---工藤新一---
言いようのない気持ちよさで目覚めた。溜まっていた物が一気にほとばしったようだ。うん?溜まっていた物?俺は謎の薬で小学生になったはずだが。
俺の上に女性が乗っている。彼女の胸の感触がとてつも無く気持ちが良い。誰だ?!
そもそも、ここはどこだ?蘭の家では無い。う~ん…上に居る女性の長い髪が俺の視界を塞いでいた。
「新一…責任取ってね♪今日は子供が出来る日なんだから」
耳元で蘭の艶めかし声が聞こえた。え?!蘭が乗っているのか?下半身に手を向けると、俺の肉体の一部が、女性の股間に吸い込まれていた。これって…
出来る日って…子供か?おいおい…蘭を起こさずに、蘭から離れると、蘭の肉体から、流れ出る俺の体液。俺のアレは萎えているが、小学生サイズでは無く、どうみても高校生サイズである。いつ、戻ったんだ?
ボンヤリした頭で、アレコレ考えていると、スマホが鳴動した。
◇
「新一、今いいか?」
父さんからだった。
「いいと言うか、なんか、よく分からない状態だよ」
「まさか、想定外の局面か?」
「あぁ…」
「すまない。私のせいだ。飛んでも無い相手にケンカを売ったようだ」
いつも自信満々の父さんの声が弱々しく聞こえた。
「いいか、新一。蘭さんと早まったマネをするなよ」
「遅いかも」
現状を父さんに話した。
「たぶん、子供が出来るかもしれない」
「アイツの仕業だ。本当に済まん、新一」
「新一!誰に報告しているのよ!」
目覚めた蘭の手が俺からスマホを奪い、握り潰している。おいおい…
---妃英里---
上機嫌な蘭が新一君と共にやってきた。
「漸く、新一と…」
この探偵小僧は、溜まりまくった挙げ句、蘭の体内で射精を何度も繰り返したそうだ。危険日だというのに…何をやっているんだ、コイツ…まだ高校2年生の上、出席日数が足り無いだろうに。
「子供出来たらいいなぁ」
喜んでいる蘭。一方新一君は顔が真っ青である。
「ねぇ、新一、式はいつにする?妊娠3ヶ月くらいがいいのだけど。出来ちゃった結婚だと、世間体が良くないよね?」
「そうね。腹ぼてじゃウェディングドレスが着こなせないわね」
「えっ…」
「まさか、新一、逃げるつもり?」
「いや、逃げないけど…」
「けど、何?」
蘭の目つきが狩人のような目つきになり、新一君を追い込んでいく。
「有希子と優作さんを呼ばないと…」
彼から計画は聞いていた。こんなに早く決行するとは…彼の目的は工藤優作を日本に帰国させることだと言われた。蘭と新一君との結婚式を計画に積み込むとは。それを後押しさせる為、私を引き込んだのか?
---沖野ヨーコ---
「ねぇ、アル。今回はいつまで居られるの?」
「ヨーコはいつまで暇なんだ?」
神出鬼没な彼氏であるアルフォンス、愛称アル。戸締まりを完璧にしていても、朝起きると、隣に居ることがある。まるで怪盗キッドのような彼氏である。アイドルである私の彼氏は、こういう人で無いと写真やビデオに姿を捉えられてしまう。アイドルに彼氏は禁忌であるから。いつの間にか隣にいてくれる人は助かるのだ。
「週末はミニライブだから、二、三日は大丈夫だよ」
「ねぇ、抱いて…」
「ダメだよ。アイドルなんだから。アイドルを引退したら、約束通り御姫様抱っこして浚うから、我慢しな」
部屋の中で私を御姫様抱っこしてくれる彼。
「ハネムーンはどこへでも連れて行って上げるから、楽しみにまっていな」
「そうだね」
「今日はどこに行きたい?」
お忍びでどこへでも連れて行ってくれる彼。でも移動方法は教えてくれない。寝ている間に、連れ出してくれる、魔法使いでもあるのだった。
「アルって、魔法使いなの?」
「秘密だよ。ネタバラシはつまらないだろ?」
「そうなんだけど…」
気になる。
---工藤新一---
なんで、あんな事になったのか、思い出せない。蘭の妊娠確定後に結婚式の計画を練るらしい。妃弁護士相手に口では勝て無い。あの親子に押し切られてしまった。
蘭に破壊されたスマホの代わりを買い、自宅に戻った。この姿では蘭の家にはもう住めない。しかし、いつ元に戻ったんだ?灰原の解毒剤は飲んでいないし。自宅のポストには国際貨物便で一冊の書籍が届けられていた。送り主は父さんで、父さんである工藤優作著の『黒き血の系譜』が入っていた。父さんの新作である。欧米では大ヒットしているようで、映画化の企画も進んでいるらしい。
同封してある手紙によると、どうやら、この本のモデルが、父さんのケンカ相手のようだ。フィクションと謳っているが、真実だと判断した捜査機関が、無実の罪で彼を投獄したようだ。血が血だから、将来的に何かをしでかすと思われたらしい。祖父にアルセーヌ・ルパンとシャーロック・ホームズを持ち、祖母にはアイリーン・アドラーとモリアーティ家の者を擁するとある。歴史的な犯罪者三名の血を持ち、天才的な名探偵の血を持つ男、アルフォンス・ルパンが主人公で、彼の生い立ちが最良の読み物として展開している作品であった。
フィクション作品故、想像の人物とあるが、実在するらしい。神出鬼没の暗殺者でコードネームは『黒色の刃』。侵入不可能な場所に容易く侵入をし、ターゲットを仕留めるらしい。
こんな相手、どう気を付ければ良いのだ?今は蘭の事で手一杯だよ。