王国二日目。遊偽、海馬らが星を10個集めた頃から遡り視点は城之内へと移る。
梶木と別れた城之内らは丘陵地帯を暫く歩いていた所、目当てのデュエルボックスと本選会場である王城が遠くに見えた為、規定数のスターチップを集めるべく一行はその場に留まっていた。
「クソーっ!何でだ!?何で俺と皆戦ってくれねえんだよ!!」
日が暮れはじめ、デュエルもそろそろ終わりとばかりに散っていく参加者を前に独り慟哭する城之内。
二日目にして既に7個の星を持っていた城之内はデュエルボックスに集まっていたどの参加者よりも多かったため敬遠されたようで、一日張った上での収穫は様子見でデュエルを挑んできた相手に勝利して手に入れた1個のみであった。
「ざっ、残念だったね……。でも、明日もあるし後2つだから頑張ろう!城之内君なら出来るよ!」
「ううっ、そういうお前は3回もデュエル出来た上に星の数も一気に8個にまで増やしてるじゃねえか……」
落ち込む城之内をミホは慰めるが、そんなミホは城之内と違って参加者に引っ張りだこであったためか恨めしそうな目で見つめる城之内。
「まあ二日目で既に7個も持ってるような野郎よりも可愛いミホちゃんと相手して格好付けたい気持ちは理解できるな。同じ立場だったら俺もそうしてる」
一方で参加者視点から見たら当然だとばかりにミホ側に立つ本田。
そんな本田の言葉に余計悔しがる城之内を余所に一行は丘陵のデュエルボックスから離れ、王城へと向かった。
「ほぅ、そいつは本当か?」
「はい!そいつら二人とも既に8個持ってました。男の方はデュエルを見てましたが腕も頭もいまいちそうだったのと相手がいなくて困ってたんで持ってこいかと」
丘陵地帯を抜けて森へと入る境目。その中でも見晴らしのいい小高い丘にたむろっている4人の集団があった。そこで城之内たちを監視していた短髪の男が兄貴分と思われるアメリカ国旗のデザインのバンダナを巻いたサングラスの男に報告をしていた。
「ビギナーズラックにしても出来過ぎた数だが、その口ぶりならPKを倒せるほどの実力者ってわけでもなさそうだな。それに、この大会に限れば有利な場に引きずり込めばこっちのものだ。やるぞ、お前ら」
兄貴分と思しき男の言葉に就いていた3人は頷き合う。男はそれを満足気に見ながら3人の中で一番背の低い少年に声をかけた。
「この近くに墓場のフィールドのボックスがある。そうなると必然的にやるのはお前だ、骨塚。お前の強化されたゴーストデッキでそいつらを倒してこい」
「ああっ、分かったゾ兄貴。兄貴の戦術指導とレアカードのおかげで俺のゴーストデッキはかなり強化されたゾ。その上でフィールド効果もあるなら負ける気はしないゾ」
背の低い少年、骨塚は自信に満ち溢れた表情で男に応える。参加者を相手に男の力を借りて連勝した成果もあり、骨塚は男を兄貴と慕い、男の指示に忠実であった。
「8個全部賭けでやる。佐竹、高井戸、お前らの星も1個ずつ骨塚に渡してやれ。それで8個になるからな」
男の指示通り、呼ばれた短髪の男、佐竹と眼鏡をかけた高井戸もまた素直に頷くと骨塚に星を渡す。
兄貴分の男はキース・ハワード。全米チャンピオンだった実績を持つほどのデュエリストであり、キースの監修したデッキで二人ともこの島で星を増やすことに成功した為か骨塚と同じくキースを心酔していた。
「それにしても兄貴は凄えや。どこにデュエルボックスがあるかも知ってるなんて」
「ふっ、そこは俺の人脈よ。PKとして雇われた賞金稼ぎのテッドって奴は俺に貸しがあってな。そいつが俺に情報を横流ししてるわけよ。おかげでこの島の構造、デュエルボックスの場所は網羅している。その上で、どの環境にも合わせられるように種族統一されたデッキを持ち込んでる。お前らは俺の指示通りやれば全員本選出場出来るわけだ。それに、むしろ本選ではフィールド効果がない分、強敵はこの予選で潰した方がいい。やるぞ、お前ら」
「おう!兄貴がいれば怖いもんなしだ!」
キースの言葉に鼓舞される手下の3人。
(くくくっ、見てろよペガサス。お前を倒してあの時の恨みを晴らさせてもらうぜ。こんな大会、俺がぶち壊してやる)
ペガサスに個人的な恨みがあるキースはサングラス越しから憎悪の炎を燃やした瞳で王城を見つめていた。
二日目が終わり三日目の朝。テントを片付けて朝食をとっている頃、城之内らのキャンプ地に訪れる者がいた。
「何っ!?本当か!?本当に、俺とデュエルしたいのか!?」
「だっ、だからそう言ったゾ。昨日のデュエル見ててお前凄い強いデュエリストだと思ったゾ。だから、記念に挑みたいなと思ってるんだゾ」
喜々として訪れた客、骨塚に聞き返す城之内。そんな城之内をおだてる骨塚であったが意図を察せずに感無量といった具合で城之内は照れながらその気になっていた。
「早速相手が見つかってよかったね♪城之内君♪」
そんな城之内の様子をミホも嬉しそうに眺めていた。
そうして、骨塚についていった一行は丘陵地帯を抜けた先にある崖の洞窟の中へと案内される。
「へぇ、入口は小さくてこんな狭い中にあるのかよと思ったが意外と中は広いんだな」
物珍しそうに眺める城之内。入口から徐々に広がる洞窟の先には隠れ家のように拵えた空間にデュエルボックスが置かれていた。
「そう、ここが墓場のフィールドさ。そしてここでお前と勝負するんだゾ、城之内!星は8個賭け、どうだ?」
振り返ると途端に強気な態度に出る骨塚に面喰らいながらも困ったような顔になる城之内。
「8個か…だけど俺は後2個で10個になるしなあ。うーんっ……」
迷う城之内にミホも本田もまた当然とばかりに渋い顔つきになる。しかし、そこに一人の男が後ろから現れる。
「ふっ、お前らに拒否権はねえんだよ。8個賭けない限りはここから出られねえんだからな!」
現れた男、キースは小ばかにしたかのように一行を見ながら笑う。
「なんだオッサン!?ってか、それはどういう意味だよ!」
「そのままの意味さ。確かめてみるといい。入口は既に半分ほど閉じてある。俺らの仲間が入口を塞ぐ仕掛けをしてるのさ。つまり、てめえらは俺たちの要求通り全部賭けしない限りはここから出られねえのさ」
キースの言葉にまさかっ!とばかりに確かめに行く本田。だが、実際に入口は閉じかけてあり、事実であることを城之内とミホに伝えた。
「骨塚!嵌めやがったな!!」
「ははっ、ホイホイついてきたのが悪いんだゾ。さあ、どうするんだ城之内?」
「汚ねえ奴らだ!いいぜ!お前らを倒して俺はここから出る!8個全部賭けてやる、後悔すんなよ!!」
骨塚の挑発に憤った城之内はあっさりと乗る。売り言葉を安易に買う城之内に呆れる本田とミホであったが現状を打破する手があるわけでもなく結局城之内に任せることにしたようだ。
「意気がいいじゃねえか。だが、俺と戦いたかったらまずはこいつを倒さねえ限り話にはならんな。骨塚、軽く捻ってやれ」
「おう!兄貴!」
デッキを片手にボックスへと入る骨塚。城之内もボックスにデッキを置くと憤りを隠さず対峙する。
「「デュエル!!」」
こうして墓場フィールドでの城之内と骨塚のデュエルが始まった。
「俺はマーダー・サーカス(攻撃力:1350)を召喚するゾ!」
「俺はアーマー・リザード(攻撃力:1500)でバトル!」
城之内が骨塚の出したモンスターを撃破する。やられた骨塚はすかさずモンスターを投入した。
「なら俺は地を這うドラゴン(攻撃力:1600)だゾ!アーマー・リザードを撃破!」
「俺はアックスレイダーを召喚!再びバトルで撃破だ!」
骨塚のモンスターをすぐさま打ち破る城之内に、骨塚は弱気になったのか壁モンスターを出していく。
「くっ、俺は鎧武者斬鬼(攻撃力:1500、守備力:1700)を守備表示」
「魔導騎士ギルティア(攻撃力:1850)で撃破!どうだ!!」
防戦一方となった骨塚に対して勢いを増していく城之内。序盤からこれほどリードした展開に本田も不安から一転して調子のいい声を出す。
「なんだ城之内の奴やるじゃねえか!へっ、あいつら汚ねえ手を使ったくせに弱くてわけねえな」
「……でも、この場所にわざわざ誘って来たのにフィールド効果も使わないなんてなんか変な気がする」
一方で本田とは違い違和感を感じていたミホ。そんなミホに「考えすぎたって!ミホちゃん」っと不安をかき消すように声をかけていたが、そのデュエリストの感性から出た不安は最悪の形で的中した。
「ふふっ、そうだ。釣り餌をまくのが上手くなったな骨塚。奴に思い知らせてやれ、そのカードを使ってな」
「ああっ、分かったゾ兄貴!俺はここでこの「リビングデッドの呼び声」を使うゾ!」
骨塚の出したカードによって城之内のモンスターに敗れたモンスターたちが墓地からフィールドに姿を現す。その様子に城之内は驚愕し声を漏らした。
「なっ、なんだこれは!?」
「リビングデッドの呼び声は墓地のモンスターをゾンビモンスターに変えて蘇らせる。守備力は0になるがゾンビモンスターとなったことでフィールド効果を得て攻撃力は30%アップするんだゾ」
蘇ったモンスターは、マーダー・サーカスゾンビ(攻撃力:1750)、ドラゴンゾンビ(攻撃力:2080)、鎧武者ゾンビ(攻撃力:1950)。骨塚はドラゴンゾンビでギルティアを、鎧武者ゾンビでアックスレイダーを撃破した。
「ぐっ、俺のモンスターが全滅!?」
「ハハハ!どうだ!これがゴーストデッキの真骨頂だゾ!!」
状況が一変して不利になったことで慌てる本田。
「まだ大丈夫!この攻撃力なら城之内君にも打つ手があるから諦めないで!」
ミホは必至に声をかけるが、竜崎、そして梶木といった強敵を相手に乗り越えた城之内はこの程度の危機で諦めるような男ではなかった。
「……へっ、やるじゃねえか。後ろで声をかけてるオッサンは気に喰わねえが、少しヒヤッとしたぜ。だが、まだやられるほど軟じゃねえ!俺のターン!!」
闘志に火がついた城之内は切り札の一つを引き当てる。
「俺は炎の剣士!更に、サラマンドラのカード!これで攻撃力は700ポイントアップ!2500になった炎の剣士でドラゴンゾンビを攻撃!!」
強化された炎の剣士により敵の最大戦力のドラゴンゾンビを屠る。
「よっしゃ!撃破……って、何!?」
倒した、かのように見えたがその瞬間、フィールドから再びドラゴンゾンビが蘇った。
「あははっ、リビングデッドの呼び声で復活したゾンビはすぐに戻ってくるんだゾ。そして、俺はエースモンスター「ゴースト王-パンプキング-」を召喚だゾ!守備力はフィールド効果で2600!だけどこいつはその効果が凶悪でゾンビモンスターを毎ターン10%アップさせるゾンビコンボモンスターだゾ!」
「毎ターン増加!?」
パンプキングの効果に驚く城之内。その言葉通り、僅か2ターンでドラゴン・ゾンビは炎の剣士を上回る攻撃力となった。
「炎の剣士、撃破だゾ!!」
炎の剣士すら敗れ、更に攻撃力を増していくゾンビモンスターたち。絶対絶命な状況に城之内も少しだけ後退る。だが、そんな城之内を見越してミホも声をかけ本田も覚悟を決めたのかミホと一緒に発破をかけた。
「諦めないで!ここで負けたら星をなくして遊偽君と本選で戦えなくなるんだよ!まだ、まだやれるよ!」
「そうだぜ!お前が勝てば出れるんだ!気合入れろ!」
二人の言葉に城之内も励まされたのか、ふっと軽く笑うとまだやれるとばかりにサインを送る。いまだ闘志を絶やさない城之内に内心焦る骨塚とは逆に後ろで観戦していたキースは遊偽という名前に反応を見せていた。
「ほぅ、まさか武藤遊偽か。お前ら、あいつの知り合いなのか。なるほどな……あの、ペガサスが懸賞金をかけるほどに危険視してた奴と関係があったとは」
「あん?懸賞金?あんた、何を知ってるんだ?」
「ふふっ、お前らには関係のないことだ。ペガサス側の事情なんてのはな」
物知り顔のキースに怪訝な表情で見つめる城之内。だが、すぐさま骨塚に意識を移すとどう対抗するかを考える。
(まずはあのカボチャを倒さない限りは勝機はねえ。だけど、守備力2600
……さて、どうするか)
城之内が引いたカードは「右手に盾を左手に剣を」のカード。モンスターの攻撃と守備力を入れ替えるカードを引いた時、はっと閃く。
(そうか!ゾンビモンスターは守備力が0!このカードがあれば……)
後は骨塚のLPを削り切るモンスターを引き当てるのみ。対策される前にこのターンで決める。その為のカードはあった。
「俺は「運命の宝札」を発動!サイコロを振って出た目の数だけカードを引き、その分だけデッキから取り除く!」
サイコロの目は1。可能性を呼び寄せるカードを想いながら城之内は全てを賭けてデッキからカードをめくる。
そのカードは想い描いた通り、”可能性の龍”であった。
「俺は、右手に剣を左手に盾をのカードを使う!これでゾンビモンスターたちは攻撃力が0になる!」
「なにっ!?」
「そして、今引き当てたレッドアイズを召喚!こいつで終わりだ!黒炎弾!!」
城之内のレッドアイズがブレスを吐き出し場のゾンビを焼き払う。骨塚のLPは一気に0へと変わった。
「そんな、俺が、負けた……」
唖然とする骨塚であったが、リビングデッドの欠点を突かれたことにキースも思わず舌を巻いた。
(まさか、ここまでやられるとはな……チッ、あの武藤遊偽の知り合いってのは伊達じゃねえってことか)
ミホも本田も飛び上がって喜び、城之内に駆け寄る。星を一気に16個に増やした城之内は二人の賛辞に照れながらも誇らしげであった。
しかし、そんな一行を後目にいそいそと出ていく骨塚はキースに連れられて出口へと駆ける。それに遅ればせながら気づいた本田はハッと最悪の事態が浮かんで追いかけた。
「まっ、待て!お前ら、何をする気だ!?」
「はっ、気づいたようだがもう遅い!出口は塞がせてもらうぜ!」
キースと骨塚が出たのを見計らって穴を塞ぐ佐竹と高井戸。
すんでの所で外へと飛び込んだ本田であったがその瞬間、入口は岩で塞がれた。
「なっ……ミホちゃん!城之内!!糞っ、お前ら!!」
本田がキースへと殴り掛かるが佐竹と高井戸に体を掴まれ地面に倒れ伏す。
「くくっ、俺はお前らを出してやるだなんて一言も言ってねえぜ。そのままお仲間と別れたまま死んでろ!」
キースに顔を全力で蹴られて本田は意識を失う。これにより城之内とミホは洞窟に閉じ込められた。
「ふぅ、まあこれで奴らは王城にたどり着くことはねえだろうが……それはそうと、骨塚!お前、よくも負けてくれたな!!」
態度を一変させて骨塚に掴みかかるキース。その表情に骨塚もたじろぐ。
「でっ、でも、俺は兄貴の指示通り……」
「だったら負けるわけがねえだろうが!!お前もここでくたばれ!!」
制裁という名目で八つ当たりをするキース。本田と同じように蹴り飛ばされた骨塚はそのまま倒れ伏した。
「おい、お前ら、5個ずつチップ持ってたな。それ、俺に渡せよ」
「えっ……」
佐竹と高井戸に詰め寄ると有無を言わさずスターチップを奪うキース。その後、キースは用済みだとばかりに二人を気のすむまま暴行し、グローブへと10個の星を嵌めこんだ。
「アハハハ!最初からこうすりゃ早かったわけだ!雑魚どもが俺の指示通りに動かねえから余計な時間喰っちまった。待ってろよペガサス!本選を血祭にあげててめえをぶっ潰してやるからよ!」
意識を失った佐竹と高井戸を後目にキースは悠々と王城へ向かった。
城之内らがキースの策により洞窟へと閉じ込められた頃、遊偽は舞とリサを連れて王城へと辿り着いていた。
「武藤遊偽!?それに、孔雀舞に、影山リサだと!?貴様ら裏切った上に武藤遊偽の味方をするとは!」
「あらっ、心外ね。あんな見え透いた餌に喰いつくほど私は馬鹿じゃないの。遊偽以上に魅力的な餌を用意してから出直してきなさい」
「もう私はPKじゃないわ。星だって全部返してあげる。文句があるならペガサスにでも言いなさい。もっとも遊偽はそのペガサスを倒すでしょうけど」
出迎えた黒服の男を一蹴する舞とリサ。前に出る女たちを頼もし気に見ながら遊偽は舞とともに10個の星を携えて門を開ける。これにより遊偽と舞は予選通過が確定した。
「遊偽君!よかった、遊偽君なら大丈夫だとは思ってたけど、こうして無事にここまで来てほっとしたよ」
城の別塔から顔を出して喜びの声をあげたのは遊偽の仲間で別の船から王国に来た花咲。花咲の隣りには海馬もいた。
「花咲君!うん、俺も再会出来て嬉しい。それに、海馬……やはり、お前は強いな。お前ならもしもはないと思ってたが一番乗りで城に到達とは」
「ふんっ、誰が先着かなどどうでもいい。姑息にもPKなどを雇っていたようだが、俺やお前を阻むほどの腕ではない。ここからペガサスを引きずり出すのだ。これからが本番だ」
海馬は当然だとばかりに鼻を鳴らして応える。海馬は遊偽が王城に来ることは既定路線だと思っていたようで特に再会の喜びなどはないようだ。
「それよりも花咲、お前は遊偽に伝えるべきことがあるのだろう?」
海馬が切り出した言葉に思い出したとばかりに花咲は遊偽に詰め寄る。
「そうだ、遊偽君!紹介したい人がいるんだ」
突然の言葉に呆気にとられながらも遊偽は花咲に連れられて別塔へと入った。案内される途中で舞とリサを紹介したが、花咲にはまたかとばかりに溜息をつかれ、海馬は特に問題にしていないようであったがそれは些細な話である。
「武藤遊偽さんですね。初めまして。私は天馬月行と申します」
連れられた個室に控えていたのはイリュージョン社アジア総局の重鎮にてペガサスの後継者と目されている男。そんな男が味方になってくれたと話す花咲に驚愕しながらもたじろぎながら挨拶を返す遊偽。
月行はそんな遊偽の様子に微笑みながらも自分がペガサスを裏切り遊偽側についたわけを話す。そして、そんな事情を聞いた遊偽は気に留めた点について考えた。
(ターバンを巻いた千年アイテムに関わるエジプト人……。まさか、シャーディー?)
ペガサスに千年眼を与え、今尚ペガサスに近寄ったその謎の男は遊偽のよく知る男なのではないか、そうであれば目的は何なのか。そんな遊偽の疑問に千年パズルの中の人格、アクナディンもブツブツと呟きながら何かしら考えていたように遊偽には思えた。
「もし、その男がペガサスを唆して杏子を人質に取ったのだとしたら、月行さんの言う通りペガサスは裏で操られていたのかもしれない。だが、現段階では情報が少なすぎて分からないし俺は杏子を人質に魂を抜き取った行為を許すつもりはない。だから、月行さんの意に添えるかは対峙次第になるけど、それでも?」
「ええっ、私はペガサス様を元々は心優しい方であると知っています。だから、必ず遊偽さんはそれを理解してくれると信じています。そして、今回の行動は道を外れていると思っているからこそ止めて欲しいのです。そのためなら全力で協力します」
遊偽の言葉に覚悟は出来てると頷く月行。そこまで月行がペガサスを想い、慕っている上で遊偽に託すのであれば、っと遊偽は納得しながら協力を受け入れた。
「それで、私が出来ることですが。まずは城之内さんたちの居場所を突きとめました。彼らはいまここにいます」
PCの画面から位置情報を見せる月行。どうやらPCにはデュエルボックスの場所と映像、そして使用記録が映し出されているようであった。
洞窟内の墓場フィールドにいると聞き、そこが王城からほど近い場所にあることにほっとする遊偽。
しかし、そこで無線から突然メッセージが届く。
“城之内、ミホ、洞窟にて閉じ込められる。救援求む本田”
短いながらも簡潔に危機を知らせるメッセージに驚く遊偽。
「こっ、これは……!?月行さん、この状況分かる!?」
遊偽の言葉に慌てて映像をチェックする月行。観察していくうちに事態の深刻さを理解し動揺しだす。
「まさか……いえ、どうやら本当に洞窟に閉じ込められたようです。本田さんだけが洞窟から出られた為に無線で知らせることが出来たのでしょう。出口は……ここ以外だとPKの迷宮兄弟が握っています。出るにはこのPKを倒さないことには……」
月行の言葉に立ち上がる遊偽。
「万が一がある。俺はその洞窟に行く。もしかしたら本田君と協力すれば入口を開けられるかもしれない。花咲君も来てくれるか?」
「もっ、勿論だよ!」
「私も行くわ、遊偽。舞さんはもしもの時にここに残って!」
遊偽のこと版い頷く花咲と同行するリサ。
後を月行、海馬、舞に任せて遊偽たちは急ぎ、洞窟の入り口へと向かった。
キース初登場。
ネットではすっかり初心者優遇オジサン(実年齢だとお兄さん)になったキースですがここでは原作通りの屑キャラで登場。