そしてロイヤルメーカーさん、☆10評価ありがとうございます!
今回からは新章開幕です!
「第一回、メンバー対抗カラオケ大会〜!」
「「「「いえーい」」」」
どこぞの司会者のごとくカラオケ大会の開会を宣言する和樹とそれに棒読みで返す俺達。
ここは大繁華街、難波に位置するカラオケ店のとある部屋。その中では俺をはじめとした鉄道部の男衆が座っている。
「おいおい、棒読みだなんて悲しいなぁ」
「反応してもらえるだけまだマシや、俺の知り合いで『えいえいおー!』って元気よく言っても誰も返してくれなくて、あだ名が『不発の大号令』になった人がおるんやからな?」
「そ、そうか……」
ま、皆さんご存知あの
「いやぁ、飲み放題っていいっすねぇ!」
そんな事を言っている間、部員の一人である譲次は脇目もふらず、飲み放題のドリンクバーを堪能していた。制服のYシャツ姿な上にこの体躯、しかもジョッキで飲んでるから完全に居酒屋にいる仕事終わりのサラリーマンのそれやねんなぁ。
「譲次。飲むんはええけど、ここにきた理由忘れてへんよな?」
「んくんくっ……勿論ですよ、バンドのボーカル決めにきたんすよね」
「おう、覚えてるじゃないか」
そう、ここに来たのは我が鉄道部が新しく結成するバンドのボーカルを決めるため。ボーカルといえばバンドで一番目立ついわば顔の部分。やっぱりみんなやりたいらしい。
え?そもそもなんでお前らがバンドを組むんやって?もっとガールズバンドを出せ?いや、後ろのは願望やん。ああ、石投げるな!今から説明するからちょっと待ってなさい。
えー、事は数日前まで遡る。
〜数日前〜
「あ〜、今年も来たなぁ文化祭」
「せやな……」
俺と副部長である和樹は『文化祭要項』という表紙で纏められた冊子を見て嘆息する。
普通、文化祭といえば秋に行うイメージが強いだろう。
しかし、我が長堀学園高校の文化祭は例年は大体6月下旬から7月初旬に行うのが一般的だ。ちゅうのも、この学校、あまりにも人数が多いもんやから11月に行う体育祭と日付が近いと準備の切り替えを早く済ませないといけない上、受験生たる3年生はこの時期は模試、さらには推薦入試の絶賛準備期間という事情がある。いくら文化祭とはいえ、学生の本業は勉強っすからね。
というのもあって、文化祭は夏、さらに2日間に分けての開催になるのだ。最早大学の学祭レベル。
まあ、基本的にはクラス単位と部活単位の出店、文化祭ライブという個人単位の発表があるんやけど、今回やってきたのはそのうちの部活出店の案内。
「でもなぁ……」
「「「おはようございます」」」
そんな事を話していると、ほかのメンバー、久嗣、譲次、しおみんが入ってくる。
「おっ、みんな来たか」
「部長、なんでそんなに憂鬱そうなんですか」
しおみんが心配そうな表情で話しかけて来る。
「展示内容が思いつかん」
「別に普通に鉄道模型とか写真とかで良くないですか?」
「あかん。模型はプラモ部とかジオラマ部があるし、写真に関しては写真部が鉄道写真もやってるからダブるんや」
そこが部活が乱立するこの学校の欠点。要はなんかやろうにも似たような部活があるんで個性が出しづらいんや。特に文化部が顕著。吹奏楽部でさえ、ジャズバンド同好会という似たようなものがあるからねぇ……
「そうなんですね」
「うん、しかもここで負けたら……」
「予算が減る……」
と、和樹が握り拳を作る。その様子を一・二年組は不思議そうに見つめる。
実はこの文化祭、活動実績があまりない部活にとって、貴重な実績づくりの場にもなる。
俺達鉄道部は、主だった活動が撮影旅行ぐらいしかないのでこの文化祭での発表が来年度の予算にも響いてくる。事実、この文化祭で予算を獲得できなかった部は往々にして衰退したり、廃部になったりしている。
このように、長堀学園高校の文化祭は群雄割拠する部活の新陳代謝の役割も果たすため、多くの部活が予算をかけて熱い展示バトルを繰り広げるのだ!
「じゃ、じゃあ僕達は一体何を……」
「そう、そこが考え所。去年はイカゲーム的なやつをやったけど、人来んくて結局予算あんまもらえんかったからな。予算ないと撮影旅行にも行けん」
そんな訳でみんなで何を出すか考えることになった。しかし……
「……ダメだ」
考えに考えたが、全くいい案が出てこない。そもそも鉄道趣味っていうジャンル自体、アニメやスポーツと違って万人向けではないからこういう行事との相性がすこぶる悪いし、当然か……
「和樹、ちょっと休憩しない?」
「おう……ずっと考えても詰まるだけやしな」
「じゃあ、ちょっと休むか」
すっかりやつれたしおみんの提案で一時休戦に入る事に。俺達はそれぞれおもいおもいに自分の頭を休める。
「ふぅ……ん?」
和樹が何やらイヤホンを取り出してなんか聞き始めている。気になったんでちょっと聞いてみるか。
「和樹、何聞いてるん?」
「ん?これこれ」
とイヤホンを差し出してきた。耳につけると音楽がながれてくる。ここまでなら普通なんやけど、この音楽には普通と違うところがあった。
「あっ……鉄道madやん」
「そう!最近ハマってんねんなぁ」
和樹が聴いてたのは鉄道の動画やアナウンスをつぎはぎし、それに音楽を載せた鉄道madの一つ、途中下車シリーズという動画。うp主にもよるが、中には下手なmvよりも見応えのある動画もあるし、普通の人でもハマりそうな動画があるんで、俺もよく見ている。thunderbirdnsはええで。
「ふぅん…………あっ!」
ここである事を思いつく。それはもしかしたら現状を打破できるウルトラCになり得る大きなアイデアやった。
「ん?どした」
「そうや……これなら……いける!」
「何を思いついたんですか?」
「それはなぁ……和樹、借りんで」
「お、おう」
俺はスマホを操作して二つの動画を見せる。
一つは先程和樹が聴いていた途中下車シリーズの動画、もう一つは色とりどりの衣装に身を包んだ少女達が楽しそうに楽器を掻き鳴らし、ライブをしている動画。
「もしかして……これを演奏するっていうんですか?」
「せや。俺ら五人で鉄道madを演奏するバンドを組むんや!」
「「「「ええっ!?」」」」
俺の提案に他4人は驚愕する。まあ、いきなり言われたらそんな反応するんは当たり前か。しかも途中下車シリーズを演奏するっていう前代未聞の提案やし。
「バンド……」
「ていうか、文化祭っていつでしたっけ?」
「大体、一ヶ月後かな」
「一ヶ月!?無茶ですよ!」
「ていうか、楽器経験者はどれくらいいるんすか?」
「「ん(はい……)」」
譲次の問いかけに手を挙げたのは俺としおみんの二人。ちなみに俺はDJなら前世の頃に嗜んでたのもあって今でも出来る。しおみんは……キーボードかな?
「二人か……」
「ほら、やっぱり無理ですって」
まあ、譲次の言うこともようわかる。俺やっていきなり言われたらおんなじこと言うに違いない。でもな……
「他になんか案ある?いっぱい人が来てくれてがっぽがっぽ予算を獲得出来そうな出店が。あるんやったら言うてくれ」
「い、いや……」
「……やろ?別に簡単なやつで出店するんは簡単や。でもそれで予算獲得出来ひんかったら、良くて同好会降格、最悪は廃部や。それはみんな嫌やろ?」
真面目な口調で語る俺の言葉にほかの四人は無言で首肯する。
「それになぁ……鉄道部って結構歴史長いんよ。もう4、50年ぐらい。そん中で俺らが最後の部員やってずっと言われ続けるんは嫌なんや!……やからさ、いけるとこまででええ。俺のわがままに付き合ってくれへんか……?」
言って四人に向かって頭を下げる。そこに年齢とかプライドとか言うのは無く、ただ熱意だけが俺を突き動かしていた。
「「「「………………」」」」
さぁ、どうや……
「たまにはええ事言うやん、隆太」
「あんまりよう分からんけど、熱意はしっかり感じられた……」
「じゃ、じゃあ、部長!本当に一ヶ月でやるんですね!?」
「おう、俺も出来る限りのサポートをする。だからお願いや、譲次」
「うぅ……ああ、やけだよやけ!やってやりますよ!」
「ぼ、僕も頑張ります!」
すると、俺の想いが通じたのか、みんなが前向きに考え始めた。よかった……これでなんとか計画が進みそうや……
そうして現在に至る。
「そういえばボーカルって結局誰が決めるんですか?」
久嗣がそんな事を聞いてくる。
「ええ質問やな、今日は審査員兼特別コーチを呼んできたんや」
「審査員?」
「おう、入ってきてくださーい!」
するとカラオケルームの扉がバンと開き、中に一人の人物が入ってくる。
「って……え?」
「あれ、この人って」
その人物とはみんなよく知る銀髪の少女……湊友希那嬢である。やって彼女、音楽関係に関しては比べようがない程強いし、ボーカルやし、審査員にもコーチにもうってつけの人材やないですか?
「皆、話はダーリンから聞いたわよ。一ヶ月でステージに出られるように仕上げるんですってね」
「は、はい」
「貴方達。一ヶ月で仕上げてライブをする覚悟があるのかしら?」
とまるで碇ゲンドウのように手を顔の前で組みながら話す。
「……ふっ、決まってるやないか」
ええぞ和樹、ビシッとあるよって言うんや。
「ないですっ!」
「「「「おいっ!」」」
何言うとんねん!ほらぁ友希那の顔に青筋たっちゃったよ!
「無いですって?」
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ……」
「出来ないなら帰れ!」
あぁ、ブチギレてもうたやん!こんなところで原作……いや、この場合やとキャラくずか?まあ、どっちでもええわ、真似せんでええねん!
「まあ、今のは冗談、ちゃんとやるから」
「ホントかしら?まあ、私も贔屓せずに見るからそこんとこよろしく」
「「「「「……」」」」ゴクッ
「それじゃあ、一曲目。課題曲はこれよ」
友希那がタブレットを操作して選曲したのは『初音ミクの消失』。えっ、これ歌うんすか?
「ええ、途中下車シリーズは高速でアナウンスが流れるわ。それを歌い切るには速いテンポで複雑な歌詞を歌う必要があるわ。だからこれの1番を完璧に歌えた時点で即合格よ」
成程、早口で歌う必要があるから早口ソングを用意したと。
「じゃあ、最初いいすか?」
「ええ、勿論よ芦原さん」
そして譲次はマイクを構え、曲が始まる。
『……♪』
「ボクは生まれそして気じゅ、所詮ヒトのまにぇっ』
「ストップ」
しかし開始3秒で早速噛んでしまい、友希那にストップをかけられる。
「不合格です」
「うぅ、難しい」
「つ、次は僕がいきます」
次はしおみんか。頑張れよ。
「ボクは生まれそして気付く 所詮ヒトの真似事だと
知ってなお歌い続く 永遠の命『VOCALOID』
たとえそれが既存曲をなぞるオモチャならば……」
あっ、すごい。しおみんちゃんと歌えてるんやん。これは期待大かも?
この曲は序盤を乗り切ってしまえば、サビぐらいまでは普通に歌える。しおみんも例に漏れず、サビまで突入出来た……が。
「存在意義というきょじょっ、あっ!」
「ストップ」
あぁ、折角サビまでいったのに!
「不合格、でも素質はあるわね。もし合格者がいなかったら貴方を指導するわ」
「あ、ありがとうございます……」
その後も俺、久嗣が挑戦したが早口の歌詞に耐えられず轟沈。残るは立葉和樹ただ一人を残すのみとなった。
「和樹、頑張れよ!」
「おう、任しとき!声真似は得意なんやで!」
あれ、あいつやけに自信満々やん。なんか喉仏を動かすような仕草を見せてるし。
「オッケーです」
「じゃあ、いくわよ」
友希那が曲を流し始める。
『〜♪』
「ボクは生まれそして気付く 所詮ヒトの真似事だと
知ってなお歌い続く 永遠の命『VOCALOID』
たとえそれが既存曲をなぞるオモチャならば……」
!?えっ、上手い……しかもなんか声のキーが高い。まさかミクの声に合わしたんか!?
「信じたものは 都合の良い妄想を
繰り返し映し出す鏡
歌姫を止め 叩きつけるように叫ぶ……
〈最高速の別れの歌〉」
サビも完璧……でも問題はここから。しおみんはここを越えられへんかった。いけるか!?
「存在意義という虚像 降って払うこともできず
弱い心 消える恐怖
侵食する崩壊をも 止める程の意思の強さ
出来てすぐのボクは持たず
とても辛く悲しそうな思い浮かぶアナタの顔……
終わりを告げ ディスプレイの中で眠る
ここはきっと『ごみ箱』かな じきに記憶も無くなってしまうなんて
でもね、アナタだけは忘れないよ 楽しかった時間に
刻み付けたネギの味は 今も覚えてるかな……』
いった!歌い切った!しかもミクの声で!
「……」ウルッ
友希那が曲を止める。表情こそ平然としているが何やら目元が潤んでいる。
「……すごいわ。声真似で歌い切っちゃうなんて」
「はぁ、はぁ……まあ、歌は大好きなもんで」
「……合格よ。文句の付け所が無かったわ」
「っしゃああ!」
何とあの湊友希那に満点評価で合格を勝ち取ってしまった。和樹……お前すごいわ。
「す、すごいです、先輩!惚れ惚れしちゃいました!」
「そ、そうか。なんか照れるなぁ」///
「とはいえ、これでボーカルは決定ね」
「後のパートはどうするかな」
「じゃあ、ギターとベースとドラムはくじ引きで決めましょうか」
「ええ!?折角ボーカルはオーディションしたのに!?」
「仕方ないじゃない、尺がないんや」
「はい、くじよ」
言って友希那が箱に楽器名が描かれた紙を入れて三人に差し出す。ちなみに俺はDJ、しおみんはKeyの担当が決まってるので除外。
「ほな、いきますよ!せーの!」
「「「ほいっ!」」」
和樹→ギター
久嗣→ベース
譲次→ドラム
「えっ、俺ギタボやるんや」
「ドラム……やったことないですぞ」
「ベースねぇ」
こうして全員の担当が決まった。
「ていうか、本当に一ヶ月で習得出来るんですね?」
「おう、俺が秘密兵器を作ってやる」
帰り際、俺はみんなにそう言った。さて……秘密兵器、作らんとな。
夜の難波を闊歩しながら、ハツメイカーに投入するアイデアを考え始めるのだった。
なんか、ごちゃごちゃしちゃったな……
という訳で新章開幕、和樹達がバンドを組みます!次回以降もお楽しみに!
一番良いと思う鬼ごっこのミッションを選んでください(ちなみにどれ選んでもR18になるよ)
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6時間で海抜1000m以上の場所に行け
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6時間でキハ40形の写真を撮れ
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6時間で潮岬へ行け