「おまえ気に入ったぜ!」 酒場で意気投合した冒険者からアーティファクト(付け耳)を貰ったので獣人の村へ行こうと思う 作:Rオウ
石造りの建物に入ると、すぐに鼻を刺激する匂いに包まれた。
やはり蔵として使われていたようで、部屋の中にはたくさんの棚が並んでおり、その棚に壺やら箱やらが所狭しと並べられている。
多分だけど薬に使うための材料が大量に保管されているんだと思う。
思っていたより広い部屋の中は意外と明るかった。
立ち並ぶ棚と安置されている壺を照らしているのは天井の明かり取りの窓から入ってきている光だった。
「硝子が使われているのか」
少し緑がかってるけど、硝子らしき透明の板が天井の明り取りに嵌め込まれている。
ボクのいた村だと教会にしか硝子なんて使われていなかったのに凄いなぁ。
油とか松明を光源にすると保管している薬に悪いのかもしれない。
「……旦那様。私ここに入るの初めてです」
「そうなんだ?」
棚と棚の間の通路の奥へ無言で歩みを進める薬師の長の後を手を繋いだボクとユリちゃんが付いて行く。
そしてある棚の前で薬師の長は立ち止まった。
「……言わなければならないことがあるのだ」
そう言った薬師の長の声は乾いていた。
困っている人特有の声というか、唾液で喉を無理やり湿らせている、そんな風な声。
「我々はトロンペ殿に不義理を働いてしまっていたのだ」
「不義理?」
薬師の長の顔が申し訳無さそうな顔をしている。
珍しいかも。
ボクが見た彼女はどちらかと言えば仏頂面をしていることの方が多かった。
そんな彼女が今は耳を完全に伏せて尻尾に元気がない。
「そうだ。若い男性がいなくなり、もはや消え去るしか無かった私たちの村を救ってくれた恩人たるトロンペ殿に対して道理に背く行いをしていたのだ」
薬師の長はそう言って目を閉じた。
「だが同時に過ちは正さねばならないと私たちは考えている。そういうわけで面倒に思うかもしれないがしばらく私に付き合ってくれんか」
一体何のことだろう?
心当たりがないボクが首を捻っている横で薬師の長は棚から一つの壺を手に取った。
「これはクコと呼ばれる木の実を乾燥させてから更に炒ったものだ。見たことはあるかね?」
壺の中から取り出されたものは、親指の先くらいの大きさの茶色い木の実だった。
「いいえ、初めて見ますね」
「食べたことは?」
「……ない、と思います」
ボクの住んでいた村にある薬なんて時々やってくる行商人から仕入れる軟膏とか虫下しくらいだ。
まあ子供のボクが知らなかっただけかもしれないけど。
「そうなのか。このクコの実は獣人族の村ならどこでもこのように保管されてるものでね。男性なら見る機会が多いんだが」
薬師の長は顎に手を当てて何か考えている様子だ。
「そうか……違ったか。一番可能性が高かったのだが」
「一体何の話なんでしょうか?」
一人で納得されてもボクにはさっぱりわからない。
「すまないね、どうも説明不足になるのは我々の悪癖のようだな。トロンペ殿は人族の間で育ったと聞いているが、このクコの実というやつは実のところ、我々獣人族ではなくむしろ人族の間で広く栽培されて流通しているのだ。我々の村でも人族の行商人から買うこともあるくらいだからね」
「そうなんですか? でもボクは見たことがなかったです」
「うむ……そうだな、トロンペ殿は成人したばかりであったな」
薬師の長が意味ありげにボクの勃起したままのおちんちんを見た。
ズボンに収まりきらないボクのおちんちんがブカブカの上着を中から突き上げてしまっている。
誰が見てもボクは今エッチな気分になっていておちんちんを大きくしてしまっていると考えるだろう。
「人族は獣人族と違って一年中発情しているのだろう?」
「……まあそうですね」
ボクの知る世界は自分の住んでいた村と近くの小さな町、そして時折馬車に乗って訪れる行商人や手品師くらいだ。
村にいた時はボクは未成年だったし、耳に入ってくる「大人の話」はごく僅かだった。
なのでボクが知っている性的なことと言えば結局自分自身の体験から来ることだけだ。
そしてボクの体験といえばおちんちんが事あるごとに、それこそ四六時中勃起しちゃうことくらいだ。
村の中や畑で見かける女の人の胸の膨らみやお尻の張りが、服に隠されているそれを少し想像するだけで毎日何時間も勃起し続けた。
白状すると一週間勃起し続けたこともあった。
なので
だけど……だけど昨日までの豊饒祭でウサ耳族の女性がボクのおちんちんから精液を搾り取ったようなアレを発情だと表現しているならボクはちょっと違うよと言いたかった。
一年中あんな風に発情してたら人族なんてとっくに滅んでると思うんだ。
だけど子作りの最中でもないのに今おちんちんを大きくしたままのボクが「人族は一年中発情してるわけではない」と否定しても説得力があるとは思えない。
今の返事に籠められたボクの複雑な胸中に気づかないまま薬師の長は話を続けた。
「まあ早い話がそういうことだ。基本的に年に一度しか発情する機会のない獣人族より、人族の方がこのクコの実を使う機会が多いというわけだ。だから人族の間で育ったトロンペ殿ならもしかして何度も食べている可能性が……と思ってしまったのだが……まあ、普通に考えれば未成年の子供が食べるような物ではなかったな」
ボクは黙って薬師の長の話の続きを待った。
「もう想像はついていると思うが、トロンペ殿が服用した強壮薬に使われているのがこのクコの実だ。保存のために乾燥させて炒ったりするが、収穫して生のまま食べても効果が出る。魔羅、ペニス、いわゆる男性器が普段より大きくなり射精時の快感も跳ね上がるそうだ。さらには男性器そのものも非常に敏感になるらしいね」
……ああ、なるほど。
射精した時の感覚を思い出した。
そんな効果があるなら人族の間で使われまくるかもしれない。
「それで、実際にどうだったね? 強壮薬を服用して女と
「……あの、ボクはこの村に来るまで経験がなかったので比べられない……です」
「ほう、そうだったのか? それは何よりだ」
薬師の長はなぜか嬉しそうにそう言った後、別の壺を手に取って中から何かの根っこのようなものを取り出した。
「これはムイと呼ばれる木の根っこだ。皮ごと丁寧に磨り潰して煎じた汁を飲めば回復力が高まる効果がある。筋肉の疲労はもちろん精神的な疲労にも効く。ただし病気などで体力が落ちている者には使えないがね」
強壮薬に使われている素材について薬師の長の説明が続く。
「これはカシュと呼ばれる一年草の葉っぱだ。乾燥するとダメになるので元々は限られた時期しか利用できなかったが、術を使って保存する方法が見つかってから今では一年中使えるようになった。磨り潰して布で濾した汁を飲めば、一時的に内臓の働きが強くなる効果がある。肝の働きがよくなるから毒物全般に対して解毒剤としても使う時もある」
「へー」
薬師の長の顔をちらりと見る。
こういう知識って普通ボクみたいな他所者に教えてくれるものなんだろうか?
「それとこれは人族には知られていないだろうが、カシュの搾り汁とムイの煎じ薬と合わせて飲めば、男性の睾丸で作られる精子の量が何倍にもなる」
「何倍にも……」
ああ、つまりボクが200人もの孕み妻に種付けできたのはこれのお陰かということか。
「それで最後にこれだ。この辺りでは滅多に手に入らない南方の砂漠と呼ばれる乾燥した地域に生えているジュヨウと呼ばれる植物の茎を乾燥させたものだ。この茎1本が金貨5枚はする大変貴重なものだ」
え? 金貨5枚? 高いっ!
「そして非常に珍しい薬効があるんだ。ジュヨウの茎を乾燥させてから粉末にして摂取すると、性欲が落ちなくなるんだ」
「性欲が落ちない……」
ボクが考え込んでいるのを見て薬師の長が補足してきた。
「私はこう見えても女だからな。男性のそういうところは聞き齧りでしかないが、男性は射精をした後は性欲が無くなるものらしい。身に覚えはあるかね?」
ボクのおちんちんが事あるごとに勃起するようになったのは約1年前からだ。
射精のやり方を覚えたのは3ヶ月前だ。おちんちんを手で擦ることを思いついた時は、ボクは自分のことを天才だと思った。
おかげで1週間勃起し続けるようなことは無くなったけど、射精したら性欲が無くなる?
……そんなことないんだけど? あれ?
ボクが怪訝そうな表情のまま首を傾げる。
「……身に覚えがなさそうだな? 同じ男性でも個人差があるのか、単に若いからかもしれん。基本的に壮年以降の男性が豊穣祭のために服用するものだから、一度射精したくらいで男性器が萎えたり、種付けの気分ではなくなるようなことがあっては困るのだ」
「はぁ……」
「以上がトロンペ殿の服用した強壮薬を調合するのに使われた素材だな。本来であれば村長のように壮年以降の男性にしか服用はさせない代物なのだが精液に含まれるトロンペ殿の人族の血を抑えウサ耳族の精を高めるため服用してもらった。──ここまでは良いかね?」
「はい」
もっと大雑把だったけど一応説明は受けたのは確かだ。
「問題は副作用についてだ。ミサとミカからは何の説明も受けておらんだろう?」
思わず体がびくっと震えてしまった。
手を繋いだユリちゃんが不思議そうにボクを見る。
ごめんね。
ちょっと前からボクは副作用という言葉に敏感なのだ。
「……あの、おちんちんが爆発したりするんでしょうか?」
「そんなことは起こらないとも。爆発というか睾丸が破裂するのは火精料理の方だろう。それも滅多に起こらないものだから安心するといい」
安心できないよっ!
何をどう考えたら安心できるというのか。
「村長やミサ、ミカが随分と中途半端な真似をしてしまったのは薬師の長である私に全責任がある。彼女らは何も知らなかったのだ。私が教えてなかったせいでね。遅まきながら私に説明させてくれるかね?」
ボクが頷くと薬師の長の表情がすごく真剣なものに変わった。
「まずは強壮薬についてだが、壮年以上の男性が服用すると一時的に男性器が大きく敏感になり射精時の快感が増す。さらには普段の数倍は射精できるようになり射精直後の性欲の減退も起きなくなる。そして一度の射精では勃起が萎えなくなり、数回射精して初めて萎えるほどの絶倫になる」
「え?」
あれ? あ、そうか。村長が服用した場合のことか。
「そして副作用というべきか、薬効が切れてしまうと男性器の大きさは元に戻るが1ヶ月から2ヶ月は勃起しなくなる。それに性欲も全く湧かなくなる……らしい」
「え? それが副作用なんですか? でもそれって……」
薬師の長はボクの言いたいことを理解したのか、頷いた。
「その通りだ。豊穣祭が終われば1年後の豊穣祭まで我々ウサ耳族は例外を除き子作りをしないからウサ耳族の男性にとって副作用は無いに等しい」
ということは薬が切れた後はボクも2ヶ月くらいおちんちんが勃起しなくなるのか。
まあ……それくらいなら大したことないかな?
はっきり言ってしまえばおしっこをする以外に使用予定などボクには無いのだ。
「ただし成長期の若者が服用した場合は……元に戻らなくなる可能性が高いのだ」
「は? 戻らない?」
え?
ずっとってこと?
薬師の長がボクのおちんちんに指先で軽く触れてきた。
「……すまぬ。強壮薬の効果が切れてもトロンペ殿の男性器はこのサイズのままになってしまうのだ」
おちんちんの先っぽから根元に向かって痺れるような心地よさが駆け抜けて、膝が砕けそうになり慌てて棚に掴まって体を支える。
「だめですっ!」
ユリちゃんが手を伸ばしてきて薬師の長に指で触れられていたボクのおちんちんを横から奪い取った。
「ちょ、長老様! 申し訳ありません! ですが旦那様のおちんちんは搾り妻の私のものなのです!」
「……おっと、すまぬなユリ」
「くっ」
ユリちゃんがボクのおちんちんを上着の上からぎゅっと握りしめたせいで、気持ち良すぎて立っていられなくなりボクは床にへたり込んでしまった。
そういえば豊穣祭の時も今朝もボクのおちんちんが女の人やユリちゃんに扱かれしゃぶられたり搾られたりする時はいつも寝転がっていたんだ。
だから気付けなかったのか。
おちんちんを誰かに握りしめられるだけでボクは立っていられなくなるってことを。
へたり込んだボクの横にユリちゃんも座り込み尚もボクのおちんちんをぎゅっぎゅっ♥て握りしめてくるもんだから気持ち良すぎて腕からも力が抜けていく。
ユリちゃん待って。
なんでそんなに握って来るの?
ユリちゃんの指がボクのおちんちんを上着越しに絡みついて、圧迫してくる。
「──っはぁ♥ はぁ♥」
だめだ、ユリちゃんが出来上がってしまっている。
玉露を口にして強制的に発情状態にあるユリちゃんは、おちんちんに触れてしまうと極度の興奮状態になってしまうのか。
まずい。
ボクのおちんちんを這い回るユリちゃんの小さな手が気持ち良くて足腰どころか、全身の力が抜けてきた。
その一方でドクンドクンとおちんちんに血液が流れ込み力強く律動を始めてしまう。
「ユリ、今は止めなさい」
薬師の長がユリちゃんの脇に手を差しいれて、ぐいっと僕から引き剥がした。
「あんっ♥」
◇◇◇◇◇◇
「落ち着いたようだ」
……そうは見えませんが。
ユリちゃんは息を荒くしてボクのおちんちんを凝視してますが?
ボクはようやく立ち上がれるまで回復したけど、おちんちんを女の子に握りしめられるだけで気持ち良すぎて脱力してしまうなんて……あっ!?
「ま、まさかこれも?」
ボクの懸念に気付いたのか薬師の長が肯定してくる。
「そうだ、大きさだけではない。薬効が切れても男性器の感度や射精時の快感も上がったままになると古い文献には記されている」
「勃起も……ずっとしたままなのでしょうか?」
「それは収まるそうだ」
……よかった。それは大丈夫なのか。
「だが一番深刻な問題なのは、トロンペ殿はもう人族の女性を孕ませることができないということだ」
「え?」
ボクは床にへたり込んだ状態で薬師の長を思わず見上げる。
「強壮薬はその薬効として獣人族の精を強くするが、トロンペ殿のようにウサ耳族と人族との混血の場合には人族の血を抑えてしまう。この効果もずっと続くのだ」
「えぇっ!?」
待って?
情報が多すぎて頭がクラクラする。
ボクがウサ耳族と人族のハーフだと思われてるのは付け耳というアーティファクトのおかげだ。
じゃあ強壮薬の影響を受けた状態で付け耳を外したらボクはどうなるんだ?
だめだ、さっぱり分からない。
多分誰にも分からない。
だけど、ボクの
大きな街へ行く → どこか住み込みで職を探す → 生活が安定したら可愛い女の子と所帯を持つ → 子供が生まれる。
村を出る時に考えたざっくり過ぎるボクの人生計画だけど、これはもう実現しないかもしれない。
……そして同時に薬師の長の意図が見えてきた。
「ボクにこの村にずっと留まって欲しいと思っているのですね?」
ボクが結論に辿り着いたことに薬師の長は満足そうに頷いた。
ちなみに作者はユリちゃんをロシア系短髪美少女(10歳)がウサ耳コスしているイメージで描写しています。
……という情報に特に意味はありません。