「はぁ……」
ため息が思わず漏れ出る。そんなため息の向かう先は目の前にある書類の山。こいつのせいでポピパの練習にも参加できねーし、何よりどんだけ読んでも終わりが見えない。燐子先輩も紗夜先輩も文句一つ言わずに私と同じか、それ以上の量の作業を熟しているというのだから脱帽である。
「あーおわんねー!!」
叫び声が意図せず出てしまった辺り、相当ストレスが溜まっているのだろう。……今ここに先輩方がいなくて良かった、なんて私はふと思った。きっと風紀委員長の紗夜先輩なんかにこんな姿知られたらただ怒られるだけじゃ済まない。
「はぁっ……」
私の手はスカートの中へと伸びて、少しだけ濡れ始めている下着を上から撫でた。そして私は椅子に座ったまま足を上げて自慰に耽る。生徒会室の椅子が少し大きいからこそできる芸当なのだが、もはや最近のルーティンにすらなっていた。満足して気怠さを表に出してしまって燐子先輩から心配されることなんてのもあったけど、それでも溜まったストレスをこういう形で発散しないと私はどうにかなってしまいそうだった。
「あっ、はぁっ、んあっ……」
私の口から漏れるらしくない声もまるで自分が自分でないような感覚を喚び起こして、快感のスパイスになっていた。
「んはぁっ、イ……クっ、はぁっ……」
慣れれば自分の気持ちいいところなんてのはすぐ分かるようになって、達するまでは早くなっていた。言い換えればそれだけ最近自分で処理をしていた、ということなのだが、そんな慣れが私に悲劇を呼んだ。
「……あ、あの、市ヶ谷さん……」
「……えぇっ?!」
背後から聞こえてきた声。心臓が口から飛び出るほどに驚いた私は急いで振り返る。そこにはまるで今の私の痴態を全て見ていたかのように立ち尽くした燐子先輩の姿があった。
「あ、い、いや、今のは違うんです!!」
顔が赤い。だってまさか、見られているだなんて思わなかったから。
「だ、大丈夫です……。きっと市ヶ谷さんも最近大変でしたから……」
「いやいや! え、えっとえっと」
言葉が見つからないけれど、どんな反応をされるかか分からずに焦っていた私を宥めすかしてくれたのは燐子先輩だった。燐子先輩は変に引いたりするのではなく、徐に私の隣の椅子へと腰掛けた。
「……その、辛いことなんでも言ってください。わたしだって、生徒会長ですから……」
その優しさはありがたかったけれどある意味では辛かった。けれど何故か自然とポロポロと口をついて愚痴が出た。それを咎めるでもなく燐子先輩は優しく聞いてくれたのだった。
その日の晩、私は携帯を見ながら燐子先輩へのメッセージをどうしようか悩んでいた。
「……悪いことしちゃったしなぁ」
流石にあんな姿を見せておいて、さらには愚痴まで聞いてもらって、だなんて申し訳なかった。そんな風に悩んでいた折だった。不意に燐子先輩からメッセージが届く。それは私を心配してくれる内容だった。さらに募った申し訳なさで居ても立っても居られなくなり、アプリを立ち上げる。
『燐子先輩、私あんなことして後悔してます。ご迷惑おかけして、本当にごめんなさい!』
焦って内容を吟味することもなく送ったが、それに対する燐子先輩の返答は意外なものだった。
『遠慮なく今日みたいに相談してください(`・ω・´) そうだ、もし市ヶ谷さんが良ければ今度わたしの家でゆっくりお話ししませんか?』
「……えっ?」
そんなわけで、私は今、燐子先輩の部屋に招かれて、優雅にお茶を啜って……。
「って、やっぱりどういうことだよ?!」
「わっ……」
「あ、ご、ごめんなさい!」
思わずこれまでのことを振り返ってみても、意味不明な自分の行動にセルフツッコミを入れてしまう。そのツッコミで優しく話を聞いてくれる燐子先輩をビビらせているんだから、世話もない話だ。
「えっと……大丈夫ですか? やっぱり辛いことが……」
「だ、大丈夫です!!」
こうやって心配される羽目になる。ただ燐子先輩の優しさから来ているものを無碍にするのも忍ばれないし、何よりそんな純粋そうな燐子先輩の物静かな目を見れば、余計に罪悪感に駆られていた。そうじゃなくても部屋の中に置かれたピアノとか厳かな雰囲気の部屋で緊張しているのもあって、もはや話すことが思いつかない。それで押し黙っていると、燐子先輩が口を開いた。
「あの、それで、この間の生徒会室で……やっぱりストレスだとか溜まっていますか?」
「え……いやまぁ……その」
そんな後ろめたい質問にそうだと答えられずにいると燐子先輩は柔和な笑みを浮かべた。どこか母性を感じるほどの厳かな笑み。
「……市ヶ谷さんは大変なのに頑張っていますね」
「あ……そんな、私なんかまだまだ……」
私の頭を撫でる燐子先輩の掌は温かい。どこか心が落ち着かないぐらい恥ずかしいが、それでも何故か安らぎもあった。
「……それじゃあ」
「……燐子先輩?! えっ、なんで!」
そんな癒しに溺れていると、何故か燐子先輩は上の服をいそいそと脱ぎ始める。あまりに脈絡のない行動に私は狼狽え、思わず目を背けるが、私が止めるまでもなく燐子先輩は一気に下着をあらわにして、その大きな胸を包むブラすらも脱ぎ捨ててしまった。
「どうぞ……こちらへ」
「え……あ」
私は惚けてしまって、抵抗するでもなくその胸に埋められるようにして抱きしめられた。とても温かい空間が私を包む。そして顎に添えられた手が導くままに顔を上げると、意識していなかった唇に柔らかな燐子先輩の唇が重ねられた。
「……ふふ、市ヶ谷さんは可愛いですね……」
脳の中まで蕩けてしまいそうな甘い声に誘われて、無抵抗のまま私は裸にさせられる。そしてもう一度私は燐子先輩の柔らかな胸に顔を埋めて、鼻腔いっぱいに甘い花の香りを吸い込んだ。それだけですっかり私の思考は止まってしまって、全身から力がふっと抜ける。
「わたしが……気持ちよくしてあげますね」
フラフラとベッドサイドに腰を下ろしてぺたりと座り込んでいた。燐子先輩は私の後ろから回り込んで、右手で頭を撫でながら、左手は私の素肌を傷つけないように優しく撫でましてくれた。掌が往復するたびに私の体を電気が走った。
「全身、敏感なんですね……こことか」
「はうっ、んあっ……」
なぜか遠くから聞こえるように感じられる私の声も、いつにも増して艶やかな雰囲気を纏っているような気がした。いつもなら多少抑えられるはずの声も、度重なる乳首への刺激や胸を柔く揉みしだく細指、ショーツの上から撫で回す指によって全く我慢できない。それどころか後ろからあすなろ抱きをされながら責め立てられるので、自分では快感を得られないような場所、例えば耳の穴などに息を吹きかけたり、いつもよりトロンとした声で囁かれたり、しまいには私の耳の穴をほじくるように舐め回す燐子先輩の舌。舐め終わった後も瑞々しい感覚が耳を包む。終わりの見えない攻撃に私の体は快感で打ち震えていた。
「んはあっ、あっあっ、はあっんああんっ!」
ピクピク、と耐えきれず私の体は脱力する。軽くイってしまった私は燐子先輩に完全に体を預ける。すると、燐子先輩は少し体の位置をずらして、ぽんぽんと震える太腿を叩いて、首を傾けた。
「あ……膝枕……」
なんだか、甘えてもいいんだという想いが溢れて、そのまま倒れ込む。見上げると燐子先輩の大きな胸が視界の半分以上を覆っていた。私も大概大きい方だと自負していたが、それよりも明らかにデカイ。
「ふふ……市ヶ谷さん、おっぱいが気になるんですね……」
「え……あっ、んっちゅ……」
そっと頭が持ち上げられて、私の口元に燐子先輩のぷっくらとした乳首が現れる。私はすぐさまその乳首に吸い付く。まるで赤ちゃんに戻ったような。
「いいですね……もっと、もっと」
「んちゅっ、えっ、んんっ?!」
燐子先輩の空いた左手は私の股の間へと伸びる。既に勃起してしまったクリトリスは守られるものもなく、燐子先輩の指につままれる。身体中を突き抜けるような快感。それだけで私はまたもイってしまう。
「んへぇ……」
「それじゃあ……次はこれを」
ゆっくりとベッドに寝かされた私の口元に次に現れたのは、所謂ペニスバンドだった。燐子先輩の腰に装着されたそれは先っぽが私の口元へと当てられる。私は当然それを咥える。だが、燐子先輩はニヤリと笑うと、少ししてそれを口から引き抜くと、私の上に馬乗りになる。
「え……」
「先程おっぱいを気にしていましたけど……市ヶ谷さんのもすごいですよ……?」
そういうと、私のおっぱいを寄せて、その谷間にペニスバンドを滑り込ませた。そして前後に動き始める。
「んあっ、ああっ……」
その微妙な振動と擦れ具合が絶妙に気持ちいい。そしてさりげなく挟まれる乳首に私はまたも脚がガクガクと震え始める。それを認めると、燐子先輩は前戯は十分とばかりに腰を下ろして、私の股を開かせる。
「……それじゃあ、挿れますね?」
「んへっ、んああっっっ!!」
既にびしょ濡れの私の膣はそんな太いペニスを容易に受け容れて、スムーズに腰が動く手伝いすらしていた。燐子先輩は最初こそ私の腰を掴んで腰を振っていたものの、濡れて動きやすくなったのに併せて、その手を私のおっぱいへとまたもや伸ばした。
「んあっ、またちくびぃっ!」
私が体をくねらせ快感から逃れようとすると、それを逃がさんとばかりに私の口の中へと舌がねじこまれる。どうあがいても快楽から逃れられなくなった私はすぐさま絶頂に達した。
「ん!! んんっ!! んん〜〜!!」
私は声にならぬ声を上げた。
どれくらい経ったのだろうか。まだ私の脚は少しながら震えている。隣では燐子先輩が優しい目でこちらを見つめていた。
「市ヶ谷さん……大丈夫ですか?」
「え……あ、はい……」
なんか頭がぼうっとしたけれどなんとか答えると、燐子先輩はニッコリ笑った。
「……それにしても、んっ、どうしてそんなに手慣れて……」
「……ふふ、あこちゃんと、ちょっと、ね?」
ああ、そういうわけで。だからこんなにもストンと私の体は快楽を受け入れられたのだろうか。
そんな安心を得て、なんとか荒くなった呼吸を落ち着けていると、燐子先輩はゆっくり起き上がって、壁際のクローゼットを開け、何かを取り出す。そして、それを手にしてまたこちらへと戻ってきた。
「そういえばあこちゃんで思い出したんですけど……、……これ、着てみませんか?」
「……え?」
訳がわからないという意図で燐子先輩を見返す。その手にあったのは絢爛豪華な黒と白の煌びやかな、一対のドレス。大きくあしらわれたレースに目を奪われていると、燐子先輩が嬉しそうに語ってくれる。
「これ、似合うと思って……」
「え、いやいや、……サイズデカそうですし」
「いえ、それは……戸山さんと牛込さんに聞いたので……」
「なんでっ?!」
だが、燐子先輩の純粋な目に断るに断れず、渡された白のドレスを見よう見まねで羽織ってみる。なんとかそれらしく着てみると燐子先輩の指差す先には鏡に映る私たちの姿があった。
「……うわぁ」
壮観、という言葉が似合う。あまりに華やかで荘厳な姿にすっかり見惚れてしまっていると、燐子先輩の手が視界に伸びた。途端に奪われる唇。蕩けるような花嫁の甘いキスにまたもや私は毒に浸る。
「……ふふ、市ヶ谷さんとこうしたいなって……」
「……燐子先輩」
ベッドへと押し倒され、ぼふんとドレスのレースが舞い上がる。それが空気に逆らいながら沈む姿は花びらの散るのに似ていた。いつのまにか燐子先輩がつけていたディルドの先が、隠されていない私の膣の入り口に当てられた。
「……市ヶ谷さん。……とても綺麗です……」
「り、燐子先輩だって……」
上から包み込むように優しいキスをされると、それとは裏腹に凶悪なる棒が私の膣を押し拡げる。けれど、期待していた私の膣は蜜を溢しながら燐子先輩の愛を受け止めた。
「あっはあっ、りん、こ先輩ぃっ、んひぃっ!」
燐子先輩の細い腕が私の背中に回されて、火照った体が密着して、擦れ合う。燐子先輩の主張の強い胸が私の胸の先っちょを擦り上げるように動かされる。押し潰れ合う乳房はまるで優しく揉みしだかれているようだった。
「市ヶ谷さんっ……、可愛い……ですっ」
燐子先輩も快感に耐えながら私のことを責め立てているようだった。今度は私が気持ちよくしようと、燐子先輩の可憐な唇を奪った。深い深いキス。気が遠くなるほどの快感に私たちは同時に果ててしまったのだった。
「はぁっ……あっ……』
達して気だるい身体を包んでくれるのは燐子先輩の体だった。ベッドに腰掛けながら、燐子先輩の柔らかすぎるほどのマシュマロの胸に埋もれながら幸せを享受している。そこに普段の私の姿はない。頭を撫でられ慰められ。まさに私は燐子先輩という母に甘える乳飲み子であった。
「ふふ……わたしに出来ることがあったらいつでも、言ってくださいね……? 我慢しちゃ……ダメですから」
「……燐子先輩」
「ふふ、燐子、でいいですよ……?」
「……燐子」
「……有咲? ですかね……ふふ」
母子、というよりも、恋人同士なのかもしれない。
「有咲ぁぁぁ、教科書忘れたぁぁぁ!!」
「うるせぇぇぇ香澄!! くっつくな!!」
「最近の有咲、元気になったね、香澄に抱きつかれて嬉しそう」
「嬉しくねぇ!!」
「でもこの間に比べると元気だもんね、何かあったの?」
「なんでもねぇよ!! とにかく香澄をなんとかしてくれぇぇぇ!!」
本当に抱きつきたいのは、燐子……先輩だなんて、言える訳ねぇだろ。