一組のクラス代表を決める試合当日。
IS学園のアリーナに併設されたピットには、3つの人影があった。
「織斑、これがお前に与えられる専用機 白式だ」
「これが俺の専用機……」
しみじみと呟く一夏の目の前には、つい先ほど届いた銀色の重厚なISが鎮座していた。
世界で唯一の男性操縦者である一夏のデータ採取を目的として製作されたIS。白式を前にして呆気にとられる一夏に、千冬が声を掛けた。
「時間がない。織斑、初期化と最適化処理は戦闘中に行ってもらう」
「え!? それ大丈夫なのk……ですか?」
「何度も言わせるな。もうすぐ時間だ。つべこべ言わずに乗れ。乗り方は分かるな? ISに身をゆだねるようにだ」
「一夏! お前も男だろう。覚悟を決めろ!」
「本当に大丈夫なんだろうな……」
愚痴を言っても始らない。
千冬と箒に促されるまま白式に搭乗した一夏は、カタパルトからアリーナへと飛び立った。
観客席が埋まるほどの観客がいるアリーナには、既に青い専用機を纏ったセシリアが待機していた。
「うぉ!? なんでこんなに観客いるんだよ……」
「ようやく来ましたの? 尻尾を巻いて無様に逃げたのかと思いましたわ」
「ああ、悪い……って、すげえ口悪いな……」
「それにしても、やはり男がISを纏うなど……分不相応ですわねぇ」
開幕、プライベートチャンネルを繋げるやいなや罵倒から入ったセシリアに、一夏は眉を顰める。
少なくとも、クラスでのセシリアはこんなことを言うような少女ではなかった気がする。
動作の一つ一つにお嬢様らしさとでも言うような、大げさな動きをしていたが……どうやらセシリアは女尊男卑主義者であるようだ。おそらくこれが本性なのだろう。
「そもそも私は、この決闘だって不服なのですわよ? なぜ珍しいという理由で、あなたが推薦されるのか。幼い頃よりISを操縦してきたエリートである私の方が上と言うのは当たり前でしょうに……」
「はっ。そいつはやってみないと分かんねえだろ。エリート様だからって、絶対勝つとは限らねえだろ」
しかし一夏も、この手合いには慣れていた。
挑発気味に言葉を返してやれば、セシリアの目がピクリと反応した。
『二人とも、何を話している。これより試合を始めるぞ。勝利条件は相手のシールドバリアーを削りきること。良いな?』
「そういや、聞き忘れたことがあった」
「何か?」
「いやさ……ハンデってどれくらいいる?」
『――試合開始!』
千冬によってゴングが鳴らされた。
――瞬間に、一夏が吹き飛ばされた。
いきなりの事に観客席は騒然となり、千冬の隣でモニターから試合を見ていた真耶と箒も困惑した。
しかし、千冬は何が起こったのかを正確に理解していた。
「
西部劇などでガンマンの一騎打ちでよく見るような射撃技術で、即座に銃を構え同時に狙いをつけて撃つというもの。
本来は拳銃といった比較的取り回しやすい銃で行うが、セシリアの主武装はスターライトmarkⅡという大型のレーザーライフル。早撃ちには不向きと言わざるを得ないが、しかしセシリアがスターライトmarkⅡを構えている姿に、現実であると認めるしかない。
そして実際に吹き飛ばされた一夏は、そんなことが分かる訳もなくひたすらに混乱していた。
「何なんだよ今の……!」
「あら、ごめんあそばせ。ぼけっと立ち尽くしておられましたので、つい撃ってしまいましたわ。それで……ハンデはどれくらい必要ですの?」
「……っ!」
今さっき言った言葉を逆に言われてしまい、一夏の男としてのプライドに傷がつく。
「舐めるなよぉ! うぉぉぉおおおおお!!」
「舐められたものですわね」
「くっ! 避けられた! だけど、まだまだぁ!」
右手に持ったブレードを振りかぶり、ブースターを全開にした一夏はセシリアへと突貫する。
それをひらりと躱したセシリアは、再び突撃してくる猪に呆れた目を向ける。
「まあ、遊んであげる時間も惜しいですし……ブルー・ティアーズ!」
セシリアの声に呼応して、両肩部に浮遊していた兵装が分離し、突っ込んでくる一夏を囲むように移動する。
そして自身のISと同じ名を関するBT兵器へと、セシリアは指示を下した。
「やりなさい」
「なんだこれ!? がぁ!」
4基のブルー・ティアーズから放たれたレーザーは、一夏に避ける暇を与えず命中。一夏を地面に叩き落とし、そこへ追撃のレーザーが放たれ土煙が巻き起こる。
「……はぁ。代表候補生の情報など、少し調べればいくつか見つかるでしょうに。まあ、これで私の勝利は決まったも同然ですわ。やはりあなたのような、男であるというだけの猿にISは勿体なかったということ。あなたのような者が弟とは、織斑千冬も可哀そうですわね。まあ、すぐに暴力を振るうような教師の風上におけないような女など、お似合いなのは――」
「――取り消しやがれ!」
プライベートチャンネルで一夏をこき下ろすセシリアがついに千冬のことに触れた瞬間、土煙の中から1機の純白のISが飛び出てきた。
「俺の事はどれだけ悪く言おうが構わない。でもな、大切な家族を、千冬姉を悪く言うことだけは許さない!」
「(……来ましたか)」
初期化を終え、最適化が行われたISが起こす事象『
目の前に飛び上がってきた一夏の纏うISは、一番最初の形態移行である『
過去に見た悪夢の再現に、セシリアは思わずグチャグチャに壊したくなる衝動をどうにか押さえつける。
その様子をセシリアが驚愕に動けないでいると思ったのか、一夏は強気で話しかける。
「どうしたんだエリート様? 動かないなら……こっちから行くぜ!」
先ほどまでとは比較にならない速さで接近してくる一夏に、セシリアはブルー・ティアーズで迎え撃つ。
「同じ手が食らうか!」
レーザーを躱し、ついに射程圏内まで一夏が接近する。
「おおおおおおおっ!」
裂帛の声を上げながら振るわれるブレードを、最小限の動きで躱すセシリア。彼女からすれば、まさに止まってみるような太刀筋である。
なので一夏に罵倒を浴びせておく。
「くっ! あたらねぇ!?」
「遅い。遅すぎますわ。あなた確か、篠之ノ箒さんに剣道でボコボコにされておりましたわね」
「だったら何だ!」
「その時に男と女の、生物上の格の違いを理解して試合前に降参していれば良かったのに、と思いまして。今のあなた、とてもみっともないですわよ。先ほどは威勢の良いことを言っておりましたが、やはり男はこの程度。織斑千冬の高も知れたことですわ」
「っ! お前、さっきから何で、そんなに千冬姉のことを……千冬姉は関係ないだろ!」
「それこそ関係ありませんわ。あんな棒切れを振るうしか能のない雌が極東の僻地で粋がったところで、私には劣るというのに」
「てめぇ! ……千冬姉は第一回モンド・グロッソで優勝してるんだぞ? クラスでの反応だって、女子からしたら憧れの的じゃないのか? それにISだって、お前の言う極東の僻地の人間が発明したんだぞ!」
「全ての女が憧れるわけではありませんわ。それに、ISは篠之ノ束が発明したのです。たった一人の手柄を、あたかも自分たちの手柄として扱うなど、まるで乞食ですわね。それより良いんですの? ブレードの動きが疎かですわよ?」
「こいつ……っ! 逃がすかぁ!」
「なら受けてあげますわ」
一秒にも満たない早さで拡張領域からショートブレード『インターセプター』を取り出し、ブレードを受け止める。
その瞬間、セシリアは内心で笑みを浮かべた。
「(……仕込みは終了♡)」
用は済んだとばかりに、動きが止まった一夏をブルー・ティアーズのレーザーで吹き飛ばす。
「と・ど・めですわ」
スターライトmarkⅡの砲身に4基のブルー・ティアーズが囲うように連結される。IS適正がSであるセシリアの稼働データにより、改良されたスターライトmarkⅡのブルー・ティアーズとの連結機能。
構えられたスターライトmarkⅡの銃口に、膨大なエネルギーがチャージされていく。
「降参し、跪き、泣き叫び、無様に許しを請いなさい。そうすれば、慈悲を掛けてあげましょう」
「嫌だね」
「死になさい」
躊躇なく引き金が引かれ、巨大なビームが放たれる。
ISには絶対防御があるとはいえ、当たれば敗北は必須。しかし一夏は諦めていなかった。
「(負けたくない! 千冬姉のことをあんなに言われて、このまま負けたくなんてない! 負けて、たまるかぁぁぁぁああああ!!)」
『零落白夜』
「うぉぉぉおおおおおっ!!」
迫りくるビームに、一夏は一矢報いるために玉砕覚悟で突激しブレードを振るった。
ビームと衝突したブレードは、あろうことかビームを切り裂きながら進んで行く。
「(なにが起こってるんだ!? いや、今はどうでもいい! このまま押し切ってやる!)」
「(やはりですか)」
勝利の可能性が見えてきた一夏を、セシリアは冷ややかな目で見ていた。
零落白夜。普通
その効果は対象のエネルギー消滅。ビーム兵器は愚か、シールドバリアーすらも無効化する。
今起きている現象も、零落白夜によるものである。
まあ、それも
「ブレードに当たらなければ意味ないのですが」
「ぐぁ!? うわぁぁぁあぁああああ!?」
突然背後から攻撃された一夏は姿勢を崩し、ビームに呑み込まれた。
白式のシールドバリアーが尽き、試合終了のアラームが鳴った。
「うぐ……一体何が……」
「本当に猿並みの知能ですわね。私のブルー・ティアーズが4基だけとは言っておりませんのに」
上空から見下ろすセシリアの元へ、
そのことに気付いた一夏は、悔しそうに拳を握りしめることしかできなかった。
「ふっ。他愛もないですわ」
敗北者たる一夏には、嘲笑を跳ねのける権利さえない。
この試合は、一夏の敗北で終わった……かに思えた。
「――随分と余裕そうだな。どうだ? 私と一手交えてみるのは」
一夏の声でもなければ、セシリアの声でもない。しかし一夏にとっては、聞き覚えのあり過ぎる声。
「時間が少々残っていてな。せっかくだから、エキシビションでも行うとしよう」
日本の第2世代型IS 打鉄を纏った千冬が、鋭い眼光でセシリアを見据えていた。
「(……間抜けな鯛が釣れましたわ♡)」
セシリアの思惑通りに、全てが動いていると知らずに。
なんか無駄に一夏がかっこよくなってしまった。まあここまでですけど。
正直どうよ?
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ぬける
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前の方が良かった
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ストーリーは良いんじゃない?
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エロを増やせ!