「うぅ……くぁ……」
目が覚める。働かない頭に動かない身体。感覚だけは鋭くて局部のひりつきと後穴のひくつきを伝えてくる。似た経験は何度もある。『施し』でエルフたちに弄ばれた後と同じ。抜けきらない媚薬と肛虐の残滓で軽い絶頂が一日中続く。
違うのは場所。楽園区の教団では見覚えのない、『そういう用途』のホテルの一室。この部屋にいるのは私だけのようだ。
立ち上がれないのでベッドの上でもぞもぞと動き、壁面の管理端末を探し出す。ここが外壁区のホテルであること、今日の日付とこの部屋が明日の夕方まで借りられていることを確認する。
外壁区。天上の楽園区ではない、かつての私でも見知った雑多で活気のある商業区画。
帰ってきた。思わず笑みが浮かぶ。妹がいるとしたらここか、近隣区画の病院の可能性が高い。今の私は無一文どころか教団への借金持ちで、危険かつ未知のハンター業に飛び込んで行くことになる。
だけど、それでも。ほんの少しでも前に進めた。これからは頑張ればなんとかなる。だから、すぐにでも動かないといけないのに。
「んぅ❤ あっ、だめぇ、なのにぃ❤」
我慢していた淫欲の疼きに流されるまま、火照った肢体を慰める。ピンと立つ乳首と充血した陰核を手荒にこね回すけど、身体は一向に満足しない。前に進めた達成感と自由になった解放感、未来への不安と『あと1日ある』期限。それらが混然となって後肛へ延びる手を後押しする。
「お゛おぉ❤ ケツ穴ぁ❤ いじるの、とまらなにゃいっ❤」
もうすっかり慣れてしまった下品な喘ぎ声。フラッシュバックする凌辱の記憶と同期させて、乱暴に三本の指を出し入れする。
楽園区から帰ってきた。でも私はどうしようもなく変わってしまった。取り返しのつかない心と身体。妹に出会えたとして、ちゃんと笑えるだろうか。そして妹がこれまでの痴態を知ってしまったら。
「ち、ちがうのっ❤ やだぁ、みにゃいでぇ❤ イぐぅ❤ ケツアクメ、くりゅうぅ~~❤❤」
妄想で自分を貶めて、快楽の度合いはより深まる。それでも自慰では物足りない、と子宮が疼く。
「んっ、ふぅ❤ はぁ~~❤ おちんぽぉ❤ ケツ穴にぃ❤ お゛ぅ❤」
結局、起きて慰め、疲れては寝るの繰り返しで、自由を手に入れた初日とホテルの宿泊期限は過ぎてしまった。
「はぁ……あぁ……」
自分の堪え性のなさに辟易する。変態処女、淫乱聖女と罵られるのも仕方ない。媚薬という言い訳はあるものの、これはひどい。
すっかり日の落ちた外壁区の歓楽街を歩く。娼館の呼び込みがちらほらと目に留まる。
一、二泊なら野宿で粘ってハンターの依頼を探すつもりだけど、それでもダメならああいう稼ぎ方も考慮すべきだろうか。
「でも、ちょっと特殊性癖向けですよね……」
処女でアナルセックスのみは娼婦として成立するのだろうか。とても怪しい気がする。だとしたら外壁区にあるはずの教団支部を頼ることも視野に入れるべきだけど、そうなったら行動の自由は制限され妹の探索は難しくなるだろう。
「なんとかしてハンターにならないと」
ボンボン育ちという自覚の元に、ハンターという存在に思考を巡らす。企業所属や退魔師といった経歴を持たない素人あがりのハンターはどうやって成り立つのか。雑事を請け負って名前を広めて信用を深めて、というのがありえそうな事例に思える。
なら外壁区の立地の良いちゃんとしたハンターの店はまだ早い。宵闇区や港湾区にほど近い、ハンターかどうかも怪しい人たちが使う店から始めて行くべきだ。
「……そう考えたんですけど、これは……」
宵闇区に近い、物騒な外見の人たちが出入りする酒場を見つけて入ってみた。
突き刺さる視線。入ってきた小娘に手足のサイバネ化、バイオ系の仕込み、武装の類いのいずれも持たないことを確認した目線は胸や腰をねぶるいやらしいものに切り替わる。
「……失敗だったでしょうか……」
もはや娼婦かそれ以下の肉便器としか見られていないことは明確だけど、一応するだけのことはしてみよう。
目を合わせないように視線を巡らして依頼の掲示板らしきものを見つける。とりあえず安いものでいいから何か一つこなして、外見よりは使えることをアピールしよう。
そう思って歩き出した先に立ち塞がる人影。これ見よがしにサイバネ化した腕と腰に帯びたブレード。チンピラとも犯罪者とも区別のつかない風体の彼はある意味で正しくハンターなのだろう。
避けようと動いてもやはり邪魔してくる。もはや意図は明確で良い未来は見えないけど、それでもまずは話してみる。
「あの、なにか御用でしょうか」
「ああ『御用』さ。見たところここは始めてなんだろ? よければ手取り足取り教えてやるぜ?」
嘲りを隠しもしない、下卑た欲望に満ちた顔。でも無下にする危険性を図りきれないので、とりあえず応じてみる。
「……お願いします。こういうところは始めてなので」
一瞬キョトンとした後、にやつきを取り戻して彼は私の横に立つ。
「さあ、こっちだ」
「んっ……はい……」
腰に回された手がいやらしくふとももやお尻を撫で回す。大丈夫、これぐらいなら耐えられる。
見世物に興じる周囲の視線を受けながら掲示板の前に立つ。依頼の吟味に集中しようとするけど、ついに股間をまさぐり始めた男の手が邪魔をする。
「ぅ、ん……やっ……」
「おや、これは……」
そして無造作にまくり上げられるスカート。即座に手をはたくけど、彼や近くの人には股間を隠す一枚の紙切れが見えてしまっただろう。
「……ぶははははっ! なんだそれ! 後ろはどうなってんだよ、それに処女アピールってお前、マジかよ!」
吹き出して笑う案内してきた男。その『後ろ』を確認しようと近くの席からスカートに伸びる手。
恥ずかしいやら何やらで、カッとなった頭のまま口と身体が動く。
「処女で悪いですか!」
スカートに伸びる手を止めたのは手の主の首にかけられた大鎌。
私の手に握られたのは呪われた武器。喚べば引き寄せられて現れる性質を持つこの大鎌はただの刃物ではない。アーティファクトと呼ばれる神秘を帯びた遺物。
シュブ=ニグラスは黒魔術と関連がある邪神とされ、信奉者には魔女が多いとされる。豊穣の性質も持つ地母神の遺物として鎌が選ばれるのはそうおかしな話ではない。
うっかりやってしまったけど、相対する男や後ろの手の主、その他周囲の人たちは固まって動いていない。最悪、周囲から攻撃を受ける可能性もあったけど、この場はそこまで尖っているわけではないらしい。
「……ふぅ」
ため息をついて手首で一回転させた大鎌を戻して消す。案内してきた男性はすごすごと席に戻り、周囲も声を潜めて話す声は聞こえるけど、それ以上の反応はない。
アーティファクトはそれなりに貴重なものだ。必ずしも実力を保証するわけではないけど、無手かつ素人という見方は消えたらしい。
「……はぁ」
でも気が重い。この酒場を出たら闇討ちとか、そういう心配もしないといけないのだろうか。
「災難だったわね。少しお話いいかしら」
声をかけて来たのは、場違いな雰囲気の大人びた女性。護身用の銃がなければやり手の企業勤めに見えただろう。
「……はい、構いませんけど、それはどういった、」
「それはもちろん、依頼の話よ。あなた、ハンターなんでしょ。それもここにいる連中よりは使える、ね」
ごく自然にウインクつきで返してきた彼女にしどろもどろの返事をし、彼女の後ろについていく。
酒場の奥、依頼のやり取り用と思われる個室に着く。途中、バーのマスターと目線を合わせていたので、こういった場所を使う常連なのだろう。フィクサーと呼ばれるタイプのハンターなのかもしれない。
「さあ、座って。飲み物はどう?」
「ではお酒以外でなにかお願いします」
ソファーにちょこんと腰掛けると透き通った色の冷茶がグラスに注がれる。受け取り、口に含んだそれは見た目通りの爽やかさだった。ホテルを出て以来、歩き詰めで何も飲んでいないことに今更ながら気づいて、ごくごくと飲み干してしまう。
「くすっ。本当に始めてなのね。プロならもう少し警戒するべきよ」
言葉より柔らかい口調で、責めるというよりたしなめる感じだ。
「そうですね。でも、これが毒でもやり返すぐらいのことはできると思います」
強がりも込みだけど、本心でもある。そしてハンターとして戦闘に特化してない彼女相手なら、あるいはそれで。
「へぇ、言うじゃない。それぐらいの負けん気はあってもらわないとね」
彼女も同じ冷茶を口に含む。
「私はテンパランス。見ての通り、ドンパチは嫌いなフィクサーよ。あなたは?」
一拍、返答が遅れる。偽名を使おうか迷うけど、邪神の監視と司祭の耳に入る可能性を考慮すると素直に聖女としての名前を使う方がいいだろう。それが屈辱的なものだったとしても。
「……ヴァージンペイン。使徒ですけど、今はハンターとして自立するのが目標です」
興味深そうな探る目つき。彼女、テンパランスのような下調べを得意とするハンターならすぐに私の教団での扱いや情報も得るだろう。
「よろしくね、ヴァージンペイン。私はよく荒事を他のハンターに投げるんだけど、今度はちょっと個人的な話なの。だからあなたみたいな可愛くて腕の立つ女の子を探してたのよ」
「それは、どうして……」
テンパランスから再び冷茶を注いでもらいながら話を進める。
「こいつよ」
心底嫌そうな顔のテンパランスが携帯端末からのホログラムで表示したのは怜悧な美貌の女性。なぜかメイドコスを着ている。
「きれいな人……」
「見た目だけはね。なにしろオートマタだから。こいつは自分のことをジズショット、ジズと名乗っているわ」
オートマタ。エルフに続く不老不死のトランスヒューマン。今は試験運用も多く、上層以外の住民が検体になることも多々あるという。
「元々は自我のないセクサドールだったの。それが不完全なはずの意識移植だったのに、急に自我を確立してね。問題はその性癖」
画像が更新される。パーツ単位で腕に内蔵されて即座に掌で組み上がる銃器。サブマシンガンに分類されるものだろうか。
もう一つの画像は細身の下腹部とそびえ立つ不釣り合いに巨大な肉棒。相手の肉穴拡張用の改造を前提とした凶悪な代物。
「ぶっ壊れてるの。射撃と射精に異常興奮する変質者。暴走オークの方がまだマシかもしれないわ」
「それは、また……」
世界は広い。予想以上にキワモノ系の方だった。
「私はちょっと前からこれに付け狙われててね。半端な実力だとなんともならないし、男だと普通に撃ち殺されちゃいそうでしょ」
「……話はわかりました」
女性のボディーガードならたとえ負けても殺されない、ということだろう。それなら私のような経験の浅いハンターでも使う理由にはなる。
「それで、あの、報酬の方は……」
卑しい話だけど先立つものは必要だ。
「そうね。100万、前金で50万出すわ。ただ、もしこの変態に犯されることになっても文句は受けつかないから」
頷く。死人を出さない方針には賛同する。それが自分に跳ね返ってくるのだとしても。
「とりあえず2日、私を守ってちょうだい。守るといっても、遠くから見ていてくれればいいわ。理想としてはジズが動く前に仕留めたいわね」
奇襲をする相手に対しての奇襲。アドバンテージとしては悪くない。
「それとこいつ、循環液から生成できるから銃弾と精液は無限にあると見ていいわ。気をつけて」
「はい、依頼の内容は理解しました。ここを出てたらすぐに警戒するべきですね」
「ええ、そうしてくれると助かるわ」
懐を漁り、50万の小切手と連絡用の携帯端末が差し出される。それらを受け取り、携帯端末の通信とテンパランスの今後2日間のスケジュールを確認する。
確認が終わり、席を立つテンパランスに続いて私も立ち上がる。
「ジズの破壊後か2日後にまた会いましょう。あと気をつけるほどではないけど、できればジズは殺さないで。頭さえ潰さなければ大丈夫だから」
「はい、私は構いません」
殺しに、というか犯しに来る相手に不殺で返すのは奇妙な気もするけど、オートマタならばそうそう死にはしないだろう。
テンパランスに先立って、酒場の裏口から外に出る。
裏口の扉を開けたとき、直感で得た警告を元に思考よりも早く身体が動く。
強く踏みしめた一歩で対面の建物の外壁へ跳躍、窓枠を踏み砕きながら外壁を駆け上がって直上へ向かう。
まさしく天啓だった。奇襲に対応したウェアを一切施していない私が、屋上からの奇襲を察知、確信して駆け抜けているのは使徒としての啓示という他ない。
最後の窓枠を蹴りつけ屋上へ飛び出る。眼前にはメイドコスの女性。ホログラムで見た以上の、正しく作り物めいた美貌。標的のジズに間違いない。
ジズの右手にサブマシンガンが展開、組み立てられているのを捉えながら、大鎌を召喚し祝詞を唱える。
「黒山羊に千の生贄を!」
身体が加速する。先程の比ではない、それこそ銃弾と渡り合える速度で間合いを詰める。
魔術という新しい法則が追加されたこの世界では、素質と訓練により超人的な身体能力を一時的に得ることができる。私の持つハンターとしての、戦う者の資質。
銃器の組み立て前に大鎌がジズの身体を両断する。その未来を覆すべく、自動人形の左手が跳ね上がる。左手を粉砕した大鎌は軌道を逸らし、反動でジズは後方へ跳躍する。
逃さない。回転させた大鎌の石突きで胴を突く。
人間なら致命傷となりうる攻撃を受けても怯むことなく自動人形は着地。組み立てが完了したサブマシンガンと冷たい瞳が私に向けられる。
祝詞の効果が消え、身体が重さを取り戻す。
あわや、というこの瞬間。下腹部に刻まれた淫紋が熱を帯びて起動する。効果は祝詞の連続再生。
再び加速する動作で上半身を捻って大鎌を投擲する。回転するギロチンと化した刃が銃弾を超える速度で自動人形へと突き進む。
標的を大鎌へ切り替えたサブマシンガンが火を吹くが、軌道を逸らすには至らず。大鎌が自動人形の右肩に突き立ち、切り落として背後の壁に突き刺さる。
両腕を失い、攻撃の衝撃で回転して倒れる自動人形。
その様を視界に収め、念のため確保するために歩いて向かう。携帯端末からテンパランスへ通話をかける。
「……う、ぁ❤ ……う、ぐぅ~~❤」
漏れ出る呻き声は自動人形のものでなく、自分から。
恐れていたことが起きた。携帯端末を取り落し、お腹を押さえてジズへ向かう。
予兆は『試練』のときからあった。戦っている最中に、別の意味でも昂ぶる身体。実のところ、敗北のいくつかはこれが原因だった。
司祭の仕込みを疑うも、どうやらその意図はない様子で。だからマギウェア、淫紋のせいだと思ってきたのに。
「……あつい❤ 子宮があつく、てぇ❤ おかしくなる、ぅ❤」
本当の意味での実戦を経て理解してしまった。マギウェアは正しい動作のみをしている。だから、このどうしようもない子宮の疼きは私本来の情動で。
「あはっ❤ すっごい❤」
身体の求めるまま、仰向けに倒れた自動人形の脚を押さえつけてマウントを取る。もう依頼のことは頭の片隅にしか残っていない。視線と興味はジズの股間、スカートを持ち上げて主張するイチモツに向けられている。
文字通り明滅するジズの瞳が怪訝そうに細められる。その様にわずかに残った理性が警告する。これは今までとは違う、と。これまでは被害者であり本意ではないと主張できた。だがこれは違う。行えば自己の情動のみで動く加害者となると。
そんな、切実な願いを一切省みることなく、手はスカートをめくりあげる。あらわになった暴発寸前のペニスの威容と臭気があらゆる憂いを吹き飛ばす。
「ん、ぅ❤ ほしい、これほしいのぉ❤」
周囲の治安のこと、自動人形の身体から失われていく循環液、かけたまま取り落した携帯端末。
『そんなこと』はどうでもよくて、穴を蹂躙するためだけの肉棒を身体が求めている。
膝立ちになり、アナルでペニスをくわえ込む体勢になる。ふと、エルフにディルドーでの自慰を強要された記憶が蘇る。そうか、そういう風にすればいいんだ。
記憶を元に修正し、いよいよ腰を落として逆レイプを決行する。
「……お゛、お゛ほぉぉ❤ しゅ、しゅごい❤ こわれっ、こわれりゅう❤❤」
腸奥を貫く怒張で絶頂に達する。それでも腰は止まらず、子宮を刺激する位置を探して情けなくへこへこと動く。
もうこの時点で壊れてしまったのだ。ただ汚され辱められるだけの存在ではなくなってしまった。自分から求め、浅ましく肉棒をくわえ込む、ただのビッチ。
「あ゛うぅ❤ にゃに、これ❤ せーえきもしゅごい❤❤ とまらない❤」
膨れ上がり放たれた精液が腸内にぶちまけられる。脈動と同期する絶頂の中でも腰の動きは止まらず、アナルはサキュバスの膣内顔負けの収縮で搾り取ろうとする。
「っ、ビッチめ……絞り取って殺す、それがあの女の趣向ですか……あ゛ぁ❤ うぅ❤」
憎々しげな自動人形の視線や言葉も気分を盛り上げるための材料としか思えない。だって、射精はさっきからずっと続いてる。
「お゛ぉおお❤❤ ザーメンあつぃ❤ おなか、だめになるぅ❤❤」
それとわかるほどに下腹部が膨れているのに、痛みや苦しさは快感がすべて塗りつぶしている。
私やジズにもっと余裕があれば、精液が媚薬入りであることに思い至っただろうけど、今はただこれまで以上の快感を与えてくれる肉棒への感謝と、それを私が支配しているという全能感で十分だった。
「もっと❤ もっとぉ❤❤ ケツ穴こわしてぇ❤ せーえきでだめにしてぇ❤❤」
初めての加虐というのも合わさり、行為をやめる理由はどこにもなかった。そもそも、私にとって行為の終わりとは相手が飽きるのと同義だったから、自分からやめるという発想もなく、またこの肉棒に飽きることも今のところなさそうだ。
「う、うぅ❤ これ、以上は……なんですか、この肉穴、この私が負ける、なんて❤」
ジズの敗北宣言も耳に入っているのかどうか。私はただ子宮の疼きに従って自慰にも似た一方的な行為を続けた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
半壊した自動人形の巨根にまたがり、後穴で狂ったように搾り取る巫女。
通話に気づいたテンパランスは周囲を警戒しながら頃合いを見計らっていたが、巫女が気を失い情事が終わるのは夜明け間際のことになる。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……んっ」
目を覚ます。柔らかい布団にまだ家族と暮らしていた頃を思い出す。
「ヴァージンペイン、あなた見た目より頑丈なのね。アレ、まだついさっきのことなのに」
声の主はベッドに腰掛けた女性。たしかテンパランスというハンター。
そこまで思い出して狂態に近い痴態も蘇る。血の気が引くというべきか、頭に血が昇るというべきか。
「それとあなたのこと調べさせてもらったわ。ハンターとして活動する、というのは教団の方針なのよね?」
覚悟していたはずの身バレは、もはやそれどころではなかったので大した衝撃にはならなかった。頷いて答えを返す。
「そう。なら私は気にしないし、踏み込まない」
薄情、とは私は思わなかった。フィクサーという立場を考えれば真摯とさえ映る。
「あの、それであの後は、ジズはどうなって、ここは、」
口に出た疑問は私の動揺そのままで、テンパランスは苦笑して一つずつ答えていく。
「人を使ってあなたをここまで運んだわ。ジズはオーバーホール中。まあいい薬にはなったでしょ。両方であなたに負けたんだから」
様になるウインクひとつ。不殺は敵というより困った知り合いだったからなのだろう。
「最後ね。ここは私の事務所の隣の部屋。ねえ、あなたさえ良かったここにしばらく住まない?」
「それは、嬉しいし助かりますけど……」
ハンターとして活動するにも、妹のこと探すにもテンパランスのような人脈は確保しておいた方がいい。住居の手配の当てもない私にとっては渡りに船だ。けど、ちょっと都合が良すぎる気もする。
「大丈夫、もちろん打算あってのことだから。さっきも言ったけど、私は荒事を任せられるハンターは常に確保しておきたいの。これがまずひとつ」
疑念が顔に出ていたのだろう。テンパランスが指折り数えて疑問に答えてくれる。
「ふたつ目はジズのことね。彼女の相手をしてくれないかしら。方法はどっちでもいいわ」
顔が紅潮するのが分かる。相手とはつまり、そういうことだろう。
「そ、それは……だってあんなの……」
壊れてしまう。そう続けたかったけど、あまりに浅ましく肉棒を貪った記憶が邪魔をする。
「そう? まんざらでもなさそうに見えたけど。そっちは考えておいてくれればいいわ。どう返事するにしても、しばらくはここを使ってくれてかまわないから」
彼女はベッドから立ち上がって部屋を出ていく。その背に声をかける。
「ありがとうございます、助かります!」
振り返ることなく手を振ってテンパランスは去る。
そうしてひとり、天井を見つめて自問する。
「どうしようかな……」
そんなの、考えるまでもない。なのにわざわざ口に出した理由を辿って笑みと涙が溢れる。
「そっか、選んでいいんだ」
自由になった。教団のモノからハンターになった。
「見つける、絶対に見つけるからね、ナギ……」
悲嘆でも劣情でもない、幸福から流れる涙もあるのだと噛み締めて。
私はいつぶりかの、安らかな眠りに落ちていった。