---工藤新一---
目が醒めると、蘭が上にいた。俺の家のベッドルームのようだ。あれは、夢だったのか?
「新一、おはよう」
「あぁ、おはよう」
心地よい蘭のモーニングヴォイスで意識がはっきりしていく。今朝は、お互いに下着を着用していた。
「ねぇ、聞いてよ。アレが来ないのよ」
アレが来ない。妊娠確定か?おいおい…
「結婚式はどこで行おうか?」
嬉しそうな蘭。そうだ、世良はどうなったんだ?蘭が上にいて、ベッドから出られない。まして、蘭が居たら世良に連絡が出来ない。
「ねぇ、新一、放課後に、一緒に病院に行ってくれる?」
「どこか悪いのか?」
「産婦人科だよ、ふふふ」
笑顔の蘭。これは断れないパターンか。
◇
学校に行くと、世良は欠席だった。夕べ、入院したそうだ。丁度,蘭が検診に行く病院にいるそうだ。これはチャンスだな。あれが夢かを確認出来る。
放課後、蘭と共に病院へ…蘭の検査中に、入院病棟へと向かい、世良を探した。そして、世良を見つけた。ICUに隔離されている。酸素マスクをして、色々なチューブを繋ぎ、意識が無いようだ。
裂けたのか?マジか…ガラス越しに世良の母親が、心配そうに世良を見つめていた。俺に気づいたようだが、俺を無視している。俺は敵認識なのか?
「あっ!いたぁぁぁぁ~。新一、なんで待合室で待っていないのよ」
背後から聞こえた蘭の怒った声。
「あれ?世良ちゃんだ。新一、世良ちゃんが入院してたのを知っていたの?」
「ホームルームで先生が言っていただろ?心配で見に来たんだが、面会謝絶って、何が遭ったんだろうな」
「そうね。昨日は元気だったのに…」
心配そうな蘭。ここに居てもしかたないので、帰路に着いた。
「検査結果はどうだった?」
「ねぇ、聞いて聞いて。三ヶ月だって…」
顔を赤らめて、俺の腕に抱きついて来た。出来たのか…そのまま、妃弁護士の家に向かい、赤飯パーティーとなった。
「新一君、もう逃げられないわよ。蘭を泣かせないでね」
逃げられない。妃弁護士の目はマジである。どうしてこうなった。
「高校は留年無く、卒業しなさい。高校を卒業するまで、探偵ごっこは封印しなさいね」
言いたい事は分かる。出席日数がマズいんだ。パーティーも終わり、蘭を妃弁護士の家に残し、俺は自宅へと向かった。
---???---
ラムを漸く見つけ、処分した。まさか、こんな場所に潜んでいたとは…残る獲物は工藤優作だ。どうケリを着けようかな。
---工藤優作---
新一と蘭君の結婚が決まったそうだ。いよいよ、日本に有希子と共に戻らなければいけない。敵の顔が分からない。手に入れた情報によると、FBIの赤井君、公安の安室君がやられたそうだ。あの腕利きの二人が容易くやられるとは。だが、殺されてはいない。アイツが蠢いているのではないのか?黒の組織が消されているのは、アイツの仕業であろうが、アイツ以外にも伏兵がいるのだろうか。
居場所を突き止められないように、何カ所か経由したインターネット電話で、目暮警部へ連絡をした。
「新一君の身辺警護ですか?何者に狙われているんですか?」
「正直、分からない。誰の虎の尾を踏んだのか、分からないんです」
アイツが敵なら、拷問して放流はしないと思う。アイツは、暗殺者である。拷問して殺害で終わりのはずだ。なのに、赤井君、安室君、ベルモットは殺されていない。拷問だけで済んだらしい。
「原因は?」
「私の新作小説だと思う」
「どんな内容ですかね?」
「フィクションの探偵小説ですよ。モデルにした人物はいますが…」
それにより、アーサー・ホームズは、何度も投獄をせられた。捜査をすると彼にはアリバイがあり、無実であったが、作られたアリバイとされ、なんども有罪にされていた。その度に脱獄をし、脱獄罪で国際指名手配もされていた。
「どんな人物です?」
「血筋で考えると悪人であるが、実際は無害だった人物です」
えん罪を重ね、彼は黒く染まっていったのだろう。