The Show must go on - "Road Guarder"
エンジン音と共にかすかな揺れが伝わってくる。
意識が少しずつ覚醒していく。これはどうやら車に乗せられているのだろうか。
それを知覚した瞬間、私はドアに手をかけて身を乗り出す。そして、口を開いて盛大に胃の中のものをぶちまけた。
「おぼろろろろろろう゛おえっ……」
後ろに流れていく景色の中で、妙にキラキラしたエフェクトとともに黄ばんだ白濁液がビチャビチャとぶちまけられていく。
……これがオープンカーでよかった。普通の車だったら今頃車内は大惨事だ。
「ホド、無事か?」
「……腹と胸が重くて股間が痛いです」
「それはまぁ、そんな体になってしまってはな……」
そう言われて、私は自分の体を見下ろす。
まず目に飛び込んできたのはドン引きするほどに肥大化したおっぱいだった。手を当ててみると現在進行形で母乳を大量生産しているのか、鼓動とはまた違った脈動を感じる。ついでに相当なナイスバディの女性をモデルケースにしたはずのレースクイーン衣装がギチギチと悲鳴を上げているのも。超乳とかそういうレベルじゃないもんね、マジで服とかどうしようこれ。
続いて腹に手を当てると、タプタプと子宮の中で精液が波打つ感覚の他にこっちもこっちで何か私のものとは違う鼓動を感じる。
「……大丈夫そうか?」
「父親がバケモンの実子がまた増えたことを除けば。……それで、これはいったいどういう状況です?」
胡乱な目で流れる景色を眺めながら、私はジェームズさんに問いかける。
返ってきた話によると、どうやら今はHoD2のラスダン……ゴールドマンビルに向かっている真っ最中らしい。案の定私は大惨事になっていたようだが、事ここに至っては置いていくわけにもいかず──他の部隊は全部民間人の避難やらで手一杯らしい──仕方なく連れてきたのだとか。まあうん、そうだよね……。
「私の見立てではおそらく後1時間もしないうちにゴールドマンビルにたどり着けるはずだ。奴の野望を断ち切るぞ」
「なんででしょう、とても勇気をもらえる言葉のはずなのに余命宣告にしか聞こえないです」
「ネガティブ思考は感心しないな、ホド。私は見ての通りゴールドマンを滅殺する心意気にあふれているぞ」
「滅殺て」
とんでもない言葉が飛び出してきたな。仮にも秩序側の人物としてその物言いは良いものなのか。
流れる景色を見ながらもう一度パンパンのボテ腹に手を当てる。……鼓動が自分のものも含めて計3つ。
私は遠い目でぼそりと呟いた。
「今度は何産むんだろうなぁ……」
「人に聞こえるような声でそういうことを言うのはやめてくれないか、気が滅入る」
「あら、BBCとかQOSとかじゃ勃たないタチで? 意外です」
「……この際なぜそんなアダルトスラングに詳しいのかは聞かないがね、仮にも異性の前でそのような発言は控えた方がいいと私は思うぞ。あと私にそんな性癖はない」
「ジェームズさんだから気にせず言ってるんですよ。これがほかの人ならもうちょっとしおらしくしてます」
「嫌な信頼の仕方だな……」
ハンドルを握りながら苦い顔をするジェームズさん。
そんな会話をしながらも着実に人間性を擦り減らしているのか、駆け寄ってくる腐れ野郎どもを一切の躊躇なくひき逃げしていく。どこぞの上院議員のような
そして、陸橋に差し掛かる。特に気にすることもなくぼんやりと横を見ていると、ガラスの割れる音とともに急ブレーキが踏まれた。タイヤが地面を嚙む甲高い音を響かせながら急激に減速していく。
ぽけーっとしていた私にそんな急展開への対処ができる訳もなく、車が完全に止まることには私は後部座席で見事にひっくり返っていた。ボテ腹を支えに犬神家よろしくガニ股で逆立ちし、ノーパンレースクイーン衣装でケツ穴とメス穴をパクつかせる無様なメス豚オブジェの完成だ。おうふ、腹が圧迫されてるせいで胃の中の残りが逆流しておぼろろろ……。
後部座席を吐き出した汚液と異臭で汚染しながら、私はなんとか体勢を整える。ついさっきまでゾンビを跳ね飛ばしながら軽快に道路を走っていたオープンカーは見る影もなく、割れたフロントガラスとベッコベコになったバンパーが哀愁を漂わせている。
そして、車を降りて銃を構えるジェームズさんのさらに前方に、見覚えのある影が2つ。身の丈4メートルはあろうかという首なしの大鎧と対照的にチビな悪魔モドキだ。
『ゴールドマン様が再びくれたこのチャンス……これを活かせずしてなんとする! 男、この先に行けると思うなよ! 行け、クアール!』
慌ててすぐ近くに転がっていたCM901を引っ掴む。よし、弾はまだあるな。後部座席に座った状態で構え、照準をズィールに合わせた。脳裏によぎるのは、
──ええい、そういえばここからボスラッシュだったな!
──
所変わって、とあるビルの屋上にて。
今回の事件の主犯たるゴールドマンは、自身の眼前に置かれたそれを眺めていた。
「……いよいよか」
ゴールドマンの視線の先では、無数の鉄柱を組み合わせて形作られた球体に多数のチューブが接続された、心臓のようにも原子炉のようにも見える装置が稼働している。
さらに、重厚な機械の駆動音の中には、ドクンドクンと微かだが力強い鼓動音が混ざっていた。
その装置の中心では、人型をした青色の何かが胎児のように丸まって宙に浮いている。その体の中央部には赤黒く輝くコアが形成されており、断続的に響く鼓動音に合わせてひときわ強い輝きを放っている。
その様子を眺めながら、ゴールドマンは独りごちる。
「被検体Hの遺伝子、そして既存のありとあらゆる遺伝子に対して優性である遺伝子Em。2つだ、この2つを組み合わせた。最高の」
「我が"皇帝"の目覚めは近い……早く来たまえよ、AMSの諸君」
僅かに"皇帝"の目が開き、不気味に輝いた。
──
ドズン、ドズン……と重厚な足音を響かせながら、巨大鎧──クアールが迫りくる。何から何まであの時と一緒なら、あの中は触手の地獄だ。あの時は幸運にも九死に一生を得たが、今度捕まれば二度と日の光を拝めずに触手の孕み袋だろう。そんな未来はごめん被る。
断固として拒否すべく発砲するが、銃弾は明後日の方向に飛んでいくばかりで一向に当たる気配がない。エイム力にムラがあり過ぎるぞ、さっきまでそこそこ当てれてたじゃん!
「ええいすばしっこ──おぎゅぅっ!?♡」
『お前は大人しくしていろ、女。ゴールドマン様への献上品だ、変に暴れて傷がつかれては困る』
黒い影が私に迫り、腹に鈍い衝撃が走る。ザーメンをたらふく飲み込んだ子宮がぼこりと形を歪に変えてクッションの役割を果たすが、それでも無視できないほどの衝撃と快楽が私を襲った。
ごりっ、と体内の卵が子宮と擦れる。
「うぐぇっ!」
ついでに消化器官も圧迫され、相当な強さの吐き気と快楽が私を襲う。
もはやこれまで、私はもはやないも同然な乙女の尊厳を全て放り捨てる覚悟を決めた。
CM901を放り捨て、しぶとく私の腹にめり込んでいるズィールの体を両手で掴む。
『!? おい待て、離せ! 貴様、そんな冷や汗まみれの青い顔で何をするつもりだ女!?』
「うるさいっ、黙ってろ──うぷっ」
見た目に違わず軽い体を持ち上げ、強引に顔を持ち上げる。こみ上げる吐き気に涙がこぼれて視界がにじむが、もはやそんな事を気にしている余裕はない。
そのまま上体を起こし、強引に唇を合わせた。
『──!?』
「──!」
突然のアプローチ。わずかに顔を赤くする悪魔モドキだが、当然こんなちゃっちい不意打ちが私の反撃であるわけもない。
ぐるる、と胃袋のあたりで地鳴りめいた不穏な音が響く。それを察知してか、ズイールは少しだけ赤くなった顔を真っ青にしてバタバタと暴れ始める。
それを渾身の力で押さえつけ、さらにごり押しで口を無理やり開けさせる。
そして──
『──! ──!! ────!?!?!?!』
口の中を席巻する気味の悪い酸味と苦味に耐えながら、私は唇を合わせ続ける。
私の腹の中でタプタプと波打っていた大量の精液と胃液の混合物が、無理やりに相手の腹へと流し込まれていく。ズイールも全力で抵抗するが、飲まないなら飲まないで待っているのはこの汚らしい汚液による窒息死だ。それを悟ったのか、時折嗚咽しながらも嚥下していく。
そして、私の腹がさっきまでの半分くらいに萎んだあたりで、胃の中がスッカラカンになった。
ちゅぽん、と唇を離し、口の端から粘質な白濁した糸を引きながら私は目の前で腹を膨らませてあおむけで地面に倒れる悪魔モドキに吐き捨てる。
「──あんたらの同族の遺伝子のお味はどう?」
そして、その腹を全力で踏みつけにした。
風船のようにパンパンに膨らんでいた腹が凹み、下から上から白濁の大噴出。どこかの内蔵にダメージが入ったのか、体液の緑色が混ざってドロドロのグリーンスムージーのようになっていた。
そのままトドメを刺そうとするが、ここで手持ちの銃をさっき放り捨てたことに気が付く。仕方がないので右拳を顔面に叩き込もうとするも、すんでのところで飛んで逃げられてしまった。
「くそう逃げたか!」
『貴様、俺様よりも悪魔的な奴め……! いくら女の口移しとはいえ限度があるという事を知らんのかァ!』
「知らんわアホくたばれ! こちとら上も下も中に出され放題じゃ文句は肉オナホになってから言えーっ!」
「ホド!?」
その辺の瓦礫の中から手ごろなサイズの石を拾い、ブンブンと投げつけていく。
しかしまぁこんなものがあんな小さい的に当たるわけもなく、どれもこれもが見当違いの方向に飛んでいく。いくつかがクアールの方に当たったりもしたが、カーン、コーンと小気味いい音を立てるだけに終わった。……音が響くってことは中空なのか? でもあの時のこいつは中に触手がぎっしりだったけど……。
ふとそこで一つの疑問に行きつく。原作ではあの鎧の中に具体的に何が入ってたのかは明示されていなかった。首の部分はガッチリ蓋をされているし、ジェームズさんも倒してからわざわざ中を改めるような真似をしなかったからだ。わかっていることとしては、2回戦ったうちの2回とも、必ずクアールの方から先にダウンしているという事。弱点がズィールであり、プレイヤーの誰しもががそっちの方を集中狙いしているはずなのにだ。
……ということは。
アイツ、もしかして本来はミュータントでも何でもないただのがらんどうなんじゃないか? そして、それをズィールが超能力とかそういったもので操り、あたかも一体の怪物としてふるまわせているとしたら……。
その仮説に思い至った次の瞬間、私の足は大地を蹴っていた。
『女、貴様何を企んで──ええい鬱陶しい! まずはお前だ男、Gのように惨たらしく始末してやる!』
「残念だったな、Gは生きているぞ! 随分と詰めが甘いようで大助かりだ!」
『人間風情がこの俺様を愚弄するか!? 舐めやがって、ぶっ殺す!!』
ジェームズさんが巧みにズィールを挑発し、拳銃で狙い撃ちしていく。ズィールから指令が飛んだか、そこへクアールが重厚な足音を響かせながら迫るが、その足隙をついて右足に取り付くことに成功した。私の予想が当たっていたのかはたまた別の理由があるのか、とにかくクアールはそんな私に対して特にアクションを取ることもなく愚直にズィールの下へ行かんとしている。ジェームズさんが上手いことグルグルと回る形で後退しながら応戦しているため、結果として付かず離れずの距離感を維持しているような形だ。
私は私で特に何もされていないのをいいことにするするとフィジカルにものを言わせて大鎧をよじ登っていき、そのまま肩口にまで上り詰めていく。チラリと横を見てみれば、ズィールは完全に頭に血が上っているようで、私のことなど眼中になしといった感じでジェームズさんに襲い掛かっていた。
これ幸いと私は今なお全身を続ける大鎧の首に施された蓋に両手をかけて──そのまま、力いっぱいにそれを引きはがした。
メキメキメキと金属のひしゃげるとんでもない音を響かせながら、その全容があらわになる。
果たしてその中は──
「ビンゴ……!」
──空っぽだった。
ということは、最初のあれは何を思ってか知らないが鎧の中に大量の触手を詰め込んで運搬していたってわけだ。いやまぁ「何を思ってか」っていっても触手の用途なんて一つしかないだろうけどさ。
そのまま鎧の中に体を滑りこませ、胴体部分のスペースに陣取る。そして、パンパンに膨らんだ自分の腹に視線を向けた。
子宮の外側にある固い感触、その中から伝わる鼓動に意識を集中する。ティファレトの奴に勝手に押し付けられた触手からの置き土産……正直他に使う機会も思いつかないし、ここで使わせてもらうとしよう。
何かが弾ける感覚とともに、ただでさえパンパンだった腹が爆発したかのように膨れ上がる。
「お゛っ──ぐぅ、出ろぉ……っ!!♡」
ボコンボコンと腹の中で猛然と何かが暴れる苦痛と快楽に耐えながら、私は決死の覚悟で自分の腹に手を伸ばし、飛び出したへそに手をかけて──全力でこじ開けた。
次の瞬間、ずりゅんっっっ!! と出口からおぞましい量の触手が溢れ出る。生命の濁流はあっという間に鎧の中を席巻し、見慣れた肉の地獄を作り上げた。
ただ、あの時と今回とではかなり事情が違う。私は荒い息を吐きながら肉壁を撫でてこう呟いた。
「……頼むよ、犯ッターマン2号……!」
某プロダクションに全力で喧嘩を売った言葉に応えてか、私の豊満という言葉でもなお足りないサイズの胸をギチギチに抑え込む衣装を触手がずらす。ばるんっ、と拘束から解放されて弾む胸の先、広大な乳輪の中央にそびえる巨乳首めがけて透明なカップが吸い付いた。
強烈なバキューム。じわり、と乳首の表面に無数の白い珠が浮かんだかと思えば、次の瞬間には一斉に弾けて乳白色のシャワーが搾乳カップの中にぶちまけられていく。
そして、ずるるるる……と足元に広がっていた肉の池の水位が上がっていき、私の下半身を巻き込みながら視点を上へ上へと持ち上げていく。そのまま視界の上昇はしばらく続き、ちょうど首から上が鎧の外に飛び出る形になったところで停止した。
ここまでくるとクアールも異常に気付いたか、自身の首──つまり私へ向けて手を伸ばしてくる。しかしもう手遅れだ、操り人形に徹していた怠慢によって一体全体何を招き入れてしまったのか……そのがらんどうの
「──せいっ」
私が気合を入れた次の瞬間、ギチッ!! という不気味な音を響かせて、クアールの体が不自然に停止する。それと同時、半端に包まれた状態だった私の全身に触手がまとわりつき、ガッチリと拘束する。そして、メス穴とケツ穴、ついでに開きっぱなしのへそ穴に何本かの先端が入り込んだ。
──体が肥大化するような感触。試しに右腕を動かそうとすると、
「……ふっ」
ため息ひとつ。
気合一発、両手で顔をはたこうとしてうっかり鎧の剛腕で自分の頭を丸ごと吹っ飛ばしそうになりながらも、気を取り直して叫ぶ。
「行くぞ出撃、特車二課系主人公のホド・アルカナとは私の事じゃーい!!」
なお中身は
私の叫びと脳から伝わる伝達指令に合わせて猛然とクアールの体が走り始め、そのままジェームズさんとズィールの下へとすさまじい速度で距離を詰めていく。
『クアール! ようやく来たか──クアール? クアール!? よせ貴様、俺様ごとやる気で──!?』
「ホド! 救援は感謝するがその鎧はいったい何のつもりでどわぁあああーっ!!!???」
「あああああごめんなさいこれ細かい照準つかないんですーっ!!」
私の悲痛な叫びとともに、大鎧による渾身の右拳が二人のいる場所へ放たれた。ジェームズさんもズィールもすんでのところでそれを躱し、ワンテンポ遅れて到達した文字通りの鉄槌が地面に蜘蛛の巣状のヒビを深く刻み込む。
バサバサとせわしなく羽ばたきながら、悪魔モドキが額に青筋を浮かべて文句を言ってきた。
『貴様、女! 小癪な、クアールの体を奪ったか!?』
「うるさい! 奪われるようなずさんな管理してる方が悪いんでしょ!」
地面にめり込んだ拳を引き上げる勢いそのままに裏拳を放つ。しかし当たらない。
まあいい、どの道私の攻撃に関しては当たらなくてもいいのだ。本命は──
「ジェームズさん!」
「わかっている──!」
乾いた音が響き、断末魔の悲鳴とともに、黒光りする小柄な体が頭を撃ち抜かれて地面に墜落する。
その様子を見ながらジェームズさんが忌々しそうに吐き捨てた。
「覚えておくんだな、チャンスは二度もないってことを!」
斯くして、審判の天秤は砕け散った。
未来の扉の前に立ちはだかる壁は、残りあと3つ。
更新が遅くなってしまい申し訳ないです。
新生活に伴って色々とごたごたしていました。