時は少し遡る。
さゆりの爆乳にノックアウトされ、二度寝から目覚めたみなとは、プールサイドで呆けていた。
島にきてから凄い経験の連続で、正直、脳と体を休める時間が必要だった。
ただぼーっと水面を眺めていると、突然後ろから声をかけられる。
「や、みなと」
そこに立っていたのはモデルのようなプロポーションをした美少女だった。
はっきりとした顔立ちにセミロングの黒髪、学生服をモチーフにした水着を身に着けている。
最初は驚いたみなとだったが、その声と目元に記憶が引き出されていく。
「え……まさか、ななみねぇ?」
「ふふ、あたり。久しぶり」
彼女は「ななみ」。
みなとの姉である「みさき」の中学時代の同級生で、親友とも言える間柄の少女だ。
お互いの家にもよく遊びに行っていたので、必然、みなととも面識があった。
みなとが9歳の頃の話なので、それ程はっきりとした記憶ではないが、みなとにとっては大切な思い出だった。
「びっくりしたぁ、全然わかんなかった」
「うん、わたしも。みさきに教えて貰わなかったら気づかなかったかも。みなと、成長してたから」
「そうかな……背はあんまり伸びてない……」
みなとはななみを見上げて言う。
ななみはクスリと笑って、くしゃくしゃとみなとの頭を撫でる。
サラサラと髪を撫でられくすぐったい。
「雰囲気が、って事。昔のみなと、ずっとお菓子かゲームだったから」
「うっ……そうだっけ……」
「ふふっ。ね、LINE交換しよ。スマホあるでしょ?」
「あ、うん!」
お互いの連絡先を交換し、みなとは質問する。
「ななみねぇも、みさきねぇに誘われて来たの?」
「いや、わたしはこっちの……あれ?」
ななみは驚いて周囲を見渡す。
そしてプールサイドのソファに隠れた少女を見つけ、呆れた声をかける。
「なにやってんの、つくし?」
そう呼びかけられた少女はおずおずと影から出てくる。
「その……わたしは、いいので……どうぞお二人で……」
「急に居なくなるからびっくりした。この子はつくし、みさきの……同僚、かな。わたしも一緒にこの島で働いてるんだ」
「すみません、すみません……お邪魔してしまって……」
つくし、と呼ばれた少女は水着の上から、この常夏の楽園に似合わない長袖の青ジャージを着ていた。
飾り気のない眼鏡をかけ伏し目がちで、ななみとは対照的だ。
何故かスケッチブックで顔を隠し、しきりに謝っている。
「つくし、この子はみなと。わたしの友達で、みさきの弟。なぎささんの弟でもあるけど」
「あの二人の弟さん……! どおりで美ショt……」
言いかけて、つくしは固まる。
キョトンとして、ななみが聞き返す。
「びしょ?」
「美少年です、ね! あはは、はは……」
「確かに、特になぎささんに似てきたかも。キリっとして」
「そ、そうかな……それって女っぽいって事?」
確かになぎさは男性役に抜擢される事もあるほど精悍なルックスをしているが、姉に似てきたと言われると少し釈然としない。
ななみがクスクスと笑う。
その輝くような笑顔にどきりと心が跳ねてしまい、気づかれないように視線を外す。
「そうじゃなくて……あ、そういえば覚えてる? 4人でプールに行った時」
「うん、行った……けどあんまり覚えてないかも」
「プールでさ、なぎささんがみなとを女子更衣室に連れて行って……」
「な、なにそれ!? 覚えてない!」
「それで着替えてプールに行く時、大人の人にみなとが止められて、『お嬢ちゃん、上の水着は忘れたの?』って、ふふふっ」
「ちょ!? 何その話!?」
突然の曝露話に反論すると、ななみは更に楽しそうに笑う。
「あー……確かに、今でも女装したら妹で通用しそうな……美ショタに女子水着……うへへ…………はっ!」
「ん? つくし、何か言った?」
妄想から帰還したつくしは、惚けていた顔をさっとスケッチブックで隠し、後ずさった。
「いえ、あのー……これ以上、このキラキラ空間をわたしが汚染する事を、わたしが許せないので、失礼しますっ!」
言い放つと、つくしはそのままドタバタとプールサイドを駆けていった。
ちょっと行った先で、監視員さんに「走らないで!」と怒られていた。
「あー……ちょっと変わってるんだよね。楽しい子なんだけど」
「そ、そうなんだ……キラキラがどうこうって言ってたけど……」
「んー……あ、もしかして……わたしたちを恋人同士だと思ったとか?」
「えっ!? こいっ、いやっ、えっと」
みなとは顔が赤くなるのを感じる。
まさか、ななみからそんな言葉が出るとは思ってもみなかった。
何と答えるべきか分からずおたついていると、ななみはイタズラっぽく笑顔になった。
「ふふっ、なーんて。 ……みなとはさ、好きな人とかもう居るの?」
「すっ、好きなひと……」
みなとの顔はますます熱くなった。
今度は、答えるべき事は決まっていた。
ずっと好きだった初恋の人。
みさきと別々の高校に進学したと聞いて、告白もせず諦めた相手。
それでも忘れられず、みなとが陸上部に入り、コーヒーを飲み始めた理由の人。
今、ななみにそのことを伝え、OKをもらえたら……と考えてしまう。
(……でも、俺の方が背はずっと低いし、歳も6つも下だし……かっこいい彼氏も、もう居るんだろうな……)
正直、自分とななみが釣り合うとはとても思えなかった。
逡巡し、口を開く。
「いまは、べつに誰も――」「みぃー! なぁー! とおおおおぉぉうっ!」
話の流れも、みなとの言葉も、全てをぶった切って、火の玉のように赤い髪の少女が飛び込んできた。
カンナと、それに飛びつかれたみなと、それからとっさにみなとの手を掴んだななみ。
三人はひとかたまりになって、プールに大きな波を立てた。
目も開けられず水中で闇雲にもがいていると、腕を掴まれ水面に引き上げられる。
「げほっ、はあっ」
「みなと、大丈夫!?」
ななみの声がする。
「けほっ、うん、平気。ありがと……」
「よかった……カンナ! 飛び込み禁止だって!」
「ご、ごめんなさい……テンション上がってしまったのじゃ……」
みなとは目をそっと開くと、寸前にななみの顔があった。
彼女に抱きかかえらえて、みなとは浮かんでいるようだ。
「ありがとう、ななみねぇ……」
「う、うん。良かった、良かった……」
返事をするななみだが、何故かみなとの方を見ず、目をそらしていた。
濡れた黒髪がひっついた頬が、ピンクに染まっている。
「その、手がさ……はいっ、てる……」
「え?」
言われて水中の手に目を落とすと、柔らかい感触が伝わってくる。
みなとの左手はななみのビキニに入り込み、ななみの美乳に直接触れてしまっていた。
「ごっ、ごめんっ!!?」
慌てて手を抜き出す。
感触と温かさが指に残っていて、みなとの心臓はバクバクと早鐘を打つ。
ななみは崩れた水着を整えて言う。
「いいよ、わざとじゃないし……忘れて」
「えっと、その、でも……」
「……ふーん、忘れてくれないんだ」
「いや、えっと……」
ななみは、みなとに視線を向けた、まだ頬は赤い。
そして、みなとの耳に顔を寄せ、囁いた。
「なら、セキニンとって、お嫁さんにしてくれる?」
「へ……」
そう言い残すと、ななみは少年を離してプールサイドに登ってしまった。
聞き間違い?それとも冗談?混乱しながらプールを漂うみなとを振り返り、ななみは小さく手を振った。
「じゃ、また」
早く登場してほしいキャラ(書き溜め以降のキャラ順の参考にさせてください)
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モニカ
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つくし
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ななみ
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エリーゼ
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こはる
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たまき