※この作品はR-18です。

除け者赤ずきんと優しい狼の幸福論   作:rippsan

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積みゲー消化中なんだ


布告 出立

移動用の馬車の手配を済ませ、魔術師からの返答を得た後、俺は部屋のベッドに横になっていた。

資料整理でも済ませろと言われそうだが、そんな気分ではなかった。

 

「っづ....ぁ」

 

忘れていた頭痛がぶり返し、眩む視界と胃の浮かび上がるような不快感に口を押さえる。

 

「っ......やっばい」

 

寝返りを打って吐き気を堪え、必死に目を瞑る。

 

「気持ち...悪い」

 

何故今になって。

収穫祭の夜から一週間が経っている。不自然な時期ではないが、それが今というのが最悪だ。

明日が出発だと言うのに、こんな状態ではとてもじゃないが馬車には乗り込めない。

このままでは確実に吐く。

ベッドの上でもがくが、頭痛のせいで動くことも辛い。

サイドテーブルの引き出しまでは距離がある。

伸ばした右手でシーツを掴み、引き寄せて前に進む。それを何度か繰り返すが、もう一歩の所で一際強い頭痛の波が襲ってきた。

声を出す事も出来ず、線が途切れるように一瞬で意識が落ちていった。

 

___________

 

フランがいた。

真っ暗な闇の中。一人立ち尽くしているフランが。

 

「フラン」

「......」

「フラン?」

 

手を伸ばすと、彼女がゆっくりと振り向く。

 

「兄様....」

 

フランが俺の腕を握り、そのまま抱き寄せる。

細くひんやりとした指が首をゆっくりと撫で、その冷たさに身が震える。

 

「兄様。暖かい.....もっと早く逢いたかったよ」

 

様子がおかしい。上気して蕩けたような声。体に回された腕にも、俺を逃がすまいと力が籠っているようだ。

 

「皆死んじゃって.....皆殺しちゃって....残ってるのは空っぽになった私だけだったの。兄様が助けてくれたのは、空っぽの私」

「フラン。何を」

「でもいいの。兄様がいるから。空っぽになった私の器に、兄様が沢山幸せをくれたから」

 

俺の声が届いていないのか、フランは惚けたようにゆっくりとした声で独白を続ける。

 

「いつも兄様が傍にいてくれて、いっぱいお話して、美味しい食事をして、絵本を読んで、一緒のベッドで眠る。その度に兄様の幸せが私の中に落ちてきて、私が満たされていく。太陽みたいに明るくて、思い出すだけで胸が暖かくなるような幸せ。全部全部。兄様がくれた幸せ」

 

フランの手が胸に触れる。温もりのない、死体のように冷たい彼女の手が、漆のように黒い空間で更に冷たく感じられる。

 

「パパも、ママも、いつの間にかいなくなっちゃったんだ。でも仕方ないよね。あんな事もう二度と思い出したくない。皆血を吐きながら叫んで、ミミズみたいにのたうち回って這いずる。手は血で染まって、動く度に絨緞が醜い赤色に変わっていく。兄様が来てくれなかったら、ずっとあの場所で空っぽのままだったと思う。あのまま全部抜け落ちて、何も出来なくなって、皆と同じように死んでいたんだと思う。もう見たくないって、助けてって。届きもしない声で来るはずもない誰かを呼んで」

「フラン。もう」

「ありがとう。ごめんね。兄様。私は壊れてるんだ。きっと兄様に逢ったあの日から」

 

息苦しそうに彼女は絞り出す。

 

「空っぽになった私の中を満たしてくれるのは兄様だけで、私の中には兄様しか居ない。分かってるよ。おかしな子だって」

 

俺を抱き締める力が強くなる。フランが背伸びをして耳元に顔を近付ける。

 

「だから兄様。何処にもいかないでね。誰にも奪われないでね......それだけ」

 

ふわりと浮かぶように離れたフランが両手で俺を突き飛ばす。

体勢を崩して尻餅をついた拍子に、暗い空間が一瞬にして開け、それまでの真逆の白い空間と、いつか見た女が現れる。

 

「どうかしら。少しは楽しい夢を見られた?」

「お前!?」

「あら怖い。攻撃は無駄よ。夢からは覚めていないもの。甘えん坊な妹ちゃんも夢。私も夢。全てあなたに見せている都合の良い夢よ」

「何のつもりだ」

「一つ伝えないといけない事が出来たから報告に来たの」

「お前と馴れ合うほどの仲じゃないはずだが」

「釣れないわね。まあ聞きなさい。妹ちゃんを狙う事は止めてあげる。その代わり貴方を貰うことにするわ」

「は?」

「せいぜい気を付ける事ね。今度は自分の身を守らないといけないのだから」

 

女の体がドロドロと溶け出し、真っ白な床へと染み込んでいく。

 

「そうそう。妹ちゃんの事だけど。あれは妹ちゃんの本心よ。貴方には見せていないけれど、心の奥底に溜め込んでいる思い。恐ろしい子。とんでもない依存心ね。貴方がいなくなったら本当におかしくなるんじゃないの?」

「馬鹿言うな。フランは強い。俺がいなくたって」

「そう言う話はいいわ。何にせよ、大切にしてあげなさい。彼女が信じているのは貴方だけ。貴方以外には興味なんて欠片も持っていないようだから」

 

スライムのような姿で一方的に話し、今度こそ女は床に溶け込んでいく。

 

「じゃあね。お兄様」

 

女だった液体が地面に消えると共に、再び激しい頭痛が襲う。

たまらず地面に蹲り、歯を食い縛って痛みを忘れようとするが、そんな行動さえ馬鹿らしく思える程に、頭痛は時を追う毎に痛みを増していく。

 

「っづあっ......ぃっああ!」

 

夢とは思えないほど生々しい痛み。

骨の軋む音が脳の内側から鼓膜を震わせる。あり得ない事象に混乱し、理性が削がれていく。

 

_______

 

「っああ!」

 

ベッドから落ちた衝撃で目が覚めたらしく、床に寝転んでいた。

 

「.....何なんだよ」

 

槌で殴られるような痛みも和らぎ、目に浮かんだ涙を拭う。

魔力を掌に流し、その手で額に触れる。

激痛の影響で忘れていたが、魔術で痛み止めも出来ていただろう。

 

「.....どうするか」

 

明日が来れば明け方には出発だと言うのに、夕時こにれでは全く眠れなくなる。

痛まない頭を押さえ、横になって目を閉じる。

何もしないでいるよりかは気も休まるだろう。邪魔が入らない限りは、こうしている事にする。

.......

 

「兄様。今よろしいでしょうか」

 

心地の良い眠気が現れ、ぼんやりとしてきた頃、控えめなノックの音と共にフランの声がする。

 

「開いてるよ」

「失礼します」

 

フランが扉を潜り、会釈をする。

そこまでは一端の淑女らしい振る舞いだったのだが、扉を閉めたところで雰囲気が変わる。

 

「兄様」

 

弾むような声で俺を呼び、フランが隣に腰掛ける。

 

「楽しそうだな」

「兄様と久々のお出掛けなんですよ!。それは楽しみですよ」

「そうか。なら良かった」

 

フランの頭に手を乗せ、ゆっくりとその髪を撫でると、彼女は目を細めて笑う。

 

「兄様の手、暖かくて好き。大きくて、パパの手よりも優しい」

「.......」

 

暖かい。夢で聞いた言葉に胸がざわつく。

 

「兄様?」

「....ん。どうした」

「考え事?」

「そうだな」

「むー」

 

横腹を小突かれる。

 

「って」

「手が止まってますよ」

「え?」

「頭を撫でてくれるならそれに集中してください。そんな半端な気持ちでされても嬉しく無いんですけど」

「さっきと言ってること違わないか?」

「嫌なものは嫌なの」

「そう言うものか」

「そう言うもの」

「なあ、寝なくていいのか」

「ドキドキして眠れないから兄様のところに来たの。ね、久々にあの絵本読んで?」

「狼と赤ずきんの絵本か」

「うん。兄様も眠れないんでしょ?。本を読んでいれば眠くなるよ」

 

逆に目が冴えそうなものだが断る理由もなく、フランの願いに応える。

この絵本はフランとの思い出の品だ。

フランが初めて俺と話してくれたきっかけもこの絵本で、フランに辛い事があった時は決まってこの絵本を読んでいた。

人間の年で言えば17歳にもなる少女に絵本を読み聞かせるなどなんともおかしな話だが、彼女はそれをとても気に入っている。

 

「狼は赤ずきんが人間と仲良くなりたいと思う心を良く知っていました。狼は赤ずきんの事が大好きで、彼女と仲良しでいたかったのですがが、彼は赤ずきんの願いを叶える為、一つお芝居をすることに....寝たか」

 

物語が中盤に差し掛かる頃、ふと隣を見ると、そこには目を閉じて寝息を立てるフランの姿があった。髪の間から獣人のトレードマークの耳がちらりと覗き、ふわふわとした尻尾がベッドの後ろで揺れていた。

小さな頭に手を乗せ、再び撫でてやると彼女は気持ち良さそうに笑みを溢す。

 

「ちゃんと寝てるじゃないか......ふあぁ。俺も寝るか」

 

その前にとフランを抱き抱え、部屋まで運ぶ。

彼女をベッドに寝かせ、布団を掛ける。

 

「お休み。フラン」

 

彼女の額に軽くキスをして部屋を出る。

振り帰る際、視界の隅で彼女が動いたような気がするが、見間違いだろう。

 

自室へ向かう廊下。女の言葉を思い出す。

フランの代わりに俺を狙う。俺に見せたフランの本心だと言う夢。

俺以外を信じていない。

そんなはずが無いと振り切る事が出来ず、胸に何かがつかえたような感覚が生まれる。

ベッドに戻り、再び目を閉じる。

一日の終わりにフランに振り回されたお陰が、今度はゆっくりと眠る事が出来た。

 

_________

 

翌日の朝。陽の上っていない薄灰色の空の下、馬車を引く馬の世話をしている所に同行予定の魔術師達が集まる。

予定では六人ほど集まればと考えていたが、実際にやって来た術者は四人。

 

「思ったより少ないな。もう少し来てくれると良かったんだが」

「ここ数ヶ月は外地への遠征が多いもので。その分国を留守にしている術者も多いのです」

「なるほどな。そんな中にわざわざ呼び出してしまって申し訳ない。暫く国を離れる事になるだろうが、可能な限り速く仕事が完了するよう計画する。助力の方をよろしく頼む」

「ええ。お任せ下さいませ。必ずや皇太子様のお役に立ちます」

 

術者の代表が礼をすると、続けて後ろに並んでいる三人も頭を下げる。

 

「隣の馬車に乗って待っていてもらえるだろうか。準備が完了したら出発する」

 

さて、問題はもう一人である。

 

「起こす必要は無いと思っていたのだが。これは....」

 

妹がいつまでたっても来ないのだ。

俺より早く起きていると息巻いていたが、寝坊しているのだろう。

 

「すまない。フランシアがまだ来ていないみたいだ。すぐに戻る」

 

幌に外出用のバッグを置き、フランの自室へと向かう。

早朝に出ても、ウルガンドへの到着は日が暮れる寸前になる。それも街道を通るのなら、予定通りに旅が終わると考えない方がいい。

それを呑気に捉えられても困る。

 

「俺から誘っておいて悪いが.....フラン!起きてるか」

 

ノックしながら中にいるであろう彼女に呼び掛ける。

 

「フラン。寝てるのか?」

 

二度目のノックをした所で扉がゆっくりと開き、中からパジャマ姿のフランが現れる。

 

「.......兄様?」

「出かけるぞ。まさか忘れてたなんて言わないよな」

「.......おんぶ」

「は?」

「おーんぶ」

「いや、まず着替えろよ」

「......」

 

扉が閉まり、中でガサガサと音がする。

それに混じって聞こえる衣ずれの音に心がざわつくが、深呼吸して気を落ち着ける。

暫くして再び扉が開き、中から外出用のドレスを着たフランが出てくる。

目を擦ってあくびをすると、フランは半開きの目で睨むような視線のまま手を広げる。

 

「おんぶ」

「歩けるだろう」

「むー」

「歩きなさい」

 

フランを連れ王城を出て、幌の中に乗せる。

 

「すまない、待たせた。出発しよう」

 

長く話している時間も勿体ないと、早々に国を発ち街道に出る。

山を切り開いた先の谷に作られたエルラドは崖沿いの道を通ることでしかたどり着くことが出来ない。

国外に出る際にもそれは同じで、多人数での移動は望ましくない。

街道を暫く進んだところで、御者席で手綱を握る手を掴まれる。

 

「兄様。隣いい?」

「揺れるぞ」

「中でも同じだし、他に人いるもん」

「ああ、なるほどな。気分悪くなっても知らないぞ」

「やった。じゃあお邪魔して」

 

小さくガッツポーズをして幌から這い出してくるフラン。もう少し女性らしく出来ないものか。

彼女が隣のに座るのを見て、緩めていた馬車の速度を上げる。

旅においては、山道を抜けるまでのこの時間が最も退屈だ。

普段は御者に任せて幌の中で本を読んでいるのだが、今回同行している者に御者が居ないために俺が御者席にいるわけだ。

隣ではフランが足をぶらぶらと動かしながら鼻歌を歌っている。

何度か聞いたことのある歌だ。花畑で遊ぶ少女と、豊かな村の情景を歌った子守唄。

何とはなしにその鼻歌に合わせて歌うと、フランがこちらを見る。

 

「この歌、知ってるの?」

「ああ、白い花の歌だったかな。コルネットの住民が子どもを寝かし付ける時に歌っているのを聞いたんだ」

「それで覚えたの?。教わったんじゃなくて」

「ほとんど調べた。後はコルネットについて調べた時に見つけた資料に載っていた事を合わせただけだよ。得意分野だ」

「やっぱり兄様は凄いね」

「ただの癖だよ」

「続き。歌ってよ」

「ああ」

 

隣から聞こえるさえずりのような鼻歌の伴奏に合わせ、言葉を紡ぎだす。

山道をゆっくりと進む馬車の行進曲にしては穏やか過ぎるが、のんびりとした旅の物語には花を添える曲だろう。

幌の中からは術者の話し声が聞こえ、それに耳を傾けるうちにも景色は流れていく

いつしか歌が終わる頃には山道を抜け、平野に向かう坂を下っていた。

遠くに青々と広がる草原は、ソルヴァンス地方を代表する巨大な平原で、地下を走る霊脈の影響を受けたマナの源泉が複数存在している。

マナの溶け込んだ水や空気を取り込んで成長する動物は活気に溢れ、質の良い肉や毛皮を蓄えている。

 

「綺麗」

「マナの恩恵だよ。木々も草も生命力で満ちているんだ。そこらの平原とじゃ比べ物にならない。世界中見て回った俺が保証する」

「あそこで走り回ったら楽しいんだろうな」

「はは、そうかもね」

 

目を輝かせて感嘆の声を洩らすフラン。

コルネットを離れて以来殆どの時間をエルラドで暮らしていた彼女にはこの広いだけの平原さえ珍しく映るのだろう。

 

「もっと早く連れて来たらよかったね」

「これから沢山連れて来てくれればいいですよ!」

 

にぱっと笑う彼女の笑顔はいつも通り眩しい。

その笑顔に微笑み返し、再び馬を走らせる。

マナに満ち溢れた風を浴びて草原を横切り、生き生きと駆け回る動物の姿を眺めること数時間、鮮やかな草花の絨毯が剥げ、その下からゴツゴツとした土混じりの固い地面が覗く風景が現れる。木々も消え、見上げれば雲の流れる空が高く広がる。

この「アンバル荒地」は視界の先に聳える巨大な山「バルネア山」の噴火によって生まれた場所だ。記録の有る限り、大陸の創造から今に至るまで絶えず活動を続けるバルネア山は、噴火を繰り返しては緑の溢れていた草原を荒れた地へと変えていった。

代わり映えのしない荒野と言うのは実に退屈で、御者席で馬車に揺られながら倦怠感にも似た身の重さに溜め息を吐く。

いくら旅に慣れたと言え半日近くここに座っていれば体も痛める。何より日頃から各地を歩き回る身としては、こうして手綱を握るだけで何もせず座っていると言うのも時に辛い。

ぼんやりと先の景色を見ていると、胸のポケットで振動が起こる。

後続の術者達が乗る馬車からの連絡があったようだ。

ポケットから小型の水晶を取り出し、魔力を通して御者の術者に繋げる。

 

「どうした」

「いえ、特に何かあったわけではないのですが、少し気になった事が」

「気になった事」

「先ほどから魔物の姿が見えないような気がするのですが、何かあったのでしょうか」

「いや、特に何かあったと言う話は聞いていないが」

「何事も無いと良いのですが。皇太子様も充分にご注意なさって下さい」

 

ドサリと音を立てて前方に人影が落下する。

黒いローブに身を包んだ姿から顔を確認することは出来ない。

 

「.......そこで止めて待っていてくれ」

「はい?。何を」

「問題発生。可能な限り動かないように頼む」

 

水晶を幌の中に放り、手綱から手を離す。

 

「.....何者だ」

「敵じゃないの」

「分からない」

 

明らかな敵意を剥き出しにして耳打ちしてくるフランを制し、慎重に人影を観察する。

揺れる様にして立ち上がった人影は片方の手を上げると、パチンとよく響く音で指を一つ鳴らす。

同時に大量の魔力反応が周囲に発生し、背筋が凍る。

手品のように人影が崩れ、ローブだけが地面に残される。

 

「兄様。魔物が」

「っ......最悪だ」

「逃げ場はないみたいですけど。囲まれましたよ」

「生かして通すつもりは無いらしいな」

「ならこっちも手段は選んでられないよ」

「仕方ないか.....手早く済ませる。フランはそこに居ろよ」

「私も一緒に戦う」

「戦える武器なんてないだろ」

「一応持ってきたんだけど」

「.....何で?」

「兄様にカッコいいとこ見せたくて」

「だから武器?」

「うん」

「.......日が落ちる前に片付ける。夜の移動は避けたい。やれるか」

「兄様のお願いなら」

「頼む。フラン」

「任せて。兄様」

 

御者席から降りると、フランに手を伸ばす。

彼女の手を取って席から降ろし、馬車を取り囲む魔物と対峙する。

オーク、ゴブリン、チャイルドオーガ。並んでいるのも低級の魔物の寄せ集めだ。

 

「馬鹿にされてるみたい。私達を人間だとでも思ってるのかな」

「大口を叩くのは自由だが、油断してやられるなよ」

「こっちにも魔物がいるなあ。終わったら退治するよ?」

「はいはい」

 

彼女の意見は最もだ。あのレベルの魔物に苦戦するのは調子に乗った人間の冒険者くらいだろう。

人間の数倍の力を持つ獣人であれば、その程度の魔物の相手など苦にならない。

 

「死にたくないならそこを退けよ。まあ、お前らに言葉が通じるなら苦労しないよな」

「邪魔するなら殺す」

 

隣で放たれる凄まじい殺気に背筋を冷やしながら、剣の柄に手を掛ける。

 

「やるぞ」

「兄様。休んでても良いからね」

「冗談だろ。妹一人に荷物背負わせられるか」

 




うるせえゲームなんぞやってねえで黙って文字書け
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