※この作品はR-18です。

The House of the Dick   作:りおんぬ

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多分今年最後の投稿です。
では、よいお年を。


The EMPEROR's new clothes

ガンガンと金属を踏み鳴らす音を鳴らしながら先へ先へと進む。

エレベーターから出て、道を阻むかのように姿を現すアンドロイドを片っ端からスクラップへと変えながら突き進んでいくと、その先にあったのはエントランスの屋上から吊られた簡易的なスカイウォークだった。手すりから下を覗いてみれば、はるか下で正面を反射してキラキラ輝くタイル張りの床。……これ落ちたらひとたまりもないだろうな、おーこわ。

若干背筋に冷たいものが走るが、こんな所で立ち往生してもSAN値が減るばかりでいいことなんて全くないのでさっさとその場を後にする。変に情報開示されてビビるくらいなら何も見えないほうがまだマシなんだよな、やっぱり普通の廊下の安心感は一味違うよ。

そのまま目の前の階段を駆け上れば、目の前は突き当り。そして、なんかもうこれ以上なく露骨に妖しい扉がその最奥に設けられていた。どうやら両脇がガラス張りになっているようだが、ご丁寧にブラインドによって中の様子がうかがい知れないようになっている。

 

「開けろ! デトロイト市警だッ!!」

「デトロイトでも市警でもないしそもそも蹴破ってから言うものではないんじゃないか!?」

 

右足が空を割くズバンッ!! という音とともに、足先に会心の手ごたえが伝わる。見るからに頑丈そうだった鉄扉は私の足が直撃した部分を中心に見事なまでにひしゃげ、ジョイントのや自動開閉機構の残骸をまき散らしながら部屋の中へとすっ飛んでいく。

ガランゴランと派手な音を鳴らしながら床に転がる鉄くずをよそに、私たちは銃を構えて室内へと突入した。

──広々とした空間に、豪奢なつくりのデスクがポツンと一つ。あまりにもさもしい風景に、事前にここがそういう場所だと知っていても思わず足を止めてしまう。

そして、そのデスクで一人の男が悠然と構え……丸眼鏡越しに鋭い眼光でこちらを見据えていた。

 

「待ちわびたぞ……AMS諸君」

 

──カレッブ・ゴールドマン。

HoD2における事件の黒幕にして、「The House of the Deadシリーズ」という世界観においてほぼ全ての作品における事件の起点となった男は、そう言ってこちらに目を向けた。

 

「そして、新世界の鍵たる女王……未だ空なる『悪魔』の器に座りし者よ。よくぞここまで来た」

「は? 急に何を言って……「ゴールドマンッ!!」ひえっ!?」

「貴様、自分が何をしているのか分かっているのか!? 得体の知れないウイルスを撒き散らし、男は殺せ女は犯せの地獄絵図を作ろうなどと……何を企んでいる!」

「その程度のこと、すべて承知の上だ。……わからないのか?」

 

バンッ! とジェームズさんがデスクの天板を叩いて大声を張り上げる。あまりにも聞き捨てならない発言にリアクションを返そうとしたが、それを横から潰される形で大音量が割り込んできたものだから思わずビクッと体が跳ねてしまった。

しかし、脅迫的な詰問にも眉一つ動かすことなく、むしろゴールドマンは淡々と言葉を紡ぎ始める。

 

「生物界のバランスを乱してきた人間……今まで自然界を犯してきた罪……!」

「犯されてるのが自然界だけだと思ってるんですか?」

「……女王、話がややこしくなるので私の話を聞いてはくれないか」

 

私がポッコリ膨らんだお腹を撫でながら口をはさむと、ゴールドマンは額に手を当てながらそう言った。なんか水差しちゃったみたいで申し訳ないです、はい。反省はしてません。っていうかその女王呼びは一体何なんですかね。あとでちゃんと説明してほしい。

閑話休題。

 

「……コホン。そして、人間が本来背負っている原罪……それを今こそ雪ぐのだ、私の生み出した手段をもってして!」

「キュリアン邸の惨劇を忘れたのか!? あれほどの悲劇を経験してなお、同じ手段に固執すると!?」

「何を馬鹿なことを、革命にリスクは付き物だとも! 多少の荒療治を強行してでも崩れた天秤を元に戻す時が来たのだよ、AMS諸君! 人間の一つ上に生物を創り、本来あるべき世界の姿を取り戻す! その為に私はアレを創り上げたのだ!」

 

席を立つゴールドマン。

そして、彼は高らかにその名を告げた。

 

「さあ、決戦の時は来た! 生物界の頂点、支配者は2種も不要である!」

 

 

「出でよ、新しき支配者──"皇帝(エンペラー)"!」

 

 

ガコン、と地面が揺れる。そして、何を血迷ったかエレベーターのように部屋そのものが上へ上へと上昇し始めた! 泡を食って上に顔を向けて、視界に飛び込んできたまばゆい光に思わず手で顔を覆う。

なんとまぁ、部屋が上昇するのに合わせて天井が開く素敵ギミックの御開帳だ。このためだけに一体いくらかけたのか想像もしたくない。

そう時間を置かずに部屋は屋上に到達し、再びの振動とともに稼働音が停止する。突入するころに空を覆っていた大量の雲はいつの間にやら消え去っていて、一周回って気味の悪くなってくる青空が辺りに広がっていた。

呆然と空を見ていると、ジェームズさんが何かを見つけたのかそちらへ向けて銃口を向ける。一拍おいて私もそちらに視線を向けると、無数の鉄柱とガラスによって構築されたて形作られた球体に多数のチューブが接続された、心臓のようにも原子炉のようにも見える装置がどどんと鎮座していた。……これがそうか!

同じくCM901を構えて銃口を向けようとしたとき、雷鳴にも似た轟音と閃光、そして甲高い破砕音が一面を覆いつくす。なん、何の光ィ!?

とっさに目元を手で覆う。間違って引き金を引かなかった自分を褒めたいところだ……位置関係の都合上でここで撃っちゃったら絶対ジェームズさんに誤射(祖国)してただろうし。

……そして、光が収まったとき。私たちの目前に、

 

ガラスともスライムともつかない、矛盾した印象を抱かせる透明な肉体。

悪魔を彷彿とさせるような角が左右にポン付けされた異形の頭部と、これ見よがしに赤く光を放つコアのような何かを格納した胸部。

両腕を体の前でクロスさせ、両膝を細かく屈伸して体を上下に揺らすマジシャン以上にセンスを疑う構えをとるそいつは、口を真一文字に結んだままに頭の中に直接響いてくるかのような独特なエコーの掛かった声で話してくる。五臓も六腑も欠いた零臓零腑の体じゃそうするしかないのはわかるんだけど、生物として大切なものをことごとく放り捨てた体でミュータントを名乗るのはいろいろと無理があるんじゃないのか。何を動力に動いてるんだコイツマジで。

 

『ワタシハ……ワタシハ……』

 

『ワタシハ シゼンカイノ チョウテンニタツモノ 。 ニンゲンヲ ホロボスモノ …… ニクムモノ』

 

『ワタシハ "エンペラー(The Emperor)"』

 

──Final BOSS, "The Emperor"。ゴールドマンの創造した、『新しき支配者』を名乗るミュータント。

弱点は不明……といいたいところだが、どっからどう見ても胸のコアが怪しいし実際そこが弱点だ。

肉体と同じような材質でできている球体を虚空から生成し、自身の周囲に漂わせ始める。どうやらやる気は満々のご様子。めちゃくちゃ視線を感じるあたりヤル気もMAXとみて間違いないだろう、勘弁してくれ。てかチンポもない体で欲情するんじゃねぇ、殺すぞ。

 

「来るぞ、ホド! 迎撃はじめ!」

「そんな軍隊みたいな……!」

 

マジシャンほどではないにせよ俊敏な動きで空中を飛び始め、半透明の球体をこちらめがけて飛ばしてくる。それを二人がかりで撃ち落としていき、隙あらば胸のコアに銃弾を叩き込んでいく。と言ってもそんな芸当ができているのはジェームズさんだけで、私は腕とか脚とかコイツ相手はおろか普通のゾンビ共の相手でも難儀しそうな外し方をしているが。毎度毎度、呪われてるのかってくらい当たらないな本当に! 頼むから当たれ!

……当たったら当たったでキンキンキンとおおよそ生物の体から鳴ってはいけない硬い音がするあたり、とてもそうは見えないけどこいつも実は体が金属製とかだったりするのだろうか。だとしたら普通に猛スピードで突っ込まれるだけでこちらとしてはすごい脅威だし、実際空中浮遊なんてしてるんだからそれを実行するのは容易だろう。なのにそれをしないのは、カウンターで胸の推定コア部分に致命打を受けるのを嫌ってか?

いや、詳しく考察をしてる暇はないな。犯られる前に殺らないと!

 

『シンセカイノ カギ …… シゼンカイノ チョウテンタル ワタシノ ツガイ 。 …… キョウミブカイ』

「勝手に人の体売約してんじゃないですよこの変態ガラス人間! くたばれ!」

 

なんだったら性別を考えれば鍵穴の方だし。どいつもこいつも人の体にばっかり興味示しやがって、そこに愛はないのか! クソワニくらいだぞうわべだけでも私に執着するような動きを見せたの!

矢継ぎ早に飛んでくる球体を撃ち落とし続けていると、さすがに向こうも学習したのかリロードの隙をついて集中的に飛ばしてくるようになり始めた。とりあえず当たってもいいことがないのはこれまでの経験則からだいたい想像がついているので、むしろ弾切れを撒き餌に銃を鈍器代わりに振り回し、積極的に打ち落としていく。しかし学習が早いな、腐ってもラスボスか。

……これが原作だったら銃で撃ち落とせてない時点で確実にダメージものだったが、この世界はレールシューティングではない。やりようはいくらでもある。銃を振り回すのはまだいいほうで、時には殴って蹴って頭突きしてのフィジカルコミュニケーションで相手の攻撃を拒否し、果ては片手でキャッチして投げ返す。といっても、リスクを加味した結果キャッチするというよりほとんど手のひらで打ち返すような感じだが。そして私がそんなおよそ理知的とは言えない有様で相手の攻撃をひいこら言いながらしのいでいる横で、ジェームズさんは当然のように相手の攻撃を全弾撃ち落としながら反撃を続けていた。やっぱり人間じゃないってあの人。

とはいえ相手もやられっぱなしというわけではない。遠距離攻撃ばかりしていても埒が明かないと踏んでか、右手をブレード状に変形させたかと思えばこちらに猛然と突っ込んできたのだ。ここでジェームズさんに向かわないあたり、私を捕まえて人質にしながらハメ潰してやろうという狙いが透けて見える。

だが、私もはいそうですかと剣の錆になってやるほど甘くもアホでもないので、ここで取り出したるはさっきからアンドロイドを袋叩きにすることでそれなりの量をストックしてあるレーザーブレード。

 

「わっ!? たっ! とっ、ちぇいやー!」

 

相手の攻撃を受け流し、受け止め、隙あらば反撃を狙う。……うん、裏社会の職人、いわゆる"プロのプレイヤー"って言われるような人種が銃を厭う理由を今まさに身をもって体感している。こっちのほうがエイム力とか関係ないし楽でいいや! わはは!

光とガラスの刀身が交錯し、ギリギリと鍔迫り合いを繰り広げる。はたから見たらビームサーベルとヒートホークがかち合ったときみたいな絵面なんだろうなぁ、いやそうはならんやろって言いたくなるような感じの。

……ともあれ、だ。

 

「皇帝を名乗る割にはオツムの出来は肯定されたもんじゃないみたいですね……!」

『メスオナホ フゼイガ 、 ナニヲ イキガッテイル ? ハメラレルシカ ノウノナイ ブタゴトキが ナマイキナ』

「私は一人じゃないってんですよ! このマヌケ!」

 

っていうかなんでそんなエロ罵倒の語彙だけ豊富なんだよ。何考えてこんなのインプットしてんだゴールドマン。

鍔迫り合いの横からジェームズさんが"皇帝"へ向けて銃弾を撃ち込んでいく。的確に胸部周辺に撃ち込まれていくような鉛玉の嵐にさすがのミュータントの身でも危機感を覚えたか、"皇帝"は私の体を弾き飛ばしながら強引に後ろへ下がって距離をとった。

弾き飛ばされた衝撃で床に転がされ、したたかに腰を打ち付ける。骨に響く痛みに涙がちょちょぎれる。いてぇ。

ともあれ、まんまと間合いをリセットすることに成功した"皇帝"は、なにやら自身の目の前に光を終息させる怪しげな動きを取り始めた。えーっと、なんの技のモーションだっけあれ……?

目の前が微かに暗くなる。 うん? とそちらに視線を向けると、"皇帝"の肉体と同じような物質で形作られた巨人型ミュータントが今まさに振り上げた大型チェーンソーを振り下ろさんとしていた。

 

「へ? ってちょっとウワァーッ!?」

「ホド!」

 

間一髪、横っ飛びに凶悪な一撃を回避する。間に合わずに引っかかった金髪が何本か細切れにされてひらひらと空に散っていく様は、もしあの攻撃を避けれなかった時に私がどうなっていたかを如実に語っていた……こっわぁ。

役目を終えた巨人ミュータント──"力"は再び元の半透明な球体に戻り、"皇帝"の元へと帰っていく。……え、あの十数個ある球体が全部歴代ボスを形作れるの? それ、やばくない?

……そして、数分後。

案の定ヤバかったので、私たちはすっかり物量で制圧されていた。

"力"のレプリカに3人がかりで取り押さえられ、床に押し付けられる。

 

「ぬぎぎっ……!」

 

くっそがびくともしやがらねぇ! 一人が三人に勝てなくてどうする!

そうして組み伏せられて、目の前でジェームズさんが"皇帝"とタイマン張る様子を見せつけられていく。……おかしいな、普通に圧してないか?

身柄を文字通り抑えられているのでこれと言ってできることもなく、仕方がないので舌戦を試みる。

 

「"皇帝"ァ! なんで自分が追い込まれてるのかわからないって顔だな!?」

『!』

「私はアンタの100倍は強い! そしてジェームズさんはその20倍は強いってだけだ! 一体何倍の差があるかその詰まってるかもわからん無色透明の脳みそで計算してみろ!」

『2000バイ ダト……!』

「馬鹿正直に答えてないで手を動かすんだな! ハーッハッhぐえぶっ!」

 

うっかり煽りすぎて後頭部をつかまれて顔面を地面にたたきつけられる。地面が私の顔の形にへこんだ。

しかしこの程度でへこたれる私ではない、引き続きこのよく回る舌と無駄に豊富な語彙力を使って──ビリッ──あのガラス野郎に挑発を……うん?

 

「……ビリ?」

 

なんか明らかに不自然な音が耳に届く。……そして、下半身、特に尻回りを風が撫でまわす涼やかな感覚……まさか……。

私を取り押さえていた"力"のレプリカのうち一体が私の体にのしかかってくる。尻の割れ目に沿うように、小癪にも脈動まできっちり再現した棒状の何か──いやまあ何っていうかナニだけど──が押し付けられた。

 

「おまっ、ふざけっ! ジェームズさんも倒れてないのにそれは話が違うだろ!?」

 

ラスボスだからってやりたい放題かこの野郎!

そして、いつの間にやら私のすぐそばに立っていたゴールドマンが私を見下ろしながら言った。

 

「さて、時間も押している。AMSの相手は彼に任せて、我々はサブプランを完遂するとしよう……!」

「お呼びじゃないんですよこの野郎──んお゛っ!?♡」

 

どちゅっ! と容赦なく雄々しき肉棒……肉棒? とにかく性器が私の膣内に突き込まれる。ガラスのような金属のような固い感触のものが雌肉をかき分けて体内に侵入する得も言われない感触に、体がブルリと震えた。

そして、人類の命運をかけた戦いが繰り広げられているその脇で、もう一つの戦いが幕を開ける……。

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