---沖野ヨーコ---
「アイドルを引退したら、一緒にならないか?」
アルから条件付きのプロポーズを受けた。
「まだまだ、引退しないよ~」
「しわくちゃになる前に引退して欲しいけど」
「アイドルはアラサーまでかな」
「じゃ、それまでは今まで通りだな」
お姫様抱っこは家の中限定かぁ。
「また、来週だ」
添い寝をしてくれるアル。勿論、上下の下着付きである。スキンシップは引退までお預けだな。まだ一度しかしていないのに…
---工藤新一---
ルパンの言っていたこと…父さんも黒の組織に踊らされていたのか。今回の原因の大元は排除されたらしい。俺の怒りはどこに向ければいいんだ?
「新一、新婚初夜なのに、何、難しい顔をしているのよ!」
目の前にはプンプンした顔の蘭がいる。
「なぁ、新婚旅行はイギリスにしないか?」
「えっ?国内で温泉がいいなぁ。分かっている?私、身重なんだよ~」
あぁ、そうだった。妊娠中だったなぁ。でもイギリスで調査しないと、真実が見えて来ない気がする。アメリカに籠もって、資料頼みでいた父さんのヤリ方では見えて来ない真実がありそうだ。
現在、蘭は妃先生の家にいる。母親の側が安心らしい。
怒り心頭な蘭の元から退散し、家路に着くと、家の前で女性に声を掛けられた。
「工藤君、今帰り?」
振り向くと、高校生バージョンの灰原がいた。
「おめぇ、どこへ行っていたんだ?急にいなくなったりして」
「あら、工藤君、私の心配をしてくれたんだ。少し嬉しいかも」
少しなのか?
「阿笠博士に聞いたわよ、出来ちゃった結婚ですってねぇ。おめでとう。無計画な君らしいはね」
「あぁ」
「ねぇ、工藤君、一緒にイギリスに行かない?」
「行く!」
即答な俺。このタイミングは出来すぎで有るが…
「どうして、イギリスに?」
「元の姿に戻ったし、あの組織は排除されたし。就活していたら、イギリスの研究所からお声がかかってねぇ」
「どこの研究所だ?」
「ドクターワトソン医学研究所よ」
グッドタイミングすぎるんだが…罠か?
「そんなに警戒しないでも大丈夫よ。あの組織はもうないんだから」
「そうらしいな」
「その証拠に、みんな元の姿に戻れたのよ。そうそう、君のパスポート有る。事前手続きに必要なのよ」
俺は自宅から俺のパスポートを持ち出し灰原、いや宮野志保に手渡した。
「旅費は?」
「チャーター機なので、人数が増えても料金は一緒、だから君の分はいらないわ」
◇
そして、イギリスに向かう為、空港へと急いだ。蘭には内緒である。出産が近い蘭に言える訳が無い。まぁ、予定日まで1ヶ月以上あるし、1ヶ月で戻ってくれば問題は無いだろう。
空港のロビーで志保と出会い、チャーター機へ向かった。
「これ、チャーター機じゃ無いだろ?」
「そうね、プライベートジェットと言った方が良かったかしら?」
機内には個室あり、ラウンジあり…航空会社のジェット機とは違う。エコノミー席なんて無いし…
「誰のだ?」
「研究所のスポンサーのモリアーティ家の当主の物よ」
モリアーティ家の当主の所有だと…おいおい…絶句する俺、罠に嵌まったのか。
「あっ!工藤君もか?」
知っている声がいして振り返ると世良親子がいた。領域外の妹も元の姿にもどっているし。
世良の母親の後ろには赤井さんと安室さんがいるし。どんな集団なんだ?
「やぁ、工藤君」
「安室さんはどうして…」
「あぁ、今は降谷零だよ。仕事をミスって、公安をクビになって、元FBIの赤井とモリアーティ家の身辺警護に雇われたんだ」
「そういうことだよ、新一君。母さんもモリアーティ家の調査部門に雇われて、FBIをクビになった俺も、一緒に就職をしたんだ」
世良親子と赤井さんが個室に入室し、志保と降谷さんが同じ個室へ…なんだ?このメンバー…俺も指定された個室に荷物を置き、ラウンジへ戻った。
「なんで…この人が…」
ラウンジには沖野ヨーコさんがいた。どうして?
「ねぇ、アル。こんな飛行機に乗って良いの?」
「勿論だよ。ヨーコは引退したら、僕のお嫁さんになるんだからね」
ヨーコさんの肩を優しげに抱く男性。おっちゃんが聞いたら卒倒しそうな台詞を吐いている。
「お~い、真純!」
「ねんでしょうか、ボス?」
世良がやたらに良い笑顔を振りまいている。
「向こうでは彼女のガードを頼むよ。女性同士なら、大抵の場所に一緒に居られるだろ?」
「ねぇ、アル。この子、女の子なの?」
「男子の下着を着けているが、正真正銘の女の子だよ。母親に確認済みだし」
コイツ、もしかして…
「まさか…モリアーティ家の当主か?」
「そうよ、彼が現在の当主、アルセイン・ホームズ・モリアーティよ」
背後から志保の声がした。
「あなたのお父様が、闇に葬った男」
おいおい…俺は、なんて場所にいるんだ?窓の外を見ると景色が動いている。もう離陸しているのか。大空の中で、全員敵方なのか…逃げ場は無し…