もはや利用する人もいない吊り橋を強烈なエンジン音が席巻する。
立ち塞がる腐れ野郎どもを軒並みロードキルでスコア1500点分に変えていきながら、ジェームズさんはアクセル全開でかっ飛ばしていた。
……そしてその後部座席で、前から後ろにとんでもないスピードで流れていく景色を眺めているのが私。
「ちょっ、早いっ、ジェームズさーん!? これ事故ったりしないですよね!?」
「大丈夫だ、司法機関なんてとうの昔に機能停止してる!」
「法で裁かれる前に物理法則に捌かれそうなんですけどぉ!?」
おおよそ乗用車で体感してはいけないレベルのGと風切り音に肝を冷やしながら抗議するも、返ってくる返答はなしのつぶて。というか当人もリスクを承知でやってるからタチが悪い。
かと思えば、ゴムが地面を噛む甲高い音と共に半ば以上車をスピンさせながら停車する暴挙に走り出す。止まるか動くかどっちかにしてくれませんかねぇ!?
もう一度抗議をしようとして運転席に視線をよこせば、そのジェームズさんはジェスチャーで前を示す。私もすっかり慣れたもので、文句は一度おいておいて突然の指示にも動じることなく前方――事故ったまま捨て置かれた2台の青いバンに銃口を向けた。
次の瞬間、2台のトランクが勢いよく開け放たれ、中で待機していたゾンビ連中が襲い掛かる――前に全身に鉛玉を喰らって車内に叩き戻される。
「邪魔くさ、うひゃあっ!?」
「ホド!」
しかしそのうちの一体が後ろにひっくり返る直前に胸を押さえたかと思うと、その胸板を突き破って2匹のヒルが大ジャンプ。そのまま私の胸元へ飛び込んでくる。
突然の事態に目を白黒させている間に、ヒルは素早い動きで私の胸元へもぐりこみ……ラバー生地を盛り上げながら乳首を押し広げ、乳腺の中に入り込んでしまった。
「う゛おぉっ……おっ♡おっ♡おォっ!?♡♡♡」
すっかり慣れ親しんでしまった触手とはまた違う、塊状の物がおっぱいの中を這いずり回る感覚。ビクッビクッと体が震え、固く突起したクリトリスの根元からプシッと潮が噴き出す。
それでも歯を食いしばってこらえ、全身を弾丸で貫かれて仰向けに倒れてもぞもぞ蠢く生き残りの脳天に銃弾をぶち込んで黙らせた。
「大丈夫か?」
「……ええ、大丈夫です……先を急ぎましょう……」
ふーっ、ふーっ……♡と息を荒くしながらも、再び車に乗り込む。ジェームズさんは何かを言いたげな表情を浮かべていたが、結局何も言わずに運転席に戻った。
車が走り出す。私は後部座席に座り、快楽に蕩けそうになる自分の心を誤魔化すために震える手でCM901のリロードをしていた。乳内の感覚が鋭敏になっていく……それこそ、少しでも気を抜けば噴乳アクメを決めてしまいそうなほどに。
何もしていないとおっぱいにばっかり意識が向いていよいよ耐えられそうになかったので、周りの警戒で脳みそのキャパシティを食いつぶすことを試みる。
バコン、と車のボンネットに明らかにゾンビとは異なる人型の何かが2体降り立ったのはその時だった。
「なんだ!?」
「ゾンビ、じゃない! こっちで対応します、ジェームズさんは運転に集中してください!」
「すまない!」
今までさんざん見てきた腐れ野郎どもとは明らかに違う、日の光を反射してぬらぬらと不気味に輝く金属質な銀色のボディ。仮面を彷彿とさせる落ちくぼんだ目とむき出しの牙が、否応なしにこいつらが『別物』であるという認識を押し付けてくる。
両手に青く輝くライトセーバー的なサムシングを持ったそいつらは中腰の姿勢のままにじりよってくるが、ここでさっき気を紛らわすためにリロードしていたのが幸いした。
左手で体を支え、ジャキッ、と右腕一本でCM901を構える。位置関係の都合でこちらが黙って撃つだけでもヘッドショットになるような状態だ、ケリがつくのは一瞬だった。
地面に落下してそのまま後方へと流れていく死体……いや、残骸? に目を向ける。
「今のは一体なんだ……?」
「わかりません。けど多分、アイツらが出てきたってことは向こうも相当追い詰められてるんだと思います」
「それは確かに、ゴールドマンビルに近づいた途端の登場だったからな。なら、やることは一つだろう!」
「……あの、ジェームズさん? 何故そう言いながらアクセルを踏む足に力をって待ってやめてうわ――!!???」
再びの急加速。
若干浮かせていた体が後部座席に押し付けられ、ばるんっ♡とラバー生地で押さえつけられた胸が暴れる。驚いたヒルが乳内で暴れ出し、快楽で意識が飛びそうになる。とっさに頬肉を奥歯で嚙み締めて、痛みで涙目になりながら正気を保っていく。
「なんで急に加速したんです!?」
「前を見てみろ!」
「前ぇ!?」
言われるがままに前を見る。
そこにあるのは吊り橋の終着点、すなわちゴールドマンビルへの侵入口……ってあら、シャッターでガッチリ閉鎖されてら。
なーるほど、だから加速する必要があったんですね。一々降りて突破口を探すのは手間だしそんな時間もないから、手っ取り早くこの車を質量弾にして強引に突破を――えっこの車を?
「突っ切るぞ! 姿勢を低く!!」
「ひえぇこんなんばっかりですかぁーっ!?」
泡を食って対ショック姿勢をとった次の瞬間、耳をつんざく轟音と衝撃が体を貫く。金属の破片が雨あられとバラバラ頭上から降り注ぎ、いくつかはそのまま私の柔肌に突き刺さって血が出て……次の瞬間には跡形もなく傷が治る。いよいよ本当にミュータントじみた体になってきたなぁ、私。今更か。
当然そんな乱暴な扱いをされたスポーツカーがただで済むはずもなく、フロントが無惨にもベッコベコになった状態でスピンしながら速度を落としていく。そんな中でも近寄るゾンビをしっかり撥ね飛ばしていくことは忘れない、まさしくジェームズさんは暴走族の鑑だった。
「うえっ……視界がぐるぐるする……」
「着いたぞ。ここがゴールドマンビル……奴の本拠地だ」
三半規管をシェイクされてぐわんぐわんと歪む視界の中で、それをなんとか視認する。
天高くそびえる高層建築、太陽光を反射して無機質に煌めくガラス張りの壁。多少現代的ではあるが、黒幕の本拠地となるにはあまりにも適役すぎる摩天楼――それこそがゴールドマンビルだった。
その最上階付近から轟音とともに激しい炎が吹き上げたのは、まさしくその直後。
「なんだ!?」
「いやなんだじゃないですって早く逃げるんですよぉ!!」
拳銃を持ったまま突貫しようとするジェームズさんの襟首を慌てて引っ掴み、車でぶち破ったゲートの下まで引っ張り込む。
次の瞬間、さっきまで私たちのいた場所めがけて大小無数のガラス片が雨あられのごとく降り注いだ。少しでも逃げるのが遅れれば、ジェームズさんはもちろんのこと私もただでは済まなかっただろう。
いきなり訪れた危機一髪に冷や汗を流していると、ジェームズさんが再び拳銃を構えて走り始めた。いくら革靴履いてるとはいえガラス片でびっしりの中に躊躇なく踏み出しますかね、普通……?
とはいえ私も一応立場としては現地協力者、ジェームズさんが進むのなら一緒に進まないといけないわけで。
おっかなびっくりガラス片を踏み砕きながらついていくと、今度は空から舞い降りる怪しげな人影。
傍から見たら某チャージマンもかくやと言わんばかりの超展開にやや辟易としながらも、その人影を注視する。
「まさか……貴様は……!」
……ジェームズさんはこいつの事を知っているらしい。口にはしないが一応私も知っている。
右腕で腹を抱えるような姿勢を取り、右手首に左ひじを重ねながら左手を右肩に置いたなんともいえない独特のポーズ。
本来その全身を覆うはずだった装甲は半壊状態、全身が傷だらけで頭に至っては半分ほど骨がむき出し。更に体のあちこちから触手なんだかケーブルなんだかよくわからないものが生え、ウネウネと蠢いている。端的に言って半死半生と言っても差し支えない程度にはズタボロだ。
『……この時を待っていた』
そいつが口を開く。……いや開いてはない、口は真一文字に結ばれたままだから実際に話しているわけではないんだろうけど、頭の中に直接響いてくるかのような独特なエコーの掛かった声で話してくる。こいつ、直接脳内に……!
『お前たちに先はない……私に倒されるか、あるいはエンペラーに屈するか。いずれにせよ、それが貴様らの運命だ……敗北という名のな』
──5th BOSS, "The Magician"。前作ラスボスにして、生みの親たるDrキュリアンをして『最高傑作』と言わしめるミュータント。
弱点は装甲を喪失した生身の箇所──大まかに右顔、左上腕、右下腕、左太股、右脛の計五ヶ所。ただし超能力(もしくはそれに類する何か)によって高速移動をしながら攻撃してくるため、そう簡単には攻撃は通らない。
『さあ話は終わりだ、死ね!』
「どうやって生き返ったのかは知らないが、今度こそ地獄に叩き返してやるぞ!」
「……そういえば派手に爆散してましたね……」
ご丁寧に白い残像を残しながら高速移動を始めやがる"魔術師"──マジシャンへ向けてCM901を構える。確か原作だとゲーム内ランクの高さに応じて残像の色が変わるとかあったような気がするけどどうだったっけか……。
まあゲームランクが低かろうが高かろうが少なくとも今この世界は私にとっては紛れもない現実。頑張って倒すしかないのだ。……ついでに私がどれだけ狙って撃っても5.56mm弾が明後日の方向に飛んでいくのも現実。それは夢であって欲しかった。
「ジェームズさん弾が! 弾が当たらないです!」
「私がやる! ホドは火球を撃ち落とすことに専念してくれ!」
いや「私がやる」じゃなくてですね。どうしてあんなトンデモ速度で高速移動してる相手に苦も無く弾丸を当てれるんですか? 本当にどうして?
……とりあえず言われたとおりに狙いを火球に絞り、バスバスと銃弾を撃ち込んでいく。馬鹿正直にまっすぐこちらに向かってくる挙動をとるおかげですっかりノーコンの称号を欲しいがままにしている私でも簡単に当てられる。
そういえばマジシャンってシリーズを通して高速移動と火球以外の行動パターンがほぼなかったな。実際にプレイした記憶があるのは4だけだから何とも言えないけど、あとは巨大なカギ爪状になった手を使った近接攻撃らしき物をしていたような記憶しかないし、その行動も即座にキャンセルされてたから本当にその認識で合っているのかすら定かではない。
つまりこの現状。火球は私が、推定近接攻撃はジェームズさんがそれぞれ完璧にメタっているという訳だ! これはもう負けるはずがない! 残念だったな、今回はセックスはお預けだワハハ!
……とかそんな浮ついたことを考えていれば、当然天誅ってのはやってくるものでして。
次の瞬間、凄まじい衝撃と共に視界が真っ白に染め上げられ、平衡感覚その他が一瞬にして消し飛んだ。
「っ、な、あぁ……!?」
「ホド!?」
『まずは貴様からだ、女。ゴールドマンはずいぶんと貴様に御執心のようだからな、そこでそのまま寝ておけ』
突然の展開で何が何やらよくわからないが、とりあえず私の体が地面に転がされているのだけは今の発言で理解できた。何があった……?
幸いにして頑強な体のおかげで意識はしっかりと保っている。右手に持った銃の感覚も、聴覚も機能しているのは確認できた。ならば私にできる事、するべき事は分かりきっている。
……立体音響だとかASMRだとかが流行っているのを見ればわかる通り、人間の聴覚ってのは物音のする場所をある程度探知できる程度には優れているのだ。
そしておあつらえ向きに、恐らく私の前方でジェームズさんとやり合っているであろうマジシャン閣下は高速移動する時にシュワーンシュワーンと重苦しい炭酸めいた音を立てるわけで。
目が見えないとはいえこれだけの好条件、私のヒラメキ力をもってすれば当てることはたやすい! ──閃きは回避の方だって? 細けぇこたぁ良いんですよ!
「おら当たれこのやろーっ!」
『貴様何を──ぐわっ!?』
ゴロンと地面に転がった態勢のまま銃を構え、さっきからシュワシュワやかましい方角へ向けて引き金を引く。若干FFが怖いがそこは心配無用、相手が空中浮遊してるからそこに狙いを合わせようとすればジェームズさんには当たらない向きに銃口が向かいます。
タタン、タタタン、と小気味いい発射音に紛れて、甲高い金属音がいくらかとマジシャンの苦悶の声が響く。……目で見ないで撃った方がよっぽど当たるんじゃないのか、私?
……とはいえ、意識外からの急襲は確かにある程度のダメージを与えたが、それよりも取るに足らないと思っていた相手に噛みつかれたことに対する逆上の方がはるかに勝ったらしく。
首元に強い衝撃を感じたかと思えば、次の瞬間には首を締め上げられる圧迫感と内臓が浮き上がるような気持ちの悪い浮遊感に体が包まれる。
時を同じくしてようやく視覚が回復し始め、パチパチと目を数回瞬かせれば目の前にはなかなかどうしてグロテスクな仕上がりになっているミュータントフェイス。
私はにこりと微笑み、
「やあどうも、ご機嫌麗しゅっ、ぐえぇすいませんナマ言いました……」
挨拶しようとしたらノータイムで首を締め上げられた。あんまりだ。
バタバタもがきながら後ろをちらりと見てみれば、ジェームズさんがこちらに銃口を向けたまま攻めあぐねているのが視界に映る。もしかしなくても私のせいですねごめんなさい。
「くっ、ホド!」
『この女の命が惜しければ妙な動きはしないことだ。女、貴様はあとでゆっくりと料理するつもりだったが気が変わった……今ここでそこの男を始末してからゆっくり嬲ってやろう!』
言うが早いか、もう片方の手で放たれた無数の火球が飛んでいく。なすすべなく直撃を喰らい、ジェームズさんは意識を失って地面へと放り出された。さらに続く二の矢でカギ爪が振るわれ、ただでさえ着ていないも同然だった私のレースクイーン衣装をビリビリに引き裂いていく。
だぷんっ♡と縛りを失った乳袋が弾む。さっき人のおっぱいの中に入り込みやがったヒルどもは人の胸を弄びながら元気に育っているようで、反動でぴゅるっ♡と乳首から甘い香りを漂わせる白濁汁をほとばしらせた。
「くっ…」
『……ゴールドマンから話は聞いていた。私に並ぶ究極の生命体を生み出す鍵が貴様だとな。……だが、なんだこれは』
そういって、マジシャンはもう片方の手で私の股間のスジをずりずりと擦り上げる。
それだけの行為で溢れてきたドロリと粘質な愛液がその手にまとわりつき、太陽光を反射してキラキラと煌めくそれをこれ見よがしに見せつけてくる。
『これが新世界の鍵だと? 愚かな、ただの浅ましい肉欲の奴隷ではないか! 私に並ぶ生命体を生み出す者と聞いてみれば、私を謀ったかゴールドマン!?』
「黙って聞いてればこのマジシャンやろ、ふぎゅっ」
『つまらん、実につまらん! 興ざめもいいところだ!』
勝手に人の子と勘違いして勝手に失望されても私としては困るとしか言いようがないんですが……って、ちょっと。おい。待てこら。
股間に当たる手とはまた別の生暖かく固い感触。もしかしなくともこれはつまり、アレだな?
『股をドロドロに濡らしおって、この家畜め! 貴様の望み通り今この場でハメ潰してくれよう!』
「ごっ──!?」
文句を言うよりも早く、ズンッと剛直が秘裂を強引に押し広げて突き込まれる。今まで散々犯し尽くされてすっかり緩み切った膣肉はミュータントちんぽをたやすく受け入れ、奥まで到達した逸物が私の腹をボコッと歪に膨らませた。
やってられるかド畜生め、とメス豚としての本能に塗りつぶされる前の思考が恨み言を吐き捨てる。
そして、私の意識は弾けるような快楽に甘く蕩かされ、バラバラにほどけていった。