仮面ライダーキャットレディとマンティスキマイラの戦いから数日後、ヒロミの姿は喫茶店にあった。
エキドナから離れてからはタイトなライダースーツのみ着ていたヒロミだが今はブラウスとベストにスカート、エプロンという喫茶店の従業員としての服装であった。
「ヒロミ君、その食器を下げたら休憩に入って。」
「はい。」
この喫茶店の店主である初老の男性、向井がヒロミに休憩に入るよう言う。
ヒロミは制服のまま、喫茶店の奥へ入る。
なぜ、ヒロミがこの喫茶店で働くようになったのか。それは、ヒロミが海斗と話をしたその日に遡る。
「それで、ヒロミさん。この後はどうするんだ。」
「ホテルの戻る前に男を見つけて、性交する。」
ヒロミの言葉を聞いた海斗は飲みかけていたコーヒーを盛大に吹き出した。
「はっ!?えっ!?ええっ!!」
「何。おかしいの?」
警察官である海斗からすれば信じられない言葉だった。ヒロミのやっている行為は立派な売春行為、警察の前で話せば警察署へ直行する行為である。海斗はヒロミに尋ねるとそれはそれは海斗がどんどん頭を抱えることが出てきた。
「ヒロミさん、自分の体は大切にしないと!」
「キマイラの私は発情する。発情したらセックス以外に解消法はない、それの何がおかしいの?」
なお、エキドナにいたヒロミにとってはセックスをすることは普通のこと、当面の生活費を稼ぐことと自身の性欲を解消(エキドナを離れてからは解消しきれていないが)することの2つの目的を同時に達成することができるためにしていた。
「いや、普通の人間は早々簡単にセックスはしないんだよ。ああ、ちょっと待って。」
そう言うと海斗は知り合いに電話をかけ始める。電話を終えるとカウンターにいた店主、向井に声を掛ける海斗。
「向井さん、彼女をここで住み込みで働かせてやって。」
「訳ありらしいな、良いぞ。」
「あざっす!ヒロミさん、今泊まっているホテルを引き払ったらここに来るように!」
そのままヒロミはここの喫茶店で働くことになったのだ。
時を戻して現在、ヒロミは休憩スペースに入りエプロンを外す。この数日、彼女はこれまでに知ることのなかった一般常識を学ぶことになった。そのため、発情を解消するセックスのための男漁りをする暇がなくなっていた。
「はあ、なんでこんなに面倒なことをしているのかしら。」
「ほとんどの人はそうやって面倒なことを守って面倒なことをしているんだよ、ヒロミ君。」
喫茶店の店主である向井の厚意で働かせてもらっている、それを協力関係を構築した海斗から言われたことで強く言う(必要がないとヒロミが判断したためだが)ことができなかった。
奥の休憩室でカフェオレを飲むヒロミ。発情による熱を解消するのは難しくなったが、このように休憩時間にカフェオレやコーヒー、サンドイッチなど十分な食事を摂ることができるようになったのは大きかった。
その時、喫茶店の扉が開く音がした。
「向井さん!来たわよ!」
「やあ、本庄君。今日もヒロミ君に用事かい?」
「ええ。それに、いつものコーヒー頂戴。」
スラリとした長身の女性が入ってきた。本庄ルイ、この喫茶店を利用する常連客の一人である。
ルイはそのまま奥の休憩室へと向かい、そこに居たヒロミのところへ来た。
「ヒロミちゃん、こんにちは。」
「ああ、ルイ。」
ルイは持っているバッグの中から複数の衣服を取り出す。
「取り敢えず、サイズはこないだ測ったもので合っていると思うから。」
「ああ、ありがとう。」
ルイが持ってきた衣服を受け取るヒロミ。ヒロミは受け取った衣服を喫茶店のロッカーの中へと仕舞う。
「ちょっと!乱暴に仕舞わないのよ!シワになっちゃうじゃない!」
ヒロミの仕舞い方を見て咎めるルイ。お洒落に気を使う年齢に見えるヒロミの服の扱い方はルイから見れば信じられないものだった。
「どうして。」
「どうしてって、この服とかはこうすると良いのよ。ああ、良いわ。手伝うから。」
レイがヒロミに服のしまい方を教えている間に休憩時間は大幅に伸びていった。それを店主の向井は大きく咎めることはなかった。
ヒロミが喫茶店でバイトしている時、海斗は警察署で例の受付嬢=マンティスキマイラの事件についての報告書をまとめていた。
「はあ、こんなのどうまとめればいいんだ。」
自身の遭遇したことを考えるとあるがままを正直に書くことは難しかった。そんな中、海斗は上司に呼ばれた。
「え、今の事件から手を引けって。」
「そうだ。上層部からそう来ている。」
上司から聞かされたのはマンティスキマイラが関与している殺人事件から手を引けということだった。
「なんで!?」
「良いから、手を引け。どうやら、かなり面倒なところから横槍が入ったらしい。」
上司の面倒なところ、その言葉から事態は一刑事がどうにかできることではないことを理解する海斗。
「くそ、毎回横槍入れられてちゃあ捜査できねえだろ。」
それでも湧き上がる苛立ちを抑えることができないようで、出てくる言葉に棘がある。そんな時、海斗のスマホが鳴り始めた。
「たくっ、誰だよ。こんな時に。」
スマホに表示された人物の名前を見た海斗はその場から離れ、誰の目にもつかない場所でその電話に出るのだった。
仕事を終えたヒロミはレイが見繕った服装に身を包んでいた。ライダースジャケットにシンプルなTシャツとジーンズという出で立ちだが、グラビアアイドル並みのプロポーションの彼女が着るとその美しさを引き立てていた。
「それにしても、どうしようかしら。」
現状、ヒロミは自身の失われた記憶について海斗からの手がかりを待っている状態だった。今の状態でなにかしなければならないことがあるということではなかった。そんな中でヒロミは街を散策することにした。
発情の熱はそれほどでもないため、男漁りをする必要がない。その中でヒロミはあまり見たことのない街にいる人々を観察する。ウィンドウショッピングを楽しむ女性たち。二人で会話を楽しむ男女のカップル。親子で店に入る家族など様々な人々が街で幸せそうにしていた。
人々を観察する中でヒロミはどこか落ち着かない気分になっていることに気づいた。
(今まではこんなことはなかった。キマイラじゃない、ここにいるただの人間を見ても今まではなんとも思わなかったのに。どうして、こんなに落ち着かないの。)
新たに生じたその感情が何なのか、それをヒロミは理解できなかった。ヒロミはその感情からかその場を離れるのだった。
「烏野くん、とても気持ちいいよ。」
「はい、先生。」
とある議員事務所。そこでは50代の政治家が若く美しい自身の秘書と共に居た。
政治家の方はと言うと下半身を露出して、固く勃起した男性器をさらけ出していた。一方の秘書は生まれたままの姿で、優れたプロポーションを見せつけながら政治家の男性器を自身の指で愛撫していた。
「先生のおちんぽ、とても立派です。私の舌でご奉仕させていただきます。あ〜む。」
秘書はそのまま政治家の男性器を咥える。事務所内に卑猥な音が響き始める。秘書、烏野と呼ばれた彼女は激しく首を振りながら、喉奥まで咥えこむ。
男が目の前の秘書が自身の逸物を咥えて奉仕する姿に愉悦を感じる。その次の瞬間、愉悦の表情のままに男の首がごとりと落ちた。
「先生ったら、死んでもおちんぽがガチガチなんて素晴らしいです。そのまま、おちんぽ硬いままでいてくださいね。」
烏野は死んだ男にそう言うと男の硬いままの男性器を咥えて、激しく首を振る。その直後、烏野と呼ばれた彼女は口元を赤く濡らして、手元にはプラグが握られていた。
「フフフ、先生のおちんぽごちそうさま。ここも先生が居なくなったら続かないですよね。」
彼女はプラグを起動、それを愛液で濡れた女性器へ挿入した。
「ああっ、ああああああああん♡」
烏野はカラスの能力を持ったクロウキマイラに変身、鋭い爪を持った両腕ですでに動かなくなった男の死体を細切れに切り刻む。
「はあっ♡全然、足りない♡もう、好きにやっていいわよね♡」
クロウキマイラは発情の熱に浮かされ、背中の翼を広げる。
海斗は警察署から科学捜査研究所、科捜研と呼ばれる場所へと来ていた。
海斗は中へ入るとある一室へと向かう。そこの扉をノックすると中から返事があり、扉を開けて中へ入った。
「来たか。」
部屋に居たのは白衣を来た海斗と同年代の男性職員だった。
「すまん、草薙。頼んだものは?」
「ほら、頼まれていたものだ。」
海斗から草薙と呼ばれた男は机にある一枚の紙を渡した。それを受け取った海斗はその紙に書かれていることを見て、眉をひそめる。
「なあ、なんだこの結果は。」
「それは僕も思った。それで何回かやり直したがどれも同じ結果だった。一体、誰なんだそれは。」
その紙に書かれていたのはとある人物の遺伝子情報である。その遺伝情報は人間の他に三種の猫科動物が混ざっているものとすることが書かれていた。
「最初は動物の血液が複数混ざっているのかと思った。そこで色々と検査をしたが、検査の結果は人の遺伝子を持ちながらトラ、ヒョウ、チーターのネコ科大型動物の遺伝子も併せ持っていることを示していた。」
「そんな馬鹿なことって。」
海斗は彼女が変身して怪人、キマイラを圧倒していた様子を思い出す。検査結果を考えると馬鹿なことと言ったが、否定しきれない事実であると言えた。
「結果はそう示している。それと彼女のDNAと行方不明女性のDNAと照合したが行方不明女性の中に同一人物だと示す人物は居なかった。」
「そうか。ありがとう。」
「ああ、岸波。ダメ元で他のDNAとも照合して、おかしな点があった。まあ、最初に言った他の動物の遺伝子もあったことと比べると大したことでもない、とも言い切れないが。」
最後に草薙は他に分かったことを海斗に伝えようとする。
「君が探している友人の猫田寛己と遺伝子が一致した。ただ、染色体が違うことから検査をやり直したが、この遺伝子の持ち主は猫田寛己だとする結果が出た。」
差し出された新たな結果を見た海斗は信じられないという感情を隠さなかった。
「あり得ない。彼女は女性だ。そして、寛己は男だ。そんなことはありえない。」
「じゃあ、猫田寛己の血縁者か?姉か妹とか。」
「それはありえない。施設に入る前に、寛己の家族は全員死んでいる。それに、あいつの家族に姉も妹も居ないのは分かっているんだ。」
その結果を否定しながらも受け取る海斗。だが、紙には草薙から話された結果を示す内容が記されていた。
その結果を見ても、それを受け入れることが、理解することができない海斗。
「とりあえず、君の友人の手がかりはその彼女ということは覆しようがないだろ。」
「ああ、分かった。それと無理言ってすまなかった。」
「良いさ。今度はあまり無茶な期限を出さないでくれよ。」
海斗は紙を受け取って科捜研を出た。海斗は検査結果をまた見る。その結果を見て、海斗はヒロミのことがより分からなくなった。
海斗が科捜研から出た時と同じ頃、ヒロミは街角でナンパされていた。
「ねえ、お姉さん。俺達と一緒に楽しいことしない?」
ヒロミをナンパした男は明らかに女遊びに慣れている、否女を食い物にしてきた男であった。ヒロミは即座に男がそういう手合だということを察した。ヒロミはしつこく迫る男を煩わしく思うが、胸に感じる不快感に苛立っていた。
(どうして、こんなに落ち着かないの。さっきからこいつらもしつこい。でも、この落ち着かないのを少しでも解消できるなら、こいつらと一緒にするのも悪くないかもしれない。)
ヒロミは男に誘いに乗ることにした。海斗からは辞めるように言われていたことを忘れて、ヒロミは男たちとともに近くのラブホテルへと入っていった。
ヒロミはラブホテルの部屋に入るや否や男と激しいキスを交わす。キスをしながら、乱暴に衣服を脱がされるがそれに全く対抗しないヒロミ。あっという間に生まれたままの姿になったヒロミは男によってベッドの上に寝かされた。
男はヒロミの秘所を乱暴に愛撫する。男の乱暴な愛撫に快感を感じ始めるヒロミ。だが、男は愛撫も程々にしてすぐに自身の勃起した男性器をヒロミの女性期に挿入した。
「んっ!はああ!」
挿入された瞬間に喘ぎ声を上げたヒロミ。男はすぐに乱暴な腰使いでヒロミの女性器を責め立てる。
快感を感じながら、ヒロミは胸に宿った不快感が一向に晴れないことに気づいた。それから、男は満足するまでヒロミの子宮に射精した。それでもヒロミは満たされるどころか虚無感に襲われた。