決闘者の王国の三日目。既にこの頃になると多くの参加者が脱落し、運よくPKを避けた者、もしくはPKに対抗できる実力者のみが王国を彷徨う時期となっていた。
そして、遊偽が闇のPKを倒しスターチップを10個獲得したこの日の朝、道中で同じようにPKを破った海馬は10個のスターチップを携えて花咲とともにペガサスの城、王城へと到達していた。
「ここが、本選会場となる城……凄い威容だ。遂に海馬君も予選を通過するんだね」
「ふんっ、予選など通過点に過ぎん。下らん大会などに出場するのもペガサスを倒す為。花咲、お前は俺がデュエルをしている間、手筈通りモクバを探せ。いいな?」
西洋の古城を思わせる荘厳で優美な佇まいの城に圧倒される花咲。そして、船での一泊を加えて童実野町を発って四日目、ここに来てようやく本選出場が現実となり感極まる様子の花咲。そんな花咲に海馬は何てことはないとばかりに鼻を鳴らす。
「うっ、うん。それじゃ……みんなに城に無事ついたって連絡を……」
海馬の言葉に気を引き締め直そうと背筋を伸ばした花咲であったが懐の無線に手を伸ばしたところで海馬に止められる。
「待て。俺たちの来訪をお出迎えのようだ。ほぅ……また性懲りもなく俺の前に現れたか、猿渡」
海馬は現れた黒服を見ると嘲るように顔を歪ませる。城の星を埋め込む門には言葉通り猿渡と複数の黒服の男が海馬と花咲を出迎えていた。
「ふふっ、貴様をすんなりと本選出場とさせるわけにはいかのではな。セト、貴様が破れればその時点で我がイリュージョン社はKCを乗っ取れる。全力で潰しにかかるのも当然だ」
「なるほど?だが、それにしては差し向けたPKは皆大したことがなかったが?ウィラー・メットが一流と錯覚させられるくらいには他の奴らは二流、三流のカスばかりでこの通り、規定数の2倍以上の星を集める羽目になり嵩張って面倒だったわ」
グローブに収まりきらない星を見せつけて嫌味ったらしく説明する海馬。海馬のその言葉に猿渡はこめかみの血管を浮き上がらせて怒りと不快感を露わにしていたが、不意に何かを思い至ったのか冷静さを取り戻し鼻で笑う。
「ふっ、確かにそうだな。我らの想定が甘かったのは認めよう。だが、それもここまでだ。貴様の為に最強のデュエリストを用意した。そう、ペガサス様の秘蔵っ子、次期後継者と目されているお方をな!」
「なに?」
猿渡の自信ありげな勿体ぶった口ぶりとともにその後ろから一人の男が現れる。その男は、海馬の姿を見ると品のある丁寧な仕草で挨拶をした。
「私は、イリュージョン社アジア総局の取締役、天馬月行です。初めまして……ではないですね、海馬瀬人さん」
「ああっ、話したのは2度目だが確かに何度か会ったことはあるな。ペガサスミニオン、ペガサスが自身の後継者とするために世界中から集めた孤児たち。その中でもゲームデザイナー、デュエリストとしてトップの才能を持つのがお前だ。そして、弟の夜行もまた非凡な才能を持っていた。だが、いやこの場合はやはり、か?子飼いの貴様らは所詮はペガサスの走狗か」
ふん、っと嘲笑を交えて鼻を鳴らす海馬。そんな海馬の言葉に図星を突かれたのか苦悩の表情を浮かべながら海馬と対峙する月行。
「そう、確かに私はペガサス様の走狗。ペガサス様を敬愛しているが故にこの場に立っている。瀬人さん、あなたではペガサス様に勝てない。もしここで引くならばKCと引き換えにモクバ君を開放するようにペガサス様に進言しましょう。どうです?」
海馬の前に立ちはだかる月行のこれまでのPKとは違う意外にも優し気な声色に違和感を覚える花咲。しかし、海馬はそれは馬鹿らしいとばかりに怒り混じりに一蹴する。
「ふざけるな!KCでの事業は俺とモクバの夢だ!今更それを捨てて貴様らイリュージョン社のご機嫌取りにでもなれと言うのか!?馬鹿にするのも大概にするんだな!モクバの無事をちらつかせれば俺が靡くなどと甘い考えを持つ貴様を倒し俺はペガサスに挑む!来い、月行!貴様をデュエルで打ち破り押しとおる!!」
海馬がデッキを取りだして月行にデュエルを挑む。月行もこうなることをある程度予想していたのかデッキを取り出した。
跳ね橋を通って見晴らしのいい城壁がある別塔の一角、そこで対峙する海馬と月行。
「こんな小型な装置でソリッドビジョンを使ったデュエルが出来るというのですか。やはりKCは驚異の科学力をお持ちですね」
「だからこそ貴様らは狙ったのだろう?これがKCが開発中の次世代デュエルシステム、デュエルディスクの試作機だ。これがあれば大型の装置など必要とせずに立体映像によるデュエルが出来る。光栄に思え、ペガサスとの対決の前哨戦としてお前に試してやる」
海馬がアタッシュケースから取り出したパネルの付いた地面に設置型の丸いデュエルディスクは対になる相手のデュエルディスクと連動してデュエル映像を流す画期的な装置であった。将来的にはこれで大型の装置を使わずに童実野町、そして全国各地の至る所でデュエルを行うのが日常的な光景となる一大アミューズメント事業へと成長させるビジョンを海馬は持っていたが、その試作機をわざわざ持ってきたのはひとえに対ペガサス用であった。
ペガサスは相手の手の内を読んでいるかのようにデュエルを展開する。以前、賞金稼ぎがペガサスに挑み、その男が持つ手札と戦法を全て読まれた上で代役の子供に勝利させるという信じられない光景を海馬は目にしたことがある。あれは遊偽と同じ千年アイテムの力なのかあるいはイカサマ、八百長の類なのか。後者の可能性もあると踏んだ海馬はテーブルでのイカサマを封じるためにこの装置を持ってきたのだ。
「分かりました。試作デュエルディスクを使ってのデュエル、受けて立ちます。私が勝ったらあなたにはKCを諦めて貰いますよ」
「ふんっ、ふざけた提案だ。だが、勝つのは俺だ!デュエル!!」
新型デュエルシステムが搭載されたデュエルディスクによる海馬と月行、二人のデュエルが王城の別塔で始まった。
「私は、ラーニング・エルフ(守備力:1500)を守備表示で召喚!」
「それなら俺はミノタウルス(攻撃力:1700)を攻撃表示で召喚!バトル!」
両者のモンスターが地面で回るデュエルディスクに投影されてソリッドビジョンとして立体的に姿を現す。カードをパネルに表示させた後、地面へと投げることでデュエルディスクはそのカードを投影するようになっているのだ。そして、互いのデュエルディスクが連動することでデュエルが展開されバトルが行われる。
「どうだ!貴様のモンスターは撃破されたぞ!」
ミノタウルスによりラーニング・エルフは破壊され姿を消していく。大型のデュエルボックスに性能は劣るものの迫力あるバトル映像が展開されていた。
「確かに、今のバトルで私のラーニング・エルフは負けましたが……このモンスターは墓地に行くことで効果を発揮します。私はラーニング・エルフの効果によりデッキからカードを1枚引きます」
月行は効果によりカードをドローをし手札を強化する。
「更に、私は「天使の施し」によりカードを3枚引き2枚墓地へと送る。そして、手札から「強欲な壺」を発動。デッキから今度は2枚のカードをドローします」
「……ほぅ。随分と忙しいな」
月行は立て続けに手札を補充するカードを使用したことで海馬は表情を変化させる。デッキを引くカードをふんだんに入れて手札を補充することで勝利へのコンボをくみ上げるデッキだと海馬は感じ取っていた。
「そして、私は引いたカードからサラブレッド・エルフを召喚(攻撃力:1800)。そして装備カード「スピリット・スレイヤー」を発動!これによりサラブレッド・エルフの攻撃力は500アップ!更に、攻撃対象のモンスターの攻撃力を500ポイント下げます。バトル!」
サラブレッドエルフは2300に強化された上でミノタウルスの攻撃力を500下げ、合計で1100ポイントものの大ダメージを海馬に与える。
「ぐっ……」
この猛攻に海馬は一度、膝をついた。
「私はカードを2枚伏せターンを終了です。瀬人さん、あなたのターンですよ」
月行の怒涛の攻撃と常に毅然とした海馬が膝をついた事実に思わず息を飲む花咲。しかし、当の海馬はすぐさま立ち上がると余裕を崩さない表情で笑った。
「ふっ、ふふふっ。ペガサスに認められたことはある。だが、この程度どうということはない。貴様の戦術は既にお見通しだ。手札補充効果のカードによるモンスターと装備カードのサーチを主体としたデッキ。そしてモンスターを破壊されないトラップと装備カードの除去封じの伏せカードと見た」
「……確かに、あなたの分析通り私のデッキはエルフモンスターと装備カード、そして手札補充が主体のコンボデッキです。ですが、それが分かった所であなたは私のデッキを打ち破れますか?私を倒せない限りはペガサス様に挑むなど夢のまた夢ですよ」
海馬の言葉に否定することはなく敢えて挑発し焚き付ける月行。これに海馬はひとたび鼻を鳴らすと、「当然だ!」と高らかに宣言するとデッキからカードを引く。
「俺の道をこの程度で阻めると思うな!俺とモクバは必ず夢を実現する。海馬コーポレーションはそのための会社だ!来い、ブルーアイズホワイトドラゴン!!」
「……ついに来ましたか。あなたの切り札、伝説の龍が!」
ブルーアイズの登場に月行が「難敵だ」と眉根を寄せる。一方で、デュエルを観戦していた花咲は「こんな状況で引き当てるなんて、凄い……」っと、感心していた。
「だが、対策はしてあります。私は、装備カード「ミラーバリア」を発動。これによりサラブレッド・エルフは3ターンの間、自身への攻撃を跳ね返す!」
「速攻魔法サイクロン!これによりミラーバリアを破壊!」
「なっ……そんなっ!?」
装備カードを除去されて動揺する月行。海馬はその月行の表情に喜色を示しながら畳みかけるようにバトルを行う。
「喰らえ!滅びのバーストストリーム!」
「ぐっ、伏せカード「慈愛のアミュレット」!これにより戦闘ダメージを0にする!」
サラブレッド・エルフがブルーアイズの攻撃により消し飛ばされるもギリギリのところで月行はLPへのダメージを打ち消す。しかし、このバトルによりモンスターを失った上に海馬の場にはブルーアイズが存在し、LPは海馬が圧倒的に不利ではあるが流れは海馬の方へと移っていた。
「次は貴様のターンだぞ!月行」
「……私は、「天使の施し」を発動。これにより再び3枚を引き2枚を墓地へと捨てます。そして、ホーリー・エルフを守備表示で召喚。更に、装備カード「ラミネート・アーマー」で守備力を1000ポイントアップ。伏せカードを伏せてターンを終了します」
「今度は守備固めか。ならばその守りを崩すまで!俺のターン!俺は二体目のブルーアイズを召喚!そして、ドラゴンの秘宝で強化!ホーリー・エルフを破壊!」
「ぐっ……」
「そして、俺はカードを伏せてターンを終了する。どうだ!これで貴様の頼りとしていた壁はなくなったぞ」
海馬が二体目のブルーアイズを召喚したことで更に追い詰められた月行。壁モンスターを引き当てなければ負けとなる状況であるが月行の余裕は崩れない。むしろ待ち望んだ状況が来たとばかりに微笑を浮かべた。
「この状況で笑えるか。ハッタリ、ではないようだな」
「ええ。むしろ、待っていました。あなたの2枚のブルーアイズという切り札を打ち破れば、自信を打ち砕き私の提案に乗ってくれるだろうと見越して。ここから勝負を決めます。私は、手札から「魔法石の採掘」を発動!これにより手札を2枚捨てて墓地の魔法カードを手札に加えます。そして、私が手札に加えた魔法カードは「武装転生」!これにより墓地にある全ての装備カードが攻撃力500のモンスターとして特殊召喚!」
「なんだと!?」
月行が出した「武装転生」によりこれまで墓地に置かれた装備カードがモンスターとして場に姿を現す。現れた5体のモンスターは、「ミラーバリア(攻撃力500)×3、「竜殺しの剣(攻撃力1200)」×2であった。
「武装転生でモンスターとなった装備モンスターはその効果を特殊能力とすることが出来る。つまり、竜殺しの剣はドラゴン族を攻撃力を無視してバトルとなれば破壊することが出来る。そして、パワーコネクション。これによりこのターン、同族のモンスターの数だけ500ポイント強化。そして、デーモンの斧を2枚付ける。これにより攻撃力は4200!ブルーアイズを破壊しLPを削り切れ!」
「ぐっ……させるか!攻撃の無力化!」
二体のブルーアイズを屠る竜殺しの剣が攻撃を仕掛けてくる。海馬はギリギリのところで伏せていたカードでその攻撃を無効化するがそれは一時凌ぎでしかないことを月行は示した。
「慈愛のアミュレットを竜殺しの剣1体にかけます。これでパワーコネクションで2200に攻撃力は戻りますが私のLPを削れるのは竜殺し1体のみ。ミラーバリアは破壊されずに攻撃を跳ね返す。そして竜殺しと戦闘をすればブルーアイズは破壊される。つまり、あなたのブルーアイズ二体は終わりです」
詰将棋のように海馬を追い詰める月行。手札補充と見せかけて墓地へと目的のカードを捨ててそのカードを墓地から使う戦術をしてきた月行は海馬のLPもブルーアイズへも王手をかけていた。この戦いぶりに海馬もこの王国へと来て初めて冷や汗をかいた。
「……」
このターンにキーカードを引き当てなければブルーアイズは次のターンで敗北する。
奴のモンスターを破壊するカードを引くか、玉砕覚悟でLPを僅かでも削るか、はたまたこのターンで勝利をもぎ取る手があるのか。
海馬は一度目を瞑ると、迷う必要などないことだ、っと心の中で答える。
「ブルーアイズが呼び寄せるのは勝利のみ!敗北などは似合わん!俺がブルーアイズを使う限り、ブルーアイズは必ず勝利する。ブルーアイズの名を俺の手で穢すものか!キサラ、俺に応えろ!」
全ての想いを懸けてカードを引く。既に可能性ではなく確信へと至っていた。自分が引き当てるのは自分のデッキにはない三体目のブルーアイズであると。
「出ろ!ブルーアイズ!!」
「なっ、3枚目!?」
海馬の場に三体目のブルーアイズが現れる。そして、海馬はここで手札に合った融合を発動させた。
「ブルーアイズ、お前らの力を合わせろ!奴の剣などをへし折り、勝利を手にする力を見せろ!!」
三体のブルーアイズが合わさり、デュエルモンスターズが始まって以来初めてそろった3体の融合モンスターが現れる。青眼の究極竜、ブルーアイズ・アルティメット・ドラゴン(攻撃力:4500)はその三つ首を携えて堂々たる威容で光の中から降臨した。
「凄い……なんて、神々しくも、恐ろしく、強さを感じる龍なんだ」
花咲はその龍の姿を見つめたまま思わずつぶやいた。
海馬はその最強の龍を侍らすと攻撃を高らかと宣言する。
「キサラ!その力を轟かせ!アルティメット・バースト!!」
究極竜の攻撃により竜殺しを消滅させ、月行のLP2000を一気に0へと減らす。その強力な一撃に月行は立ちすくしたまま呆然としていた。
「これが……究極竜……。そんな、後一歩のところで……」
残してあった最後のカードは魔法を墓地から引き戻すカード。海馬がもしも攻撃を躊躇すれば次のターンにはチェックをかけていたのだ。それをこうもあっさりと逆転されるとは月行は思いもしなかった。
「俺の勝ちだ。月行。王城へと入らせてもらうぞ」
海馬は立ち尽くす月行を振り返ることなく立ち去ろうとする。
「ペガサス様……海馬瀬人はその力がある……私は……」
反芻するかのように独りぶつぶつと呟く月行。そんな月行を暫くの間見つめていた花咲であったが、意を決した様子で花咲は月行へと接触をかける。
「その……月行さん、もしかしたらあなたは本当は海馬君を止めたかったというより、海馬君がペガサスさんと戦える相手か試したかったんじゃないですか?」
花咲がそう口にすると海馬は馬鹿馬鹿しいとばかりに否定する。だが、当の月行は驚いたかのように瞠目し、花咲を見つめた。
「だって、そうでしょう?もし本当にペガサスさんの命令通りにデュエルしてるのならわざわざモクバ君を開放するように進言して海馬君に負けるように提案するなんてしないはず。それに、海馬君に対してデュエル中に焚き付けるようなことを言ったりしてたのも、そう考えると辻褄が合うんだ。あなたは、今のペガサスさんのやり方に疑問を抱いてるはず」
「……確かに、そう、だったのかもしれない。今のペガサス様は以前と違って暗い感情を表に出していて、それでいてあの人の目的とは関係のないモクバ君や武藤遊偽さんの幼馴染を人質に取ったりと、変わってしまった。あの、エジプト人が来てから。ずっと、ずっと私はおかしいと思っていた。盲目的に従うべきなのかと」
花咲に促されるままに自問自答を繰り返し、自分の気持ちに確信を抱いていく月行。花咲が感じた違和感の通り、月行もまた自分の行動とペガサスの変貌に違和感を抱いていた。
「その、もしよかったら、僕たちと一緒にペガサスさんの間違いを、正しませんか?千年アイテムってものや、ペガサスさんを唆した元凶がいるならそれを変えればいいんだと思います。一人では無理かもしれないですけど、僕も、海馬君も、そして遊偽君や皆も協力しますし、力を足していけば変える力になれるかもしれない」
「……そうですね。私はずっと迷っていたんだ。敬愛する人が間違ってるなら正すべきだと分かっていながら、私一人でペガサス様を助けられるのかと。ですが、ここには奇しくも今のペガサス様と対立する人たちがいる。もし、不都合がなければペガサス様を救う手助けをしてもらえないでしょうか……」
花咲の言葉に自分の気持ちを自覚した月行はペガサスを救う新たな目標を得て立ち上がる。そんな月行に花咲は手をさし伸ばした。
「ええっ、勿論!あなたがいればモクバ君を開放出来るかもしれない。それに、以前のペガサスさんを知れれば遊偽君の力になって打倒出来るかも。むしろ、僕の方こそ何も出来ないけど出来ることは何でもやるから、お願いします」
花咲は頭を下げて月行の協力を仰いだ。月行はそんな花咲の礼を解いて握手を求める。これにより、ペガサスを元に戻したいが為に月行は遊偽らと協力関係を結んだ。
「ふんっ、俺にとってはペガサスが以前どうだっただろうと関係ない。奴を倒してモクバを取り戻す。ただそれだけだ。奴へやったことの報復をするつもりだが、それが不満ならお前らが全力で俺を止めるのだな」
海馬が冷たく言い放つ。それだけモクバへの仕打ちに対してペガサスへの怒りは大きいようだ。だが、花咲に近づくと今までの海馬とは異なり、少しだけ柔らかな口調で、
「よく奴を引き込んだな。俺には出来んことだ」
っと、珍しく褒めたようだ。花咲もこれには感極まったのか恥ずかし気に鼻を啜っていた。
「デュエルボックスの場所とPKの場所は王城の監視カメラで把握してます。もし、よければこの情報を伝えてください」
月行の言葉により無線を手にした花咲が頷く。
海馬が10個のスターチップを門へと嵌めて堂々と本選出場を確定させたこの時、花咲は月行と裏で遊偽たちのサポートに回っていた。