謎の洋館に入ったら幼女達とエッチすることになった件 作:明日兎
改めて、詳細に献立を見てみる。
真っ先に食欲を刺激するのは、言わずもがなソースのかかったハンバーグ。よく見てみると、白く泡立っているのがついていた。これは何だろう……。
そして、黄金色に煌めき、甘く芳醇な匂いで食欲を引き立たせる蜂蜜のトースト。
最後に、少量の肉と野菜がふんだんに使われたポトフのようなもの。湯気が立ち昇り、作りたてであることが分かる。
遠慮なくいただきますと言った手前ではあるが、やはり、食べる前に俺には疑問に感じてしまうことがあった。
「本当に外して良いのか」
然も当然であるかのように、外された手錠。確かに、明日には外せるようになりますとティナちゃんは言っていたが、今はその時ではないはずだった。
「手を外してあげただけですから。手を動かすことはできても、碌な道具も持っていない颯太さんは逃げられないですよ?」
「まあ、確かにそうだけど……。少なくとも、その……」
明日外すと言っていたじゃないか、という質問が俺の口から出ることはなかった。
だって、それを言ってしまったらまるで俺が手を縛られることを強く望んでいるみたいじゃないか。
だが、それを鑑みてもこの疑問を放置するのは何とも言えないむず痒さがあった。だから、相手側のデメリットを指摘して、遠回しに理由を聞くことにしてみる。
「く、口移ししてきたりとか、そういったことには抵抗できるようになるぞ」
「あー……たしかに、それは残念ですね」
如何にも残念そうな感情を、表情と声でティナちゃんは表現する。その仕草を見て、一瞬、心臓がきゅっと締め付けられるような感覚がした。
もしかして、俺はティナに恋心を抱き始めている……?
幾ら可愛いからってダメだろ俺!今までされてきた仕打ちを思い出せ……!
平常心……平常心……。
「それは置いておいて……昼飯、食べなくて良いのですか?冷めちゃいますよ?」
「あ、あぁ……」
はぐらかされた気はしたものの、目の前に出された食事に手を付けないというのも失礼だ。念のために、匂いを嗅いで確認してみるが、特に異臭は感じない。
むしろ匂いに感化され、お腹の虫が鳴り、早くこれを食べろという電気信号がずっと胃から送信されている。
うーん……やっぱり聞いてみるか。
「なぁ、ハンバーグについてるこの泡って……なんなんだ?」
試しに用意された箸を使い、泡状のものに触れさせて動かしてみると、妙にねっとりとしていた。
離してみると、納豆のねばねばのように糸を引く。……何だか嫌な予感……。
ティナの様子を見れば、先程までの傍若無人な態度を一変させ、その嫌な予感を言い当てられたからか、面白い程に慌てふためいていた。
「え!?それは……調味料です……」
「調味料……?」
こんな調味料があるのだろうか。少なくとも、俺の知識上こんなにねばねばした食べ物など先程も言った納豆とか、とろろくらいである。
「はい。企業秘密の調味料です……!それよりも、はやく、食べてみてください」
「………」
本当に食べても良いのだろうか。しかし、ここで出された食事を拒絶したところで新たな食事が出される可能性は限りなく低い。
そして、俺はこうして手錠が外された今も生殺与奪はティナちゃん達に委ねられていると言って過言ではない。
例えこれが、調味料でも何でもない唾液であったとしても、基本的に無味無臭。口に一息に入れて仕舞えば何も感じない……はずだ。
「はぁ……じゃあ、二回目だけど……いただき……ます」
ぎこちないながらも再び手を合わせて、久しぶりにまともな食事にありついた。
「はい、めしあがれ」
そのティナちゃんの言葉と同時にまずは、ハンバーグ……ではなく、蜂蜜トーストに齧り付いてみる。
「……おいしい」
心の底から出た感想だ。クリームパン然り、この子が調理しているのか分からないが、どうやらこの家には料理人さんがいるらしい。
噛む度にじわりと溶け込んだ蜂蜜が染み出してくる。同時に鼻から甘い香りが吹き抜けてきて、絶妙なハーモニーを産んでいた。
……しかし。
何か……蜂蜜とは別のものが含まれているような……いや、これはバターだろうか。うん、妙な勘繰りは辞めておこう……。
ポトフに関しては、特筆すべき点で言えば、変にバラついた形のベーコンがあったぐらいであった。味はとても良かった。
暫く無言の食事の時間が続く。しんと静かな部屋には、器と箸がぶつかる音と、俺の咀嚼音がただ響いていた。
食事の随まにまに、ごくんと食物を飲み込み落ち着くと、ふと気になり話しかける。
「そういえば……リーリアとミュウは……」