オリキャラ:和樹、彩と交際中
もう暗くなった街を仄かに照らす街灯の影。ネオンサインや広告の放つ光とは違ってどこか頼りなさすら感じる灯りの柱にもたれかけながら、まだかまだかと俺は足をブラブラと遊ばせていた。
「あっ、和樹くん!!」
「おっ」
向こうの方から俺の名前を呼ぶ声がして、俺は足元から目を離した。すぐに俺の元にはぽふんっという柔らかな衝撃が走った。
「飛びついてきたら怪我するぞ? 彩」
「だって……早くギュッてしたくて」
「……こう?」
「うんっ」
茶色の帽子に隠されていてその顔は窺い知れないけれど、声のトーンからは彩もどうやらずっと楽しみにしてくれていたらしかった。
「行くか?」
「うん、手繋ご?」
「……はい」
僅かに幼さを残したような行為に少しだけ気恥ずかしくなって、控えめに手を出したのだけれど。
「うんっ、さあ行こっ」
俺の少しだけ控えめだった左手は彩の右手と絡められていたのだった。
「わぁオムライス……美味しそう……」
「だろ? 専門店だからな、きっと美味いぞ?」
「和樹くんはオムライスで良かったの?」
「俺だって結構そういうの好きだからな」
彩の手に引かれるままに黄色くなったショーケースを通り過ぎて店内に入る。案内されて店の奥に通されるんだけど、カジュアルさよりもビンテージな雰囲気が際立つ店内の空気に呑まれそうになりながら席に着く。
「わぁ、なんかこういうお店に来ると大人になったって気がする!」
「その発言がもう大人じゃなさそうだけどな」
自分もきっと彩と同じような心持ちだけど、折角のデートに良い顔をしたくて、平常を装う。彩はそんな俺の演技に気づいていないのであろう、メニューに並んだオムライスを穴が開くほど見つめている。
「今日のお仕事もハードだったからお腹ぺこぺこだよぉ」
「今日は何があったんだ?」
「えっとね。お昼に雑誌のインタビューがあって、その後事務所のスタジオで練習してて……。そっから何してたっけ……」
「覚えてないのかよ」
「だってお腹空いたんだもん! ……だから腹拵えしないとね? あっそうだ聞いてよ!」
彩と話していると、なんだか話題が尽きそうにない。いつもこうやって会った時にはものすごく沢山の話をしているはずなのに、いつ聞いても彩とする話は新鮮な気がする。
「麻弥ちゃんが帰ってこないって探したら先に1人でスタジオに居て、倒れてたんだよ?!」
「麻弥さんでもそんなことやっちゃう時あるんだな……」
会えない日だって夜には電話をしたり、メッセージを送りあったり、色んな話を毎日しているはずなのに、飽きることがまるでない。それどころかどんどん彩の沼にハマってしまうような。
「あっ、来たよオムライス、わぁっ大きい……!」
「うおっ、すげぇ……」
付き合い始めてからそこそこ長い時間が経つというのに、関係性がだれてしまうだとか、相手と一緒にいることに疲れてしまうなんていうこともなくて。
「ねぇねぇ、和樹くん。口開けて?」
「ん?」
「あーん……。どう?」
「頼んだの同じやつだからおんなじ味」
「もぉ! そこは嘘でも美味しくなったって言ってよ!!」
彩といるだけで毎日に色がついていくように楽しさで溢れている。それはきっと俺の勘違いだとか、思い上がりとかではなくて。目の前で眩いばかりの笑顔を放つ彩だって同じなんじゃないだろうかって。同じ気持ちだったらいいなだなんて。
「ふぅ、美味しかった……。お腹いっぱいで動けない……」
「また千聖さんに怒られても知らないぞ」
「た、食べ終わってから思い出させないでぇ」
だからたまに思うんだ。歌とダンスを届けて笑顔を振りまくアイドルの彩と、俺と一緒にあどけない花を咲かせる丸山彩と、どっちが本当の彩なのかな、なんて。考えても無駄なのに、女々しく悩んでしまうのだ。
「……ねぇ、和樹くん?」
「ん?」
「……えいっ」
「……? どした?」
考え事をしていた俺は、店を出た途端に彩から両の頬を掌で押し潰される。虚空を見ていた俺の目線は少しだけ不機嫌な彩の顔へと自然と向いていた。
「……デートなのに和樹くん、私の方全然見てくれないんだもん」
「そんなことは」
「本当? 私の目を見て言える?」
「……ごめん」
「もぉっ。和樹くんが悪いんだから、これから私がすることに拒否権は無しだからねっ」
「拒否権? わわっ……」
拗ねたように唇をとんがらせた彩は俺と指の一本一本を入念に絡ませて、歩き始める。少しだけ薄暗い道を抜けて、足早に歩を進めているのだが、俺がどこにいくかだとか問いかけても、拗ねた言葉が返ってくるだけで、何もまともな答えを返してくれないままにあるビルの下へと辿り着く。
「さっ、ちゃんとエスコートしてねっ」
「ここって」
「拒否権はなしだよっ!」
背中を押されるがままそのビル、もとい大人のホテルへと足を踏み入れる俺たち。僅かな知識を振り絞りつつ、部屋を選んでエレベーターで上階へ昇る。彩は手こそ繋いだままであれど、全くこちらを見ようともしない。
「……わっ」
ドアを開けて入った部屋の奥には、まるでアニメの中のお嬢様が使うようなプリンセスベッドが据えられていて、俺は思わず立ち止まる。けど、そこでようやく彩が口を開いた。
「ねぇねぇ和樹くん」
「ん? 彩……んっ……」
「んっ、んちゅ……」
俺は突然触れ合う唇の感触に目を瞑る。何の音も聞こえない部屋の廊下に小さな水音だけが響いた。
「……彩?」
「……えへへ。拒否権なし、だよ?」
一瞬だけ俺の目に映った彩の切なさが入り混じった表情は、幼い花が咲いた彩の表情を妖艶に塗り潰していく。
「ほら、早くこっち来て?」
「ちょ……、シャワーは?」
「……我慢できないんだよ?」
「……彩」
そんな天幕のついたベッドの上に腰掛けた彩は隣に座り込んだ俺の肩に頭を乗っける。その重みはすごく軽いのに、なんだか自然と俺は彩に吸い寄せられるように腕を背中へと回す。
「んっ……かじゅきくんっ……んんっ」
彩が声を出しながらキスをするせいか、さっきよりもより鮮明に脳の中で彩の声が反響している。俺が彩を抱きしめる強さはもっと強くなる。
「ん……。ねぇ和樹くんっ」
「……彩?」
「さっき和樹くんに拒否権はないなんて言ったけど。私も和樹くんのすることに拒否権なんてないんだよ?」
「それは、ずるいだろ」
「わっ」
そんな甘い誘惑は雄を狂わせる以外の何者でもない。俺だって一匹の雄だから、目の前の愛おしい獲物を見過ごせるはずがないのだ。
「……あっ、触っちゃやっあっ」
「口ではそんなこと言って」
「はぁっ……あっ」
「なんでそんな悦んだ顔してるんだよ」
「……和樹くんのことが大好きだから」
「彩っ」
「んんっ、んっ……んっん……」
ベッドの上に仰向けになった彩が無防備に唇を晒しているのだ。猛獣の前に生肉を置いているのと何ら変わりない。俺は彩が投げ出した細い両手首を握りしめて、そのご馳走を貪り食う。
「んはぁっ、あっすごいっ。和樹くんの目が、凶暴な目してるっ」
「……当たり前だろ。俺だって彩のこと、大好きなんだから」
「和樹くっ、んっ……んんっ! んっんちゅっ」
俺の言葉を聞くだけですっかり蕩けた目を光らせる彩。彩が俺の下で荒い吐息を必死に隠しながら腰をムズムズと動かしているのが堪らなく可愛らしい。
「ねっ、もっとぉっ、触ってっ」
「どこをだよ、言わなきゃ分かんないぞ」
「おっぱいもぉっ、和樹くんが触りたいところ全部ぅっ」
既に服の上から散々揉みしだかれていた彩の胸。白いニットの隙間から手を入れると、少しだけそのブラはズレている。
「お腹も、和樹くんに触られるだけで気持ちよくなっちゃうんだよ?」
「……変態」
「こんな変態やだ?」
「まさか」
「えっへへ。んっ、だってぇっ、和樹くんのせいだからねっ?」
固くなった乳首を弾く度に彩の口からは甘い吐息が隠しきれずに溢れているのだが、そんなことは御構い無しに、全身を指の腹で撫で回していく。決して一般的には性感帯とは言わないような地肌しか触れていないのに、彩の声は少しずつ大きく乱れる。
「はぁっ、あっ、……もっと、キスもちょうだい?」
「わがままだなっ、んっ……んっ」
「んちゅっんれろっ、んはぁっあっ、キスすきぃ」
「俺もっ、んっ」
これまで数え切れないほどキスをしてきたのに、それでもキスをする度にもっともっと気持ち良くなる。全身を満たす多幸感と唇からジンワリと広がる熱の吐息。
「んっ、ねっねぇっ」
「……どうした?」
「ここぉっ、切ないよぉ、もう我慢できないっ」
彩は震える右手で捲れ上がったスカートの中を指し示す。俺がその手に導かれるようにそっと一撫ですると、彩は下半身を震わせる。指の先はほのかに温かい。
「濡れてるの分かるでしょ? 早く和樹くんが欲しいよぉっ」
「えー、でも焦らさないとな?」
「ずるっんあっ、あっ擦っちゃぁっダメっ」
さっきまではゆっくりとなぞるだけだったのに、急にスクラッチのように爪でそっと擦る。それだけで彩の目には力が篭って、息が詰まりそうになっていたから。
「んっ、んんっ!! んっはぁっあっ、あっだめっだめっ!」
既に下半身の力が抜け切ったのかたまに足が跳ね上がるぐらいしか抵抗もない。指が触れているショーツは既に溢れ出した蜜を吸い切れずに吐き出した。
「ん、直接が良いのか?」
「えっ?! ダメっあっダメぇぇっ!!」
引っ張って横にずらして、露になった彩の小さく膨らんだクリトリスを、指の腹で押し潰した。
「んああっ?!」
彩の息はさらに不規則に、振動は上半身にまで伝っている。懇願するような目線を向けながら、彩の左手がゆっくりと俺の背中へと伸ばされる。
「はっあっ、あっ和樹くん……こっちぃっ、来てぇっ」
「どうした?」
「ギュッてしてぇ……」
「彩、こっち向け」
「は、あっ……んっ……んっ」
それまでの責めで喘いでいたのが嘘のように、唇が触れ合う瞬間に彩の吐息がリズムを取り戻す。舌が絡まり合って、互いの唾液と吐息が混ざって溶け合う。抱き合っているからか互いの距離はとてつもなく近い。彩が少しだけ頭をもぞもぞと動かして耳元で小さく喉を振るわせた。
「ねぇ和樹くん……。もう私のおまんこ我慢できないよぉ」
「焦らして欲しいんじゃないのか?」
「意地悪しないでぇ、和樹くんのおちんちんで彩のおまんこ、いっぱい突いて?」
「……ずっるいな」
俺は既に理性を失った肉棒を曝け出し彩の筋にあてがう。
「早くっ、早くぅ……」
「挿れるからなっ」
「はあっ、あっ、ああっ! きたぁっ」
剥き出しになった亀頭が彩の瑞々しい膣に飲み込まれていく。挿れた瞬間に彩の頬が緩み、けれども俺の背中に回された腕に力が込められる。俺が腰を沈めると、既にびちょびちょに濡れた膣は締め付けながらも飲み込んでゆく。
「あっ……あっ……和樹くんっ」
「……我慢できないのは俺もか。動くぞ」
「へっあっ、うんっ?! はぁっんっあっ!」
俺がペニスを抜こうと一旦腰を引くと、彩の膣の肉ヒダが決して逃すまいと絡み付いてくるのだが、その膣の圧で亀頭までもが押し潰されそうになる。それをまた深く突きながら無理やり押し拡げる時の快感にハマりそうだった。
「あっん! それぇっやばいよぉっ、和樹くんっ、もっとぉっ!」
「ああもうっ!」
「わっ?! んひぃっあぁっ!」
だが、そんな肉体的な快楽以上に俺のことしか見えていない彩が可愛すぎるのだ。彩の瞳に俺が映っているのが目に入るだけで、愛しさが胸に溢れてたまらなくなる。だから、最初は腕をベッドに突いて腰を振っていたのに、彩をもっと近くで感じたくて、浮き上がった彩の腰の下に両腕を差し入れて、強く抱きしめる。
「ああっ和樹くんっ! すきぃっ! 大好きっ!!」
「俺もだっ、彩ぁっ!」
「んああっ! あっあっ、はあっ! んああっ?!」
上半身は密着して、互いの汗が入り混じるほどにくっついているが、腰だけがリズミカルに彩の膣口へと打ち付けられて、卑猥な音楽を奏で続ける。そこに入り混じる彩の、俺だけが知ってる彩の愛おしい嬌声が部屋全体に響く。
「あっ、ああっ! それぇっすごいぃっ、んんっ! 和樹くんっ!!」
「はぁっはぁっ、彩っ、そんなエッチな声出してっ!」
「だってぇっ?! 気持ちいひっ、おかし、んはぁっ、くなるっ?!」
耳元に煩いぐらいに響いている彩の声に普段のステージの時のものは何ら残っていない。ただの一組の番いの誘惑の声。だからこそ意地悪がしたくなってしまうのだ。
「知ってるかっ、彩っ、ラブホテルって部屋によっては、壁薄いんだぞっ?」
「んはぁっ、あっ、へっ、へぇっ?! えっ、あっどっしよぉっ!」
「彩のエッチな声、聞こえちゃうかもなぁっ!」
「やだっやだぁっ、和樹くん以外に聞かれるのやだぁっ!」
俺だってこんな可愛い彩の声、他の人に聞かせたくない、そんな風に答えようとした矢先だった。
「んあっ、かず、きくんっ、こっちぃっ」
「へ? んんっ?! んっんっ!!」
「んんっ!! んっんっんんんっ、んっんじゅっんっ!」
彩は声を漏らさないようにしようとしたのだろうか、無理やり俺をこちらへ向かせて、口の中まで貪られる。あまりにも強く抱きしめられているからかこれ以上ないほどに激しい接吻であるのにその隙間は全くなく、淫らな獣の咆哮は卑猥な水音に昇華される。
「んぅんっんん!」
他の部屋からの声が聞こえないあたり、きっとこの部屋の声はそう漏れないはずだから、恥ずかしがる彩の姿を見たかった俺は、ピストンを続けながらもさらに追撃をしかけようと画策する。
薄らと目を開けると俺の舌に必死に吸い付く彩の顔は酷く堕落して、たまに漏れる吐息に頬が赤く色づいている。
「んんっ、んっんんっ?!」
「んっぷはっ、彩のキス顔っ、最高っ」
「ひゃあっ、みにゃっあっあっあっ、でぇっ?!」
顔を隠そうと顔の前に持ってきた彩の両手を掴み、彩の頭の上で押さえつける。
「へっあっああっ! 恥ずかしいのっ、見ちゃだめっえっ!」
「俺にっだけ見せろ! 彩の全部!」
「あっかじゅっ、和樹くんっ、にだけぇっ!」
彩は一瞬だけ安心したように頬を緩ませたが、俺が速くしたピストンを受けてまたもや大きな声を上げた。
「んひぃっ、あっあっすごぉっおっおおっ! あっんああっ!」
「あっはぁっ、はぁっ、彩っ、彩っ!」
高まる射精感を必死に我慢しながら彩にキスを浴びせかける。彩が力なく開いた瞳は焦点が合っていなかったが、キスをした瞬間、息を吹き返したように俺のことを一心に見つめていた。
「和樹っ、和樹くんっ! すきっ、好きなのぉっ!!」
「俺も彩っ、愛してるっ!! はぁっ、出そっあっ!」
「出そうなの?! 出してっ出してぇっ!! 一緒におかしくなってぇっ!」
「ぐっ、あっくそぉっ、はぁっあっ!」
「キスっ、しよぉっ!」
「彩っんっんんっ!!」
2人とももう愛しい相手のことしか見えていなくて。
「んっんんっ!! んっはぁっあっ、和樹、くんっ! 私ぃっイッちゃあっ」
「くっ出るぞっ!!」
「あっんああっ!! イクっ、イクのぉっ、和樹くっんああっ♡」
互いの名前を交互に叫びながら、俺たちは同時に果てる。体を激しく打ち震わせて、彩の膣内に愛の証を注ぎ込んだ。
「あ、あやっ」
「和樹くんっ、はっ、はぁっ、好き……愛してるぅ……」
彩の目じりに浮かんだ一筋の涙に反射した光はピンクの照明を反射して煌めいている。荒い呼吸を整えながら、彩が弱々しく俺の背中に回した腕に力を込め直した。
「えへ……えへへぇ……好きっ……和樹くん」
「俺だって、彩のこと大好きだ……」
「んっ……」
俺のこの姿を見られるのが彩だけであるように、彩のこの姿を知っているのは俺だけで良い。だって俺たちはこんなにも、深く心を通わせているのだから。