※この作品はR-18です。

鉄のハーレム堪能記   作:柳芽帆奈

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第二十二話「撹乱作戦」

鬼ごっこが始まり、ぜったいに逃げ切ったると意気込んで最寄の今池駅に行ったはいいものの……

 

「あら、もう出てるわね」

 

「次は10分後ね。どうするの?」

 

「いや、鬼が近くにおんのにここで10分待ちは痛すぎる。どうせ一駅分やし新今宮まで走るわ」

 

「「えっ」」

 

次の電車まで結構時間が開くことが分かり、初日から朝の堺筋をクール(?)系美少女2人を侍らせながら猛ダッシュするというよく分からない構図が出来上がっていた。しかも瑠唯は全く表情崩してへんからこらまたシュール。

 

そして数分走って新今宮駅に到着。数百mの距離とは言え、荷物を背負って走っているので、俺ら三人、特に友希那は息が上がりすぎてアヘ顔を晒していた。

 

「ハァハァ……」

 

「あー、しんどっ」

 

ピロンッ×3

 

「ん?」

 

息を整えていると突然スマホにメッセージが送られてくる。開くと下の文言が綴られている。

 

『1stミッション

 

 今から約4時間以内(12時30分まで)にキハ40系列の写真をこのグループに送れ。ただし、今日撮ったものに限る。成功報酬はなし。失敗するとこの次のミッションに成功するまで位置情報が常に開示される』

 

「……位置情報が常に開示ってまずくないかしら?」

 

「ええ。何としてもクリアしないといけないわね。ダーリンはどこか心当たりはあるかしら?」

 

「せやな……」

 

関西でキハ40系列が走ってるところといえばいくつか挙げられ、播但線の寺前以北と山陰本線の豊岡以西の二つがある。まあ、正確には播但線の間合い運用で豊岡以東でも走ってるんやけど本数少ないから今回は除外。ただ、この二路線はいずれも大阪から行くのには時間がかかる上に鬼チームもそれを把握している可能性も考えられる。さてどうしたものか……

 

「どうするの?早く決めないと」

 

「ああっ、ちょっと待ってくれ」

 

果たしてミッションはクリア出来るんやろか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、鬼チームはと言うと……

 

「あ、ミッション来たよ!」

 

「本当だ。『キハ40系列の写真を上げろ』……キハ40って何?」

 

メッセージを見たレイと香澄が見慣れない形式に首を傾げていると、燐子がWikipediaの情報を読み始める。

 

「ええっと……『国鉄キハ40系気動車は、1977年(昭和52年)から1982年(昭和57年)にかけて日本国有鉄道(国鉄)が製造した気動車(ディーゼル動車)である。888両が製造され、事故廃車の1両を除くほとんどがJRに移管されたが。2000年代後半以降は新型気動車への置き換えや地方線区の廃止に伴い廃車が行われ、東海旅客鉄道(JR東海)では2016年(平成28年)に全廃、東日本旅客鉄道(JR東日本)では2021年(令和3年)に一般車の運用が終了した。それ以外のJR各社でも置き換えが進められ、一部の車両は私鉄・第三セクター会社や日本国外への譲渡も行われている……(一部改変)』みたいです……」

 

「へぇ、その写真を逃走者チームが撮るって事?」

 

「そうみたいですね……という事は、走っている地域に行けば会えるって事ですね」

 

「それはそうなんだけどさ、どこに行こうとしてるのかがわからないと」

 

ピロンッ

 

「あっ、位置情報が送られて来ました……」

 

燐子がスマホの画面を他の二人に見せる。画面には京阪神近辺の地図が映し出されていて、その中で新今宮の辺りに赤い丸が、そこから離れて尼崎市の北辺りに青い丸が表示されている。これが両チームの位置情報を現し、赤い丸が鬼、青い丸が逃走者を表す。

 

「これ、どの路線だろう?」

 

「これは……多分新幹線だね。丸の辺りに『山陽新幹線』って書いてある線が見えるでしょ?」

 

「あ、ホントだ!じゃあ、新幹線に乗ってるの?」

 

「うん。これだと姫路方面……という事はこれは播但線かなぁ」

 

「そうかもしれませんね……と、豊岡方面は交通の便もあまり良くありませんし……」

 

という訳で鬼チームは逃走者チームが播但線に向かうと予想して姫路方面へと向かう事に。新今宮に近い地下鉄の動物園前から新大阪へと向かい、そこから『さくら』に乗って一行は姫路へ。その途中で2回目の位置情報が送られてきたが……

 

「あれっ!」

 

「ど、どうしましたか……?」

 

「いや、さっき隆太君達が新幹線に乗ってるって言ったよね?」

 

「うん」

 

「今、隆太君達……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

加古川の辺りにいるんだよ」

 

「「……加古川ってどこ(ですか)?」」

 

「あっ(察し)……」

 

レイが神妙な面持ちで発した言葉に対し、二人は首を傾げる。まあ、ついこないだまで東京で暮らしていたのだから関西の地理に明るくなくても無理はない。

 

一応、解説しておくと加古川市とは兵庫県の南部に位置している都市で、姫路と神戸の中間ぐらいに位置している。野球ファンにとっては某盗塁王が言った『加古川より向こうの人帰られへんね』のあの加古川やと言えばわかりやすいだろうか?兎にも角にも、隆太達はどうやら途中で新幹線を降りて在来線で加古川までやって来たようだ。

 

しかし、3人は彼らがとった行動に困惑していた。

 

というのも、加古川からは山陽本線で神戸・明石方面と姫路方面、または加古川から分岐する加古川線というローカル線で西脇・谷川方面に向かうかという3つの選択肢がある。しかし、この3つのどれをとってキハ40がいる路線には辿り着けない、もしくは相当時間がかかる。なのに彼らは既に加古川線に乗って西脇方面へと北上していた。

 

故に彼らが何を企んでいるのか分かりかねていたのだ。

 

そしてそんな彼女達を嘲笑うかのようにMINEのグループに一枚の写真がアップされる。それはミッションの条件であるキハ40系をバックに逃走者チームが写っている写真であった。

 

「こ、これって……」

 

「ミッションクリアされちゃったね」

 

「そ、そんなぁ!どこで撮ったの⁉︎」

 

「あっ、なんか写真に写ってるね……北条鉄道?」

 

3人は聞いた事のない会社名にハテナマークを浮かばせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間前〜

 

〜side隆太〜

 

ミッションが発令された後、俺達はどこでミッションを遂行すべきか悩み続けていた。そんなこんなで悩んで結局、大阪駅に到着。ルートの都合上、豊岡方面に行くか姫路方面に行くかはここで決めなくてはならなかったがまだ決めあぐねていた。しかし……

 

「……ん?待てよ……『あそこ』ならもしかして……!」

 

「ど、どうしたの?」

 

「実はな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳でやって来たのは兵庫県小野市は粟生駅。

 

この駅には3つの路線が乗り入れるが今回乗車するのはそのうちの一つ、北条鉄道。元は加古川線の支線やったのを国鉄が民営化する直前、1985年に引き継いだ所謂第三セクターというものである。

 

ホームで列車を待っていると1両編成の単行ディーゼルカーがやって来た。まあ、こいつはキハ40やないけど。

 

そこから十数分開けた平野の中を列車に揺られて、終点の北条町駅に着いた。

 

「えっと……あ!おったおった!」

 

「あらっ」

 

「本当ね……」

 

その横に隣接する車庫に止まっていたのはアイボリーの車体に白神山地をイメージしたという白い三角が入った青のライン、そして車両銘板には誇らしげに『日本国有鉄道』と『キハ40 535』の文字が綴られていた。

 

そう、それはまさにミッションクリアの条件と言われていたキハ40そのものであったのだ。

 

実は長年、兵庫県内でキハ40が走る路線というのは北部の2つしか存在していなかった。しかし、去年になってこの会社、列車を増発する為に秋田や青森を走って引退したJR東日本のキハ40をわざわざ1両買って来たのだ。その列車が今年の3月から運行を始めた事でキハ40が走る路線に新たに北条鉄道が加わるという形に。かなり最新の情報なので鬼はここに気付かないと踏んで来たんやけど……その予想は見事に当たっていたようや。

 

「ほな写真撮りますか」

 

「そうね。時間が惜しいわ」

 

「位置情報を見ても彼女達、姫路にいますしね」

 

あっ、鬼は姫路におったんや。ふぅ、危ない危ない。播但線のほうに行ってたら終了やったな。西明石まで新幹線使ってカモフラージュした甲斐があったわ。

 

そんな訳で3人で車庫に止まるキハ40をバックに集合写真を撮ってMINEにアップ。これでひとまずミッションはクリアした。

 

「うしっ、ほなどうする?」

 

「位置情報が把握されてるから、加古川の方に行ったら鉢合わせしそうね」

 

「じゃあ、北上するか。運が良かったら西脇で足止め出来るかもしらへんし」

 

「「足止め?」」

 

「そう、2時間ぐらい足止め出来るかも」

 

俺達は折り返しの列車で粟生まで戻り、加古川線の電車でさらに北上していく。

 

というのも加古川線は途中の西脇市までは1時間に1、2本走っているのだが、そこより先、谷川までは原則乗り換えが必要な上、運転間隔が一気に倍以上空き、今乗っている西脇市13時31分発が出ると次の電車は何と16時前にならないと来ないという大阪近郊区間内随一の閑散区間の様相を呈しているのだ。しかも運の良いことにこいつは日に1本だけの全線通しの電車。乗り換えいらずでめっちゃ楽。てな訳でまたまた位置情報が開示。

 

見ると鬼チームはその先に魔境が控えているのも知らずに加古川線を北上。結構距離は近くなってるけど絶対足止めになるのでひとまず安泰だろう。

 

「恐ろしいわね」

 

「ふふっ、これが戦略よ!」

 

「でも、これからどうするの?」

 

「せやねんなぁ。ミッションの内容にもよるけど谷川から一旦大阪に戻ろうと思うわ。大阪まで戻ったら移動しやすいからな」

 

まあ、2時間も待つぐらいやったら鬼チームも加古川まで戻って大阪で迎え撃つっていう構図もあり得るからな……谷川からどう行くか。難しいところや。

 

約1時間、色々なことを語り合いながら電車の中で過ごし、そろそろ終点に差し掛かろうとしたところ……

 

ブーッ、ブーッ

 

「!!」

 

みんなのスマホからバイブ音が聞こえ始める。まだ位置情報が開示されるタイミングではない。ちゅうことは……!

 

『2ndミッション

 

今から6時間以内(20時10分まで)に四国に上陸せよ。手段は問わない。成功報酬は1時間無敵カード。失敗するとこの次のミッションに成功するまで位置情報が常に開示される』

 

いや、まんま!動画そのままのミッションやないかい!

 

「今から四国に行くの?」

 

「そ」

 

「手段は問わないのね……フフッ、泳いで行くのはありかしら?」

 

「ぶふぅっ!」

 

友希那さん!?アイツとおんなじ事言うてるけど!?

 

「そ、それわざと?」

 

「ええ」

 

ああ、確信犯や。

 

「湊さん、皆さんが知らない◯園寺ネタを出すのはやめて下さい。一部の鉄道ファン以外は分かりません」

 

「ええやん!ほな何?馬のネタやろか!?」

 

瑠唯の指摘に対し、友希那、というより中の人は普段作中で彼女が使わないであろうガチガチの関西弁で返す。

 

まあ、車内でやってないだけまだマシ……?




お久しぶりです。
ちょっと諸般の事情で今回の鬼ごっこはプロットを変えたんで、何話かに分けます。多分終わるまで後2、3話かかるかなぁ……
一応、次の話でR-18にする予定です。描写は……そんなにないかも?
あと、この話ってかなりニッチな掛け合わせ(鉄道×バンドリ×大阪×ハーレム)で書いてるんですけど、楽しんでもらえてるんですかねぇ……?感想とかで何かコメントをくれたら非常にありがたいです。
それでは次回、またお会いしましょう。

一番良いと思う鬼ごっこのミッションを選んでください(ちなみにどれ選んでもR18になるよ)

  • 6時間で海抜1000m以上の場所に行け
  • 6時間でキハ40形の写真を撮れ
  • 6時間で潮岬へ行け
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