〜文化祭当日〜
はぁ、当日になっちまったよ。
俺らが演奏する曲ってかなりアレやし、盛り上がってくれるんやろかって考え込んで全然寝れんかったな……
セトリも決めたし、最終の練習もやった。後は鉄道部のプライドにかけて文化祭を成功させて、部費をもぎ取る!
『それでは、これより第45回長堀学園文化祭を始めます……』
生徒会の一声でついに文化祭が始まる。文化祭は午前午後の二部構成で俺達は午後一番に体育館の特設ステージでライブをする事になっていて、その間は各自自由時間、もしくはクラスの手伝いをする事になっている。今はクラスの手伝いで馬券売りをしている。
「さっ、ダーリン。頑張ろうね☆」
「全力を尽くすわよ」メラメラ
握り拳を作り、炎のオーラを纏う友希那さん。この日の為に滋賀県の栗東(アレっすよ、トレセンあるとこ)でトレーニングしてきたらしいよ。ただ馬券売るだけやのにどこで活用するんすかねぇ、いっちょんわからん。
「すいませーん、単勝くださーい」
「複勝二枚!」
「三連単、③-⑤-①!」
「枠連の❶・❺で!」
「……」シュババババッ
あっ、めっちゃ活用してるやん。千手観音みたいなってる……
「す、すごいな……」
「この情熱を勉強の方に向けてくれたらありがたいのですが……」
「それな」
「すいませーん!」
「あら、戸山さん。ほかのみんなも一緒なのね」
「「「「お邪魔しまーす」」」」
明るい声が教室に響く。Poppin’Partyの五人がやって来た。
「そろそろ出走の時間やから、馬券予想するなら今のうちにやっとき」
「「「「「はーい」」」」」
言って五人は俺の横に鎮座している段ボール製の自動販売機のボタンを押して、下から出てきた馬券を手に取る。まあ、自動販売機って言ってるけど、中ではさっきの友希那が手作業で出している。本来はマークシートで馬券するんやけど、予算が足りないんやって。1万円でできるかな?出来るわけないやろ、クソが。
「皆さん、本馬場入場です!」
女子生徒の合図で電気が消灯し、前面のプロジェクターに映像が映し出される。
『〜♪』
映っているのは学校の屋上。どこからかファンファーレが鳴り、下に繋がる階段から出走馬……もとい、馬に見立てた出走メンバーが登場する。ちなみに、バンドの練習で忙しかった俺はあまり参加できておらず、全部の動画を見ていなかった。屋上スタートのやつは見てへんし、俺も観んの初めてやな……
「①はやいひと!」
まず出てきたのは1枠、はやいひとこと布施俊徳。こいつは陸上部出身で、今回のメンバーの中では唯一の本職さん。陸上部らしく、ユニフォームを身につけている。もうちょっとええ名前あったやろ、なんやねん『はやいひと』って。そのままやんけ。
「②ぜいたくは敵だ!」
次は2枠、ぜいたくは敵だ。本名は御幣島たまき。今回のレースで二人いる女性メンバーの一人で、天然パーマが特徴的な女子生徒。ぜいたくは敵だの名前はこの天パからきたらしい。
「③ズバリマン!」
第3枠、藤木涼。うちのクラスの学級委員を務める生徒。前話でちょっと出てきたな。今回はおかっぱ頭と丸縁メガネ、さらには緑のシャツに半ズボンとまんま丸尾のコスプレをして参戦している。
「④嘴平股之助!」
なんやろう、すんごい嫌な予感がする。
「……」スッ
そう思っていると、ズバリマンの後ろから上半身裸で猪のかぶりをした男が登場する。うわっ、やりおった。鬼詰のキャラを使うなんて……香澄達は「あっ、伊之助だ!」と言っているけど、違う。こいつは『伊之助』やない。『股之助』や。よりによってこいつ出してくるなんて……R18やなかったら間違いなくBANものやで。
「最後は⑤アイバーン!」
第5枠は……いや待て待て、友希那やん!?しかもこの勝負服、ライブ衣装やないん?こいつは……『歌姫の覚悟』やな。ていうか名前からしてぶっ壊れてるし。もうあなた湊友希那である事を放棄してませんか?ここはキャラくずやないで。
「それでは予想タイムスタート!」
一旦教室の照明がつき、予想タイムが始まる。ここで各自馬券の投票先を決めるわけなんやけど……
まあ、はやいひとが一番人気になるわけですよ。そらそうやろ、男子で陸上部出身。これで食いつかんわけがない。実際香澄達も①枠を書いてるし。
「私違うよ?」
えっ、おたえ何にしたん?
「これ」
そう言っておたえが馬券を見せてくる。そこには『⑤アイバーン』の文字がしたためられていた。
「おたえ、友希那先輩にしたんだ!」
「うん、第六感が働いたんだ」
なんかよう分からん事言ってますね。元々か。
「さあ、それでは出走です!」
再び照明が落とされ、いよいよ出走である。
『位置について……よーい、ドン!』
最初に出たのは……はやいひとか。どんどんスピードを上げて、スタートとは違う、別の階段で階下に降りる。
それをほかのメンバーが続いていくわけだが……
『ハァ、ハァ……』
遅い、めっちゃ遅い。アイバーンが早くも一人だけ集団から離脱し始めている。
まあ、服装が長袖な上に装飾たくさんついてて、ロングスカートを履き、夏真っ盛りの中で走り回る。そこにアイバーン自身の絶望的な体力の無さがデバフでかかった結果、マイナス同士がかかってプラスになるどころか、さらにマイナスがかかってよりひどい状態になってしまっているのだ。キミさぁ……栗東でのトレーニングはどうしたん?
もう目も当てられん。そのタイミングで画面が切り替わる。先頭は依然はやいひとで次点に股之助が続いている。はたから見れば陸上選手の後ろを猪の被り物をした筋骨隆々な男が追いかけるというシュールにも程がある絵面が繰り広げられていて、股之助が出る度に周囲は大爆笑。そらそうやろうよ。
このままはやいひとが優勝するのか、そんな矢先、
「うわぁぁっ!?なんやこれ!?」
廊下の曲がり角に貼られていた妨害の一つ、セロハンにはやいひとが突っ込み、そのまま転倒。すぐ後ろをつけていた股之助も巻き添えを喰らってしまう。
「えっ、なにこれ、セロハン?くぐらないと……」
次にやってきたぜいたくは敵だ、そしてズバリマンはセロハンをくぐってここを回避、動けなくなっていた二人も復活して、走り始めていった。後はアイバーンだけやけど……
「い、急がないと……ぐほっ!?」
あっ、セロハン食らったwwwしかも顔面から突っ込んだから、ドアップで変顔映ってるやんwww
『www』
「ゆ、友希那先輩www」
「ちょっ、これ大丈夫か!?撮ったやつ殺されるぞwww」
「み、湊さん……ぷぷっww」
「リアクション芸のお手本だねwww」
ああ友希那、君は今最高に輝いてんで。
「この動画を編集したん、誰や……」
一方のご本人は腕をまくって臨戦モードに。編集した人は友希那に連れられてどこかに消えていった……五体満足であることを祈ろう。あーめん。
閑話休題。
既にコースは半分に差し掛かり、首位はセロハンゾーンから交代して、なんと、ズバリマンが首位を走っている。まあ、さすがに男女の体力差があるからね……
「ハハハッ、ズバリ、このまま私が優勝をかっさらうでしょう!」
腹立つ喋り方しよんなあ。微妙に似てへんのがもっとイライラする。
「おい、ズバリマン!」
「ムムッ!?」
そんなズバリマンの前に立ちはだかったのは、制服を着た同じクラスの男子二人。
「悪いな、邪魔さしてもらうで」
「邪魔をするなら帰ってください!」
「あいよー……ってンなわけあるかいっ!」
それを合図に二人がズバリマンに飛びかかる。
「オラっ!」
「うおーっ!」
「たぁーっ!」
「こいつウォーターって絶叫してんで」
「ヘレン・ケラーかよ(困惑)」
おいおい、まさかの原作再現かい……気になった人は『男子対女子 大戦争の巻』でググってみい。
画面の中で奮闘を続けたズバリマンだが、二対一という数の暴力には敵わへん。
「うわぁぁ!ズバリ、助けてください!」
「オラっ、立て立て」
「こちら渡り廊下。ただいま、藤木涼が連行されてゆきます。彼は史上最悪のあさま山荘事件の犯人なのです」
「うぅ、なんという屈辱。ズバリ、ヘビの生殺しでしょう」
「」www
眼鏡を取られ、男子生徒に連れて行かれ、柱に縛りつけられたズバリマン。うん、これのモチーフって競馬やんな?
かくして、ズバリマンが脱落し、優勝争いは三人に絞られた。え?もう一人はって?知らない知らない。
「いよいよレースも終盤、トップには再びはやいひとが躍り出ました!」
「いけー!」
「はやいひと頑張れー!」
「そのまま突っ切れーっ!」
また画面が切り替わり、はやいひとが猛スピードでゴールへと向かう。このペースやと優勝しそうやな……
チュドォォォンンッ
「アパ──ッ!?」
『!?』
その矢先、はやいひとの目の前で爆発が起こり、爆風で吹っ飛ばされる。セロハンといい、爆発といい、はやいひとほんまにかわいそうやな……
「恨みはないけど……ゴメンねっ☆布施くん」
ん?おい待て、この声どっかで聞いたことあんで……
「最後に立ちはだかる刺客は……」
土煙から見えたのは何と……
「今井〜リ〜サッ!」
軍服を纏った
「リサ、これ出てたん!?」
「うん、なんか協力してくれって言われてね」
まさかの人物の登場に驚きを隠せない俺。
「えっ、な、何!?リサちゃんなの!?」
それは画面の中のぜいたくは敵だも同じで、戦闘態勢のリサを見てめっちゃたじろいでいる。
「おっ、目標発見!」
そんなこともお構いなしにリサは照準を合わせる。
「fire!」
チュドォォォンンッ
「キャ──ッ!?」
ああ無情なり。二人目もあえなく散っていった。
「残りは一人……あの猪を倒せば友希那が優勝する……!」
あっ、そうやった。この人友希那ガチ勢やったな。
「あっ、来た来た……」
言って再びランチャーを構えて、スコープに顔を寄せる。ていうかずっと疑問に思ってたんやけど、扱い方が手慣れ過ぎひん?どっかの軍隊にいたんすか?
一方の股之助。こちらも校庭に出て来てスパートをかけているが、既にリサの射程圏内。上半身裸やのにオーバーキルやろこれ。
……ん?なんか持ってない?刀……えっ、嘘やろ?
「獣の呼吸……肆の牙」
「装填完了ッ……3、2、1」
「『切細裂き』!!!」
「ファイヤーァァァァッ!!!」
ドォォォォォォォンッ!
斬撃とロケット弾がぶつかり合い、大爆発が起こる。その凄まじい爆風は校舎の窓ガラスを一瞬で割れ去る程。もうツッコみたくないよ……
先ほどまでとは比べ物にならない重たい土煙が晴れると、そこに見えたのは……
「……」
「きゅ〜……」
目をぐるぐるにして大の字を作るリサ。何と股之助が勝ったのだ。
ていうか何で日輪刀持ってる上に獣の呼吸まで……ん?
ポロンッ
『キャ──ッ!!!』
あああああああ!?爆発が凄過ぎて袴がボロボロに!一応ふんどしが残っているが、布はボロボロで、見えてはいけない部分がチラチラ見えている!しかも毛ェ無いし……男のパイパンになんざ興味ねぇんだよっ!女子達は阿鼻叫喚、男子達は大爆笑。3年2組の教室はカオスと化していた。
しかも、本人は気付いているはずのに全く動じることなく、再び走り始めた。とはいえ、ここを走り抜けてその先の体育館に入って仕舞えばそこがゴール。いよいよレースも終盤……あれ、そういやアイバーンはどうした?
「おったぁぁぁ……」パカラッパカラッ
ん?なんか聞こえますね。しかもなんかパカパカ言ってるような……
「待たんかァァァァァァァァァァァァァァァァ一いっ!」パカラッパカラッ
何とこのレース最終盤で、とっくに出遅れていたはずのアイバーンがサラブレッドに跨って再登場。ここで競馬要素を出してくるん?(困惑)
どっから馬を手に入れたんやとか色々ツッコみどころは多いが、展開が早過ぎて、最早そんな事は気にしていられない。
実際、馬のスピードは凄まじく、股之助を猛追している。こら分からんくなってきたなぁ。
「今日は猪鍋やァ、覚悟せぇ!」
「!?」
最早完全にキャラを捨てたアイバーンが迫真の表情で股之助を見据える。その差は既に50mを切っている。
一方、股之助も最後のカーブを曲がって体育館の入り口に突入。もうふんどしも破けて完全に全裸男と化してしまっている。まるで友を救うために走り続けた某ギリシャ人みたいで、かっこよく見えるけど……
ビンビンッ
カウパーでビチョビチョの肉棒のせいで台無しや……勃起したまま走ってるから、雌を探す発情期の猪みたいになってもうてる。
そして、その2秒後にアイバーンが馬に乗ったまま体育館にin。
「「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」
体育館の床に足袋と馬蹄の音が響く中、二人はほぼ同時にゴールテープを切る。史上最もカオスな競争についに終止符が打たれた。果たして勝つのは……
(何度も言うけど、これは競馬ゲームです)
「っしゃあっ!」
「くっ……」
厳正なる写真判定の結果、アイバーンこと湊友希那が見事一位に輝いた。そこで映像が終わり、教室に再び明かりが灯る。
「うそぉっ!?」
「えええーっ!?」
「1万円が……1万円がぁぁぁ!」
まさかの大穴に教室内は先ほどのポロリとは別の意味で阿鼻叫喚に包まれる。おい、最後の台詞はまずいよ。
「おたえすごい!」
「ふふ、当たっちゃった」
「こりゃあ一本取られたね」
「おめでとうございます!これ、賞品の入浴剤の詰め合わせです!」
そんな中、おたえが見事予想を的中させ、景品の入浴剤セットが贈られた。
「おおっ」
「草津に有馬、和倉に別府……色々あるな」
「お楽しみ頂けたでしょうか?今回のレースはこれにて終了となります!ご来場頂きありがとうございました!」
女子生徒の締めの挨拶を聞いて、観客がゾロゾロと出ていく。ポピパの五人もそれに続いて出て行こうとする。すると……
「隆太さん、後で一緒に入ろうね……」
「!?」///
「ふふっ♡」
とまあ、横から小声でそんな事を言われたんですよ。振り向くとそこには小悪魔みたいな微笑を浮かばせるおたえの姿が見えてるんすよ。誘ってる?誘ってるよね?
しかし、それに答える暇もなく、ポピパの五人は行ってしまった。
「ん?ダーリンどうしたの」
「えっ!?い、いやぁ……」
「ふ〜ん。さてはおたえに何か言われたなぁ」
あっ、全部見透かされてるわこれ。リサがめっちゃニヤニヤしてる。そして彼女も耳許に近づき……
「アレ、確か何個かあったよね……アタシも入れて♡」
「え!?お、おたえがなんて言うか……」
「おたえ?そこはアタシの社交性の見せ所よ」
そしたら今井のアネキが一人でおたえのいるとこに行ってなァ、ロケットランチャーをぶっ放して、その建物を木っ端微塵にしてもうたんじゃ。
「そんな事しないよ!?さっきのレース動画にひっぱられ過ぎだよ!?」
「じょ、冗談やって(汗)」
「んもう……」ポンッ
「?」
何かリサが頭撫で始めたけど……
「もうちょっとで本番あるでしょ?」
あ、ああ、せやったな。もうちょっとで準備せな。
「……元気の注入。アタシ達も見に行くからさ、精一杯演奏してね」
「……!ああ」
「楽しみにしてるわよ、ダーリン」
「頑張ってください、あなた」
友希那に紗夜も……こら、期待に答えないかんな。
「おーい!隆太!そろそろ準備するで!」
「さっ、呼んでるよ」
「ん……頑張ってくるわ」
三人に手を振って俺は準備をする為に体育館に向かった……
という訳で、めちゃくちゃ筆が乗った結果、稀代の迷作が出来てしまいました。
多分、バンドリでドンケツネタ使ったん初めてやないかな(白目)
……でも、やっと自分が書きたいものが書けた気がする。
こんな調子で頑張っていきますんで、どうか応援よろしくお願いします。
それではまた。
一番良いと思う鬼ごっこのミッションを選んでください(ちなみにどれ選んでもR18になるよ)
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6時間で海抜1000m以上の場所に行け
-
6時間でキハ40形の写真を撮れ
-
6時間で潮岬へ行け