謎の洋館に入ったら幼女達とエッチすることになった件 作:明日兎
意識が判然としない中、徐々に五感が蘇っていき少しずつ明瞭となっていく。
「……だめか」
俺は眠っていた。ティナが去っていった後、俺は精神的な疲労が溜まり、徐々に眠気に身を委ね、すやすやと睡眠をとっていたのである。
だめか、という独り言はこの悪夢から覚めていなかったことに対するものだ。僅かな期待にも裏切られ、思わず溜息を吐く。
今まで拘束をされていた俺はその場への理解が及ばずこの部屋やそしてこの洋館について考えたりする機会が無かった。
大事なことだが、俺はここからの脱出を諦めていない。いや、少なくともこの事態を打開しなくてはならない。恐らくもう俺の両親は一向に帰ってくる気配のない俺を心配しているはずだ。警察がこの場にやってくるのも時間の問題だろう。
ティナ達も今の様子からして、俺を殺したりなどはしないはずだ。今の問題は、精神的に俺が生還できるのかだ。
自分の今の状態を、目を下に向けて再把握する。手錠、壁に縄で括り付けられた上半身、そして足枷。……鍵穴があるが、その鍵は勿論手元にない。
次にこの部屋を見渡す。俺の今いるこの部屋の広さは六畳といったところだった。壁側には窓が一つも見当たらず、この部屋から出られるのは前方にあるドアのみ。天井を見ると豆電球のような光源がほんのりと部屋全体を照らしているのが分かった。
家具などは何もなく、正に伽藍堂といった感じで得られる情報量がほぼ皆無だ。
ただ、本当に何もないのかというとそうではなかった。ドアの横側にカレンダーが吊るされており、それを見ると今は3月の面になっていた。
……でもそれは、おかしかった。今は6月のはずだ。ただそれだけなら、カレンダーを捲るのを怠っていただけだろうと言われて、おかしいというお前は騙されやすいなと揶揄われて仕舞いだ。
でも、このカレンダーの3月には27日までしかなかった。俺はカレンダーを常日頃から確認するような真面目君だった訳でもないが、高校生という歳まで生きていた手前、月の日というのは2月が28日程度なのを除いて他の月は全て30又は31日である事くらい常識としてある。
そういえば、ティナに今の時間を尋ねた時に「夕方の27時です」とか妙なことを言っていた。その時は思わず流し聞きしてしまっていたけれど、今考えると嘘をついていたようにも見えない。
しょうがない。ティナ達に聞いても答えてくれるか分からないけれど、聞いてみるしかない、か。
ぐぅぅうう……
……お腹がすごい空いてきた。思えば俺が最後に食べた食事と言えばティナとミュウの唾液漬けパンを除けば、家で食べた朝食か。
早く警察でも何でも、助けとか来てくれないかな。もし明日も明後日も……一生助けが来てくれなかったら……俺、死ぬまでずっとあの子達を経由した食べ物しか胃に入れられないのかな。
ああもう!余りマイナスな事は考えないようにしないと。マイナスな事ばかり考えたら、マイナスの方向に行ってしまうとはよく言うからね。
もうこの部屋から得られる情報はなさそうだ。なら、次はティナ達は一体何者なのかについて考えるべきか。
彼女達は執拗に俺に唾液を飲ませようとしてきていた。当然だが、俺の記憶では彼女達との接点なんて微塵も無い。唾液を俺に飲ませることによって何か利益があるのだろうか。
単純に俺のことが好きだから……というのも、考えられるけど……いや絶対にないはずだ。寧ろ彼女達の言動や行動には俺が好きだからというのが正解であれば辻褄が合うことしかないが、いやいやいや…絶対にそんな事はあり得ないはずだ。だめだ、考えたくない。この事は考えないようにしよう。
あとは、彼女達の容姿だ。明らかに日本人離れしているし、リーリアやミュウに至っては赤とかピンク色なんて……染めているのだろうか。しかし、黒髪の部分が見えたり等は無かったので染めているようにはとても見えなかった。
幾ら考察してもティナ達の正体は霞の如く1mmも掴める気配がしない。
今が朝なのか昼なのか夜なのか、今が何時なのかも分からない部屋の中で身体も満足に動かせないまま、時だけは止まる事なく進んで行く。
次第に俺は天井や床の木目の数を数えたり、何をするでもなくぼーっと眺めたり、しながら時間を浪費し続ける。
幾度、太陽が昇って沈んで季節は移ろったのだろうか。本当はそんなに時間は経っていないのは分かる。でも、何もしないというのはそれくらい無為で退屈な時間だ。
──リーリアがこの部屋に現れたのは俺が再び眠りに入ろうとした時だった。