うちの一家は、揃って頭おかしいと思う。千夏先輩をよそ様から預かった娘さんだと全く思ってない、普通に自分の所の子供だと思っている。
いや、アットホームなのは良いと思うんだ。先輩は優しいし、気配りの人だから。その先輩が気を遣って小さくなって過ごすなんて、俺が耐えられない。だから先輩が家族の一員として和やかに過ごしている現状は、とても良いことだ。
でも、だ。一応の線引きは必要じゃないだろうか。先輩は、女の人で。俺は、男で。何かが一つ間違えば、一生消えない傷を先輩に刻んでしまうかもしれない。そうならない為にも、千夏先輩を大切にしなければならない。
なのに、うちの家族と来たら。
何をどう思って、俺たちを二人きりで外泊させようと言うんだろう。
「大喜と千夏ちゃん、今度の連休って暇?」
母さんにそう聞かれて、ふと考える。すっかり秋めいて部活も一段落、というか勉強に集中しろとプレッシャーがかかってくるこの時期。次の三連休は、特になんの予定もない。いや勉強したくないから、なんか予定作ってどっか出掛けていたいけど。
先輩もまあ似たようなものなんだろう、暇ですねーと笑いながらお茶うけの落雁をかじっている。ちなみに先輩の知っている落雁は、この落雁じゃないらしい。これは「もろこし」じゃないの?と驚いた顔をしていたのが、とても可愛かった。いや、それは別に良いんだけど。
「じゃあさ、これ使ってくれない? 期限切れそうだけど、私ちょっと行けないからさ」
そう言ってテーブルの上に置かれたのは、一枚の紙切れ。
「温泉宿の、ペア宿泊券……?」
描かれている限りでは結構豪華そうなプランの、二名様ご招待券。期限は今月末まで、となっている。
なるほど、こういうのを期限切れで紙屑にするのは惜しい。期限が近いと金券ショップでも取り扱ってくれなかったりするらしいし、無駄にするくらいなら誰かが使う方が良いよな。
そこまで考えて。ふと、隣を見やる。
鹿野千夏先輩。当家の居候にして、俺のすきなひと。性別、女の子。
女の子。
それは、つまり。
俺と先輩が二人で出掛けて宿泊と言うのは、つまり。
――そういう事、ではないのか。
戦慄する俺を他所に、二人は楽しそうに話を進めている。
俺は、知っている。こういう風に話している女性たちには、割り込んでも無駄だと。何を言おうが全然聞かない、ルール無用の残虐ファイトだ。雛たちに散々鍛えられたから、ガールズトークを遮る術など無いとよーく分かっている。母さんを「ガール」と呼んで良いかは、この際置いておいて。
そして、俺が一言も発する暇がないままに。俺たちの連休に、特大のイベントが設置される事と相成った。
――良いんだろうか。これで。
二人きりで電車に揺られ、山あいの温泉宿へ向かう間。俺の頭の中では、そればかりがグルグルと回っていた。
だって、だって。良いわけがない。こんなの、許されるわけがない。
そもそも先輩とのデー……お出掛けなんて、こないだの水族館以来二度目だ。水族館の次が御泊まりっておかしいだろう。なんだこれ。
俺が悶々としているのに、千夏先輩は朗らかに笑っている。俺を、男だと思っていないかのように。……「御泊まり」に慣れてる、って訳ではない事を祈りたい。いや良いんだけどさ、先輩がどんな人生を歩もうと俺がなにか言う権利はないんだし。でも、うん。
二泊三日、俺は生きて帰れるんだろうか。それが不安すぎる。
まあ千夏先輩が楽しそうにしてるなら、それは悪いことではない。俺の胃に穴が開くどころか、溶けて無くなるかもしれないけど。
なんにせよ、二人でチェックインをして。
部屋に荷物を置いて。
そして、――うん。どうしよう。泊まりに行く、という目的のレジャーは初めてだ。勿論宿の周りを色々見て回る気ではいるけど、基本はここにいるわけだ。二人で。しかも他の部屋から少し離れた角部屋。何かその、……ヘンな声とかが出ても周りに聞こえにくい環境。
色々不味すぎる。上手くお膳立てされ過ぎてて、不味すぎる。これはもう、婚前旅行というやつでは無いだろうか。男として、色々覚悟を決めるべき時ではないのか。
とは言え、千夏先輩は。当の先輩は、そんな感じが全く無い。家族旅行の延長、くらいの顔をしている。
俺が気張りすぎているんだろうか。先輩にとって俺は弟みたいなもので、異性として意識する相手では無いんだろうか。
どこか釈然としないまま、俺はお茶を啜っている。
断ることも、出来なかった訳じゃない。でも、しなかった。それは俺も、いや俺は――期待している部分があるから。正直、最低だとは思うけど。俺は男だから、どうしても期待してしまう。嫌だな、男ってのは。
「私、温泉入ってくるね。大喜くんはどうする?」
「あ、あー……これ飲んでからにします」
ぱたぱたと部屋を出る先輩を見送って。俺は、気づかれないように長い息を吐く。本当に、どうしよう。
ふと視線を落とした湯呑みの中は、既に空っぽになっていた。
まあ、眺めのいい露天風呂というのは悪くない。と言うか、ぶっちゃけ最高だ。うちの風呂だって狭くはないけど、やっぱり絶景付きの源泉かけ流し温泉はスゴく良い。
絶景。絶景、か。
この宿には混浴がないし、掃除の都合で一時的に……なんてのも無さそうだ。この手のロケーションにおける定番、お風呂で鉢合わせイベントはあり得ない。
でも部屋に家族風呂はある。だから、もしかしたら――
「いや、もしかしないから」
頭の奥から上がってきた煩悩を、力の限り押し返す。そんなのがあってたまるか、と。そんなの俺が持たない。
先輩は、控え目に言っても美人だ。スタイルも良い。だからそりゃ興味はあるけど、でもダメだ。
鋼の意思で、先輩を守るんだ。
そう、思いはすれど。
浴衣姿の千夏先輩を見ていると、決意が揺らぎそうになる。まったく無防備過ぎる。
あちこちチラチラして、とても心臓に悪い。心臓と言うか、まあ――色々な部位に悪い。
でも先輩は可愛くて色っぽくて、目が離せない。離したくない。
部屋でなかなかに豪勢な夕食を食べても、先輩が気になって味がよく分からなかった。
この人は自分の可愛さというものを、どうも分かってない気がする。もっと年頃の女子として、自覚を持っていただきたい。……とは言え、だ。実際にそうなると、俺はこんな近くにいられなくなってしまう気もする。それは辛いけど――。
「大喜くん、由起子さんたちにお土産買わないとね。ここの売店で良いかな、それともあちこち見て回ってからにする?」
「……浴衣着ちゃいましたし、今日はもう止めておきましょうよ」
浴衣で出歩くのも温泉の風情だとは思うけど、今の先輩と一緒ではアブなすぎる。色々と。浴衣って生地が薄いんだな、と実感しています。
まあ、今日はなんとか過ぎた。忙しくも楽しい、旅行初日だったと思う。明日一日、そして明後日の朝にはチェックアウトだ。考えすぎたままで過ごすのは勿体ない、楽しもう。せっかくの非日常なんだから。
……と。小さな違和感が頭をよぎる。一日が終わると言うことは。つまり。
――寝る、と言うこと。二人きりで。
敷かれた二組の布団は、ぴったりとくっついている。さも当然のように。
気まずい。これは気まずい。
普段はお互い鍵のない隣同士の部屋で寝ているとは言え、壁に隔たれている。階下には家族もいるし、ヨコシマな衝動に苛まれても堪えきれる。
でも、だ。ここは旅館。そういう事があっても、許される場所。むしろ、若い二人が泊まってるんだから、そうなって当然なのではないか。
しかし、しかし。良いのか、そんなの。
千夏先輩は、相変わらず表情が読めない。二人きりの旅行にそういう気配を感じているのかいないのか、さっぱり分からない。
……布団を離すと言うのも手ではあるのだが、そうすると意識しまくっているとバレてしまう。先輩がもし何も意識していないのであれば、俺もそういう体でいるのが良いはずだ。
堂々巡りのまま時間は過ぎ、やがて先輩は布団に入ってしまった。
そうなると俺一人だけ起きている訳にもいかないし、隣の布団に入るしかない。
このまま布団を使わず寝るというのも手だけれど、そうすると先輩に気を遣わせてしまうし。
寝てしまえ。何も考えず、寝てしまえ。気がつけば朝になっている、それで良いんだ。
――頭では、そう思うのだが。本当に。
時計の針が時を切り刻むその音が、やけに大きい気がする。
眠れるわけがない。これで普通に眠れたら、俺はきっと悟りを開いてる。
先輩の寝息が聞こえる距離。
上下する布団の膨らみ。
漂ってくる、良い匂い。
これをどう意識から振り払えば良いんだ。
そっと、手を隣へと伸ばしてみる。掛け布団に少し触れただけで、肌が焼け付きそうだ。これを捲り上げたら、先輩に触れられる。
どうせよく寝てる、気付かないんじゃないか。ちょっとしたアクシデントだと思えば良い。きっと向こうだって分かってくれる。頭の奥から上がってくる囁きが、俺を唆していく。
その思いだけが、身体を支配して。淡い期待と欲望を込めて伸ばしたその手は――
「大喜、くん?」
あっさりと、受け止められてしまった。
罪悪感で潰れそうな俺の手を、先輩は握りしめている。折れるほど。
「大喜くんも、男の子なんだねぇ」
にまにまと笑うその顔は、まるで小悪魔のようで。状況さえ許せば、見とれてしまうくらいに可愛らしい。
しかしそんな余裕は、俺にはない。
「す、すいませっ、ん……っ」
逃げ出そうとした俺は、でも手を捕まれたまま。動くことさえ、出来ない。詰んだ。俺の人生は、詰んでしまった。そう確信する。どうせ終わりなら、騒いでも仕方がない。警察につき出されようが親族会議で苗字を失おうが、俺はそうなっても仕方がない事をやらかしたんだ。せめて、裁きを受け入れよう。
先輩に全てを委ねるべく、覚悟を決める。
しかし飛んできたのは、非難の声や蔑みの視線ではなかった。勿論鉄拳制裁でもなかった。
先輩は俺の頭を撫でて、微笑んだのだ。
「大喜くん、私は構わないけどさ。蝶野さんが泣くかもよ?」
……どうして雛のやつが出てくるんだろう。いや、そこじゃない。構わないけどさ、って。何を構わないのか、そんなのは一つだ。
「あの、先輩……良いんですか」
「私は良いよ。大喜くんが、蝶野さんに悪いと思わないなら」
だから何で雛にそんな。最近先輩と雛は仲良いみたいだけど、こういう状況で名前が出てくる理由が分からない。
それに、こんなにも。こんなにも平然と、受け入れてくれるなんて。やっぱり、馴れているってことなのか――。
「大喜くん、今スゴく失礼な事考えてない?」
「あ、いや……えーと……」
「言っておくけどね。大喜くんじゃなかったら、無言で殴り飛ばすかヤッパ突き立てて、その辺に埋めてるからね。わたくし、操は固いのですよ」
スゴい物騒なことを、良い笑顔で言ってくる先輩。怖い怖い。下手すると俺死んでる。まあ、馴れているわけではないけど俺を受け入れてくれると言うのは、つまり。つまりは、まさか。
「私、大喜くんが好きだよ。そうでもなかったら、一緒にお泊まりなんかしないでしょ」
物騒な話の後とは思えない爽やかな、でも破壊力抜群の一撃が俺を射抜いていく。
なんだろう、一言で全てがひっくり返ってしまった。先輩のパワー、半端ない。インターハイに行くような人は、やっぱり違う。
……しかしそうなると、俺が一人で悶々としていたのは何だったんだろうか。先輩も先輩で、色々悶々としていたんだろうか。うーん。
でも、それはそれだ。例え先輩がどうであれ、言わなければならない事が一つある。
今のままじゃ、ただの棚ぼただから。俺は、そういうんじゃダメだと思うんだ。
「先輩、好きです。好きだから、その……したい、んです」
そこだけは、ハッキリさせておかないといけない。俺の気持ちを伝えないままじゃ、嫌だから。ただ欲求に振り回されて、身近な異性を求めたんじゃない。俺は、千夏先輩じゃなきゃ嫌だ。
真っ直ぐしか動けない俺の告白を、先輩は笑顔で聞いてくれて。そして。
「ありがとう、嬉しいよ」
俺の唇に、キスしてくれた。
部屋付きの家族風呂で、二人。お湯の中で、二人。見つめあって、二人。
布団の上だと汚しちゃうから、と先輩に言われて。俺たちは、そういう目的で――ここにいる。
湯温のせいじゃなく、身体は芯から熱くなっていて。
湯船の中、勿論お互いに裸。向き合う姿は、目が眩むほど。とてもじゃないが正視出来ない。
でも、だ。これから、……するわけだから。後光さえ感じる先輩の裸体を、チラチラとだが目に焼き付けていく。
そして、当の千夏先輩はと言うと。
「んー……本物ってこんな感じなんだね」
楽しそうに、俺を……というか俺の一部を観察している。いや物怖じしないな、この人はホントに。
「前に渚たちと遊んだ時にオモチャは見たんだけどさ、本物は初めて見たよ」
「え、あっ、そう……なんです、か」
「試合後の打ち上げだったから皆お酒入ってたし、悪ノリして突っ込んで来たんだよ渚ってば。だから私、未経験だけど膜は無いんだよね」
……なんだろう、さっきからずっと不穏当なセンテンスしか出てきてない気がする。この人一体何者なんだ。身持ち固いのですよ、は何だったんだろうか。
まあ、良いや。先輩にだって、色々あるさ。
そして、その先輩の、そこは。お湯に隔てられて良くは見えないけれど、本物なんか今まで見たこと無いけど、それでもこう思う。綺麗だ、と。
触ったら怒るだろうか、怒るだろうな。でも今からそれ以上の事するわけだし、許してくれないかな。
そんなことを思いながらモジモジしていると、先輩の手がこっちへと伸びてきた。
「一応聞くけど、触って良い?」
「えあ、は……いっ」
一応、というのは言葉通りの意味。返事を待とうともせず先輩は、俺を――鷲掴みにした。
僅かな痛みと、それを遥かに上回る快感が襲ってくる。
先輩の手は、お湯の中でも分かる程に熱くて。別の生き物のようにしなやかで。全てが、想像を越えている。
「大喜くんはさ、いつもどういう風にするの?」
囁く声は、俺を追い込みたいのかそれとも天然なのか。分からない。
返事をしようにも、口からは切れ切れの声しか出せない。
「こう、かな? それとも、こんな?」
握り締めたり、上下に早く動かしたり。先輩の手が、変幻自在にはい回る。
こんなの、こんなの。耐えられるわけが、ない。
「先っ輩、も、……ダメっ」
言い終える暇さえなく、俺は。先輩の手に包まれたまま。
「お? あー、出てる出てるー」
……精液を、先輩の前で放ってしまった。
湯面に浮かび上がった白い塊、それを先輩が手で掬って興味深そうに眺めている。でも当の俺としては、情けなさでいっぱいだ。あんなにも、早いなんて。「スマッシュもこれくらい速かったら良いのにね」とか言われたらどうしよう、俺死ぬかもしれない。
でも先輩は、そんなことを言いはしなかった。
「良かった、大喜くんが気持ちよくなってくれて。こんなこと初めてだし、私って何やっても雑だからさ。上手くいかなかったらどうしよう、って心配だったんだよ」
にこやかに笑いながら、俺にキスして。俺の手を、自分の――そこへと導いた。
「んー……分かる、かな? ここ、だよ」
指先が何かを掻き分けて。そして、そして。熱い何かに挟まれるような、呑み込まれるような感触。
先輩の中に、入っている。先輩の、内側に触れている。
お湯とは違う、ぬるついた熱い何か。折れんばかりに指を締め上げる、肉の圧力。
さっき射精したばかりなのに、もう俺はガチガチになってしまって。我慢が、どんどん、効かなくなっていく。
入りたい。この中に。その欲望が、頭を塗り潰していくのが分かる。
きっと、顔に出ているんだろう。先輩は悪戯っぽく笑っている。
「じゃあ、……しちゃおうか」
座ったままの俺に、先輩が後ろ向きでもたれ掛かってきた。俺の上に腰掛けるように。でも、ただ座るだけじゃなく。
先輩の、そこが。俺の先端に、被さるように。ゆっくりと、進んでいく。確か背面座位とか、そういう名前の姿勢。
ぐにゅり、と柔らかな感触がどんどん広がって。俺の全てが、先輩に呑まれていく。さっき感じた先輩の手より、更に熱く強く無遠慮に、俺を握り締めていく。先輩の最深部はやっぱり、Sみを感じる。先輩が、俺を攻め立てる。
「あー……、大喜くんだー……。大喜くん、入ってるー……」
その声は艶に濡れて、あまりにも淫らで。でも、優しくて愛しくて。俺は、先輩が好きだ。他の誰よりも、好きだ。
その思いを込めて、先輩を抱き締める。胸の下を通す形になった腕に、確かな重さが伝わって。おっぱいって、思ったより重いんだな。こんなの付けて、部活してるんだな。そんな呑気な事を考えていると。
「ちょっと、動くよ……?」
先輩の身体が、上下に揺れ始めた。お湯は波打ちパチャパチャと言い出すけれど、それ以上に先輩の喘ぎは激しくなっていく。
込み上げてくる射精欲求に耐えながら、ふと思う。今の先輩は、どんな顔をしているんだろう。
見たい。正面から、先輩を見たい。お湯の中だから、先輩は普段より軽く感じる。いやまあ普段が重いって訳じゃなくて、比率的に。勢いさえあれば、出来るかもしれない。
いや、やろう。俺の良いところなんて、考えなしに突っ走れる事くらいなんだから。
「先っ輩、先輩……っ!」
繋がったまま、先輩の身体を大きく動かす。小さな驚きの声と共に、そのまま半回転した形で――。
「え、あ……れ?」
俺と先輩は、向かい合った。
紅潮した肌、涙に濡れた瞳。口許に光るのは汗と涎の跡だろうか。その全てが、何物にも代えがたい程に美しい。
先輩は、美しい。誰よりも。分かりきっているけど、でも。
「あっ、恥ずかし……んむっ」
先輩の唇に、吸い付きながら。先輩を、抱き締めながら。俺は、その時を迎えた。
「ん、んー……、んぅ……っ」
腰が抜けるかと思うほどの勢いで、精液が身体から迸っていくのが分かる。止まらない、止めたくない。一滴残らず、先輩に注ぎ込みたい。好きだから。愛しているから。千夏先輩の、全てが欲しいから。
頭が蕩けそうで、目の前が暗くなっていく。
それでも、離れたくない。先輩を強く抱き締め、譫言のように名前を呼び続けながら。俺の意識は、お湯に溶けるように揺らいでいった。