ヒロミが東京に到着して数日、そのヒロミの姿はラブホテルにあった。
「ああん♡もっと、もっと、あっ、ああああん♡」
ヒロミは行きずりの男に声をかけては、自身の身体を差し出して金を得ていた。自身の美貌を利用したそれにより、ヒロミはこの数日で容易く金を手に入れていた。すでに所持金については必要最低限の生活をしばらくするには十分なほど集まっていた。だが、目的の金が集まっていながらもヒロミは金と引き換えに行きずりの男と性交するを続けていた。
(気持良い、気持良いけど、足りない。もっと奥に欲しいのに、届いていない。)
男相手に売春をするのは初めてではないヒロミ。キマイラとしての任務をする中で売春など、自身の肢体と美貌を利用して情報を収集するのはよくやっていた。だが、今していることはそれとはやや意味合いが違っていた。
「はあ♡はあ♡もっと、もっと奥に♡お願い、おマンコもっと、いじめてぇ♡」
今、ヒロミはただただ快楽を求めていた。金と引き換えに体をさらけ出すのではなく、セックスによる快感を求めていた。
キマイラであるヒロミは改造された影響で獣の発情期が定期的に来る。発情期のヒロミは常時性感帯が敏感になり、性的興奮が常時続く。組織に居た頃、エキドナ首領との性交で発散していた性欲だが、組織を離れてから徐々に昂ぶり始めていた。
金目的の性交はいつの間にやら手段と目的が逆転し始めていた。
それを知ってか知らずかヒロミは肉欲にふける。
「ああっ、出る!!うっ、ああっ!!」
ヒロミと性交していた男が絶頂に達する。ヒロミの膣内に男の精液が注ぎ込まれる。
(ああっ、まだ逝ってないのに。全然、足りない。)
男が限界に達して注ぎ込まれる精液の感触、肉棒の感触とどれもヒロミを満足させるものではなかった。
回数を重ねても不完全燃焼で終わる。徐々にだが欲求不満に陥るようになっていた。
金を貰い、男が別れたヒロミは新たな男に声を掛ける。その男ともホテルでセックスをするがそれもヒロミを満足させることができなかった。
(足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない、足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない足りない.........)
次から次へと男たちに声を掛ける。ヒロミの美貌に誘われて男たちはすぐに体を重ね合わせた。だが、誰もがヒロミを満足させることができなかった。
(全然足りない。あそこで、エキドナに居たときのセックスじゃないと、もう。)
エキドナ首領とのセックスでしか満足できない、それを自覚するも組織に戻ろうという考えは出ない。
(でも、私は、私の真実を知るまでは絶対に戻らない。)
心のなかで決意を固めるヒロミ。男との性交を終えると欲求不満の肉体を満たすべく、自身の女性器から引き抜いた男性器を口で奉仕し始める。男の男性器は再度固く勃起する。
エキドナに居たとき、エキドナ首領のものと比べるとどうしても劣るそれをヒロミは再度自身の女性器に挿入した。
海斗はあれから受付嬢をマークするようになった。直接的な証拠はないが、彼の直感が彼女のことを怪しく感じていた。
遠くから確認されない場所で彼女の行動を監視する海斗。最初にマークし始めてから数日が経ったが、未だに証拠らしい証拠は出なかった。
「まあ、突発的な殺人でないならそう簡単に尻尾を出さないか。」
海斗は休憩するために一度その場を離れる。
受付嬢=マンティスキマイラは海斗が張り込んでいることに気付いていた。
(あの時の刑事、本当に邪魔ね。エキドナの指示にはないけど、隙を見つけてあの刑事も始末しましょうか。)
ここ数日、自身を張り込む海斗に対して煩わしく感じていた。そのため、近いうちに海斗を始末しようと考えていた。
(ただの男のくせに。人間から進化したキマイラである私の邪魔をするなんて。)
その時を待っているマンティスキマイラは海斗を始末するための策略を練り始めていた。
男とのセックスを終え、ラブホテルを出たヒロミは未だに疼き続ける身体を慰めるべく次の男を探していた。歓楽街では男を誘うことは容易かった。だが、満たされぬ身体の疼きを鎮めるために別の場所で男を探すことに決める。
(もっと、たくましくて、満たしてくれる相手を。とにかく、誰でもいいから。)
ヒロミは自身が発情していることを自覚していた。発情の熱を、その疼きを癒やすものはそう簡単に手に入れることは難しかった。
自身の肉欲を満たすべくヒロミは男を探す。
フラフラと歩き続けるヒロミ。頬はほのかに赤く染まり、吐息も激しくなる。ライダースーツの上からでもわかるほどに乳首は固く勃起し、股間の割れ目からは愛液が止めどなく溢れていた。
通りがかるヒロミを見る人達は皆ヒロミのことを見ていた。老若男女を問わずに発情したヒロミの色気に当てられ、彼女から目が離せなかった。
待ち行く人々が自身のことを見ていることに気にしないほどに発情しているヒロミ。足早に歩く中、ヒロミはどこかで嗅いだことのある匂いに足を止める。
匂いの主は、路地裏で人目につかないようにしていた。
発情したヒロミはその匂いの主を求めるように路地裏へと足を踏み出す。
海斗は視線の先にいる受付嬢を追っていた。自身の違和感、直感から彼女をマークしているもののここまでに決定的な証拠を掴むことができなかった。地道な尾行を続けていたものの成果が見えてこなかった。
「はあ、どこまで行くんだ。ただの受付嬢ならこんな誰も居ない路地に入る理由はないだろ。」
だが、ここに来て受付嬢が怪しい動きをした。何か目的があると察した海斗は彼女を追ったのだった。そして、受付嬢は路地の行き止まりに行き着くと足を止めた。
「ねえ、どこまで追ってくるの?」
受付嬢からは見えない位置にいるはずの海斗に向けた言葉、明らかに自分に向けられた言葉だと感じた海斗は息を潜める。
「私のことをずっと尾行しているのは分かっているのよ、刑事さん。流石にここまでしつこいと、殺さないといけないじゃない。」
受付嬢はポケットからプラグを取り出し、海斗のいる方へ向く。
「下等な男の分際で、キマイラへと進化した私を苛立たせるなんて許せないわ!!」
受付嬢はプラグを起動、衣服を脱ぎ捨てると顕になった女性器に挿入する。
「ああああん♡」
快感で喘いだ次の瞬間、彼女の姿はマンティスキマイラへと変わる。マンティスキマイラは右腕に形成された鎌を振るう。
海斗は咄嗟に身をかがめる。直後、海斗のいる路地裏の建物全てが寸断されていた。
「刑事さ〜ん。あなたのことを切って、切り刻んで、肉片にしてあげる!!あはは、あははははははは!!」
マンティスキマイラは両腕を広げて、狂ったように笑う。
海斗は冷や汗を流しながらも拳銃を取り出し、応援を要請する。
「こちら、岸波。至急応援を要請する!尾行していた被疑者が謎の武装を身に着けて攻撃してきた!至急応援を頼む!」
「無駄よ、警察程度が集まっても私の敵じゃない。それに、応援が来る前にあなたを殺せば良いだけの話よ。」
マンティスキマイラは海斗に向かって歩いていく。海斗は拳銃を向けるも、マンティスキマイラが斬撃を放ってくるために、撃つことができないでいた。さらに、路地裏とは言え民間人が避難をしていない今の状況で発砲することはできなかった。
「クソっ!」
海斗は悪態をつくものの、拳銃を持ちながらも逃げることを余儀なくされた。その姿を見るマンティスキマイラは走り出す。
「そんな程度で逃げ切れると思ったの!!」
瞬く間に距離は詰められ、マンティスキマイラは海斗を捕まえる。
女性とは思えないほどの力で捕まれた海斗はそのまま路地裏の行き止まりは投げられる。勢いよく壁に激突すると拳銃を取り落としてしまう。
逃げ場をなくした海斗に向かって、マンティスキマイラは右腕の振り下ろした。
マンティスキマイラの鎌が海斗に届くかと見えた瞬間、海斗とマンティスキマイラの間に何者かが割って入ってきた。割って入ってきた者はマンティスキマイラの右腕を蹴り上げて、攻撃を中止させた。
「誰よ、私の邪魔をするのは!!」
マンティスキマイラはせっかくの獲物を仕留めるチャンスを潰した相手に憤る。
マンティスキマイラの凶刃から海斗を守ったのはヒロミだった。
「あなた、大丈夫。」
「あ、ああ。」
ヒロミは海斗に声をかけて、無事を確認する。
「私の邪魔をするなら、あなたも一緒に殺してあげるわ!この場であなたたち二人を殺してあげる!」
マンティスキマイラが鎌をギラつかせながら、ヒロミは怯むことなくマンティスキマイラを見据える。
「あなたは安全な場所へ。」
「あ、でも。あいつはかなり危険だぞ。」
「大丈夫、あなたには聞きたいことがあるから。後で会いましょう。」
ヒロミと会話した海斗はマンティスキマイラを前にしながらも怯まないヒロミに驚きながらも拳銃を拾ってその場を離れる。
ヒロミはキャットドライバーとプラグを取り出す。それを見たマンティスキマイラは驚く。
「なぜ、プラグを!?あなた、まさかエキドナの!?」
「あの人は殺させない、なぜかわからないけど。」
ヒロミはキャットドライバーを装着するとプラグを起動、仮面ライダーキャットレディレオパルドフォームに変身する。
「そのドライバー、豹のプラグ。まさか、あなたはあのヒロミなの!?エキドナ最高傑作のキマイラであるあなたが、なぜ!?」
ヒロミが変身したことで彼女が何者か理解したマンティスキマイラは驚愕した。エキドナ最高傑作のキマイラ、その彼女が見ず知らずの男をかばったのだ。
驚愕するマンティスキマイラを前にキャットレディはキャットバトンを取り出す。
「そう、エキドナの最高傑作のあなたが邪魔をするのね。じゃあ、死になさい!!」
マンティスキマイラはキャットレディに敵対の意思があることを理解するとキャットレディに向かって切りかかった。両腕の鎌を振るい、キャットレディを切り裂こうとする。
キャットレディはマンティスキマイラの攻撃を軽やかに躱していく。さらに、キャットバトンを使い的確にマンティスキマイラに攻撃を繰り出していく。
マンティスキマイラは自慢の斬撃がキャットレディに当たらないことに焦りと苛立ち、自身とキャットレディの差を実感する。
「なぜ、なぜ!?キマイラになったのに、選ばれた存在になったのに!!私のことを捨てたアイツラを殺して、私のことを弄んだやつらを殺して、どうして同じキマイラのあなたに邪魔をされなくちゃいけないのよ!!」
マンティスキマイラは怒りの感情のまま、建物を寸断した強力な斬撃を放つ。
鉄筋コンクリート製の建物をいともたやすく両断した斬撃は周囲の建物を、中にはいっている人間ごと切り裂いていく。
キャットレディは自身に迫る斬撃を宙高く飛び上がって回避した。キャットレディは空中でキャットバトンにレオパルドプラグをセットすると、バトンの先端から光のリボンが出現する。
キャットレディは空中でキャットバトンを振るう。キャットバトンから伸びた光のリボンは縦横無尽に動き回り、マンティスキマイラに迫る。
「なっ!」
一瞬の間に何回もの衝撃がマンティスキマイラを襲った。マンティスキマイラの両腕の鎌はひび割れ、半ばから折れた。さらに、身にまとっていたスーツも所々が破けて素肌が見える。
キャットレディは地面に着地するとレオパルドプラグをキャットドライバーに再度セットする。
「うそ、うそ!私の鎌が、そんな!?」
驚愕するマンティスキマイラを尻目にキャットレディはドライバーを操作、右足にエネルギーが集まり山吹色に輝く。
「いや、いや!来ないで!」
既に戦う手段がないことを理解したマンティスキマイラはキャットレディを前に背中を見せて逃げ出す。
キャットっレディは逃亡するマンティスキマイラに向かって必殺技レオパルドレッグを放つ。山吹色に輝く右足がマンティスキマイラの背中に突き刺さり、吹っ飛ばした。
「いやあああああああ!!」
断末魔の叫びを上げてマンティスキマイラはその肉体を消滅させるのだった。
「それで、君は一連の事件の裏にある組織、エキドナの関係者だって言うのか。」
「ええ。」
キャットレディがマンティスキマイラを撃破した翌日、ヒロミと海斗はある喫茶店で会っていた。
ヒロミについて話を聞いていた海斗。その話を即座に信じることは難しかったが、昨日に遭遇した出来事を考えれば納得がいった。
「私の目的はエキドナに来る前の自分を知ること。それの邪魔になるのならエキドナのキマイラと戦う。」
「分かった。俺もエキドナに関わる事件をずっと追っているんだ。お互い協力しよう。」
こうして、ヒロミは海斗という警察の協力者を得ることになるのだった。そして、この出会いがヒロミの失われた記憶につながることとなる。