※この作品はR-18です。

鉄のハーレム堪能記   作:柳芽帆奈

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第二十四話「油断大敵っ!」

『日本の半分で鬼ごっこ』二日目がいよいよスタートした。時刻は朝6時過ぎ。昨晩は日付を跨ぐまで動き続け、さらに泊まっていたホテルでサカりあっていたので疲れもそのまま。俺も友希那も瑠唯もあまり疲れは取れなかった。

 

 しかし、今日の20時まで逃げ切れば俺達の勝ち。

 

「何としても逃げ切んで!」

 

「「ええ!」」

 

 俺達はチェックアウトをして大阪駅に向かうべく、ホテルの自動ドアをくぐって一歩踏み……

 

「あ、はっけ〜ん!」

 

「もう逃げ場は無いよ、隆太君達」

 

「ご、御用改めです……!」

 

 出せませんでした。何せそこにいたのは香澄、レイ、燐子の三人。まさに俺達を血眼になって追っていた鬼チームだったのだ。

 

「え!?お前らなんでおんねん!?」

 

「いるも何も、もう0時半ぐらいには大阪に着いてたんだよ」

 

「高速バス様様だね!」

 

 高速バスやと!?待てよ……20時ぐらいに一旦位置情報確認した時は高松におったよな……

 

 ふと気になって高速バスの時刻表を調べてみると阪急バスが高松→大阪間で20時台に最終バスを出していた。これに乗って大阪まで戻って来たんか……!?

 

 ちなみに俺達はその時に位置情報を確認してからもう今日は追いつけないやろうと判断して位置情報を確認していなかった。要は油断してしまっていた。

 

「高速バスだって立派な公共交通機関だからね。それに休戦時間なんてないんだよ?」

 

「そういうわけだから、おとなしく捕まってください!隆太さん、瑠唯ちゃん、友希那先輩!」

 

 香澄達が俺達を捕まえようと手を伸ばす。まさに絶体絶命。このまま万事休すになってしまうんか……!?

 

「くっ……あっ、そうだ(唐突)」

 

 しかし、ここである事を思いつく。それはまさにこの窮地をひっくり返す最適解ッ……!

 

「ゲームマスター!『1時間無敵カード』使いまーす!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 五人が突然の俺の叫びに驚きの表情を見せる。

 

「いやいや、何言ってるんですか?」

 

「て、抵抗しても無駄ですよ……?」

 

『はいはーい、1時間無敵カードですね〜』

 

 鬼が困惑していると、何処からか気の抜けるような声が聞こえた。すると、香澄達の後ろの空間がひび割れ、裂け目が現れる。

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

 そっから出て来たのはゲームマスターこと作者……ん?何か格好違うな。昨日は和服やったけど……今度は何か白と緑を基調にした制服っぽい服……あっ、『さすおに』*1の第一高校の制服やないか、これ。

 

「おっ、あったり〜、これお兄様のコスプレやで。一応作者パワーで魔法も使えるよ」

 

 えっ、お前お兄様なん?こんな軽い調子の奴に『分解』持たしたら世界終わるんちゃう?

 

「酷い言われようやな……まあ、それはそれとして、『1時間無敵カード』使うんだよね?」

 

「せや、寧ろこんな時に使わへんと意味ないやん」

 

「ちょっと待ってください!さっきから言ってる『1時間無敵カード』って何ですか!?」

 

「あれ?俺が送ったメールに書いてへんかった?第二ミッションで四国上陸ってあったやろ?あれの成功報酬が件の『1時間無敵カード』って訳なのよ」

 

「「「あっ……!」」」

 

 作者の言葉で思い出したみたいやな。

 

「てな訳で香澄ちゃん達には悪いけど1時間足止めさせてもらうね……『刻々帝(ザフキエル)』」

 

 作者がその名前を呟くと、後ろに時計盤のようなものが現れ、右手にはいつの間にかクラシカルな短銃が握られていた。

 

 おい待て、今度は『デート・ア・ライブ』か。確かに最近4期始まったけどさぁ、なんてミーハーな奴なんや!しかも、格好は一高制服のままやし、もうこれ訳分かんねぇな……

 

「ほいっ、『七の弾(ザイン)』っと」

 

 そして軽い調子そのままに『刻々帝』が持つ12個の能力のうちの一つ、対象の時間を止める『七の弾』を鬼チームの3人に撃ち込む。

 

 その弾は彼女達に命中してその身体を貫く……ことは無く、弾は身体に当たった瞬間に消えたので彼女達に傷が付くことはなかったが、代わりに、彼女達の動きが精巧なオブジェになったかの如くピタリと止まってしまった。

 

「一応、1時間はこのままやから、この子達が動けないうちに逃げぇ」

 

「あんまり、あんたには感謝したないけど、サンキューな」

 

 鬼を見張る作者を横目に俺達はホテルを後にする。

 

「危なかったわね……って、またメールが来たわよ」

 

「えぇ?ホンマや」

 

 友希那が見せたゲームマスターからのメールにはこんな内容が書かれていた。

 

『最終ミッション

 

 近畿2府4県以外のエリア内の世界遺産で集合写真を撮れ。集合遺産の場合は該当物件の一つ巡ればクリアとみなす。また、自然遺産・文化遺産の区分は問わない。このミッションをクリアした場合はゲーム終了まで位置を隠すことができる。ただし、現在時刻から4時間以内にクリア出来なかった場合は『その時点で逃走者チームの負け』とみなす。健闘を祈るよん♪』

 

 うわ……最終ミッションだけあってヘビーやな。しかも関西地方は除外……となると北陸・中国・九州・四国に限られるな。でも北陸と四国に世界遺産は無かったし、今から長崎のキリシタン教会とか沖ノ島は遠すぎる。となると実質中国地方に絞られる事になってまうんか。

 

「瑠唯。どれ行ったほうがいい?」

 

「とりあえず、行きやすいのは原爆ドームとその先の厳島神社ですね。でも鬼も分かってるでしょうし、3分の1の確率でエンカウントしますね」

 

「そうなるよなぁ」

 

「あ、あの……ちょっといいかしら」

 

「ん?どした、友希那」

 

「その……その厳島神社ってどこにあるのかしら」

 

「「うそーん」」

 

 ここで友希那がまさかの爆弾投下。いや、知ってたで?友希那が音楽にスキル全振りした系女子だって事は。でも厳島神社の場所ぐらいは知っておこうよ……教科書に出てるよ?

 

「えっと、厳島神社と原爆ドームは同じ県にあるんやけど」

 

「ああ、なるほど」

 

 あっ、流石に理解してくれたy

 

「厳島神社って長崎にあったのね」

 

 おい、待て。こいつ今何つった?俺の耳が腐ってなかったら厳島神社は長崎にあるって言ってたように聞こえたんやけど。

 

「あら?違ったのかしら」

 

 俺の耳は正常そのものでした。良かったね。いや良かねえわ、もっと重大な問題が発覚したわ。

 

「一応聞くけど、原爆ドームの場所は知ってるやんな?」

 

「ええ、長崎県にあるのよね。あそこ、原爆が落とされた場所でしょ……ってどうしたの?」

 

「もうやだ……助けてるいるい」

 

「よしよし、ダーリンは悪くないわ」ナデナデ

 

 俺は年上の尊厳をかなぐり捨てて瑠唯の胸にダイブして泣きつく。そしてそれを嫌がりもせずに受け入れてくれる瑠唯ママ、マジ聖母ッス!

 

「湊さん」

 

「な、何かしら。八潮さん」

 

「ダーリンを泣かせた罪は重いですよ」ゴゴゴゴゴ

 

「!?」

 

 この後、移動しながら瑠唯先生の地歴講座が開かれる事になったのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Ladies and gentleman, welcome to the Shinkansen. This is the Nozomi super express bound for Hakata.……』

 

 そんなこんなで友希那に地理を叩きこませて広島に向かおうと新幹線に乗った俺達。しかし、ここである問題が出ていた。

 

「まさかレジ袋が引っかかってて立ち往生するとは……」

 

 実は新大阪で新幹線に乗ろうとしたところ、どこかの区間で架線にレジ袋が引っかかっていたらしく、運転見合わせになっていたのだ。幸い、運転再開の見通しは立っていたがそれでも大体4、50分ぐらいは足止めを食らってしまった。

 

 今、こののぞみ号は東広島辺りを通ってるんやけど、無敵カードで足止めされていた香澄達、鬼チームも後続の新幹線で後追いしていて、差があまりなくなってしまった。

 

「広島についても30分は足止めやから、当面は広島駅での戦いになるな」

 

「最後の最後まで油断できないわね」

 

『まもなく、広島、広島です』

 

 そして、太田川の中洲に広がる街並みとマツダスタジアム、貨物ターミナルを眼下に恐らく今回の最終決戦地になるであろう、広島に到着。昨日の岡山駅と同じように30分の待機時間に入る。まあ、この辺りは特に何も起こらずに逃げ切れたのでスキップするけど、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜30分後〜

 

「てな訳で30分経ちました」

 

「「3分クッキングみたいね(じゃない)」」

 

「気にしたら負けや。それにしても懐かしいな……」

 

「えっ?ダーリン、ここに来たことがあるの?」

 

「いや、俺なぁ、実は中3から高2まで広島に住んでてん。実際に住んでたんは皆実町ってところなんやけど、ようここの友達と一緒に遊びに来てたから」

 

「そうなのね」

 

「もっと懐かしさに浸りたいけど、とりあえず時間もないし、原爆ドームに行こうか」

 

「「ええ(そうですね)」」

 

 俺達は駅の目の前にある路面電車のターミナルに向かい、目の前にいた電車に飛び乗る。この広島の街は東京や大阪といった大都市の路面電車を、どこぞの狩人の名が付いた主人公のように『駆逐』してきたモータリゼーションを乗り越えて路面電車が残った街の一つで、その規模は日本最大の6路線、9系統、総延長35.1km。

 

 しかも、全国の路面電車の常なのか、車齢5、60年を超えた車両がゴロゴロ残っていて、今乗っているやつやって元々大阪を走っていた電車で車齢は53年。中には原爆投下をモロに受けて黒焦げになった電車も現役で運行している。俺がレトロな電車が好きになったのもこれがきっかけだったりする。

 

「やばいわ、タイムリミットまで後20分ぐらいしかない!」

 

「えっ、結構やばいんやない?」

 

 今、電車は的場町辺り……最寄りの原爆ドーム前停留所までは後8つか……間に合うかな。日本の電車はめちゃくちゃ正確やって言うけど、路面電車はよう遅れるし……走るんも微妙やなぁ。とりあえず間に合うように祈るしか無いか。

 

 しかし、俺の祈りとは裏腹に電車の遅れが出始める。まあ、交通量が多い都心を走ってるんでこればっかりはしゃあない。

 

 そして電車は世にも珍しいT字の橋である相生橋のたもとの停留所である原爆ドーム前停留所に到着。この時点でタイムリミットまでは後10分程。なんとか間に合ったみたいや。

 

「ここから見えるから、ここで撮ればいいじゃない」

 

 友希那が指を指してそう言う。確かに今彼女が指している方向には上部が骨組みで、所々が崩れ落ちている建物、旧広島県産業奨励会館、又の名を原爆ドームが木立の上からちょこんと顔を出している。まあ、確かにここから撮れんこともないが……

 

「でも、こっからやと見えづらいからなぁ、多分無効って言われるわ」

 

「なるほどね、それじゃあ急ぎましょう」

 

 俺達は大通りから一本入って、ドームがはっきりと見える場所に行き、スマホを取り出し、自撮り棒につけて準備は完了。

 

 原爆ドームをバックに俺が真ん中、瑠唯が左、友希那が右に並ぶ。あとはシャッターボタンを押すだけや。

 

「ようし、ほな行くで。はい、チー……」

 

「「ふふっ♡」」チュッ♡

 

「ふぇぇっ!?」カシャッ

 

 え!?何か両側に柔らかい感触が!?見ると両側にはしてやったりの表情を見せる二人が。撮った写真には笑顔で俺の頬にキスをする二人とそれに驚いてシュールな変顔をする俺という羨ましいのかそうでないのかよう分からん構図になっていた。え?これアップすんの?恥ずかしいんやけど。

 

「撮ってしまった物は仕方がないわよ」

 

「さあ、アップしましょう。これで位置情報は公開されないわ♡」

 

「あっ、ちょっと!」

 

 俺がまごまごしていると二人は俺のスマホをかっさらい、さっさとアップしてしまった。

 

 リプはすぐに帰って来たが……

 

『すっかりラブラブですなぁ(笑)』

 

『あぁ、羨ましすぎる……』

 

『リア充死すべし!』

 

 いやいや誰からやねん。てかこれ公開なん!?もう嫌や……でも、これで少なくとも鬼チームに居場所が伝わるって事は無くなったな。

 

「とりあえず、これで位置情報は消えたから自由に行動出来るな」

 

「そうね。そういえばダーリンは久しぶりに広島に来たって言ってたわよね?折角来たんですし、広島観光しましょう♡」

 

「おっ、そうだな」

 

 後は鬼に出会わなければこの勝負、勝ったも同然。折角なら初めて来たらしい二人に広島を案内してやろうと俺達は歩みを進めていったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時刻は鬼ごっこの終了時刻である夜の8時になった。

 

 果たして俺達は逃げ切ることが出来たのか……その結果はというと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イエーイ!私達の勝利だぁ!」

 

「ふふっ、おかえりなさい、隆太さん……♡」

 

「何とか捕まえられて良かったよ」

 

 この三人の台詞で分かりますね?そうだよ、負けたんだよぉ!

 

 ……はい、まさかの黒星となってしまいました。実はあの後、ゲーム終了のちょっと前まで観光して、鬼の存在を忘れていたんですよ。

 

 そしたら、偶然に鬼と出会ってしまい、三人仲良くお縄についたって訳ですよ。ちなみに、今はこの三人にベッタリされながら新幹線で帰阪している最中。これで、明日は一日中こいつらの言う事をなんでも聞くことになるんやけど……

 

「「「……」」」ギラギラ

 

 鬼側やった三人の視線がまるで獲物を捕らえた獣みたいにギラギラしている。これは(性的に)食われるパターンですね、ありがとうございました。

 

「その……友希那、瑠唯」

 

「いいのよ。気にしないでちょうだい」

 

「そうですよ。また頑張りましょう」

 

 ふ、二人共……なんてええ子なんや……!でも瑠唯、また頑張りましょうって?

 

「負けたままなんて私のプライドが許しません。次は油断せずに勝ちます」

 

「私も八潮さんと同感よ。Roseliaのリーダーとして、頂点に立てないならば何度でも挑戦するまで。その為にはもっとダーリンや他のメンバーと切磋琢磨しないと」

 

 二人の瞳の奥には炎が静かに揺らいでいる……ように見えた。どうやら今回の敗北で二人の対抗心に火を灯してしまったらしく、再戦は必至のようだ。

 

「まあ、でも今回はなんやかんやあったけど可愛い皆とワイワイ出来て楽しかったなぁ……」

 

「……!?」///

 

「旅行、また行こうな」

 

「うん(はい)(ええ)!」

*1:
『魔法科高校の劣等生』の略称。




今回でとりあえず鬼ごっこ『第1弾』は終了しました。
第2弾は一応構想はしています。私の気が向くか、リクエストがあったら書こうかな……
さて、次回からは通常回にまた戻る訳ですが、最近ネタ切れ気味なんでリクエストとかでネタ補給してくれたらありがたいです。
それでは次回、またお会いしましょう。

一番良いと思う鬼ごっこのミッションを選んでください(ちなみにどれ選んでもR18になるよ)

  • 6時間で海抜1000m以上の場所に行け
  • 6時間でキハ40形の写真を撮れ
  • 6時間で潮岬へ行け
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