にはおり、地区予選において話題性抜群であった。
「杏子、おめでとう!」
「ありがとう遊偽♪でも、次は遊偽が相手ね。遊偽にだって勝つつもりでいるから、勝負よ遊偽」
労う遊偽にお礼を言いつつ対抗心を燃やしてくる杏子。そんな杏子に遊偽も気を引き締め直し、一人のデュエリストとして「俺だって!」と強く返した。
それからほどなく準決勝が始まる。一方は遊偽と杏子、もう一方はミホとリサの組み合わせでテーブル越しに互いにデッキを置きデュエルの準備が始まる。ブロック予選と2次トーナメントが始まった時には沢山のテーブルが並んでいた大ホールも今では2つのテーブル以外片付けられ、200弱ものの大勢の衆目に晒されながら勝ち残ったデュエリストたちが対峙し合っていた。
「遊偽、遠慮せずに全力で来なさい。舐めてかかったら痛い目見るんだからね」
「ああ!最初からそのつもりだ、杏子!デュエル!」
デュエルは遊偽の先行から始まった。遊偽が最初に出したのは「砦を守る翼竜(攻撃力:1400)」。これに対し、杏子はホーリー・ドール(攻撃力:1600)で対抗する。
「バトル!砦を守る翼竜を撃破よ!」
「くっ、やるな!杏子」
杏子のデッキは始めたての頃とは異なり攻撃力の平均も高くなり、コンボ効果を発揮する魔法カードも多数仕込まれている。遊偽は内心、杏子も手強くなったな、と思った。
一方で杏子もまた遊偽との公式試合に思う所があった。
(私は、遊偽がいたからデュエルモンスターズを好きになった。ただのカード遊びだなんて思わずに今この場で本気で楽しんでいるのは遊偽のおかげ。だから遊偽には全力をもって返す。遊偽が私とのデュエルで熱くなれるように、全力で!)
いつも遊偽に新しい遊びを教えてもらい楽しませてもらっていた杏子。そんな杏子が教えてもらったゲームを通じて初めて自分から遊偽を楽しませてあげたいと思うようになっていた。
「俺は、カースオブドラゴンを引いた!バトル!ホーリー・ドールを撃破!」
「まだよ!私はホーリー・エルフを守備表示(守備力:2000)で召喚。これで守りを固めるわ」
杏子の守備モンスターを抜けない遊偽は杏子の思惑通り時間を稼がれる。そうして杏子は引き当てた「攻撃封じ」と「ヂェミナイ・エルフ(攻撃力:1900)」のコンボで遊偽のカースオブドラゴンを撃破した。
「うっ、まさかたった2ターンでやられるなんて……」
エースモンスターを引き当てるまでもう少しターンを稼げると踏んでいた遊偽の計算が狂う。杏子は遊偽にとって紛れもなく強敵であった。
(だけど、ここで負けるわけにはいかないな。海馬との対決の約束もある。だけど、それ以上に俺自身が杏子には負けたくないって気持ちが強い。杏子より俺は強くありたい)
遊偽が山札からカードを引く。引いたカードは暗黒騎士ガイア。攻撃力2300のこの上級カードを場に出したことで形勢は逆転した。
「相変わらず、遊偽のデッキは打点が高いわね……。でも、私だって!」
杏子も守備を固めつつ時間を稼ぎエースモンスターを呼び寄せる。
「バイオレットヘカテー!暗黒騎士ガイアにバトル!」
杏子の切り札に遊偽のエースの一角、暗黒騎士ガイアが倒れる。しかし、遊偽もまた次に引き当てた切り札、ブラックマジシャンで杏子に対抗した。
「攻撃力は同じ。でも、私にはこの秘術の書がある。これで魔法使い族は300ポイントアップ!ブラックマジシャンに攻撃!」
杏子がバイオレットヘカテーでバトルを仕掛ける。しかし遊偽はあらかじめ伏せていたカードを開いた。
「マジカルシルクハット!これで攻撃を躱す!」
「でも、シルクハットの数は限られてる!いつかは当たるはず!バトル!」
ブラックマジシャンへの攻撃は空振りし遊偽に手札補充の機会を与える杏子。しかし、杏子もまた無策ではなかった。
「ドロー!私は、ここで遊偽のお爺ちゃんから貰ったこのカード、サイクロンを出すわ。これでシルクハットを破壊する!」
シルクハットが消滅し、ブラックマジシャンの姿が見える。遊偽の二大エース、ブラックマジシャンとデーモンの召喚を破ればデュエルに勝てると確信していた杏子は迷わず攻撃を選んだ。しかし、ターンを稼がれたことでキーカードを引き当てた遊偽がここぞという場面で「六芒星の呪縛」を使う。
「これで、攻撃力は下がり動きも止まった。ブラックマジシャン、バトル!」
杏子のサイクロンをシルクハットに誘導したことで遊偽は本命の逆転の一手を発動させた。杏子が状況打破しうるキーカードを引き当てるのを読んだ上でのこの一手にまんまと引っかかった杏子は切り札を破られ勝利の芽は潰えた。
「……私の負けよ、遊偽」
遊偽と杏子の準決勝、白熱したデュエルとなったがこのデュエルを制したのは遊偽であった。
「もう!遊偽ったら本当に強いんだから!」
「でも、杏子も強かったよ。楽しかった、杏子」
「……うん、その言葉が聞けて嬉しい。決勝、勝ってよね!応援してるから」
杏子は心底嬉しそうな顔で微笑む。遊偽に負けた悔しさより遊偽を熱くさせたことの嬉しさの方が杏子の中では勝っているようで、デュエリストとしてよりも遊偽の女としての感情が強いのが伺えた。
一方、その頃、別のテーブルのミホとリサのデュエルでは遊偽らのデュエルとは異なり、ミホの防戦一方で試合が展開されていた。
「イエローヘカテーでバトル!守備表示の逆転の女神を撃破!」
「うっ、ミホの女神様が!?」
モンスターの攻撃力の高さ、魔法を絡めたコンボとプレイングスキル、それら全てにおいてリサが勝っており、ミホは隙を見て反撃する形にならざるを得なかったのだ。
(悔しい!遊偽君や私たちに当たりの強いこの子に勝って、ミホたちの前で二度とでかい態度取らせないようにするって思ってたのに、蓋を開けてみたらこんな一方的な展開になるなんて……。でも、ミホを侮ってる今がチャンス!絶対に負かしてやるんだから!)
「ドロー!ミホは、このカード、裁きを下す女帝を召喚!それに、魔法カード「磁力の指輪」を発動!これでイエローヘカテーの攻撃力は500ポイントダウン!女帝が上回る!バトル!」
ミホが引き当てたキーカードによるコンボでリサのエース、イエローヘカテーを打ち破る。ミホを侮っていたリサの隙を突いた形となった。
「へぇ……ここまで来ただけあって案外やるのね。童実野高校はあいつだけの部だと思ってたわ」
リサは意外そうな顔で口角を上げる。しかし、その表情から余裕が崩れた様子はない。それもそのはず、リサは手札に最初からもう一つのヘカテーを持っていたのだ。
「レッドヘカテー!裁きを下す女帝を撃破!私の勝ちよ!」
ミホの切り札を易々と打ち破り、リサは勝利をもぎ取る。
「事前に私のデッキを知ってるでしょうし、最初からヘカテーを更に出してくると想定して裁きを下す女帝を強化する方向で進めなかったのが敗因よ。悪いわね、あいつと決勝で戦うのは私なの!」
高笑いをしながら去っていくリサ。ミホに対して他の対戦者以上に敵意を剥きだしに意地の悪い表情で言い放つリサは遊偽への当てつけか何か含むところがあるようであった。
「ミホちゃん!」
試合が終わった遊偽、そして杏子と他の部員がミホに駆け寄る。遊偽が来た事でタガが外れたのかミホは遊偽に抱き着いて悔しさと悲しさを綯い交ぜした気持ちを吐露した。
「ううっ、遊偽君……ミホ、勝てなかった……。悔しいよう!遊偽君と決勝でデュエルしたかったよう!あんな女に負けたくなかった~~」
抱き着いてくるミホによしよしと遊偽は背中をさすってやる。暫くするとミホは安心した様子で遊偽の胸に身体を預けながら温もりを味わうかのように引っ付いていた。
そして、遊偽が引っ付くミホや友人たちと時間を潰している間に決勝戦が始まる時間となる。同じ部の友人らの激励を受けながら、遊偽はホールの中心に置かれた一つの席へと足を運んだ。影山リサは既に席についていた。
「ふふっ、ようやく再戦ね。私にぼろ負けしたあの子への慰め、随分長かったじゃない。もう一人の子とも仲いいみたいだし、こんなちんけな見た目してモテるのね、あんた。はぁ、私には理解できないわ」
「……デュエルとは関係ないだろ、それは。始まる前から嫌味の連打とはそっちこそ余裕なさそうだなリサ」
「っ!?煩い!私にあれだけのことをしておいてよく言うわ!この色情魔!浮気男!絶対勝ってどっちが上か分からせてやるんだから!」
図星を突かれたのか分かりやすく激情を見せるリサ。デッキを荒々しく置くと険しい表情で遊偽をにらみつける。
「このデュエルに勝ったらあんたより私が上だからね!あんたは私に絶対服従よ」
「ん?何を言ってるんだ?杏子のバイオレットヘカテーが欲しいんじゃないのか?そんなの何の得もないだろ。それなら俺が勝ったらまたお前としてもいいのか?」
「なっ!?だっ、黙りなさい!そんなこと……許せるわけないでしょ!叩きのめしてやる!」
「お前から言って来たんだろうが。まあいい、勝負だリサ!デュエル!!」
開始前にひと悶着あったが、そんなこんなで遂に地区予選優勝を争う決勝戦が始まる。
先行のリサは中級モンスターを攻撃表示で出し遊偽の出方を伺った。遊偽もまた中級モンスターで伏せカードを警戒しつつ慎重な攻勢に出る。始まる前は分かりやすい感情を見せていたリサだが、デュエルが始まるとこの大会で今まで遊偽が戦った相手の誰よりも冷静且つ堅実な手を打ってくる。遊偽が攻め気を見せると絡めとるかのように巧みなプレイングでLPを削ってくるリサに遊偽は舌を巻いた。
(流石は全国大会ベスト4だな。隙がない。前に戦った時もこれだけ強かったのか。リサのデュエルの腕は本物だ。さて、どうするか……)
遊偽は少し考えた後、リサのリソースを削る為に切り札の一つ、暗黒騎士ガイアを出して一気に攻める。
「序盤でそんな上級カードを出していいのかしら?魔法カード、地割れよ!これでガイアを屠る!」
「くっ、だが、まだカースオブドラゴンがいる!」
デーモンやブラックマジシャンに使われるよりはいいとポジティブにとらえた遊偽は手札の上級下位モンスターを場に出す。カースオブドラゴンを先に出していたら地割れを出してはくれなかっただろうと予想した上での戦術であった。
「そうね、ならレッドヘカテー!」
リサもまた切り札を引いたようで場にヘカテーを召喚する。カースオブドラゴンを撃破したリサは遊偽から一気にLPとモンスターのアドバンテージを得た。
「くっ、俺は負けない!ドロー!デーモンの召喚!更に闇エネルギーで攻撃力アップ!これでレッドヘカテーを破る!」
遊偽のデーモンの召喚がリサのレッドヘカテーにバトルを仕掛ける。しかし、リサはこれを読んでいたようで伏せカードを発動した。
「攻撃の無力化!これでレッドヘカテーへの攻撃を無効化するわ」
遊偽の攻撃を防いだリサ。しかし、攻撃力の上回ったデーモンの召喚の登場で形勢は遊偽に傾いていた。
「チッ、惜しい!でも、遊偽には強化されたデーモンがいる。これは次のターンで簡単には破れねえぜ」
観戦していた城之内が遊偽が押しつつある状況に興奮し拳を握りしめる。それに追随するかのようにミホも、「遊偽くぅん♡頑張ってー!ミホ、応援してるから♡」と黄色い声援を送っている。一方で、杏子と花咲はここからでもリサが逆転することが出来ると思っているためか遊偽が勝つことを祈りながら行く末を慎重に見つめていた。
「ドロー!ふっ、運は私の方に向いてるわね。私はイエローヘカテーを召喚!更に、ヘカテーの誘いを使い、私はデッキからバイオレットヘカテーを召喚する!」
「なっ、何!?」
驚く遊偽。以前はリサのデッキにバイオレットヘカテーはなかった。わざわざ手に入れる為に自分に色仕掛けを仕掛け杏子を挑発して奪おうとしたくらいなのだ。それがまさかこの数か月の間に手に入れているとは、っと予想外の遊偽は焦る。
「これで、ゴーゴンが召喚できる!ゴーゴンの攻撃力は3000!デーモンの召喚など相手ではないわ。バトル!!」
遊偽の伏せカードがブラフだと見抜いていたリサはデーモンの召喚にバトルを仕掛ける。遊偽の切り札の一つ、デーモンの召喚がこのバトルで消滅させられた。
「アッハッハッハ、これで残るはブラックマジシャンよ」
「くっ、ゴーゴン……」
遊偽は奥歯を噛み締める。攻撃力3000のゴーゴンに対応するにはブラックマジシャンと六芒星のコンボになるがどちらも手札にはない。次のターンで生半可なモンスターを引いても対応出来ない状況である。
(いや、ある……)
遊偽は一枚のカードを思い浮かべる。そのカードを引き当てれば逆転の一手に繋がる。遊偽はこの危機的状況にも関わらず、このデュエルの中で頭がどんどん冴えわたっていくような感覚を得る。
(引ける!)
テーブル下のバッグにしまっていたパズルが薄っすらと輝いたような気がした。そうしてドローした瞬間、遊偽はキーカードを引き当てた感触を掴む。
「俺はこのカード、光の護封剣を引き当てた。これで、リサ、お前のゴーゴンの動きを封じる!」
「なっ、何ですって!?」
遊偽の引いた魔法カード「光の護封剣」により3ターンの間リサの攻撃が封じられる。時間稼ぎにはうってつけのカードであった。
(俺はこの間にこのデュエルで勝つ道筋を開く)
遊偽は低級の壁モンスターを出しつつカードを引いていった。3ターンの間にリサが引いて使ってくるであろうカード、対処してくるであろう手をも考えながら遊偽は戦術を練る。そうして必要としたカードを遊偽は悉く引き当てていった。
「さぁ、3ターンが過ぎたわ。ゴーゴンと戦う準備が出来たのかしら?」
ニヤニヤと意地悪く笑うリサ。しかし、対する遊偽もまた楽し気な表情で頷いた。
「ああ、ばっちりだぜ。来い、ブラックマジシャン!」
遊偽の場にもう一つのエースカード、ブラックマジシャンが姿を現す。しかし、リサは特段驚いた様子はない。
「来たわね。でも、その程度で私に勝てると思ったら大間違いよ!」
遊偽は場に2枚のカードを伏せる。しかし、リサはそんな遊偽にほくそ笑む。
「うふふ、馬鹿ね!六芒星の呪縛かシルクハットなのが見え見えよ。でも、そんなのが発動する前に倒してしまえばいいの。魔法カード「死者への手向け」!これで手札を捨てブラックマジシャンを撃破!」
遊偽のブラックマジシャンが破壊される。この時、リサは勝利を確信した。
「伏せカード、六芒星の呪縛!これでゴーゴンの動きを止める!」
「甘いわ!私は罠外し!これで、あなたの六芒星の呪縛を……」
「カウンター、マジックジャマー!手札から1枚魔法を捨て、罠外しを無効化する!」
「なっ!?」
リサは驚愕する。まるで読まれたかのような伏せカードの発動もそうだが、それ以前にブラックマジシャンへの死者への手向けを何故無効化しなかったのか、最初からそのカードを使えばよかったのではないかと思ったからだ。
「でも、あなたの引いたカードは3枚。そしてそのカードにゴーゴンを倒せるだけのモンスターはいないはず!ブラックマジシャンを破壊されたのが仇となったわね」
しかし、戦況はいまだリサが有利。攻撃力2300は上級モンスターレベルだ。遊偽のデッキには既に対抗できるカードはいない。そして仮にあったとしても引いた3枚にそんなカードがあった可能性はほぼないとリサは踏んでいた。しかし……
「そう、確かにいない。でも、俺はこのカードを引き当てていた。だからこそ死者への手向けを発動させなかったんだ。お前の六芒星除去を防ぐためにな!」
遊偽は笑みを浮かべる。遊偽にとってこの展開はもっとも待ち望んだ展開であった。
「魔法カード、死者蘇生!これでブラックマジシャンを復活させる!」
「そっ、そんな……!?」
遊偽の場に再びブラックマジシャンが姿を現す。遊偽を詰ませるために沢山のカードを手札から使い切ったリサにこれを防ぐ手立てはなかった。
「バトル!リサ、お前のゴーゴンを撃破したぞ!」
「あっ、あっ……」
リサの切り札が破れる。そして手札もないリサにとってこの展開から逆転する術は残されていなかった。リサがドローをし、モンスターを引けなかったことを確認して勝負は決する。
「嘘っ、私が、負けるなんて……また、こいつに、私が……」
顔色を青くしたリサが俯く。この瞬間、遊偽の勝利が確定し、司会が高らかに遊偽の勝利を宣言する。地区予選の優勝者が決まった瞬間であった。
「やっ、やったー!遊偽君、おめでとう!!ミホ、信じてた♡」
遊偽が表彰された後、抱き着くミホ。そんなミホを引きはがしながら杏子も顔を赤らめて「おめでとう」と照れながら賛辞を贈る。恐らく観衆がいなければこのまま衝動的にキスしていただろうと杏子は内心で思い、踏みとどまった自分を心の中で褒めていた。
「遊偽!やりやがったな!こんちくしょう!」
城之内が遊偽の頭をわしわしと掻きむしる。小さめのトロフィーを遊偽の手から奪い取ると城之内はまるで自分のことのように喜んでいた。
本田も花咲も飛び込むように遊偽と城之内につかみかかり、そんな様子を眺めながら蝶野が嬉しそうに記念写真を撮った。
地区予選で童実野高校デュエルモンスターズ部は、優勝した遊偽、ベスト4に残り関東エリア予選に進出した杏子とミホ、ベスト16の城之内、花咲と好成績を修め、以後、3学期を迎えたばかりの童実野高校での話のタネとなり職員室では蝶野も鼻高々で暫く過ごしていたようだがそれはまた後の話である。
「くっ、何で、何で私が!あいつに、あいつに勝って私があいつを……」
一方、表彰式が終わり童実野町に戻ったリサは心底悔しそうに地団太を踏んでいた。遊偽に勝つ為に無理してバイオレットヘカテーも用意した。全てはこの日、遊偽を下して自分に跪かせる為にである。遊偽のデッキの対策も怠らなかった。それなのに負けた事実にリサは苛立ちを抑えきれなかった。
「私は、私は負けたままではダメなのよ。そうじゃないとあの日のことが……」
「えらく不機嫌だな、リサ」
後ろからよく知る声をかけられてはっとして振り向くリサ。声をかけて来たのは予想通り、遊偽であった。
「なっ、何であんたがここに!?」
「何でって、ここ童実野高校から俺の家への帰路なんだけど……むしろお前こそ何でいるんだよ……」
遊偽の怪訝な表情にリサは「知らないわよ!」と憤る。今いる場所はちょうどリサの帰路と遊偽の帰路が重なる場所であった。実際は電話で迎えを呼べばいいだけの話であったが、この日のリサは何故か歩いて帰ることを選び、その上でわざわざこの場所で苛立ちを発散していた。そんな自分の不可解な行動にますます混乱し怒りを露わにするリサ。
「でもわざわざ声をかけなくたっていいじゃない!何よ、敗者を笑いものにでもしにきたの!?」
「……違うって。勝てたのは運の良さもあったしお前の実力は認めてる。ただ、偶々帰り道にお前を見た時に最初に約束した勝利の報酬をいただいてないことに気づいてな」
遊偽がパズルを取り出し力を行使する。リサの手を引き、路地裏に誘い込んだのち空間を隔絶させると、そこは闇で覆われた逃げ道のない閉鎖空間となった。
「ひっ、なっ、何をするの!?報酬って……」
「お前から言い出したんだろうが!お前が勝ったら俺を好きにできるなら俺が勝ったらお前を好きにしてもいいってことだろ?お前も否定しなかったし」
遊偽がリサの顎を片手で掴むとリサの綺麗な唇を唇で塞ぐ。唐突に行われたキスにリサは顔を一瞬で真っ赤に染め上げ抵抗をしたが遊偽が舌を入れてゆっくりと舌を絡み合わせると途端に抵抗が弱まった。
「んっ、んっ、んちゅっ、こんな、無理やり……この、ケダモノ……」
「んちゅっ、そうは言うけど、リサって綺麗だし……」
「っ!いい加減にしてよ。そうやって、心を惑わせて!私は、そんな言葉…んちゅっ」
遊偽との少し長めのキスで抵抗も弱弱しく舌を絡めるリサ。遊偽はカジュアルなの私服姿のリサの胸元に手をやり、その形のいい美乳を弄り突起部分を時には捏ねながらリサの性感を高めていく。
「あっ、あん……」
「乳輪、小さめなんだな。でも、弄ってると乳首が固くなってきたししっかり感じてるじゃないか」
「ちっ、違う!これは嫌で嫌で仕方なくて……」
遊偽はペロリと指を舐めると湿った指先で乳首をあらゆる角度から攻める。多方向からの攻めにリサは熱い声を漏らした。
「さて、こっちはどうかな……」
遊偽はもっとリサを攻めるべくスカートに手を伸ばし、リサの股へと手をやる。その瞬間、キスやおっぱいを触られる以上に抵抗を示した。
「やっ、やだ!また、あんたにいいようにされるだなんて!嫌!」
「っ、急に抵抗するなよ!」
リサの手を掴むともう一度キスをする遊偽。リサは遊偽からキスをされると腕の力を弱め、身体を寄せる。抵抗が弱まったことを確認した遊偽はキスをしたまま股間へと再び手を伸ばした。隠された花弁に手を這わせると薄っすらと湿ってパンティを汚しているのが分かった。
「全く、口では嫌といいながら期待してるじゃないか」
「ちっ、違う!これは、とにかく違うの!あんたなんかに期待なんて……」
遊偽がパンティを器用にずらし花びらをゆっくりと擦るとリサが悩まし気に小さく声を漏らす。肉豆を軽く弄るとビクンっと強く身体を震わせた。遊偽は抵抗するリサに聞こえるかのように愛撫して増えている愛液の音を鳴らす。
「ほらっ、これがお前が期待してる証拠だぞ。嫌だ嫌だと言いつつずっと誘ってたじゃないか。ヤリたいと思ってるのが俺だけなんてのは嘘だ」
煽るように囁く遊偽にリサは声を漏らさないように必死に口元を手で抑え、真っ赤になった顔を震わせて耐えている。
愛液の量が十分になったなと思った遊偽はゆっくりとズボンから肉棒を取り出すとリサの足を掴んで割れ目に添わせた。
「ひっ、やっ、やめ……」
「もう我慢ならないんだ。リサのエロい姿を見てるとね。入れるよ」
穴に亀頭がついたと確認した瞬間、遊偽は一気にペニスをリサの膣に押し込む。リサを路地裏の壁に押さえつけて対面での無理やりな挿入にリサは苦悶の表情を浮かべた。
「キッツい。あの時以来だけど、処女の時と変わらないくらいキツキツだ……」
「やっ、やあぁぁぁ。また、入ったぁ。いっ、いやなのにぃ」
遊偽は味わうかのようにゆっくりと膣の出入を行う。二度目のリサとのセックスはやはり刺激的で、あの時よりも愛液で濡れている分、出入のしやすさはありきつく締め付ける膣の摩擦と愛液の滑りやすさが絶妙なバランスで遊偽の肉棒へ凄まじい快感を与えてくる。
遊偽は出し入れする度に刺激を我慢できず軽く声を漏らしていた。
「あっ、あぁぁぁ。痛い、苦しい、気持ち悪い。そのはずなのにぃ。いやっ、いやっ、私、こんな、気持ちを、感じてるなんてぇ」
遊偽の肉棒が膣を這いまわる間、リサは目尻に涙を浮かべながら、悔しそうであり湧き上がる気持ちを抑えきれないかのように顔を手で抑えている。その顔に苦痛や嫌悪のようなものは見られなかった。
遊偽が子宮孔付近をひと突きすると身体を大きく揺らしリサは歯を喰いしばっている。また、突かれる度に驚いていたリサの膣は次第に遊偽の形を思い出したかのようにフィットしていき、カリの裏を弾力のある粒で扱いていった。たまらず遊偽はリサを掴むと出入速度を速める。
「あっ、あっ、ああっ!どうして、そんないきなり!」
「リサの中が、気持ちいいからだよ。我慢できないくらいに。俺だけならいいけど他の皆にも生意気な態度を取ってきたリサにはしっかりと上下関係を教え込んでやる。このまま突きまくるからな」
「やっ、やらぁ!私、あんたに負けるの、いやらのぉ!」
リサの膣を突く速度がどんどん早まり、リサが声を漏らしながらいやいやと顔を振る。遊偽はリサの膣の締まりの良さと具合の良さに限界が近づいていた。しかし、襲った手前弱みを見せないように振る舞い、遊偽はリサを強く突いていく。
「そろそろ来る。リサ、お前の膣にまた出してやる!屈服するのはお前だ。二度と逆らえないようにしてやるからな!」
「やっ、やぁ。やらっ、やらっ、やめて!」
遊偽が子宮孔とその付近をごつごつと突き上げる。リサはもう顔を隠して表情を見せないことに必死で抵抗の素振りは見せない。遊偽が腹側の膣の窪みを擦りあげた時、リサもまた刺激で身体を震わせた。
「イクっ、イクぞリサ!出る!」
びゅっ、びゅるっと遊偽が無遠慮にリサの膣内に欲望を吐き出していく。遊偽の熱い精液が膣に吐きかけられた瞬間、リサもまたその温かさに絶頂はしないまでも口をだらしなく開けて感じ入っていた。
「ああっ、あん♡遊偽のが、私の中に……中にぃ♡」
遊偽に身体を抱き寄せられ手を掴まれて隠していた顔を無理やり出されるリサ。その表情は蕩けきっており、散々不満を口にしていた顔とは思えないほど甘い顔つきであった。
「リサ、んっ、またキスをするぞ。リサはキスが好きだからな」
「んちゅっ、ゆうぎぃ……♡あん、舌を、もっとぉ♡」
舌を絡み合わせながら上と下で栓をされた状態で繋がりあうリサと遊偽。いつの間にかイチャイチャな雰囲気が流れていた。
セックスの後、ぽーっと発情した顔でいたリサだったが、暫くすると次第に冷静さを取り戻したようでハッと正気に戻った表情をするリサ。繋がりあった性器を無理やり離していそいそとはだけた服を元に戻すとすぐさま厳しい表情を遊偽に向ける。
「まっ、また無理やり襲ったわね!私の意思を無視して無理やりレイプだなんて最低だわ!あんたみたいな自分勝手な男なんて嫌いなんだから!絶対許せない!こっ、今度こそ復讐してやるから覚悟しなさい!」
闇に覆われた空間が霧散し逃げ道が出来ると気づくやすぐさま逃げ出すリサ。先ほどまでの甘い空気が嘘のように寒々としており、残された遊偽は暫く呆気にとられていた。
これにて地区予選は終了
長くなり過ぎました
関東エリア予選はサクッと終わらせる予定
~あなたって最低の屑だわ!~