陽が西の地平に沈みこみ薄暗さが気になり始めた頃。童実野町にある個人経営のゲームショップ、武藤ゲーム店はその日珍しく臨時休業になっていた。店は家も兼ねており、店主と家人は一人を除いて出払っていた。この日、残っていた店主の孫、武藤遊偽は同級生を自室に招いていた。
「あむ、はふっ、ハァ……遊偽……」
部屋の隅に置かれたベッドで遊偽と杏子が半裸の状態で唇を交わし舌を求めっている。スカートは捲られ、遊偽の一物は杏子の膣に入り込んでおり、所謂対面座位で二人は繋がりあっていた。
「杏子、はむっ、俺も、もっと繋がりたい」
上と下で繋がった二人。遊偽は杏子の舌を激しく求めるとそれが嬉しいのか杏子も舌で応え、手と足を遊偽の背中に回し密着を強める。長いキスを終え離した口元では唾液の糸がつーっと二人の唇で繋がっていた。熱に浮かれた遊偽は杏子の腰に手をまわし膣を掻きまわす。
「ああん♡遊偽、気持ちいいの♡もっと、もっとぉ!」
たらんと落ちた目尻で喜悦に染まりおねだりをする杏子。愛液が潤滑油となり刺激を絶え間なく与える遊偽のペニスに善がり狂う。
「杏子の中も、凄いよ」
ダンスで足腰を鍛えている杏子の膣は遊偽のペニスが入ってくるとぎゅっぎゅっを締め付け、亀頭の裏側にもぴっちり入り込んでくる。遊偽にとってはそれがたまらなく気持ちいい。
処女の時とは違い、遊偽の形に馴染んでいるようにも感じた。
「こうして遊偽を見ながらするの好き!あん♡」
杏子が腰を浮かし大きめの胸をぶるりと前で震わせる。上半身は裸で下半身はスカートだけの杏子はフェチを刺激され非常に煽情的だ。
「杏子、イキそうなんだね?イッっていいよ。俺も、イキそうだから!」
遊偽の突き上げが速度を上げる。杏子の弱い部分を集中的に突く遊偽のペニスに杏子はたまらず舌を出す。
「あっ、あぁぁぁぁ♡♡イクっ、イクの、遊偽――――♡♡」
足をぴっちり遊偽の腰で交差させる杏子。膣壁が急激に蠕動し遊偽も限界に達っしたまらず膣で果てた。
「杏子、凄く気持ちよかった」
「遊偽、私も……。遊偽と繋がってると、身体も心も満たされるの」
頬は紅潮しうっとりと見つめてくる杏子。遊偽の顔も熱を帯び、再び二回戦へと突入する雰囲気が出来上がっていた。
しかしその時、
「もう、杏子ばっかりズルい。遊偽くぅん、ミホも、おねがーい♡」
と、ベッドの端にいた、同じく同級生の野坂ミホが遊偽を誘う。二人の情事を見てすっかり発情したらしく、腰を浮かせて陰部を擦っている。穴からは蜜が溢れ、いつでも準備万端といった様子だ。
「うっ、うん。ごめん、ちょっと待ってね」
待ちきれないとばかりに親指を唇でしゃぶるミホは愛らしさとエロスを醸し出しており、遊偽の股間が杏子の膣の中で再び硬さを増していく。それに気づいた杏子はむっとして遊偽を抱きしめた。
「ちょっと!杏子ちゃん、酷いよ!次はミホの番でしょ!順番って言ったじゃん!」
「だって、遊偽を渡したくないんだし。何であなたなんかに……」
「杏子、これじゃ勝負にならないから。次はミホちゃんだから我慢して」
ぎゅっと抱きしめてくる杏子を振りほどく遊偽。ズルっとペニスを抜き出すと、あん♡、っと杏子は悩まし気な声を出し、未練たらたらの視線を向ける。
「ミホ、前戯なしでいいよ♡遊偽君の好きにしてぇ♡」
胸と陰部に手をやり伏し目がちにおねだりするミホに遊偽は唇をふさぐとそのままミホの足を掴み広げる。
「やん♡ミホも、恋人繋ぎしたい」
杏子と同じく対面座位の状態で遊偽とミホは繋がりあう。杏子と違いまだ処女の硬さが残るミホの膣は愛液をもっても摩擦が強い。膣壁は所々粒のようにごつごつしており、亀頭に心地よい刺激を与えてくれる。
「はぁ、はぁ、あん♡遊偽くぅん♡」
キスから口を離すとミホはぺろぺろと遊偽の乳首に舌を這わせた。未知の刺激にミホの膣のペニスがぶるりと震える。
「ミホ、ミホを抱えてくれる遊偽君のこの胸好きぃ。もっと、ここに顔をうずめたい♡遊偽君も、乳首、気持ちいい?」
「うん、ミホちゃんの舌、とっても気持ちいいよ」
「えへへ♡そう言われるとミホも嬉しいなぁ♡あうっ!」
ミホの奉仕に気をよくした遊偽は突き上げを強める。杏子とは異なり膣を開発されつくしてないミホは膣イキにはまだ遠いが遊偽がイキやすいように腰を懸命に揺らす。
「遊偽君、いつでもイって!ミホの中で、気持ちよくなって!」
「ミホちゃん、もう、出そうだ。出る!!」
ペニスがいっそう膨らむと同時に熱い塊をミホの中に吐き出す遊偽。熱い欲望を流し込まれたミホは遊偽の胸に顔をうずめ両手両足を遊偽に強く絡ませる。
「遊偽君の、あったかい♡」
ミホは横で恨みがましく見ていた杏子にせっつかれるまでその温もりを味わっていた。
「それで、今回は私の勝ちね」
「むぅ~~~」
勝ち誇る杏子と不満顔でうねるミホ。ベッドの上で遊偽を挟む形で二人は対峙していた。
「まあ、遊偽がちゃんと私を愛してくれてるわけだし、ガールズフレンドに一々文句は言わないけど?野坂さんが学校で彼女面で遊偽にイチャイチャするのはしちゃダメだからね」
「ちょっとミホより先に遊偽君とヤッたからって彼女面してるのはどっちよ。今回だってまだ経験の浅いミホにとって不利な勝負だったんだけどぉ!」
再びいがみ合う二人。遊偽が自分を愛してくれていることには疑問を抱かないが故に二人は遊偽の心の取り合いでバチバチに火花を散らしていた。セックスで遊偽をより気持ちよくする勝負では遊偽との経験が豊富な杏子が勝ったがいまだにミホは納得がいかない様子。
「学校ではなるべく控えるように、くらいでどうかな?」
「ミホはずーっと遊偽君とイチャイチャしたいのに……。ふんっだ!杏子ちゃんがバイトでいないときは遊偽君とデートしてるんだからね!」
「あー、ちょっと!ズルいわ!私だって放課後遊偽とデートしたいのに!」
その後も杏子とミホはひと悶着あったが勝負を通じてそれなりに今の形に納得したようで、学校では遊偽と仲のいい女友達という形でグループとして纏まっていた。
後日、童実野高校・教室
「遊偽、今日はバイトないから放課後は一緒にどこか行かない?」
「あっ、それならミホも!杏子ちゃんも遊偽君もいいよね?ミホ、本屋巡りとかぬいぐるみショップとか行きたいなぁ♡」
遊偽の席を囲んで話す杏子とミホの女子二人。今まで一人でいるか花咲君とアメコミやボードゲームの話をしていた遊偽だがいつの間にやら遊偽の周りには華やかな雰囲気が漂っている。それも学年で人気を集めている女子二人となれば殊更だ。
「あはは……最近遊偽君が遠く感じて来たよ」
遊偽に声をかけようとして先を越された花咲が引きつった笑みを浮かべていた。
「そんなことないって。花咲君も一緒に行かない?デパートか商店街でショッピングになるだろうからゲームセンターにも寄ると思うよ。花咲君はクレーンとか結構やるしぬいぐるみとか取ってあげたらミホちゃん喜んでくれるよ」
「えー!花咲君すごーい!ミホ、クレーンで取ったことないな~」
「そうね、私たちに遠慮することないよ。花咲君」
遊偽はいつものような笑顔で誘い女子二人も嫌な顔をせず明るく対応してくれている。しかし、
(うっ、なんか二人とも言外で来てほしくない、って言ってるような気がする……。おかしいな、僕の気のせいかな……?)
その誘いに乗ろうとした瞬間、びくっと背筋に寒気がし不穏なオーラを察知する花咲。裏を感じさせない遊偽の誘いにどうしようかと花咲は暫く迷っていた。
夕方、童実野町から外れた隣町のデパートにて遊偽ら一行はショッピングを行っていた。
「ねえ、遊偽?このコート、どうかな?」
「すっごく似合ってるよ!でも、杏子ならこっちの黒とかも大人っぽさが出て似合いそうだけど」
「えー?本当?うふふ、それならそっちも試してみるね♪」
レディースファッション店では冬の到来に向けて新作の上着が売られ、遊偽に気に入ってもらえるコーディネートに杏子が気合を入れており、
(彼氏、にしては釣り合ってないし身長差からも弟さんかしら?)
などと店員に思われ、場違いを感じながらも付き合う遊偽。
「ミホは可愛い系で揃えてみたよ♪遊偽君見て~~♪」
試着した服で遊偽に抱き着いて店員に怒られるミホ。
「僕、絶対付いてこなかった方がよかったよね……」
ぶつぶつと呟き女性服売り場に入れず赤面している花咲。
その後も、
「よし!欲しかった商品取ったよ野坂さん」
「本当にクレーンゲーム得意なんだー。ありがとう花咲君!」
「でへへ///」
「わぁっ!このクマちゃん人形おっきいなあ!遊偽君と同じくらい抱き心地良さそう~」
「「ちょっと!!」」
などと時折、爆弾発言が飛び出すミホのフォローをしながら一行は楽しんでいた。
フードコーナー
ショッピングとゲームセンターを楽しんだ一行はデパートの地下のフードコーナーで軽食を取っていた。最近日本にも輸入されてきた洋物ヒーローのゾンパイアの話をする花咲。興味津々な遊偽に釣られる形で杏子もミホも話に聞き入っていた。話が尽きた所で最近のクラス事情へと話題は移る。
「そういえば、うちのクラスだと海馬君と城之内君はどうなるんだろうね。二人とも家庭の事情とかで学校に来てないけど」
どちらも不登校気味のクラスメートだ。自分の後ろの席のためか花咲は常日頃疑問に思っていたらしい。
「海馬君の方は分からないけど、城之内なら今はバイトで忙しくて休学手続きの最中って噂を聞いたよ」
「えっ、休学!?」
驚く遊偽。それに対し杏子は淡々とした様子。
「うん、童実野高校ってバイトするには届け出が必要だけど、私が届け出を提出してた頃に城之内もバイト探してたから。休学の方は噂だけど、どうしてもお金が必要だから学校に行く時間も勿体ないって」
「それで、休学手続き……。何があったんだろ」
遊偽にとって城之内は特段親しい存在ではない。むしろ、不登校となる前は角刈りのクラスメートと一緒に嫌な絡み方をしてきたのを覚えている。だが、城之内は他の不良らとは違い強請も暴行もしなかった。それどころか遊偽に直接手を出してきた不良に対し、やりすぎだと軽く庇ってくれたことが一度あり、根は悪い奴ではないと遊偽は思っていた。しかし、牛尾が消えたことと不良が遊偽に暴行を加え始めた間の頃に、城之内は不登校となり、遊偽の記憶から城之内の存在は暫く消えていた。
「ふーん、バイトね~。ミホ、やったことないけど、近くでバイトしてたらすぐ噂になるよね。でも聞いたことないし、本当なのかな~?」
ミホがそんな他人事のようなことを言い出した時、
「へい!お待ち!って、遊偽に、杏子に……お前ら!?」
料理を運んできたバイトの若い店員が一行を見て驚愕の声を出す。それはちょうど話題にあがっていた不登校の城之内であった。
「城之内!あんた、何でここに!?ってか、ここでバイトしてたの!?」
「うっ、うるせーな!!クラスの奴らに会いたくねえからこんなとこでやってるんだよ。わざわざ平日に隣町まで来るお前らがおかしいだろ!」
詰め寄る杏子と盆を盾に振り払う城之内。遊偽も静かに立ち上がるとその間に割り込む。
「城之内君、休学手続きって本当なの?」
「……どこで聞いたか知らねえが、本当だ。俺にはどうしても金が必要なんだ。纏まった金がな。最悪、学校は辞めてもいいと思ってる」
「そこまで思い詰めてるんだ……。何のためか、教えてくれないかな?」
「悪いがそれは教えたくねえ。お前らに教える義理もねえし、俺の事情なんかどうでもいいだろ」
突き放す城之内。言外に軽く踏み込もうとするなという強い圧力を感じさせた。
「そっか……分かった。また時間があったら立ち寄るから、話したくなったら話して欲しい」
事情が気にはなったが無理に聞いても口を割ってはくれないだろう。パズルで無理やり聞くのも気が引けた遊偽は城之内が話す気分になるまで待つことにした。
「おう!って、お前本当に遊偽か?雰囲気が少し変わった気がするな。前はこんなにハキハキと話してなかったし……」
「一緒にいるのも随分と珍しい面子だよな。俺の知らない間に変わったんだな、お前も」
ぐっ、っとサインをして店内に戻る城之内。遊偽らは食事を終えると城之内に別れを告げフードコーナーから離れた。
デパート敷地内、バス停
「う~ん、気になるんなら無理にでも聞いた方がよかったのにー」
城之内の件でいまだ引きずる遊偽にヤキモチを焼いたのか口を尖らせるミホ。
「私は間違ってないと思うけど?自分の力で解決したいって覚悟持ってるわけじゃん。そこに無理やり入られたら嫌だと思うし」
杏子は遊偽側に立つ。だが、遊偽は遊偽で間違っていたのではないかといまだに後悔していた。そんな時、ふと花咲がいないことに気づく。
「あれ?花咲君、どこに……」
辺りを見回す遊偽。不意にデパート地下の物陰で複数人から囲まれ連れていかれる花咲の姿を目撃した。
「ぐはっ!」
腹に蹴りを喰らう花咲。最初の顔面へのパンチで頬は痣が出来、眼鏡にはひびが入っている。
「さっさと金出せよもやし。これから俺らのグループにニューメンバーが加入するんだ。祝いに先立つものが必要なんだよ。分かるだろ?」
花咲は襟を掴まれ持ち上げられる。その際に制服の裏ポケットの膨らみが目立ち、財布が露わになる。
「ほい、ゲット!最初から出せば蹴りはされずに済んだのによ。どれどれ……」
取り囲んでいた3人の不良が花咲の財布に群がる。その中身を数えている間に、
「はぁ、せっかくいい気分で帰ろうとしてたのに何でこんなことになるかな……。その財布、花咲君に返せよ」
花咲を助けに来た遊偽が不良に立ちはだかる。
「なんだてめえは!?このもやしの仲間か!?」
「おいチビ、何か文句あんのか?」
「お前の財布もよこせや、こらっ!」
花咲の財布を握りながら遊偽に眼をつけ近づく不良ら。遊偽はカバンにしまっていたパズルを取り出すと3人に掲げる。
「マインド・ロック。お前ら黙れ!」
石化されたかのように固まる3人。3人とも目の焦点が合っていない。
「財布を奪った理由はなんだ?」
「グループの頭とつるんでいた大物が新しく入るんでその祝いのために……」
「カツアゲで奪った金で祝いか。呆れるな。花咲君に目をつけたのは弱そうだったからか?」
「それもあるし、金持ってそうなのと、新入りの元のガッコの奴なんで、粋な計らいかと」
「ん?その新入りってのは童実野高校なのか?なんて奴だ?」
「……城之内克也」
その名前が紡がれた途端、遊偽は不良の襟元を掴み声を荒げる。
「なんだと!?城之内!?何で城之内君がお前らのとこに!何でだ!?金が手に入るからか!」
「いっ、いやっ、知らねえ。だが、ボスがどうしても城之内は入れたいってんで、何度も誘ってて、今日ようやく入るんだって……」
(嘘だ!今日会った城之内君はそんな様子じゃなかった!真面目に働いていたし以前と変わりがなかった。どういうことだ……まさか!?)
次々と浮かぶ疑問がある妄想に引っ張られ不安がよぎる。遊偽は不良らを片付けるとデパートの中に駆け込んだ。
フードコーナー、関係者控室
そこでは城之内を囲んで10人もの不良の集団がたむろっていた。取り囲まれている城之内は所々に痣を作っていた。
「城之内、もう腹は決まっただろ?こんなちんけなバイトで時間潰すより、俺らといた方が効率よく金を集められるぜ。お前の喧嘩の強さを俺は買ってるんだ。金持ってる奴らから奪えばいい。中学時代と同じように、また俺らとつるもうぜ城之内」
集団のボス、蛭谷がタバコを吹かしながら城之内に詰め寄る。片手には少女が映っている写真が握られていた。
「妹の手術費のためにバイトか。泣かせるじゃねえか。だが、うちの学区の抗争にお前が加わって勝利に貢献すりゃそれなりの金もお前の懐に入る。てっぺんとって集金システム作れば手術費に近い金は手に入るだろ。逆に、お前が断り続けるなら俺にも考えがある。妹ちゃん、米里病院にいるんだってな。お兄ちゃんが協力してくれるよう説得も兼ねてお見舞いにいってやらねえと」
「蛭谷、てめぇ!!」
蛭谷のその言葉に逆上した城之内はとびかかる。しかし、それも想定内の蛭谷はスタンガンを所持した手下らに城之内を背後から襲わせた。
「ぐっ、ぐわぁぁぁぁぁぁ!!」
「ふんっ、お前は昔通り頭が足りねえな。だが、その殴りかかる判断の速さと腕っぷしの強さは特攻隊にはうってつけだ。いつまでも待ってられねえ。今すぐ決めな」
吸っていたタバコを倒れている城之内の手に押し込み火を消す蛭谷。絶叫する城之内。
(糞っ!こいつ、本気だ。俺が断ったら静香は……。俺は、静香のために、こいつのいいなりになるしか、ねえのか!?)
僅かに逡巡した後、城之内は、
「ぐっ……、蛭谷、俺は、お前のグループに……」
入る
そう、言いかけた所で控室の扉が開いた。
「やっと見つけた。城之内君。やっぱり、脅されてたんだね」
パズルを片手に扉に佇む遊偽。パズルは新たな力を発現し、城之内の探知に役立った。
「なんだ貴様!!今は大事なグループの会合中だ!やれ!!」
沸き立った蛭谷が部下を差し向ける。しかし、遊偽がパズルをかざした瞬間、不良らが立ち止まった。
「なんだ、これは……何をやった!?貴様!!」
「あら、あんたは喋れるんだね。なるほど、ボスやってるだけあって結構手ごわそうだ」
パズルの力にも抵抗を示す蛭谷に驚く遊偽。
(こやつを完全に服従させるには敗北による大きなショックを与える必要がある)
(なるほど。だけど、どっちみち城之内君を突け狙わないようにするには勝負を吹っ掛けるしかないか。なら……)
パズルの答えに妙案が浮かんだ遊偽は城之内の手を取り立ち上がらせる。
「遊偽、これは、お前が……?」
「ああ。でも、詳しくは後でいい?これから城之内君に頼みがあるんだ。タイマンであのボスと戦ってほしいんだけど、勝つ自信はある?」
「蛭谷と……。勿論だ。あんな群れて周りに威張り散らす奴に負けるつもりはねえ!タイマンなら、俺が勝つ!」
「よし!城之内君のその意気に懸けたからね」
城之内から離れた遊偽は蛭谷に向き直る。
「勝負は1対1のタイマン。お前が勝ったら城之内君は渡す、城之内君が勝ったらこれからは一切城之内君に手を出さないこと、そしてカツアゲもやめること。これでどう?」
「はっ!いいだろう!勝つのは俺だ。負けたらその提案、考えてやるよ!勝負だ、城之内!!」
飛び掛かる蛭谷。手を肩の位置に右ストレートを繰り出すその姿はボクシングを齧っているように見える。城之内は片手で受け流すと即座にフックを繰り出した。
「ぐおっ!」
呻く蛭谷。城之内の攻撃を防御したが勢いを殺しきない。
「へっ、てめえの技は分かり切ってるんだよ!ボス山の大将の器はあるが喧嘩はそれだけじゃねえ!!」
続けざまに打ち出す城之内。蛭谷も応戦し両者ともに激しい攻防を繰り広げるが、戦況は城之内が優勢だ。
「チッ、童実野高校みてえな腑抜けたとこにいったから腕は落ちてると思ったが甘かったか」
血の混じった唾を吐き捨てる蛭谷。だがそこで懐から刃物を取り出す。
「何!?てめえ!」
「タイマンとは聞いたが、ステゴロとは聞いてねえ!喧嘩ってのは勝ちさえすりゃいいんだ。死ね!城之内!!」
一転、城之内が不利になる。致命傷を避けながらでは攻撃のキレがない。
「城之内君!?」
遊偽が城之内のためにルールを破ってでも動くべきかと迷っていると城之内がそれを目で制す。
「確かにステゴロとは聞いてねえな。なら……」
蛭谷のナイフを姿勢を低くして避ける城之内。転がり込むと硬直した部下が落としたスタンガンをつかみ取る。
「これならどうよ!」
「何!?」
出力をあげたスタンガンを繰り出すと見せかけて投げ込む城之内。ナイフを突き出す構えを解いた瞬間、蛭谷の手元を抑え強烈なアッパーを喰らわせた。
「ぐはっ?!」
崩れ落ちる蛭谷。完全にノックアウトした蛭谷は地面に伏した。
「ふぅ……俺の勝ちだ、蛭谷。勝ったぜ、遊偽!」
別れた時と同じようにぐっとサインをした城之内は満足気だ。
「よかった。勝ってくれて。もうこいつらは城之内君に絡んだりはしないさ」
試合の勝敗が決したことでグループメンバーも蛭谷を抱えて引き上げていく。不良から取り上げた写真はその場で城之内に返した。
「可愛い妹さんだね。この子のために頑張ってきたんだね城之内君は」
「ああ……。静香って言ってな。俺のたった一人の妹なんだ。元々眼が悪くてな。いつ失明するかもわからない状態だから、俺が手術費用をなんとかしねえとって……。だが、あいつらに目をつけられてこのままだったら俺はまた悪党になってた。ありがとな、遊偽」
遊偽に助けられた城之内は自分の抱える事情を遊偽に語った。
「それと、そいつが変な力使ってたみてえだが、言いふらしたりはしねえよ。助けられちまったしな」
「ありがとう。それと、やっぱり俺城之内君の力になりたい。今回の件でも、不良たちの暴力や楽な方に流されずに、学校を辞めてまでここで金をためる城之内君を見てると報われないのは辛いからさ。パズルの力もあるし、少しだけ協力させてくれないかな?」
「……遊偽にまた助けられるようじゃ情けねえよ、俺は。だけど、話を聞いてもらえるなら少しは気が晴れるかもな。今度、またここに来いよ。食事くらい礼にサービスさせてくれ」
「ああ」
城之内が手を差し出し遊偽はそれを掴む。心を通わせる友人が出来た瞬間だった。
「……遊偽、どこにいってたの?」
「遊偽君、酷いよー」 うるうるっ
遊偽がバス停に戻ると待ち受けていたのはいまだに延びている花咲を介抱しながら長らく待っていてすっかりおかんむりな杏子とミホ。彼女らの機嫌を直すにはかなり苦労したようだ。
書き終わった後に読み直すと長い……
序盤は杏子とミホの3P
静香ちゃんに会うフラグが出来ました
意見要望がありましたらいつでもどうぞ
誤字報告ありがとうございました