※この作品はR-18です。

遊戯王のパズルの悪い使い方   作:菓子ラムネ大好き

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第8話

 

 10月も半ばとなった某日。城之内が高校に復帰し、本田との和解のきっかけとなった名蜘蛛の事件から早1週間が過ぎた。日曜日で学校が休みのこの日、遊偽を取り巻く友人たちは遊偽の家である武藤ゲームショップに集まっていた。

 

 

「ここで、インプ(攻撃力:1300)を召喚!アンモ・ナイト(攻撃力:1000)を攻撃だ!」

 

「あちゃー。LPが300も削られちゃったよ」

 

「だはははは!どうでい!!遊偽」

 

 

 店のテーブルで広げたフィールドマップにカードを並べゲームに興じる遊偽と城之内。二人のプレイを杏子、ミホ、本田、花咲が囲み、興味深そうに眺めていた。

 

 

「次は俺のターンだね。ドロー!よし、俺はエルフの剣士(攻撃力:1400)を草原に召喚。草原のフィールド効果で剣士属性は攻撃力が200ポイントアップ!エルフの剣士でインプにバトル!」

 

「げげっ!攻撃力1600ってことは、LPが300削られて、俺の負けかよ……」

 

 

 LP(ライフポイント)を0まで削られた城之内の負けで勝負は決する。二人が遊んでいるのは「デュエルモンスターズ」と呼ばれるカードゲームだ。世界的ゲーム企業インダストリアル・イリュージョン社が開発、販売したゲームで最近童実野高校で流行りだした遊びである。遊偽の家がゲームショップということもあり、休日にデュエルモンスターズをしに友人らが遊偽の店に押しかけた。

 

 

「ゲームとなると流石ね、遊偽。私もデッキ組んだから今度は私とやらない?」

 

「遊偽君、すっごーい!ミホもやりたーい」

 

「ミホちゃん、それなら俺と……」

 

「僕もデッキを今から組み始めるよ」

 

 

 杏子は城之内をどかし遊偽の次の対戦相手に立候補する。ミホ、本田、花咲は次の二人のプレイを見ながらデッキを組み始めた。

 

 

「ラ ムーンを守備表示(守備力:1700)よ。この守備力なら早々破れないはず。どう?遊偽」

 

 

 守備力の高いモンスターで壁を作る杏子。城之内と比べ杏子のプレイングは堅実で遊偽のLPを少しずつ削っていった。

 

 

「そのカードは手強いな。でも、魔法カード、サンダーボルト。これにより杏子のフィールド上のモンスターは全て撃破!」

 

「まっ、魔法カード!?ウソ~。もう私の手札にモンスターがないじゃない!私の負けよ……」

 

 

 デュエルモンスターズにはモンスターだけでなく魔法カードも存在し単純なモンスターの攻撃力、守備力によるLPの削りあいにはならない。その戦略性の高さが評価され、日本でも何度も大会が開かれているほど人気のあるゲームなのだ。

 

 

「くっ、悔しい~。ねえ、遊偽のお爺ちゃん!私に1パック買わせて!」

 

「ほっほ、毎度ありじゃ♪」

 

 

 杏子が遊偽に負けたことでデッキを強化するために店内にあるカードを購入する。遊偽の友人たちは初心者でもあることから双六がデッキに必要な分を余ったカードからただで渡していた。しかし、それらで組んだデッキでは遊偽には勝てないと思った杏子は店内にあるカードパックに手を出した。

 

 

「こういうカードゲーム初めて買ったわ。封を切るの、なんだかワクワクしちゃう♪何が入ってるのかしら♪」

 

 

 パックの切り口を破り中身を確かめる杏子。低級カードばかりだったが最後のカードに視線を移した途端、動きを止める。

 

 

「えっ、このカード……攻撃力2500、守備力2300!?凄い……」

 

 

 杏子のその言葉に遊偽も驚いて杏子の手元のカードを見る。

 

 

「それは、バイオレットヘカテー!滅多にお目にかかれない超レアカードだ!」

 

「何じゃと!?」

 

 

 初めて見るレアカードに興奮する遊偽。大声で説明したためか、双六も大袈裟に仰け反り、店内にいた何人かの客もこちらに振り向き興味深げに様子を伺っている。

 

 

「へー、やっぱりかなりのカードなのね、これ」

 

「素の攻撃力が2500ってのは相当だよ。これに匹敵するのはごく一部しかないくらい。それに、魔法使いだから適用できる魔法カードも多いし。このヘカテーってモンスターは三姉妹で三姉妹が揃うとデュエルモンスターズでも最強の攻撃力3000になるんだ!」

 

「3000……強い……。えへへ、私、このカード気に入っちゃった♪今度は負けないからね、遊偽」

 

 

 可愛くウインクをして再戦を望む杏子に遊偽は照れながらそれに応える。そんな微笑ましい二人の様子に客の一人が鋭い視線を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日・童実野高校昇降口

 

 

 登校の途中で会った杏子と一緒に下駄箱を開けていると遊偽は自分の下駄箱の中に一通の手紙があることに気づいた。

 

 

「んっ、何だこれ……武藤遊偽様へ?」

 

 

 取り出した手紙の封にハートマークがついていることに目聡く気づいた杏子はぎょっとした顔をする。

 

 

「遊偽、もしかしてそれって……ラブレター!?」

 

「えっ?!まっ、まさかぁ……」

 

 

 自分が一目惚れされるような容姿ではないことをよく知っている遊偽は杏子の言葉に笑いながらすぐさま否定する。しかし、実際に封を開けて内容を確かめると確かに自分への恋文のようであった。

 

 

「今日の17時、童実野公園にて待ってます。影山リサ……えっ、ええっ!?」

 

 

 熱い愛の告白に動転し、遊偽の顔が即座に真っ赤になる。杏子やミホのような学年でもトップクラスの美少女らと半ば交際関係にある遊偽だが、初めてのラブレターと見ず知らずの女性によるストレートな告白に遊偽は完全に浮かれていた。

 

 

「遊偽、もちろんそんな誘い無視するわよね?」

 

 

 そんな遊偽の様子に内心面白くない杏子。

 

 

「えっと、まあ断るにしても一度くらいは会って直接言わないと、さ」

 

「ふーんっ、興味あるんだ。もう!遊偽の馬鹿!浮気者!!」

 

 

 わざとらしく遊偽を押しのけて不機嫌そうに去る杏子。遊偽はそんな杏子の様子に気まずそうに手紙を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

放課後・童実野公園にて

 

 

 遊偽が手紙を片手にきょろきょろと辺りを見渡している。約束の時間の10分前。告白のために呼び出されるという初めての経験に遊偽は心なしかソワソワしていた。そんな遊偽の様子を物陰から除く影。

 

 

「おい、本当に遊偽の奴、ラブレターなんて貰ったのかよ!クソッ!あいつに一目惚れする女子ってのはどん女だ!?」

 

 

 遊偽と同じくそわそわしながら様子を伺う城之内。そんな城之内に「どきなさいよ!」と杏子が押しのけて遊偽がよく見える位置に顔を出す。

 

 

「影山リサ……名前からして間違いなくイケてない女だな。眼鏡かけてて三つ編みでいつも一人で本でも読んでそうな……」

 

「一人で本読んでたらダメなの?ミホも遊偽君と会う前は同じだけど」

 

「あっ、いや、ミホちゃんは特別っていうか……」

 

 

 失言に慌てふためく本田。それには気にせずに遊偽をじっと見つめるミホ。遊偽の友人らが野次馬となって監視している中、公園にて渦中となる人物が現れた。

 

 

「あの……お手紙、読んでくださったんですね?」

 

「えっ、君が……!?」

 

 

 現れたのは黒を基調とした格式高そうな制服のミドルボブの女の子。杏子やミホに負けてないその美貌に遊偽の目は釘付けになった。

 

 

「なっ、何だと!?何であんな綺麗な子が遊偽なんかに!?」

 

「あの制服、あれは有名なお嬢様学校の黒薔薇女学園の制服だぞ。庶民が通えるとこじゃない。そんな子が、よりにもよって遊偽に一目惚れ、だと!?」

 

 

 顔を真っ青にしながら騒ぎだす城之内と本田。そんな二人を後目に杏子とミホは唖然としていた。

 

 

「嘘っ、ゆっ、遊偽……」

 

「遊偽君……」

 

 

 公園では顔を真っ赤にした二人が初々しく話し合っている。リサのプレゼントに頭を掻きながら嬉しそうに受け取る遊偽。その後も二人の間では楽しそうな雰囲気が漂っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 影山リサが別れを告げ公園を去った後、遊偽の周りを隠れていた友人たちが一斉に取り囲んだ。

 

 

「遊偽!相当いい雰囲気だったじゃねえか!受けるのか!?受けるのか!!?」

 

「城之内君、顔近いって。まあ、確かにすごくいい子だったよ」

 

 

 襟を掴み唾がかかるほどに顔を近づけて問い詰める城之内。

 

 

「てっ、手編みのセーター……。これ、相当時間かけてそう……」

 

 

 プレゼントの中身に驚愕するミホ。小声で「泥棒猫の癖に~」などと呪詛を口にしている。

  

             ・

「それで……遊偽はあの子とも交際するつもりなの?どうなの?」

 

 

 しっかりと釘を刺しながら不安そうに問う杏子。内心手強い相手だと警戒しているようでもあった。

 

 

「いや、まだそういう話にはなってないよ。ただ、店で楽しくデュエルモンスターズを遊んでる遊偽君のことがどうしても気になって手紙を出しました、友達からお願いします、だって。リサちゃん、デュエルモンスターズをやってるらしくて今度一緒に遊びたいって言ってきたからそれなら店に来なよって言ってあげたんだ」

 

 

 照れながら楽しそうに語る遊偽に杏子の不機嫌はさらに加速する。

 

 

「へぇ~、そう。なら、私も一緒に遊ばせてもらうわ。最近手に入れたこの子の性能も確かめたいしね。遊偽もいいわよね?」

 

 

 遊偽の腕に自分の腕を絡ませる杏子。遊偽はそんな杏子の様子にちょっぴり申し訳なさそうに笑って返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてそれから数日後。この日、武藤ゲームショップに影山リサがカードを持って訪れた。テーブルで先に杏子と対戦している遊偽を見ると嬉しそうに声をかける。

 

 

「遊偽君、約束通り来ました。あら、対戦中ですのね」

 

「あっ、うん。ごめん、幼馴染の杏子と先にやってて。すぐ終わらせるから」

 

「影山リサさんね。初めまして。私、遊偽の幼馴染の真崎杏子。私もデュエルモンスターズに嵌ってるの。遊偽から聞いて私も混ざりたくて」

 

 

 気まずそうに対応する遊偽とあっけらかんと挨拶をする杏子。そんな杏子にもリサはにこやかに挨拶を返した。

 

 

「ええ、杏子さん。私もあなたと対戦したいわ」

 

 

 リサは空いた席に座ると遊偽と杏子の攻防を興味深げに観察していた。

 

 

「私はここでバイオレットヘカテーを召喚するわ。遊偽のモンスターを粉砕よ!」

 

 

 杏子が切り札のバイオレットヘカテーを召喚したことを契機に戦況は一気に杏子に傾く。いつの間にか遊偽のLPは残り400まで削られていた。

 

 

 

「さあ遊偽、あなたのターンよ。ふふっ、今回は勝たせてもらうからね♪」

 

 

 追い詰められた遊偽。しかし、ドローをした遊偽は不敵に笑った。

 

 

「来た!俺の切り札!ここで、デーモンの召喚(攻撃力:2500)を召喚する!」

 

「攻撃力2500!?嘘っ!この子と同じ攻撃力!?」

 

 

 遊偽の切り札デーモンの召喚は悪魔族でもトップクラスの攻撃力を誇るレアカードである。そんなカードを出してきた遊偽に脇で見ていたリサも目を見開いた。

 

 

「更に、魔法カード「闇のエネルギー」で攻撃力は300ポイントアップ!デーモンの召喚の攻撃でバイオレットヘカテーを撃破!」

 

「LPも300削られて私の負けね……。ううっ、今度は遊偽に勝てると思ったのに~~」

 

 

 悔しそうに握りこぶしを作る杏子にほっと溜息をつく遊偽。杏子対策に双六のコレクションをデッキに入れた遊偽は一安心といったところだ。

 

 

「わぁー。上級モンスターと魔法カードの組み合わせでヘカテーを打ち破るなんて凄いのね遊偽君。私、感動しちゃった!」

 

 

 拍手をしながら遊偽に近づくリサ。その距離感の近さに杏子は軽く拗ねながら席を譲る。

 

 

「へぇ~、リサちゃんは魔法使い族がメインのデッキかあ。魔法カードもたくさん入ってるし手強いな……」

 

 

 リサと対戦した遊偽は杏子以上に苦戦していた。

 

 

「うふふっ、遊偽君も手強いですよ。私はここで魔法カード「死者への手向け」を発動。手札を捨てることで遊偽君のデーモンの召喚、破壊しますね」

 

「あっ、あーっ!やられた……」

 

 

 切り札を失う遊偽。その後も魔法使いモンスターを強化していくリサの手堅い戦略に遊偽は敗北を喫した。

 

 

「凄い!リサちゃん強いんだね!」

 

「そんなことないです///」

 

 

 リサとの対戦が終わって興奮したようにリサを褒める遊偽。口では謙遜しながらも満更でもないリサ。二人の会話は先ほどの対戦で盛り上がっていた。そんな二人を面白くなさそうに杏子は眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ遊偽、私、そろそろ帰るね」

 

 

 日が完全に沈み夜の暗さが目立ってきた頃合いで杏子は遊偽の店を後にする。杏子の寂しげな後ろ姿に遊偽は衝動的に杏子を追いかけようとした。しかし、そこで店内にいた影山リサが遊偽に抱き着く形で止める。

 

 

「待って、遊偽君!」

 

「えっ、リサちゃん!?」

 

「私、遊偽君とこうしていたい……」

 

 

 抱き着くリサに遊偽は無理に振りほどくことが出来ず杏子の姿が見えなくなるまで動けずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、遊偽ったらデレデレしちゃってさ」

 

 

 早足になりながらぼやく杏子。不満ありげに強気な口調でいるが、遊偽の心がリサの方に移ってしまわないか杏子は内心気が気ではなかった。

 

 

「何よ、遊偽もあんなに私を求めてくれたのに……」

 

 

 最初は毎日自分を求めて性行為に及んだ。学校でも家でも構わずに夢中になってくれたのだ。だが、最近は数日おきやミホと一緒のセックスが殆どで、もしかしたら遊偽は自分に飽きてきたのではないか。

 

 

 そんな不安が頭をよぎった時、不意に杏子は後ろから声をかけられた。

 

 

「杏子さん、ちょっと時間は空いてるかしら?」

 

 

 振り向くとそこにいたのは遊偽にちょっかいを出している影山リサ。リサは不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

「何よ!あなた、店でまだ遊偽と仲良くやってたんじゃないの!?」

 

「ふふっ、苛立ってるわね。でも、安心して。あなたが私の提案を吞んでくれたら遊偽君との距離を考えてあげるわ。話は、これでね。ついてきて」

 

 

 デュエルモンスターズのデッキを見せつけるリサ。杏子はその誘導に従ってリサの後をつけた。

 

 

 

 

 

「ここ、もうすぐ取り壊されるの。秘密のデュエル場にはもってこいだと思わない?」

 

 

 廃家の一室にあるテーブルで向き合う杏子とリサ。テーブルにはフィールドマップが敷かれており、両者のデッキが置かれていた。

 

 

「私が勝ったら遊偽には手を出さない。あなたが勝ったら私のカードを1枚貰う、だったかしら。……最初からこれが狙いだったのね」

 

「ええ。あなたの持つバイオレットヘカテー、初めて店内で見た時から欲しいと思ってたの。でも、私が欲しいと言ってもあなたが簡単にくれるはずがない。それならあなたの意中の人に粉をかけて挑発しよう、って思ったわけ」

 

 

 清楚なお嬢様を取り繕った仮面が破れ醜悪に顔を歪ませるリサ。

 

 

「そんなことのために私と遊偽の心を弄ぼうだなんて。許さない……絶対に負けないんだから!」

 

 

 怒りの感情をぶつける杏子。両者の思惑が交差したデュエルが始まった。

 

 

「私はハイ・プリーステス(攻撃力:1100)を召喚!あなたのジャグラー(守備力:900)を攻撃するわ」

 

「勇ましいわね。だけど、守備表示だからLPは削られないわ」

 

 

 杏子はいつもとは異なり果敢な攻めを見せた。しかし、リサはそんな杏子の勢いにも受け流すかのように対処していく。

 

 

「ここで魔法剣士ネオ(攻撃力:1700)を召喚。更に魔法カード「執念の剣」で攻撃力500ポイントアップ!」

 

「500ポイント!?」

 

「バトル!これであなたのLPは残り500よ」

 

 

 低級カードの守備力に誘われて攻撃表示にしてきた杏子はリサの強化モンスターによって確実にLPを削られつつあった。後がなくなった杏子。

 

 

 しかし、ここで杏子は切り札を引き当てる。

 

 

「私が引いたカードは、バイオレットヘカテー!魔法剣士ネオに攻撃するわ!これであなたもLPは削られてモンスターも失う」

 

 

 強化したネオを失うリサ。しかしその目は獲物を見つけたかのように鋭く光る。

 

 

「うふふっ、遂に来たわね。あなたのヘカテーが」

 

「何よ、あなたにこのカードを倒せるカードがあるっていうの?」

 

「ええ、あの時は見せてなかったけど。このデッキは私の本来のデッキよ。さあ、見せてあげる。ヘカテー三姉妹の片割れ、レッドヘカテーを!」

 

 

 リサの高らかな宣言とともに召喚されたのはヘカテー三姉妹の一人、レッドヘカテー(攻撃力:2500)。バイオレットヘカテーと攻撃力は互角である。

 

 

「そんな……このカードと、同じ攻撃力!?」

 

「更に私は、次のターンでこのカードを場に出すわ」

 

 

 手札からリサが見せつけたのは同じく三姉妹の片割れのイエローヘカテー(攻撃力:2500)。トップクラスの上級レアカードを二枚も持つリサに杏子に残された手はなかった。

 

 

「まっ、負けた……」

 

「ふっ、それじゃ約束通りこのカードをいただくわ」

 

 

 杏子のバイオレットヘカテーをリサは強引に奪い取る。

 

 

「これで、ヘカテー三姉妹が揃った。これなら、次の大会では海馬にも……」

 

「待て!!」

 

 

 廃屋に声が響く。現れたのは遊偽。予想外の乱入者にリサは驚いた。

 

 

「遊偽!何故ここに……」

 

「それは、リサ、あんたの妹さんに聞いたよ」

 

 

 パズルの光で辺りを照らす遊偽。ここに来るまでにパズルの力が役立った、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 杏子と別れた後、遊偽は抱き着いてくるリサに途中から違和感を感じていた。その違和感の正体が分からず戸惑う遊偽。そこで、

 

 

(どうやらパズルの力が薄くリンクしているようだな。遊偽、お前も気づいているのだろう?この女の邪な心に)

 

(アクナディン!?まさか!)

 

 

 はっとしたようにパズルに触れる遊偽。抱き着いて来るリサからは打算の入り混じった邪念をはっきりと感じ取った。

 

 

 マインド・ロックでリサを拘束し事情を聞く遊偽。リサと思っていた女はリサの三つ子の妹の一人ミサであり、本物のリサは杏子のヴァイオレットヘカテーを奪う為に遊偽を利用して強制的にアンティルールによるデュエルを仕掛けるつもりなのだと分かった。

 

 

「冗談じゃない!杏子の大切なカードを奪う為に近づいてきたのか。杏子に危害を加えるなら絶対許さないからな!!」

 

 

 遊偽はミサからデュエルの場所を聞くとパズルの探知の能力も使いながら廃家へと走った。道中で三つ子のもう一人に会ったがパズルの力で黙らせてここまで来たのだ。

 

 

 

「リサ、今度は俺とデュエルだ!杏子から奪ったカードを懸けて勝負しろ!」

 

「ふっ、冗談でしょ。私に何のメリットがあってそんなことしなきゃいけないのよ」

 

 

 遊偽の剣幕にどこ吹く風と対処するリサ。しかし、遊偽が一枚のカードを翳した途端、リサの目の色が変わった。

 

 

「このデーモンの召喚を俺は懸ける。それでも足りないなら店のレアカードをもっと譲ってもいい。アンティルールだ。悪くないだろ?」

 

「へぇ、面白いじゃない。いいわ、乗ってあげる♪」

 

 

 バイオレットヘカテーをデッキに入れテーブルにつくリサ。遊偽も同じくデッキをマップへと置き席に着く。

 

 

「遊偽……私のカードはいいの!遊偽の大事なカードを懸ける必要なんてないわ!」

 

「いいんだ。大事な杏子にこんなことをしたのが許せないだけだから。必ず杏子のカードは取り戻す!だから俺の勝ちを祈ってて欲しい」

 

 

 自分が利用されたのは許せるが杏子を弄んだことは絶対に許せない遊偽は怒りを露わにしてカードを並べる。リサと遊偽の二人のデュエルが始まった。

 

 

「私はエルディーン(守備力:1000)を守備表示にするわ」

 

「初手から守備か。随分と消極的なんだな」

 

「ふふっ、あなたと違って余裕があるもの」

 

「ぐっ……」

 

 

 リサのプレイングは低級モンスターを餌に魔法使い族と魔法の組み合わせで相手のモンスターとLPを確実に削っていく手堅い戦略だ。また、中には壁として有能なモンスターもあり、手札の補充にも余念がない。挑発され頭に血が上っている遊偽は恰好の的であった。

 

 

(相手に乗せられるな。自分の戦い方を貫くんだ。そこに勝機はある!)

 

 

 2000点のLPが半分まで削られた時、遊偽は遂に切り札を引き当てた。

 

 

「ここでデーモンの召喚を召喚!闇フィールドにより攻撃力は200ポイントアップ!モンスターを撃破!」

 

「ふっ、やるわね」

 

 

 遊偽も中級モンスターを囮にリサの魔法カードを削っていった。

 

 

「私をここまで削るのは大したものよ。これでも私、デュエルモンスターズでは結構な有力プレイヤーとして名が通ってるし」

 

 

 リサの手をある程度潰していくその手腕にリサは打算なく褒め称えた。そんなリサに面白くなさそうに遊偽は返す。

 

 

「いいから、さっさと始めろよ。お前のターンだぞ」

 

「ふふっ、そうね。それじゃ……バイオレットヘカテーを場に出そうかしら!」

 

「バイオレットヘカテー!」

 

 

 杏子のカードを場に出された瞬間、遊偽の目線が険しく変わった。闇フィールドにより強化されたヘカテーはデーモンと互角の攻撃力である。

 

 

「俺はカードを引いて、場に伏せて終了だ」

 

「ふふっ、攻撃力が互角だと迂闊にバトル出来ないわね。だって私にはまだヘカテーが2枚あるんだもの。でも、残念ね♪」

 

 

 カードを引いたリサが怪しく笑う。

 

 

「レッドヘカテーを引いたわ。これで私の場にはヘカテーが2枚!」

 

 

 レッドヘカテーの召喚により一気に遊偽が劣勢へと立たされる。しかしそこでリサは伏せていた魔法カードを使用した。

 

 

「まだよ!私はヘカテーの誘いを発動。これによりもう一枚のヘカテーをデッキから場に召喚するわ!出でよ、イエローヘカテー!!」

 

 

 召喚された三姉妹最後のヘカテー。そして、ヘカテー三姉妹がフィールドに出そろうと新たなモンスター、ゴーゴンへと変容した。

 

 

「ヘカテー三姉妹が合わさったこのゴーゴンは攻撃力3000よ!デーモンの召喚なんて相手じゃないわ!行け!ゴーゴン、デーモンの召喚を粉砕しなさい!!」

 

 

 攻撃が宣言されたところに遊偽は伏せカードを発動する。

 

 

「闇エネルギー!これによりデーモンの召喚は300ポイントアップ!攻撃力が3000で並ぶ」

 

「……やるわね。ターン終了よ」

 

 

 魔法使い族でなくなったゴーゴンの攻撃力は3000のまま。デーモンの召喚と攻撃力が釣り合った状態では相討ちとなるためリサは次のカードに期待して攻撃を中断した。遊偽の切り札であるデーモンを失ったら遊偽の負けが濃厚である。首の皮一枚繋がった状態であった。

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 

 カードを引いた遊偽はカードを伏せてターンを終了する。勝負は長い膠着状態が続く様相を呈してきた。しかし、リサがカードを引いた瞬間、勝負は一気に動く。

 

 

「これで私の勝ちよ!魔法カード、死者への手向け。私は手札を全て失うけどこれであなたのデーモンの召喚は消滅よ!私の勝ちよ!!」

 

 

 高らかに勝利宣言をするリサ。だが、遊偽はリサのその様子に笑った。

 

 

「そう来ると思ったよ!魔法カード、魔法除去を発動!相手の魔法カードを1つだけ無効にする!!」

 

「嘘っ!?そんな……」

 

 

 リサの切り札の一つ、死者への手向けが空振りに終わり呆然とするリサ。しかしここで遊偽は勝利を確信していた。

 

 

「更に、デーモンの召喚でゴーゴンとバトル!!」

 

 

 デーモンの召喚とゴーゴンによる相討ち。これにより両者ともに決め手を失ったかのように見えたが遊偽は最後の切り札を手札から出す。

 

 

「これが俺の切り札だ。魔法カード、死者蘇生!!これで、杏子のバイオレット・ヘカテーが俺の場に蘇る!」

 

 

 遊偽のフィールドに舞い戻ったバイオレットヘカテー。上級モンスターと切り札の魔法カードを失ったリサに打つ手はなかった。

 

 

「そんな、私が……この私が、負けるなんてぇぇーー!!」

 

 

 ヒステリックに叫ぶリサを無視してバイオレットヘカテーをしまう遊偽。その遊偽にリサは襲い掛かる。

 

 

「返せ!それは私のバイオレットヘカテー!!」

 

「違う、これは杏子のカードだ!そして、負けた者への罰ゲームがお前を待ってるぜ」

 

 

 パズルを翳し身動きが取れなくなるリサ。そんなリサに逆に遊偽は襲い掛かった。

 

 

「なっ、何をする気!!こんなこと、許されると思ってるの!?」

 

「お前に対してなら思ってるぞ!容姿の良さを利用して色仕掛けなんてするんならこういう目に合うくらいの覚悟は出来てるだろ!?」

 

「ちょっと、遊偽!?」

 

 

 杏子は止めようとするがパズルが遊偽の意思を離れて怪しく光り、杏子は意識を失う。

 

 

(闇のゲームの対価に他人が口出しは許されん)

 

 

 遊偽の興奮をよそにパズルは場を支配し逃げ場と他者からの干渉を禁じていた。

 

 

 遊偽は手慣れた手つきでリサの制服を脱がしていく。胸を強引に揉みしだき、リサの口から悲鳴が出た。

 

 

「嫌、やめてよ!痛いってば!」

 

 

 遊偽の手はそれでも止まらずにブラを外し乳首を攻めていく。乳輪と頂点を指先が転がすとリサの口から、んっ、とこれまでとは違った艶声が小さく鳴った。その瞬間に、遊偽の口がリサの口を塞ぐ。強引に舌を侵入させ唾液を押し込んでくる遊偽に、リサは嫌悪感と若干の熱を感じながら抵抗した。

 

 

「んちゅっ、やめな、さいよ……んっ」

 

 

 口を塞がれて弱弱しい声で抵抗するリサ。乳首を強めに遊偽が摘まむと身体を大きく震わし痛みと強すぎる刺激に悲鳴をあげる。

 

 

「いや、いやだって、言ってるでしょ。んちゅっ……」

 

 

 唇を離すと唾液にてかっているリサの唇の艶に昂る遊偽。熱に浮かれたリサは一瞬だけぽーっと焦点の合わない目で遊偽を見ていた。

 

 

 遊偽の手がリサのスカートとストッキングに伸ばした途端、リサはハッとしたように抵抗を強める。

 

 

「そこは、ダメよ!!やめて、やめなさい!!」

 

 

 金縛りに抵抗しながら足をゆっくりとばたつかせるリサ。リサのパンストを丁寧に脱がすと青色のパンティが薄っすらシミを作っていた。

 

 

「なんだ、期待してるじゃないか!嫌がる素振りしながら」

 

 

「本当に嫌なの!これ以上したらパパや学校に言いつけて逮捕させるからね!」

 

 

 語彙を減らしながら子供のような脅しで弱弱しくも必死に抵抗するリサに遊偽の興奮が高まりペニスも膨れ上がっていく。リサのパンティをずらすとぴっちりしまった女性器が髪の色と同じ慎まし気に添えられてる陰毛とともに姿を現した。

 

 

「毒気の強い内面とは違ってこっちも綺麗だね。凄く弄り甲斐ありそう」

 

「やめて、やめなさい……あっ、ああっ!」

 

 

 遊偽の指に直に触られたことで身体をくねらせ逃げようとするリサ。足を抱えるように遊偽が掴むことでリサは逃げることが出来なくなる。

 

 

「わぁ、ここ全然弄ってないよね?中も狭そう」

 

 

 むにぃ、っと閉じた花弁を開くと汚れのないサーモンピンクに愛液を僅かに垂らす小さな穴が見えた。指で傷をつけないようにつつくとリサは身震いをする。

 

 

「ほっ、本当に、挿入するつもりなの!?こんな、こんな程度のことで!」

 

「だったら、もう二度としないことだな。杏子に手を出さないなら俺はいいけど!」

 

 

 ぐっと入口にペニスを当てると強引に押し込む遊偽。亀頭が膣にねじ込まれて今まで以上の悲鳴をリサはあげた。遊偽のペニスは滑りの悪いリサの膣内を掘り進めるかのように押し込まれていく。若干の抵抗を示したリサの処女の証も遊偽によって破られていった。

 

 

「あっ、あぁぁぁぁぁぁぁ!!痛い!!」

 

 

 血が潤滑油になって先ほどよりもスムーズに進む肉棒。リサの子宮孔付近で根本に達し動きを止めた。

 

 

 涙を流し殺意を思わせるような瞳で遊偽を見つめるリサ。突かれる度に歯を喰いしばるリサにこれ以上の凌辱は流石に心が痛んだのか遊偽はパズルを翳した。

 

 

「これで、痛みが消えて性感だけを感じるはずだ。ちょっとやり過ぎたしこれくらいで痛いのは終わりにするよ」

 

 

 リサが光を目にした瞬間、身を裂かれるかのような強烈な痛みが突如として消え戸惑うリサ。遊偽のペニスが中に蠢く感触だけが感じられ悪寒が走る。しかし、それと同時に微かにだが小気味のいい刺激が明滅するかのように所々で与えられもどかしさにリサは震えていた。

 

 

(そんな、こんなの気持ち悪いだけなのに!)

 

 

 身体はすっかり火照り頭も熱に浮かされ正常な判断が出来なくなっているリサにとって嫌なはずの行為に快感が混じっていることにリサは戸惑いを隠せない。時折、遊偽はリサの乳首を摘まんだり外陰部を擦ったりしてリサの性感を的確に高めていく。肉棒の刺激と同時に加えられるピリッとした刺激にリサの膣は無理やり開発を進められていた、

 

 

「いっ、いや、いやぁ……やめて、私は、こんなことされても嫌なんだからぁ♡」

 

 

 口では否定するが身体には否定しきれない快感が走っている。パズルの光が強まるにつれ無理やり高められた性感は自慰の時ですら経験したことのない高みに誘導されていた。

 

 

「ハァ、ハァ……リサ、隠さずに楽しむんだ。お前が感じている所を全部俺にいってくれ!」

 

「そんな、そんなところを……」

 

 

 遊偽のペニスがポルチオをつつく度に感じないはずの痛みと性感が混ざり合った被虐の快楽が津波のように押し寄せていく。

 

 

「ない、ないんだからぁぁぁ♡」

 

 

 舌が自然と口から出て快感に震えるリサ。その様子に気をよくした遊偽は舌を絡ませるように口を塞いで二度目のキスを行った。

 

 

「やっ、んちゅっ、やめ、あん♡」

 

 

 キスで塞いだ瞬間に強引にペニスでリサの膣を突き上げる遊偽。これまで高められた性感の閾値を一気に飛び越え、リサは一際大きく震えると抑えきれないほどの快感にその身を委ねた。

 

 

「んっ、んんんんーーーーーーっ!!」

 

 

 塞がれた口で絶頂の叫び声をあげながら震えるリサ。遊偽もリサの絶頂に促されるかのように膣内で欲望を吐き出す。遊偽が口を離した頃には顔は淫らに崩れ、あそこからは血と愛液と精液の混ざり合った汚液が地面にまで垂れていた。

 

 

「よかったよ、リサ」

 

 

 闇のゲームによって閉じられた空間が解放され、部屋が元の形に戻る。遊偽は一度リサの頭を撫でた後、姿を現した杏子を抱きかかえた。

 

 

「うっ、んっ。遊偽、勝ったのね!」

 

「ああ、杏子のカード、取り返してきたよ」

 

 

 リサから奪い返したバイオレットヘカテーを杏子に手渡すと杏子は遊偽に眩しい笑顔を見せた。衝動的に杏子に口づけをする遊偽。杏子もまた遊偽を受け入れた。

 

 

 そうして少し長めのキスを終えた時、リサがゆっくりと立ち上がった。

 

 

「武藤遊偽……お前を私は絶対に許さない!私の初めてを奪って、あまつさえ私の気持ちを無理やり変えてあんな淫らな……、いいえ!それはともかく、私は絶対にお前を許さない!必ず復讐してやるから覚悟しなさい!!」

 

 

 ふらふらと覚束ない腰つきで廃家から出るリサ。頬を真っ赤にしたリサは一秒でも遊偽を見たくないとでも言うかの如く遊偽とは視線を合わせないように努めて去っていった。

 

 

 遊偽と杏子を巻き込んだ事件はこれで終わりを告げたが、これが長きにわたるデュエルモンスターズとの関係の始まりだとはこの時の遊偽は知らなかった。

 

 

 




雑な再登場フラグ
デュエルを描写すると長い……
もっとキンクリすればよかったかと思ってしまった
今回は初のDMで強姦凌辱風味で
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